爾時佛知一切世界。若天世界若魔世界若梵世界若沙門婆羅門。及天若犍闥婆人阿修羅等。及諸菩薩摩訶薩紹尊位者。一切皆集 |
爾の時、仏の知りたまわく、『一切の世界の、若しは天の世界、若しは魔の世界、若しは梵の世界、若しは沙門、婆羅門、及び天、若しは揵闥婆、人、阿修羅等、及び諸の菩薩摩訶薩の尊位を紹ぐ者の、一切は皆集まれり』、と。 |
爾の時、
『仏』は、こう知られた、――
一切の、
『世界である!』、
『天の世界』、
『魔の世界』、
『梵の世界』、
『沙門』、
『婆羅門』、
及び、
『天』、
『犍闥婆』、
『人』、
『阿修羅』等、
及び、
諸の、
『菩薩摩訶薩』という、
『尊位』を、
『紹ぐ者』の、
一切が、
皆、
『集まった!』、と。
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天(てん):三界の所属にして、超人的力を有する衆生/王と其の眷属。此の中の四天王天は須弥山の中腹に住し、三十三天は須弥山の頂上に住し、他は空中に住す。
- 欲界の六欲天。
- 四天王天:持国天、増長天、広目天、多聞天の総称。
- 三十三天:忉利天を、他の三十二の眷属天が周囲する。
- 夜摩天。
- 兜率天。
- 化楽天。
- 他化自在天:魔天とも称す。
- 色界の四禅天:欲を離れ、禅定に住して色身を有す。
- 初禅天:梵衆天、梵輔天、大梵天の総称。
- 二禅天:少光天、無量光天、極光浄天の総称。
- 三禅天:少浄天、無量浄天、遍浄天の総称。
- 四禅天:無曇天、福生天、広果天、無煩天、
無熱天、善現天、善見天、色究竟天の総称。
- 無色界の四天:欲と色想とを離れ、無色定に住する識を体とする。
- 空無辺処天。
- 識無辺処天。
- 無所有処天。
- 非有想非無想処天。
魔(ま):欲界第六天/他化自在天所住の諸天の別名。
梵(ぼん):梵語、清浄と訳す、色界/四禅天所住の諸天の別名。
沙門(しゃもん):梵語、出家と訳す、苦行者の義、仏道の修行者の意。
婆羅門(ばらもん):梵語、献身の義、梵天を奉じて修行する一族の称。
犍闥婆(けんだつば):梵語、酒肉を食わず、唯だ香を以って身を養う楽神の意。
阿修羅(あしゅら):梵語、常に帝釈と闘う戦闘神の意。 |
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佛知眾會已集。佛告舍利弗。菩薩摩訶薩欲以一切種智知一切法。當習行般若波羅蜜。 |
仏は、衆会の已に集まれるを知りたまえば、仏の舎利弗に告げたまわく、『菩薩摩訶薩、一切種智を以って、一切法を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし』、と。 |
『仏』は、
衆( もろもろ)の、
『会』の、
『集まった!』ことを、
『知られる!』と、
『仏』は、
『舎利弗』に、こう告げられた、――
『菩薩摩訶薩』が、
『一切種智』を、
『用いて!』、
『一切の法』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行すべきである!』、と。
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衆会(しゅえ):比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、菩薩、諸天等、種種多数の類別の会。
舎利弗(しゃりほつ):世尊の弟子。仏弟子中智慧第一と称され、十大弟子の一に挙げられる。
一切種智(いっさいしゅち):包括的な智慧。有らゆる個々の現象の差別相を類別し認める智慧/有らゆる事物を知る智慧/仏特有の智慧。
一切法(いっさいほう):一切の有為法[因縁により生じさせられた事物/非無為法]と、無為法[常住不変の事物/非有為法]をいう。
習行(じゅうぎょう):訓練/洗練/修行/実践すること。習慣的に実践すること。 |
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舍利弗白佛言。世尊。菩薩摩訶薩云何欲以一切種智知一切法。當習行般若波羅蜜。 |
舎利弗の仏に白して言さく、『世尊、菩薩摩訶薩は、云何が、一切種智を以って、一切法を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべき』、と。 |
『舎利弗』は、
『仏』に白( もう)して、こう言った、――
世尊!
『菩薩摩訶薩』は、
何故、
『一切種智』を、
『用いて!』、
『一切の法』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならぬのですか?』、と。
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佛告舍利弗。菩薩摩訶薩以不住法住般若波羅蜜中。以無所捨法應具足檀那波羅蜜。施者受者及財物不可得故。罪不罪不可得故。應具足尸羅波羅蜜。心不動故。應具足羼提波羅蜜。身心精進不懈怠故。應具足毘梨耶波羅蜜。不亂不味故。應具足禪那波羅蜜。於一切法不著故。應具足般若波羅蜜。 |
仏の舎利弗に告げたまわく、『菩薩摩訶薩は、不住法を以って、般若波羅蜜中に住まり、捨つる所無き法を以って、応に檀波羅蜜を具足すべし、施者、受者、及び財物の得べからざるが故なり。罪と罪ならざると得べからざるが故に、応に尸羅波羅蜜を具足すべし。心は動かざるが故に、応に羼提波羅蜜を具足すべし。身心精進にして、懈怠せざるが故に、応に毘梨耶波羅蜜を具足すべし。乱れず、味わわざるが故に、応に褝那波羅蜜を具足すべし。一切法に於いて著せざるが故に、応に般若波羅蜜を具足すべし。 |
『仏』は、
『舎利弗』に、こう告げられた、――
『菩薩摩訶薩』は、
『住( とど)まらない!』という、
『法』を、
『用いて!』、
『般若波羅蜜』中に、
『住まり!』、
『捨てる!』所は、
『無い!』という、
『法』を、
『用いて!』、
『檀那波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
『施者』も、
『受者』も、
『財物』も、
『認められないからである!』。
『罪である!』とも、
『罪でない!』とも、
『認められない!』が故に、
『尸羅波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
『心』は、
『侮辱されても!』、
『動かない!』が故に、
『羼提波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
『心、身』は、
『精進( 精勤)して!』、
『懈怠しない!』が故に、
『毘梨耶波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
『心』は、
『乱れず!』、
『味わわない!』が故に、
『褝那波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
『一切の法』に、
『著しない!』が故に、
『般若波羅蜜』を、
『具足すべきである!』。
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不住(ふじゅう):心を一処に滞留させないこと/事物の名義に於いて執著しないこと。
法(ほう):規則/法則/法規/徳/軌範/真理/現実/事物/現象/要素/成分/精神的要素/特質/仏教/邪教等の意。一切の事物、或いは何か小/大、可見/不可見、真実/不実の事物、現象、真実、原理、方式、有形の物/抽象的な概念等の意味に於いて使用される。本は「保存する/維持する/保つもの」の義であり、有らゆる事物と、其の名、或は其れを説く為の言葉/文章等との総称である。般若経に於いては、経典中の言葉は常に真実を指すという教条主義/ドグマティズムには批判的であるが故に、不住法を以って、般若波羅蜜中に住すと云い、般若波羅蜜とは何か等の、戯論/無益な論義を制遮するのである。
所捨(しょしゃ):捨てる所。所は受け身を示す辞。捨てられる物。
不可得(ふかとく):不可知である/認められない。それが何者なのか知ることができないこと/それは何なのか、懸命に探究しても認識できる事物がないこと。
具足(ぐそく):身に備わる。完璧/完全であること。
精進(しょうじん):懸命に努力して怠らないこと。精勤。
懈怠(けたい):おこたり怠けること。
不味(ふみ):味は、禅味を味わう/禅の楽に耽溺すること。
不著(ふじゃく):著は、事物に執著すること/心が柔軟でないこと。 |
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菩薩摩訶薩以不住法住般若波羅蜜中。不生故。應具足四念處四正懃四如意足五根五力七覺分八聖道分。空三昧無相三昧無作三昧。四禪四無量心四無色定八背捨八勝處九次第定十一切處。九相。脹相壞相血塗相膿爛相青相噉相散相骨相燒相。念佛念法念僧念戒念捨念天念入出息念死。十想。無常想苦想無我想食不淨想一切世間不可樂想死想不淨想斷想離欲想盡想。十一智。法智比智他心智世智苦智集智滅智道智盡智無生智如實智。三三昧。有覺有觀三昧無覺有觀三昧。無覺無觀三昧。三根。未知欲知根知根知已根。 |
菩薩摩訶薩は、不住法を以って、般若波羅蜜中に住し、不生の故に、応に四念処、四正懃、四如意足、五根五力、七覚分、八聖道分、空三昧、無相三昧、無作三昧、四禅、四無量心、四無色定、八背捨、八勝処、九次第定、十一切処、九相の脹相、壊相、血塗相、膿爛相、青相、噉相、散相、骨相、焼相、念仏、念法、念僧、念戒、念捨、念天、念入出息、念死、十想の無常想、苦想、無我想、食不浄想、一切世間不可楽想、死想、不浄想、断想、離欲想、尽想、十一智の法智、比智、他心智、世智、苦智、集智、滅智、道智、尽智、無生智、如実智、三三昧の有覚有観三昧、無覚有観三昧、無覚無観三昧、三根の未知欲知根、知根、知已根を具足すべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『住まらない!』という、
『法』で、
『般若波羅蜜』中に、
『住まる!』ならば、
則ち、
『身、心』は、
『生じない!』が故に、
当然、
『四念処』、
『四正懃』、
『四如意足』、
『五根』、
『五力』、
『七覚分』、
『八聖道分』、
『三三昧( 空等の三三昧)』の、
『空三昧』、
『無相三昧』、
『無作三昧』、
『四禅』、
『四無量心』、
『四無色定』、
『八背捨』、
『八勝処』、
『九次第定』、
『十一切処』、
『九相』の、
『脹相』、
『壊相』、
『血塗相』、
『膿爛相』、
『青相』、
『噉相』、
『散相』、
『骨相』、
『焼相』、
『八念』の、
『念仏』、
『念法』、
『念僧』、
『念戒』、
『念捨』、
『念天』、
『念入出息』、
『念死』、
『十想』の、
『無常想』、
『苦想』、
『無我想』、
『食不浄想』、
『一切世間不可楽想』、
『死想』、
『不浄想』、
『断想』、
『離欲想』、
『尽想』、
『十一智』の、
『法智』、
『比智』、
『他心智』、
『世智』、
『苦智』、
『集智』、
『滅智』、
『道智』、
『尽智』、
『無生智』、
『如実智』、
『三三昧( 有覚有観等の三三昧)』の、
『有覚有観三昧』、
『無覚有観三昧』、
『無覚無観三昧』、
『三根( 三無漏根)』の、
『未知欲知根』、
『知根』、
『知已根』を、
『具足せねばならない!』。
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四念処(しねんじょ):常に念ずべき四種の処。
- 身:身は不浄である。
- 受:受は苦である。
- 心:心は無常である。
- 法:法は無我である。
四正懃(ししょうごん):常に努力すべき四種の正しい行い。
- 已生の悪を除断する。
- 未生の悪を生じさせない。
- 未生の善を生じさせる。
- 已生の善を増長する。
四如意足(しにょいそく):種種の神用/神秘的力を引発して産生する四種の三昧。
- 欲如意足:欲の力に由りて、種種の神用を引発し産生する三昧。
- 精進如意足:精進の力に由りて、種種の神用を引発し産生する三昧。
- 念如意足:念の力に由りて、種種の神用を引発し産生する三昧。
- 思惟如意足:思惟の力に由りて、種種の神用を引発し産生する三昧。
五根(ごこん):道を行うに必要な五種の根。
- 信根:道、及び助道の法を信じる。
- 精進根:道、及び助道の法を行うに、精進して懈怠しない。
- 念根:道、及び助道の法を常に念じて、他を念じない。
- 定根:道、及び助道の法を一心に念じて、散乱しない。
- 慧根:道、及び助道の法の為に、空、無常等を観察する。
五力(ごりき):五根が増長すれば、煩悩に壊されなくり、五種の力となる。
- 信力:道、及び助道の法を信じるに由って生じる力。
- 精進力:道、及び助道の行を精進するに由って生じる力。
- 念根:道、及び助道の法を念ずるに由って生じる力。
- 定根:道、及び助道の法の為に一心であるに由って生じる力。
- 慧根:道、及び助道の法の為の無常等の慧に由り生じる力。
七覚分(しちかくぶん):覚りに至る七種の法。
- 念覚分:憶念して忘れないこと。
- 択法覚分:物事の真偽を選択する智慧のこと。
- 精進覚分:正法に精進すること。
- 喜覚分:正法を喜ぶこと。
- 軽安覚分:身心が軽快であること。
- 定覚分:心を散乱せしめないこと。
- 捨覚分:心が偏らず平等であること。捨は平等の意。
八聖道分(はっしょうどうぶん):涅槃に通じる八種の正道。
- 正見:苦集滅道の四諦の理を認めること、八正道の体。
- 正思惟:既に四諦の理を認め、なお考えて智慧を増長させる。
- 正語:正しい智慧で口業を修め、理ならざる言葉を吐かない。
- 正業:正しい智慧で身業を修め、清浄ならざる行為をしない。
- 正命:身口意の三業を修め、正法に順じて生活する。
- 正精進:正しい智慧で、涅槃の道を精進する。
- 正念:正しい智慧で、常に正道を念じる。
- 正定:正しい智慧で、心を統一する。
三三昧(さんさんまい):空、無相、無作に関する三種の三昧。
- 空三昧:一切の諸法は、皆空、無我である。
- 無相三昧:無我の故に、男女等の相も無い。
- 無作三昧:無相中には、生滅等の所作/行為が無い。
四禅(しぜん):欲界を超えた色界の禅/静慮に四種の別あるをいう。
- 有覚有観にして、離生の喜楽がある。覚は粗覚/感覚、観は細観/観察。
- 無覚無観にして、定生の喜楽がある。
- 喜を離れて、妙楽がある。
- 楽を離れ、捨を行じて心一境性に入る。
四無量心(しむりょうしん):無量の衆生に楽を得しめ、苦を離れしめんと思惟する四種の三昧。
- 慈無量心:無量の衆生に楽を与える。
- 悲無量心:無量の衆生の苦を除く。
- 喜無量心:無量の衆生に楽を与えて苦を除く時に、心に生じる無量の喜。
- 捨無量心:無量の衆生に楽を与え苦を除き已れば、心に捨てて顧みない。
四無色定(しむしきじょう):欲色界を超えた無色界に存する四種の定/善心一境性/三昧。
- 空無辺処定(くうむへんじょじょう):無量無辺の色に空を観る。
- 識無辺処定(しきむへんじょじょう):無量無辺の識を知る。
- 無所有処定(むしょうじょじょう):色受想行識は無いと知る。
- 非有想非無想処定(ひうそうひむそうじょじょう):有想も無想も無い状態。
八背捨(はっぱいしゃ):心中の貪著を背き捨てる八段階の定力。
- 内心の色想を除くために、不淨観を修める。
- 内心の色想が無くなっても、なお不浄観を修める。
- 前の不淨観を捨て、外境の清浄を観る。
- 色想をすべて滅して、空無辺処定に入る。
- 空無辺の心を捨てて、識無辺処定に入る。
- 識無辺の心を捨てて、無所有処定に入る。
- 無所有の心を捨てて、非有想非無想処定に入る。
- 受想などを捨てて、滅受定/滅尽定に入る。
滅受定(めつじゅじょう):非有想非無想処に於いて入る定。
八勝処(はっしょうじょ):欲界の貪著の心を除く八段階の勝れた観察。
- 内に色相が有り、外の色の少しの好醜を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が有り、外の色の多くの好醜を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の少しの好醜を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の多くの好醜を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の青を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の黄を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の赤を勝れて知り、勝れて観る。
- 内に色相が無く、外の色の白を勝れて知り、勝れて観る。
九次第定(くしだいじょう):次第に入る九種の定、謂わゆる四禅、四無色定、滅受定をいう。
十一切処(じゅういっさいじょ):一切の処に遍く青、黄、赤、白、地、水、火、風、空、識を観て、一切の物は、此の十種に過ぎないと知り、貪著の心を離れる。
九相(くそう):屍体を観て、人身の不浄を知る九種の観法。
- 脹相:屍体の膨張相の観察。
- 壊相:屍体の腐壊相の観察。
- 血塗相:屍体より滲出する血汁相の観察
- 膿爛相:屍体の膿汁、腐爛相の観察。
- 青相:日に曝された屍体の青色相の観察。
- 噉相:鳥獣が来て啄み、囓り残した屍体の観察。
- 散相:手足の散乱した屍体の観察。
- 骨相:唯骸骨のみの屍体の観察。
- 焼相:骸骨を焼き、地に還った遺灰の観察。
八念(はちねん):常に念じて心を去らしめない八種の法。
- 念佛:仏の大慈大悲と神通の無量を念じ、自ら成仏せんと願う。
- 念法:仏法の妙薬たるを念じ、自ら解了して衆生に施さんと願う。
- 念僧:僧の煩悩を滅し戒定慧を得て、世間の福田たるを念じ、自ら修行せんと願う。
- 念戒:戒の衆生の悪を除くを念じて、私も戒を守らんと願う。
- 念捨:布施は慳貪の良薬であると念じ、我れも布施せんと願う。
- 念天:六欲天等の諸天は、果報清浄にして一切を利益し、安隠にするを念じる。
- 念入出息:入出する息を数え念じて、心の散乱を除く。
- 念死:死は常に身と共に存り、避ける所の無きを念じる。
十想(じっそう):十種の観想。
- 無常想:一切の法/事物は因縁所造の故に、無常である。
- 苦想:一切の法は無常の故に苦である。
- 無我想:一切の法に不変の我はなく、無我である。
- 食不淨想:食は不淨の因縁生じ、殺生、偸盗に由らない食はない。
- 一切世間不可楽想:一切の世間に楽しむべき所は何物も無い。
- 死想:死とは何であるか。
- 不淨想:身/肉体は不淨である。
- 断想:煩悩を断った清浄の身心が涅槃に至る。
- 離欲想:欲を離れ、生死を離れて涅槃に至る。
- 尽想:生死を尽くして涅槃に入る。
十一智(じゅういっち):十一種の認知力。
- 法智:欲界の四聖諦を観察する智慧。
- 比智/類智:色界と無色界の四聖諦を観察する智慧。
- 他心智:他人の現在の心と心所(心の働き)を知る智慧。
- 世智:世俗の智慧。
- 苦智:四聖諦のうち苦諦を知る智慧。
- 集智:四聖諦のうち集諦を知る智慧。
- 滅智:四聖諦のうち滅諦を知る智慧。
- 道智:四聖諦のうち道諦を知る智慧。
- 尽智:四聖諦を体現し尽したことを知る智慧。
- 無生智:四聖諦を体現し尽して再び生まれることはないことを知る智慧。
- 如実智:如実の相を知る智慧。
三三昧(さんさんまい):有覚有観等に関する三種の三昧。
- 有覚有観三昧:有覚有観の状態に相応する三昧。
- 無覚有観三昧:無覚有観の状態に相応する三昧。
- 無覚無観三昧:無覚無観の状態に相応する三昧。
三根(さんこん):無漏/無煩悩の根に三種あるをいう。
- 未知欲知根:見道中の信、精進、念、定、慧の五根、喜、楽、捨の三根と意根の総称。
- 知根:思惟道中の信、精進、念、定、慧の五根、喜、楽、捨の三根と意根の総称。
- 知已根:無学道中の信、精進、念、定、慧の五根、喜、楽、捨の三根と意根の総称。
三道(さんどう):四諦の理解に関し、三種の別あるをいう。
- 見道:初めて四諦の理を照見する位。
- 思惟道:已に照見せる四諦の理を繰り返し思惟する位。
- 無学道:四諦の理に通達し、体得した位。
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舍利弗。菩薩摩訶薩欲遍知佛十力四無所畏四無礙智。十八不共法大慈大悲。當習行般若波羅蜜。菩薩摩訶薩欲具足道慧。當習行般若波羅蜜。菩薩摩訶薩。欲以道慧具足道種慧。當習行般若波羅蜜。欲以道種慧具足一切智。當習行般若波羅蜜。欲以一切智具足一切種智。當習行般若波羅蜜。欲以一切種智斷煩惱習。當習行般若波羅蜜。 |
舎利弗、菩薩摩訶薩は、遍く仏の十力、四無所畏、四無礙智、十八不共法、大慈大悲を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし。菩薩摩訶薩は、道慧を具足せんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし。菩薩摩訶薩は、道慧を以って、道種慧を具足せんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし、道種慧を以って、一切智を具足せんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし。一切智を以って、一切種智を具足せんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし。一切種智を以って、煩悩の習を断ぜんと欲せば、当に般若波羅蜜を習行すべし。 |
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
遍く、
『仏』の、
『十力』、
『四無所畏』、
『四無礙智』、
『十八不共法』、
『大慈大悲』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行すべきである!』。
『菩薩摩訶薩』は、
『道慧』を、
『具足しよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならない!』。
『菩薩摩訶薩』は、
『道慧』で、
『道種慧』を、
『具足しよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならない!』。
『道種慧』で、
『一切智』を、
『具足しよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならない!』。
『一切智』で、
『一切種智』を、
『具足しよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならない!』。
『一切種智』で、
『煩悩の習』を、
『断とう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『習行せねばならない!』。
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十力(じゅうりき):仏のみ有する十種の智力。
- 是処不是処智力:道理と非道理を知る智力。
- 業異熟智力:衆生の三世の因果と業報を知る智力。
- 静慮解脱等持等至智力:諸の禅定と八解脱と三三昧を知る智力。
- 根上下智力:衆生の根力の優劣と得る果報の大小を知る智力。
- 種種勝解智力:衆生の理解の程度を知る智力。
- 種種界智力:世間と衆生の境界の不同を如実に知る智力。
- 遍趣行智力:五戒などの行により諸々の世界に趣く因果を知る智力。
- 宿住隨念智力:過去世の事を如実に知る智力。
- 死生智力:天眼を以って衆生の生死と善悪の業縁を見通す智力。
- 漏尽智力:煩悩をすべて断ち永く生まれないことを知る智力。
四無所畏(しむしょい):説法に当って仏のみ有する四種の自負。
- 一切智無所畏:一切智の人としての畏れ無き自信。
- 漏尽無所畏:煩悩を尽すことに関する畏れ無き自信。
- 説障道無所畏:修行の障を余す所なく説いたという畏れ無き自信。
- 説尽苦道無所畏:苦滅の道を余す所なく説いたという畏れ無き自信。
四無礙智(しむげち):説法に当って仏菩薩のみ有する自在と辯才の智慧。
- 法無礙:名義、文章の意味に関して自在に通達して無礙なること。
- 義無礙:法/経に説かれた義理/道理に関して自在に通達して無礙なること。
- 辞無礙:諸の地域の言葉に関して自在に通達して無礙なること。
- 楽説無礙:聴聞衆に相応して自在に法を説き、辯説無礙なること。
十八不共法(じゅうはちふぐうほう):諸仏のみ有して他と共にしない十八種の功徳。
- 身無失:諸仏の身業は持戒清浄の故に、過失が無い。
- 口無失:諸仏の口業は持戒清浄の故に、過失が無い。
- 念無失:諸仏の意業は持戒清浄の故に、過失が無い。
- 無異想:諸仏は衆生を見て、己身を見るように異想が無い。
- 無不定心:諸仏は常に定心にして、善法中に住し諸法実相より退失せず。
- 無不知己捨心:諸仏は苦、楽受等に、其の生滅の相を覚知して寂静平等に住す。
- 欲無減:諸仏は常に衆生を度脱せんと志欲して、厭足無し。
- 精進無減:諸仏は常に衆生を度せんと欲し、精進して種種の方便を行う。
- 念無減:諸仏は三世の諸法を念じて、減退することが無い。
- 慧無減:諸仏は一切の智慧を得るが故に、智慧の減損が無い。
- 解脱無減:諸仏は一切の煩悩の習を尽して、余す所が無い。
- 解脱知見無減:諸仏は一切の解脱の相を知見して、余す所が無い。
- 一切身業随智慧行:諸仏は一切の身業の得失を観察し智慧に随順して行う。
- 一切口業随智慧行:諸仏は一切の口業の得失を観察し智慧に随順して行う。
- 一切意業随智慧行:諸仏は一切の意業の得失を観察し智慧に随順して行う。
- 智慧知見過去世無礙無障:諸仏の智慧は過去世の事を知見して無礙である。
- 智慧知見未来世無礙無障:諸仏の智慧は未来世の事を知見して無礙である。
- 智慧知見現在世無礙無障:諸仏の智慧は現在世の事を知見して無礙である。
道慧(どうえ):善、不善の法に於いて、能く善法を簡択する精神作用。
道種慧(どうしゅえ):無量の道門を分別し、能く衆生の応ずる法を簡択する精神作用。
一切智(いっさいち):全知/博識。仏のみ有する一切の事物を知る知識。
一切種智(いっさいしゅち):包括的認識力/有らゆる個別の現象間の差別を解了する認識力。
煩悩習(ぼんのうのじゅう):煩悩を尽しても、尚お残る煩悩の気分/殘香。習気。 |
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舍利弗。菩薩摩訶薩應如是學般若波羅蜜。 |
舎利弗、菩薩摩訶薩は、応に是の如く般若波羅蜜を学ぶべし。 |
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
是のように、
『般若波羅蜜』を、
『学すべきである!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲上菩薩位。當學般若波羅蜜。欲過聲聞辟支佛地住阿惟越致地。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、菩薩位に上らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。声聞、辟支仏の地を過ぎて、阿惟越致の地に住せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『菩薩の位』に、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『声聞、辟支仏』の、
『地』を、
『過ぎて!』、
『阿惟越致』の、
『地』に、
『住まろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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菩薩位(ぼさつのくらい):菩薩と称される地位。
声聞辟支仏地(しょうもんびゃくしぶつのじ):声聞は仏より教を聞いて覚りを開く者、辟支仏は仏より教を聞かず、自らの縁によって覚りを開く者、倶に小乗に属す。声聞辟支仏の地は、その所属の地位を指す。
阿惟越致(あゆいおっち):梵語、不退と訳す。六波羅蜜を行じて菩薩地より退却しない者の称。 |
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菩薩摩訶薩。欲住六神通。當學般若波羅蜜。欲知一切眾生意所趣向。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、六神通に住せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の衆生の意の趣向する所を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『六神通』に、
『住まろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『一切の衆生』の、
『意』の、
『趣向( 志向)する!』所を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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六神通(ろくじんづう):諸仏菩薩の定、慧の力に依りて示現する六種の無礙自在の妙用。
- 如意通:境界を意の如くならしめる通力。
- 如意通能到:飛行して到る所の無礙自在なる通力。
- 如意通転変:境界を随意に変化せしめて無礙自在なる通力。
- 聖如意神通:境界の好醜を離れて捨行自在の通力。
- 天眼通:天眼の如く、能く視ること無礙自在なる通力。
- 天耳通:天耳の如く、能く聞くこと無礙自在なる通力。
- 知他心通:他の心を、能く知ることの無礙自在なる通力。
- 知宿命通:自他の過去世の事を、能く知ることの無礙自在なる通力。
- 漏尽通:煩悩と煩悩の習を、能く滅尽して再び生ぜしめざる通力。
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菩薩摩訶薩欲勝一切聲聞辟支佛智慧。當學般若波羅蜜。欲得諸陀羅尼門諸三昧門。當學般若波羅蜜。一切求聲聞辟支佛人布施時。欲以隨喜心過其上者。當學般若波羅蜜。一切求聲聞辟支佛人持戒時。欲以隨喜心過其上者。當學般若波羅蜜。一切求聲聞辟支佛人。三昧智慧解脫解脫知見。欲以隨喜心過其上者。當學般若波羅蜜。一切求聲聞辟支佛人。諸禪定解脫三昧。欲以隨喜心過其上者。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、一切の声聞、辟支仏の智慧に勝れんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。諸の陀羅尼門、諸の三昧門を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の声聞、辟支仏を求むる人の布施する時、随喜心を以って、其の上を過ぎんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の声聞、辟支仏を求むる人の持戒する時、随喜心を以って、其の上を過ぎんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の声聞、辟支仏を求むる人の三昧、智慧、解脱、解脱知見に、随喜心を以って、其の上を過ぎんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の声聞、辟支仏を求むる人の諸の禅定、解脱三昧に、随喜心を以って、其の上を過ぎんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
一切の、
『声聞、辟支仏』の、
『智慧』に、
『勝ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
諸の、
『陀羅尼、三昧』の、
『門』に、
『入ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
一切の、
『声聞、辟支仏を求める人』の、
『布施する!』のを、
其の、
『上に!』、
『過ぎたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
一切の、
『声聞、辟支仏を求める人』の、
『持戒する!』のを、
其の、
『上に!』、
『過ぎたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
一切の、
『声聞、辟支仏を求める人』の、
『三昧、智慧、解脱、解脱知見』を、
其の、
『上に!』、
『過ぎたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
一切の、
『声聞、辟支仏を求める人』の、
『諸の禅定、解脱三昧』を、
其の、
『上に!』、
『過ぎたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
|
随喜心(ずいきしん):他人の行善を見る時、随って心に歓喜を生じること。
解脱知見(げだつちけん):解脱に関する知見。
禅定(ぜんじょう):四禅と四無色定、並びに滅尽定の併称。
解脱三昧(げだつさんまい):解脱を伴う三昧、謂わゆる八背捨、空、無相、無作解脱門等。 |
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菩薩摩訶薩行少施少戒少忍少進少禪少智。欲以方便力迴向故而得無量無邊功德者。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、小施、少戒、少忍、少進、少禅、少智を行じて、方便力を以って廻向するが故に、無量無辺の功徳を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『布施』、
『持戒』、
『忍辱』、
『精進』、
『禅定』、
『智慧』を、
『少しばかり!』、
『行って!』、
『方便』の、
『力』を、
『用いて!』、
『廻向する!』が故に、
『無量無辺』の、
『功徳』を、
『得よう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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方便(ほうべん):目的を達成する為の手段。般若実智より生ずる衆生済度の為の具体的方策。
廻向(えこう):行善の果報/功徳を、衆生済度の為に差し向けること。
功徳(くどく):行善の果報/衆生済度の為の妙用を発起する善の能力/功力/功力ある徳性。 |
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菩薩摩訶薩欲行檀那波羅蜜尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は檀那波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、褝那波羅蜜を行ぜんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『檀那波羅蜜( 布施)』、
『尸羅波羅蜜( 持戒)』、
『羼提波羅蜜( 忍辱)』、
『毘梨耶波羅蜜( 精進)』、
『褝那波羅蜜( 禅定)』を、
『行おう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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菩薩摩訶薩欲使世世身體與佛相似。欲具足三十二相八十隨形好。當學般若波羅蜜。欲生菩薩家。欲得童真地。欲得不離諸佛者。當學般若波羅蜜。欲以諸善根供養諸佛。恭敬尊重讚歎隨意成就。當學般若波羅蜜。欲滿一切眾生所願飲食衣服臥具塗香車乘房舍床榻燈燭等。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、世世の身体をして、仏と相似ならしめんと欲し、三十二相、八十随形好を具足せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。菩薩の家に生まれんと欲し、童真地を得んと欲し、諸仏を離れざるを得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。諸の善根を以って、諸仏を供養して、恭敬し、尊重し、讃歎すること、意の随に成就せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一切の衆生の所願の飲食、衣服、臥具、塗香、車乗、房舎、床榻、灯燭等を満てんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
世世に、
『身体』を、
『仏』に、
『相似させたい!』と、
『思い!』、
『三十二相、八十随形好』を、
『得たい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『菩薩の家』に、
『生まれたい!』と、
『思い!』、
『童真の地』を、
『得たい!』と、
『思い!』、
『諸仏』から、
『離れたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
諸の、
『善根』を、
『諸仏』の、
『恭敬、尊重、讃歎』を、
『意のままに!』、
『成就したい!』と、
『思えば!』。
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
一切の、
『衆生』の、
『願う!』所の、
『飲食、衣服、臥具、塗香、車乗、房舎、床榻、灯燭』等を、
『満たしたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
|
八十随形好(はちじゅうずいぎょうこう):仏の付随的な八十種の好ましい形。
- 無見頂相:頂上を見ようとしても、肉髻が愈々高くなり見ることができない。
- 鼻高不現孔:鼻が高く、孔が正面からは見えない。
- 眉如初月:眉が細く三日月のようである。
- 耳輪垂埵:耳の外輪の部分が長く垂れている。
- 身堅実如那羅延:身体が筋肉質で、天上の力士のように隆々としている。
- 骨際如鉤鎖:骨が鎖のように際立っている。
- 身一時廻旋如象王:身体を廻らす時は、象が旋回するようである。
- 行時足去地四寸而現印文:歩くとき足が地面を離れてから足跡が現れる。
- 爪如赤銅色:爪が赤銅色である。
- 膝骨堅而円好:膝の骨が堅く円い。
- 身清潔:身体が清潔で汚れない。
- 身柔軟:身体が柔軟である。
- 身不曲:背筋が伸びて、猫背にならない。
- 指円而繊細:指が骨ばっていず、細い。
- 指文蔵覆:指紋が隠れていて見えない。
- 脈深不現:脈が深いところで打つので、外から見えない。
- 踝不現:踝が骨ばっていない。
- 身潤沢:身体が乾いていず光沢がある。
- 身自持不逶迤:身体がしゃんとして曲がっていない。
- 身満足:身体に欠けた所がない。
- 容儀備足:容貌と立ち居振る舞いが美しい。
- 容儀満足:容貌と立ち居振る舞いに欠点がない。
- 住処安無能動者:立ち姿が安定していて、動かすことが出来ない。
- 威振一切:威厳があり身振り一つであらゆる者を動かす。
- 一切衆生見之而楽:誰でも見れば楽しくなる。
- 面不長大:顔は長くも幅が広くもない。
- 正容貌而色不撓:容貌が左右対称で歪みがない。
- 面具満足:顔のすべての部分が満足である。
- 唇如頻婆果之色:唇が頻婆樹の果実のように赤い。
- 言音深遠:話すときの声が深くて遠くまで届く。
- 臍深而円好:臍の穴が深く、円くて好ましい。
- 毛右旋:身体中の毛が右に旋回している。
- 手足満足:手足に欠けた部分がない。
- 手足如意:手足が意のままに動く。
- 手文明直:手のひらの印文が明快で真っ直ぐ。
- 手文長:手のひらの印文が長い。
- 手文不断:手のひらの印文が途切れていない。
- 一切悪心之衆生見者和悦:どんな悪者も見れば和やかになる。
- 面広而殊好:顔は広々として好ましい。
- 面淨満如月:顔は満月のように浄らかである。
- 隨衆生之意和悦与語:衆生の意のままに和やかに共に語る。
- 自毛孔出香気:毛孔より香気が出る。
- 自口出無上香:口より無上の香気が出る。
- 儀容如師子:立ち居振る舞いの威厳あること師子のようである。
- 進止如象王:歩くことも立ち止まることも象王のようである。
- 行相如鵞王:歩くときとは片足づつ交互に運び、鵞鳥のようである。
- 頭如摩陀那果:頭は摩陀那果のようである。
- 一切之声分具足:声にはあらゆる音が備わっている。
- 四牙白利:四本の牙が白く鋭い。
- 舌色赤:舌の色は赤い。
- 舌薄:舌は薄い。
- 毛紅色:毛髪の色は紅色である。
- 毛軟淨:毛髪は軟らかく浄らかである。
- 眼広長:眼は広くて長い。
- 死門之相具:死門の相が具わる。死は来世の門。不死の相ではない。
- 手足赤白如蓮華之色:手足の色が或は赤蓮華、或は白蓮華のようである。
- 臍不出:臍が突出していない。
- 腹不現:腹が膨らんでいない。
- 細腹:腹が細長い。
- 身不傾動:身体が傾かず、揺がない。
- 身持重:身体に重量感がある。
- 其身大:身体が大きい。
- 身長:背が高い。
- 四手足軟淨滑沢:手足は柔軟で浄らか、滑らかで光沢がある。
- 四辺光長一丈:身体から放たれる光の長さは一丈である。
- 光照身而行:光は身を照らして遠くに到達する。
- 等視衆生:衆生を等しく視る。
- 不軽衆生:衆生を軽んじない。
- 隨衆生之音声不増不減:衆生に随って、音声は増したり減ったりしない。
- 説法不著:法を説いても、執著することがない。
- 隨衆生之語言而説法:衆生の話す言葉の種類に随って、法を説く。
- 発音応衆声:声を発すれば、衆生を同じ声を出す。
- 次第以因縁説法:順に因縁を明らかにして説法する。
- 一切衆生観相不能尽:相を観ても、明らかにし尽くせない。
- 観不厭足:観相して厭きることがない。
- 髪長好:毛髪が長く好ましい。
- 髪不乱:毛髪はまとまって乱れない。
- 髪旋好:毛髪は好ましく渦巻いている。
- 髪色如青珠:毛髪の色はサファイアのような青色。
- 手足為有徳之相:手足は力に満ちている。
童真地(どうしんじ):此の地に在る菩薩は、色欲の煩悩が無い。
床榻(しょうとう):腰掛け/寝台。
灯燭(とうそく):油灯と蝋燭。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲使如恒河沙等國土眾生。立於檀那波羅蜜。立於尸羅羼提毘梨耶禪那般若波羅蜜。當學般若波羅蜜。欲植一善根於佛福田中。至得阿耨多羅三藐三菩提不盡者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、恒河沙に等しきが如き国土の衆生をして、檀那波羅蜜に立たしめ、尸羅、羼提、毘梨耶、褝那、般若波羅蜜に立たしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一善根を仏の福田中に植えて、阿耨多羅三藐三菩提を得るに至るまで、尽きざらしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』が、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『国土』の、
『衆生』を、
『檀那波羅蜜』に、
『立たせたい!』、
『尸羅、羼提、毘梨耶、褝那、般若波羅蜜』に、
『立たせたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『一善根』を、
『仏』という、
『福田』に、
『植えて!』、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得る!』に、
『至るまで!』、
『善根』を、
『尽きさせたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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福田(ふくでん):善根を植えて、福の果報を刈取る田。仏菩薩等の譬喩。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲令十方諸佛稱讚其名。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、十方の諸仏をして、其の名を称讃せしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『十方の諸仏』に、
其の、
『名』を、
『称讃させたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲一發意到十方如恒河沙等諸佛國土。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、一発意して、十方の恒河沙に等しきが如き諸仏の国土に到らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『一たび!』、
『意』を、
『発(おこ)して!』、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『諸仏の国土』に、
『到ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲發一音使十方如恒河沙等諸佛國土聞聲。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、一音を発して、十方の恒河沙に等しきが如き、諸仏の国土をして、声を聞かしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『一音』を、
『発して!』、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『諸仏の国土』に、
『声を聞かせたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩欲使諸佛國土不斷者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩は、諸仏の国土をして、断ぜざらしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩』は、
『諸仏の国土』を、
『断絶させたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲住內空外空內外空空空大空第一義空有為空無為空畢竟空無始空散空性空自相空諸法空不可得空無法空有法空無法有法空。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、内空、外空、内外空、空空、大空、第一義空、有為空、無為空、畢竟空、無始空、散空、性空、自相空、諸法空、不可得空、無法空、有法空、無法有法空に住せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『内空』、
『外空』、
『内外空』、
『空空』、
『大空』、
『第一義空』、
『有為空』、
『無為空』、
『畢竟空』、
『無始空』、
『散空』、
『性空』、
『自相空』、
『諸法空』、
『不可得空』、
『無法空』、
『有法空』、
『無法有法空』に、
『住まろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
|
十八空(じゅうはっくう):凡夫の所執に応じて、之を修治すべく十八種の空を立てる。
- 内空:眼耳鼻舌身意の六情/六根は空である。
- 外空:色声香味触法の六塵/六境は空である。
- 内外空:自身の一切は、皆空である。
- 空空:空と観ることも、また空である。
- 大空:十方の世界は、皆空である。
- 第一義空:諸法の以外に、実相もまた自性なく空である。
- 有為空:一切の因縁によって造られたものは空である。
- 無為空:因縁によって造られたもの以外、即ち涅槃もまた空である。
- 畢竟空:有為空も無為空も、また空である。
- 無始空:無始よりの存在も空である。
- 散空:仮の集合は離散し破壊する相を有し、空である。
- 性空:諸法の性は、常に空である。
- 自相空:一切の法の総相、別相は皆空である。
- 諸法空:有法は無いが故に、一切の諸法は空である。
- 不可得空:諸法は求めても得られないが故に、即ち空である。
- 無法空:過去と未来の諸法は、空である。
- 有法空:現在の諸法は、空である。
- 無法有法空:過去現在未来の諸法は、皆空である。
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菩薩摩訶薩欲知諸法因緣次第緣緣緣增上緣。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、諸法の因縁、次第縁、縁縁、増上縁を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『諸法』の、
『因縁』、
『次第縁』、
『縁縁』、
『増上縁』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
|
四縁(しえん):阿毘曇/小乗論義所説の事物の生起に係る四種の縁。
- 因縁:原因としての縁。
- 次第縁:認識の対象としての縁。
- 縁縁:精神作用が相続して生起する為の縁。
- 増上縁:助力としての縁。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲知諸法如法性實際。當學般若波羅蜜。舍利弗。菩薩摩訶薩應如是住般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、諸法の如、法性、実際を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。舎利弗、菩薩摩訶薩は、応に是の如く般若波羅蜜に住す。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『諸法』の、
『如』、
『法性』、
『実際』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
是のように、
『般若波羅蜜』中に、
『住まねばならない!』。
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如(にょ):諸法の実相。真如。法性/法住/実際/実相等多くの異名がある。
法性(ほっしょう):諸法の本性。真如の異名。
実際(じっさい):真実の領域。真如の異名。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲數知三千大千國土中大地諸山微塵。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、三千大千国土中の大地、諸山の微塵を数えて、知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『三千大千国土』中の、
『大地』と、
『諸山』の、
『微塵の数』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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微塵(みじん):眼根所取の最も微細なる色量/物質を構成する原子/花粉/塵。 |
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菩薩摩訶薩析一毛為百分。欲以一分毛盡舉三千大千國土中大海江河池泉諸水而不嬈水性。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、一毛を析きて百分と為し、一分毛を以って、尽く三千大千国土中の大海、江河、池泉の諸水を挙げ、水性を嬈さざらんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『一毛』を、
『一分毛』を、
『用いて!』、
『三千大千国土』中の、
『大海、江河、池泉』の、
諸の、
『水』を、
『汲みつくして!』、
而も、
『水の性』を、
『嬈(みだ)したくなければ!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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三千大千國土中諸火一時皆然譬如劫盡燒時。菩薩摩訶薩欲一吹令滅者。當學般若波羅蜜。 |
三千大千国土中の諸の火、一時に皆然ゆること、譬えば劫尽の焼くる時の如くなるに、菩薩摩訶薩は、一吹して滅せしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『三千大千国土』中の、
諸の、
『火』が、
『一時』に、
皆、
『然えて!』、
譬えば、
『劫』が、
『尽きて!』、
『焼けるようであったとしても!』、
『菩薩摩訶薩』が、
『一吹きして!』、
『火を消そう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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劫(こう):世界の開始より終末に至る時間。劫の尽きる時、世界は火に包まれて焼尽する。 |
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三千大千國土中諸大風起。欲吹破三千大千國土及諸須彌山如摧腐草。菩薩摩訶薩欲以一指障其風力令不起者。當學般若波羅蜜。 |
三千大千国土中の諸の大風起きて、三千大千国土、及び諸の須弥山を吹いて、腐草を摧くが如く破らんと欲するに、菩薩摩訶薩は、一指を以って、其の風力を障え、起こらざらしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『三千大千国土』中の、
諸の、
『大風』が、
『起こって!』、
『三千大千国土』や、
諸の、
『須弥山』を、
『吹いて!』、
『腐草』を、
『摧(くじ)くように!』、
『破壊しようとする!』時、
『菩薩摩訶薩』が、
『一指』を、
『用いて!』、
『風の力』を、
『障(さ)えぎり!』、
『風』を、
『起こらせたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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菩薩摩訶薩欲一結跏趺坐。遍滿三千大千國土虛空。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、一結跏趺坐して、遍く三千大千国土の虚空に満てんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『一結跏趺坐』で、
遍く、
『三千大千国土の虚空』を、
『満たそう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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菩薩摩訶薩欲以一毛舉三千大千國土中諸須彌山王。擲過他方無量阿僧祇諸佛國土不嬈眾生。欲以一食供養十方各如恒河沙等諸佛及僧。當學般若波羅蜜。欲以一衣花香瓔珞末香塗香燒香燈燭幢幡花蓋等。供養諸佛及僧。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、一毛を以って、三千大千国土中の諸の須弥山王を挙げ、擲ちて、他方の無量阿僧祇の諸仏の国土を過ぐるも、衆生を嬈ませざらんと欲し、一食を以って、十方の各恒河沙に等しきが如き諸仏及び僧を供養せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。一の衣、花香、瓔珞、末香、塗香、焼香、灯燭、幢幡、花蓋等を以って、諸仏及び僧を供養せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
『一毛』を、
『用いて!』、
『三千大千国土』中の、
諸の、
『須弥山( 須弥山王)』を、
『擲(なげう)って!』、
『他方』の、
『無量阿僧祇』の、
『諸仏の国土』を、
『過ぎさせても!』、
其の中の、
『衆生』を、
『嬈(なや)ませたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『一食』を、
『用いて!』、
『十方』の、
各に、
諸の、
『仏』や、
『僧』を、
『供養したい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『一衣、花香、瓔珞、末香、塗香、焼香、灯燭、幢幡、花蓋』等を、
『用いて!』、
諸の、
『仏』や、
『僧』を、
『供養したい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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阿僧祇(あそうぎ):梵語、無数と訳す。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲使十方各如恒河沙等國土中眾生。悉具於戒三昧智慧解脫解脫知見。令得須陀洹果斯陀含果阿那含果阿羅漢果。乃至令得無餘涅槃。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、十方の各恒河沙に等しきが如き国土中の衆生をして、悉く、戒、三昧、智慧、解脱、解脱知見を具えしめ、須陀洹果、斯陀含果、阿那含果、阿羅漢果を得しめ、乃至無余涅槃を得しめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『十方』の、
各、
諸の、
『仏の国土』中の、
『衆生』に、
悉く、
『戒』、
『三昧』、
『智慧』、
『解脱』、
『解脱知見』を、
『具えさせ!』、
『須陀洹果』、
『斯陀含果』、
『阿那含果』、
『阿羅漢果』を、
『得させ!』、
乃至、
『無余涅槃』を、
『得させよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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戒定慧解脱解脱知見:仏/仏法とは総じて戒(持戒)、定(三昧)、慧(智慧)、解脱、解脱知見の五種に過ぎずの意を表す決まり文句。五分法身とも云う。
五分法身(ごぶんほっしん):仏の法身とは、五種の身の総称なりの意。
- 戒身:持戒を以って体と為す。
- 定身:三昧を以って体と為す。
- 慧身:智慧を以って体と為す。
- 解脱身:解脱を以って体と為す。
- 解脱知見身:解脱知見を以って体と為す。
四果(しか):声聞道(小乗)に於ける聖者に四種の別ありの意。
- 須陀洹(しゅだおん):預流果と訳す。聖者の流れに身を預け、復び悪趣に還らぬ者の意。
- 斯陀含(しだごん):一来果と訳す。人間天上を一往復し、次の人間の時涅槃に入る者の意。
- 阿那含(あなごん):不還果と訳す。此の生に於いて煩悩を断ち已り、人間に還らぬ者の意。
- 阿羅漢(あらかん):応供と訳す。已に煩悩を断ち尽して、供養を受けるに足る者の意。
無余涅槃(むよねはん):完全な涅槃。精神的/肉体的の総体的自由。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜布施時應如是分別。如是布施得大果報。如是布施得生刹利大姓婆羅門大姓居士大家。如是布施得生四天王天處三十三天夜摩天兜率陀天化樂天他化自在天。因是布施得入初禪二禪三禪四禪無邊空處無邊識處無所有處非有想非無想處。因是布施得生八聖道分。因是布施能得須陀洹道乃至佛道。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、般若波羅蜜を行じて布施する時、応に、是の如く分別すべし、『是の如き布施は、大果報を得、是の如き布施は、刹利の大姓、婆羅門の大姓、居士の大家に生ずるを得、是の如き布施は、四天王天処、三十三天、夜摩天、兜率陀天、化楽天、他化自在天に生ずるを得、是の布施に因りて、初禅、二禅、三禅、四禅、無辺空処、無辺識処、無所有処、非有想非無想処に入るを得、是の布施に因りて、八聖道分を生ずるを得、是の布施に因りて、能く須陀洹道、乃至仏道を得れば、当に般若波羅蜜を学ぶべし』、と。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『般若波羅蜜』を、
『行いながら!』、
『布施する!』時には、
是のように、
『分別すべきである!』、――
是のような、
是のような、
『布施』は、
『刹利の大姓』、
『婆羅門の大姓』、
『居士の大家』に、
『生まれる!』ことが、
『得られ!』、
是のような、
『布施』は、
『四天王天処』、
『三十三天』、
『夜摩天』、
『兜率陀天』、
『化楽天』、
『他化自在天』に、
『生まれる!』ことが、
『得られ!』、
是の、
『布施』に、
『因って!』、
『初禅』、
『二禅』、
『三禅』、
『四禅』、
『無辺空処』、
『無辺識処』、
『無所有処』、
『非有想非無想処』に、
『入る!』ことが、
『得られ!』、
是の、
『布施』に、
『因って!』、
『八聖道分』を、
『生じる!』ことが、
『得られ!』、
是の、
『布施』に、
『因って!』、
『須陀洹道、乃至仏道』を、
『得られる!』。
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』、と。
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刹利(せつり):梵語、王種と訳す。印度四姓の一、王族、武士階級を指す。
居士(こじ):梵語吠奢の訳、印度四姓の一、豪農、豪商階級を指す。
四姓(ししょう):印度の族姓に四種の別あるの意。即ち、
- 婆羅門(ばらもん):学問/司祭階級。
- 刹利(せつり):国王/武将階級。
- 吠奢(べいしゃ):生産/平民階級。
- 首陀羅(しゅだら):上位三姓に奉仕する奴隷階級。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜布施時。以慧方便力故。能具足檀那波羅蜜尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、般若波羅蜜を行じて布施する時、慧と方便の力を以っての故に、能く檀那波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、褝那波羅蜜、般若波羅蜜を具足す。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『般若波羅蜜』を、
『行いながら!』、
『布施する!』時には、
『智慧( 般若波羅蜜)』と、
『方便( 檀乃至褝那波羅蜜)』の、
『力』を、
『用いて!』、
『布施する!』が故に、
『檀那波羅蜜』、
『尸羅波羅蜜』、
『羼提波羅蜜』、
『毘梨耶波羅蜜』、
『褝那波羅蜜』、
『般若波羅蜜』を、
『具足することができる!』。
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舍利弗白佛言。世尊。菩薩摩訶薩云何布施時。以慧方便力故。具足檀那波羅蜜乃至般若波羅蜜。 |
舎利弗の仏に白して言さく、『世尊、菩薩摩訶薩は、云何が布施の時、慧と方便の力を以っての故に、檀那波羅蜜乃至般若波羅蜜を具足せん』、と。 |
『舎利弗』は、
『仏』に白して、こう言った、――
世尊!
『菩薩摩訶薩』は、
何故、
『布施する!』時、
『智慧』と、
『方便』との、
『力』を、
『用いる!』が故に、
『檀那波羅蜜、乃至般若波羅蜜』を、
『具足するのですか?』、と。
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佛告舍利弗。施人受人財物不可得故。能具足檀那波羅蜜。罪不罪不可得故。具足尸羅波羅蜜。心不動故。具足羼提波羅蜜。身心精進不懈怠故。具足毘梨耶波羅蜜。不亂不味故。具足禪那波羅蜜。知一切法不可得故。具足般若波羅蜜。 |
仏の舎利弗に告げたまわく、『施人、受人、財物の不可得なるが故に、能く檀那波羅蜜を具足し、罪と不罪との不可得なるが故に、尸羅波羅蜜を具足し、心の不動なるが故に、羼提波羅蜜を具足し、身心の精進して懈怠せざるが故に、毘梨耶波羅蜜を具足し、不乱、不味なるが故に、褝那波羅蜜を具足し、一切法の不可得なるを知るが故に、般若波羅蜜を具足すればなり。 |
『仏』は、
『舎利弗』に、こう告げられた、――
『施す人』、
『受ける人』、
『施される財物』は、
『認識できない!』が故に、
少しの布施でも!、
『檀那波羅蜜』を、
『具足することができ!』、
『罪である!』とも、
『罪でない!』とも、
『認識できない!』が故に、
少しの持戒でも!、
『尸羅波羅蜜』を、
『具足し!』、
『心』は、
『辱められても!』、
『動じない!』が故に、
少しの忍辱でも!、
『羼提波羅蜜』を、
『具足し!』、
『心』は、
『精進して!』、
『懈怠しない!』が故に、
少しの精進でも!、
『毘梨耶波羅蜜』を、
『具足し!』、
『一切の法』は、
『認識できない!』と、
『知る!』が故に、
少しの智慧でも!、
『般若波羅蜜』を、
『具足するのである!』。
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一切法(いっさいほう):一切の有為法と無為法を指す。謂わゆる、
- 有為法(ういほう):因縁従り生じる法
- 色法:物質
- 五情:眼、耳、鼻、舌、身
- 五塵:色、声、香、味、触
- 無表色:内心の色で、外に表れない
- 心法:心数法を起す主体
- 心数法:種種の精神作用
- 大地法:一切の心と倶に起こる法
受、想、思、触、欲、慧、念、作意、勝解、三昧
- 大善地法:一切の善心と倶に起こる法
信、不放逸、軽安、捨、慚、愧、無貪、無瞋、不害、動
- 大煩悩地法:染汚心と常に相応する煩悩法
無明、放逸、懈怠、不信、惛沈、掉挙
- 大不善地法:一切の不善心と相応する法
無慚、無愧
- 小煩悩地法:染汚心と相応する個別の煩悩法
忿、覆、慳、嫉、悩、害、恨、諂、誑、憍
- 不定地法:上記以外の法
悪作、睡眠、尋、伺、貪、瞋、慢、疑
- 心不相応行法:心法と不相応に起こる法
- 得:聖人の性
- 非得:凡夫の性
- 衆同分:衆生に共通する法
- 無想、無想定、滅尽定:無想に関する定
- 命根:寿命を保持する法
- 生、住、異、滅:有為法の四種の相
- 名身、句身、文身:言葉乃至文章
- 無為法(むいほう):因縁より生じず、常に在る法
- 虚空:虚空の如く無礙を以って性と為す法
- 択滅:智慧を以って煩悩を離れるを以って性と為す法
- 非択滅:自ら生の因縁を欠く聖者の涅槃
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲得過去未來現在諸佛功德當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、過去、未来、現在の諸仏の功徳を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を具足すべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『過去、未来、現在』の、
諸の、
『仏の功徳』を、
『得よう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲到有為無為法彼岸。當學般若波羅蜜。菩薩摩訶薩欲知過去未來現在諸法如法相無生際者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、有為、無為法の彼岸に到らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。菩薩摩訶薩は、過去、未来、現在の諸法の如、法相、無生際を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『有為、無為法の彼岸( 非有為非無為法の了解)』に、
『到ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『菩薩摩訶薩』は、
『過去、未来、現在』の、
諸の、
『法』の、
『如、法相、無生際』を、
『知ろう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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法相(ほっそう):諸法具有の本質的相状。法性、実相、真如等に同じ。
無生際(むしょうさい):無生/常住の領域。真如/真如際に同じ。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲在一切聲聞辟支佛前。欲給侍諸佛。欲為諸佛內眷屬。欲得大眷屬。欲得菩薩眷屬。欲淨報大施。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、一切の声聞、辟支仏の前に在らんと欲し、諸仏を給侍せんと欲し、諸仏の内眷属為らんと欲し、大眷属を得んと欲し、菩薩の眷属を得んと欲し、浄報の大施せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
一切の、
『声聞、辟支仏の前』に、
『在りたい!』と、
『思い!』、
諸の、
『仏』を、
『給侍(給仕)したい!』と、
『思い!』、
諸の、
『仏』の、
『内眷属(親族)でありたい!』と、
『思い!』、
『大眷属』を、
『得たい!』と、
『思い!』、
『菩薩の眷属』を、
『得たい!』と、
『思い!』、
『浄報』の、
『大施をしたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲不起慳心破戒心瞋恚心懈怠心亂心癡心者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、慳心、破戒心、瞋恚心、懈怠心、乱心、癡心を起さざらんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『慳( 布施の対語))の心』、
『破戒( 持戒の対語)の心』、
『瞋恚( 忍辱の対語)の心』、
『懈怠( 精進の対語)の心』、
『乱( 禅定の対語)の心』、
『癡( 智慧の対語)の心』を、
『起したくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲使一切眾生立於布施福處持戒福處修定福處勸導福處。欲令眾生立於財福法福者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、一切の衆生をして、布施の福処、持戒の福処、修定の福処、勧導の福処に立たしめんと欲し、衆生をして、財福、法福に立たしめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
一切の、
『衆生』を、
『布施の福処』、
『持戒の福処』、
『修定の福処』、
『勧導の福処』に、
『立たせたい!』と、
『思い!』、
『衆生』を、
『財施の福処』や、
『法施の福処』に、
『立たせたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲得五眼當學般若波羅蜜。何等五眼。肉眼天眼慧眼法眼佛眼。菩薩摩訶薩欲以天眼見十方如恒河沙等國土中諸佛。欲以天耳聞十方諸佛所說法。欲知諸佛心當學般若波羅蜜。欲聞十方諸佛所說法。聞已乃至阿耨多羅三藐三菩提不忘者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、五眼を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。何等か五眼なる、肉眼、天眼、慧眼、法眼、仏眼なり。菩薩摩訶薩は、天眼を以って、十方の恒河沙に等しきが如き国土中の諸仏を見んと欲し、天耳を以って十方の諸仏の所説の法を聞かんと欲し、諸仏の心を知らんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。十方の諸仏の所説の法を聞かんと欲し、聞き已りて、乃至阿耨多羅三藐三菩提まで忘れざらんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『五眼』を、
『得よう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
何のような、
『五眼か?』、
『肉眼、天眼、慧眼、法眼、仏眼である!』。
『菩薩摩訶薩』は、
『天眼』を、
『用いて!』、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『国土』中の、
諸の、
『天耳』を、
『用いて!』、
『十方』の、
諸の、
『仏の所説の法』を、
『聞きたい!』と、
『思い!』、
諸の、
『仏の心』を、
『知りたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『十方』の、
諸の、
『仏』の、
『所説の法』を、
『聞きたい!』と、
『思い!』、
『聞いてから!』、
『乃至阿耨多羅三藐三菩提』まで、
『忘れたくない!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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五眼(ごげん):眼には五種の別あるを云う、謂わゆる、
- 肉眼:人間の有する肉眼。凡夫の眼。
- 天眼:遠近、内外、前後等を見て無礙なる眼。天人の眼。
- 慧眼:諸法の実相を見る眼。智慧の眼。
- 法眼:遍く衆生を度する為に、種種の方便/法を見る眼。菩薩の眼。
- 仏眼:上記四を兼ね備えた眼。諸仏の眼。
乃至阿耨多羅三藐三菩提:一切の衆生を成就して、世界を浄め已った時、乃ち阿耨多羅三藐三菩提/最高最上の満足の境地を得るが、処処の大乗経典に見るが如く、それは一劫や二劫の話ではない、無量無数億劫の話である。即ち、乃至阿耨多羅三藐三菩提とは、到底実現不可能な、有得ない事を目標にして、尚お勇猛果敢に菩薩道を行くことを意味する。即ち是れが大乗の本質であり、大乗に於いて阿鞞跋致/不退が問題となるのも、その有得ない事を目標にすることに於いて、疑惑と驚怖を懐くのが、寧ろ当然だからである。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲見過去未來諸佛國土。及見現在十方諸佛國土。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、過去、未来の諸仏の国土を見、及び現在の十方の諸仏の国土を見んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
及び、
『現在』の、
『十方』の、
諸の、
『仏の国土』を、
『見よう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲聞十方諸佛所說。十二部經修多羅祇夜受記經伽陀憂陀那因緣經阿波陀那如是語經本生經方廣經未曾有經論議經。諸聲聞等聞與不聞。盡欲誦受持者。當學般若波羅蜜。十方如恒河沙等世界中。諸佛所說法已說今說當說。聞已欲一切信持自行亦為他人說。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、十方の諸仏の所説の十二部経の修多羅、祇夜、受記経、伽陀、憂陀那、因縁経、阿波陀那、如是語経、本生経、方広経、未曽有経、論義経を聞かんと欲し、諸の声聞等の聞くと聞かざるとを、尽く誦して受持せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。十方の恒河沙に等しきが如き世界中の、諸仏の所説の法の、已に説き、今説き、当に説かんとするを聞き已りて、一切を信持し、自ら行じ、亦た他人の為に説かんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』が、
『十方』の、
諸の、
『仏の所説』の、
『十二部経である!』、
『修多羅』、
『祇夜』、
『受記経』、
『伽陀』、
『憂陀那』、
『因縁経』、
『阿波陀那』、
『如是語経』、
『本生経』、
『方広経』、
『未曽有経』、
『論義経』を、
『聞きたい!』と、
『思い!』、
諸の、
『声聞』の、
『聞いた!』ものも、
『聞かない!』ものも、
尽く、
『誦して( 諳誦して)!』、
『受持したい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『世界』中の、
諸の、
『仏の所説』を、
『已に説かれた!』ものも、
『今説かれている!』ものも、
『将来説かれる!』ものも、
『聞いて!』、
一切を、
『信じて!』、
『受持し!』、
自ら、
『行いながら!』、
他の、
『人』の為にも、
『説きたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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十二部経(じゅうにぶきょう):仏所説の経典を其の内容又は形式の不同により十二種に分類する、此の十二部中に就き、修多羅、祇夜、伽陀の三者は経文上の体裁をいい、その他の九部はその経文に記載された別事に従って名を立てる。
- 修多羅(しゅたら):契経と訳す、経典中直に法義を説く長行の文。
- 祇夜(ぎや):応頌と訳す、長行の文に重ねて、偈を重ねる。
- 伽陀(かだ):諷頌と訳す、長行に依らず、直に偈を説く。
- 尼陀那(にだな):因縁と訳す、説法の因縁を説く。
- 伊帝目多伽(いていもくたか):本事/如是語と訳す、弟子の過去世の因縁を説く。
- 闍多伽(じゃたか):本生と訳す、仏が自身の過去世の因縁を説く。
- 阿浮陀達摩(あぶだだつま):未曾有と訳す、仏の神力、不思議を説く。
- 阿波陀那(あぱだな):譬喩と訳す、義を譬喩を以って説く。
- 優波提舎(うぱだいしゃ):論議と訳す、問答を以って義を説く。
- 優陀那(うだな):自説と訳す、弟子の問いを待たず、仏が自ら義を説く。
- 毘仏略(びぶつりゃく):方広と訳す、広大平等の理義を宣明する。
- 和伽羅那(わがらな)、授記と訳す、菩薩が成仏の記を受ける。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩過去諸佛已說。未來諸佛當說。欲聞聞已自利亦利他人。當學般若波羅蜜。十方如恒河沙等諸世界中間闇處。日月所不照處。欲持光明普照者。當學般若波羅蜜。十方如恒河沙等世界中。無有佛名法名僧名。欲使一切眾生皆得正見聞三寶名者。當學般若波羅蜜。菩薩摩訶薩。欲令十方如恒河沙等諸世界中眾生。以我力故盲者得視聾者得聽。狂者得念裸者得衣。飢渴者得飽滿。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、過去の諸仏の已に説き、未来の諸仏の当に説くべきを聞き、聞き已りて、自ら利し、亦た他人を利せんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。十方の恒河沙に等しきが如き諸の世界の中間の闇処の、日月の照さざる所の処を、光明を持ちて、普く照らさんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。十方の恒河沙に等しきが如き世界中に仏名、法名、僧名有ること無きに、一切の衆生をして、皆三宝の名を正しく見聞するを得しめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。菩薩摩訶薩は、十方の恒河沙に等しきが如き諸の世界中の衆生をして、我が力を以っての故に、盲者には視るを得しめ、聾者には聴くを得しめ、狂者には念ずるを得しめ、裸者には衣を得しめ、飢渴者には、飽満するを得しめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『過去』の、
『未来』の、
諸の、
『仏』の、
『当に説かれるだろう!』所とを、
『聞いて!』、
『聞いてから!』、
自らを、
『利益しよう!』と、
『思い!』、
亦た、
『他人』をも、
『利益しよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
諸の、
『世界』の、
『中間』の、
『闇処』で、
『日、月』に、
『照らされない!』、
『処』を、
『光明』を、
『持って!』、
普く、
『照らそう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『世界』中に、
『仏、法、僧』の、
『名すら!』、
『無い!』時、
一切の、
『衆生』に、
皆、
『三宝( 仏、法、僧)の名』を、
正しく、
『見、聞させたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『菩薩摩訶薩』は、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
諸の、
『世界』中の、
『衆生』に、
わたしの、
『力』で、
『盲者』には、
『視る!』ことを、
『得させ!』、
『聾者』には、
『聴く!』ことを、
『得させ!』、
『狂者』には、
『念じる!』ことを、
『得させ!』、
『裸者』には、
『衣』を、
『得させ!』、
『飢、渴者』には、
『飽満』を、
『得させたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩若欲令十方如恒河沙等世界中眾生諸在三惡趣者。以我力故皆得人身。當學般若波羅蜜。欲令十方如恒河沙等世界中眾生。以我力故立於戒三昧智慧解脫解脫知見。令得須陀洹果乃至阿耨多羅三藐三菩提。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、若し十方の恒河沙に等しきが如き世界中の衆生の、諸の三悪趣に在る者をして、我が力を以っての故に、皆、人身を得しめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。十方の恒河沙に等しきが如き世界中の衆生をして、我が力を以っての故に、戒、三昧、智慧、解脱、解脱知見に於いて立たしめ、須陀洹果、乃至阿耨多羅三藐三菩提を得しめんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
若し、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『世界』中の、
『衆生』で、
わたしの、
『力』で、
皆に、
『人身』を、
『得させたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『世界』中の、
『衆生』を、
わたしの、
『力』で、
『戒、三昧、智慧、解脱、解脱知見』に、
『立たせたい!』と、
『思い!』、
『須陀洹果、乃至阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得させたい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲學諸佛威儀者。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、諸仏の威儀を学ばんと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
諸の、
『仏の威儀』を、
『学ぼう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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仏威儀(ほとけのいぎ):仏の品位ある態度/行為。
威儀(いぎ):態度/品行/礼儀作法/品位ある行・住・坐・臥の態度。 |
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菩薩摩訶薩欲得如象王視觀。當學般若波羅蜜。菩薩作是願。使我行時離地四指足不蹈地。我當共四天王天乃至阿迦尼吒天無量千萬億諸天眾。圍遶恭敬至菩提樹下。當學般若波羅蜜。 |
菩薩摩訶薩は、象王の如く視観するを得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。菩薩は、『我れをして、行く時、地より四指を離し、足は地を踏まざらしめよ。我れは当に四天王天、乃至阿迦尼吒天の無量千万億の諸の天衆と共に、囲繞され、恭敬されて、菩提樹下に至るべし』と、是の願を作さば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
『菩薩摩訶薩』は、
譬えば、
『象王のよう!』に、
『視察、観察したい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
『菩薩』は、――
わたしが、
『行く!』時には、
『四指』を、
『地』より、
『離し!』、
『足』に、
『地』を、
『踏ませるな!』。
わたしは、
『四天王天、乃至阿迦尼吒天』の、
『無量、千万億』の、
諸の、
『天衆』に、
『囲繞され!』、
『恭敬されて!』、
『菩提樹の下』に
『至らねばならぬのだ!』と、
是のような、
『願』を、
『作(な)すならば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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阿迦尼吒(あかにだ):梵名、色究竟と訳す、色界十八天中の最上天の名。色究竟天。 |
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我當於菩提樹下坐。四天王天乃至阿迦尼吒天。以天衣為座。當學般若波羅蜜。我得阿耨多羅三藐三菩提時。行住坐臥處欲使悉為金剛。當學般若波羅蜜。 |
我れは、当に菩提樹の下に坐すべきに、四天王天、乃至阿迦尼吒天、天衣を以って座と為さんとせば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。我れ阿耨多羅三藐三菩提を得ん時、行住坐臥の処をして、悉く金剛と為らしめんとせば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしが、
『菩提樹の下』に、
『坐す!』時、
『四天王天、乃至阿迦尼吒天』が、
『天衣』を、
『用いて!』、
『座と為すだろう!』と、
是のような、
『願』を、
『作すならば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
わたしが、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得た!』時には、
『行、住、坐、臥の処』を、
悉く、
『金剛と為らせたい!』と、
是のような、
『願』を、
『作すならば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲出家日即成阿耨多羅三藐三菩提。即是日轉法輪。轉法輪時無量阿僧祇眾生遠塵離垢。諸法中得法眼淨。無量阿僧祇眾生一切法不受故。諸漏心得解脫。無量阿僧祇眾生於阿耨多羅三藐三菩提得不退轉。當學般若波羅蜜。 |
復た次ぎに、舎利弗、菩薩摩訶薩は、出家の日に、即ち阿耨多羅三藐三菩提を成じ、即ち是の日に法輪を転じ、法輪を転ずる時、無量阿僧祇の衆生は、塵を遠ざけ、垢を離れて、諸法中に法眼浄を得しめ、無量阿僧祇の衆生は、一切法を受けざるが故に、諸漏の心に解脱を得、無量阿僧祇の衆生は、阿耨多羅三藐三菩提に於いて不退転を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
復た次ぎに、
舎利弗!
『菩薩摩訶薩』は、
『出家の日』に、
『法輪』を、
『転じる!』時には、
無量阿僧祇の、
『衆生』を、
『塵垢( 色声香味触)』を、
『遠ざけ!』、
『離れて!』、
『諸法』中に、
『法の眼』が、
『浄めさせ!』、
無量阿僧祇の、
『衆生』を、
一切の、
『法』を、
『受けない(認めない)!』が故に、
『諸漏の心』に、
『解脱』を、
『得させ!』、
無量阿僧祇の、
『衆生』を、
『阿耨多羅三藐三菩提』より、
『退転しない!』ことを、
『得させよう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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法眼浄(ほうげんじょう):法眼が浄まる。即ち四諦に於いて疑惑が解消するを云う。
漏(ろ):煩悩の異名。衆生は煩悩の為に常に六根門/眼耳鼻舌身意より過患を漏泄する意。 |
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我得阿耨多羅三藐三菩提時。以無量阿僧祇聲聞為僧。我一說法時。便於座上盡得阿羅漢。當學般若波羅蜜。 |
我れ、阿耨多羅三藐三菩提を得ん時、無量阿僧祇の声聞を以って、僧と為し、我れ一たび説法する時、便ち座上に於いて尽く、阿羅漢を得しめんとせば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしが、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得た!』時には、
『無量阿僧祇』の、
『声聞』を、
『僧にして!』、
わたしが、
『一たび!』、
『説法する!』時には、
そのまま、
『座上』に於いて、
尽く、
『阿羅漢』を、
『得させよう!』と、
是のような、
『願』を、
『作すならば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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我當以無量阿僧祇菩薩摩訶薩為僧我一說法時。無量阿僧祇菩薩。皆得阿惟越致。欲得壽命無量光明具足。當學般若波羅蜜。 |
我れは、当に無量阿僧祇の菩薩摩訶薩を以って、僧と為し、我が一説法の時に、無量阿僧祇の菩薩は、皆、阿惟越致を得べしとして、寿命の無量なると、光明の具足せるとを得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしは、
『無量阿僧祇』の、
『菩薩摩訶薩ばかり!』で、
『僧(教団)』を、
『為し(作り)!』、
『一たび!』、
『説法する!』時には、
『無量阿僧祇』の、
『菩薩』が、
皆、
『阿惟越致(不退の位)』を、
『得なくてはならぬ!』と、
是のように、
『願』を、
『作して!』、
『寿命の無量』と、
『光明の具足』を、
『得よう!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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我成阿耨多羅三藐三菩提時。世界中無婬欲瞋恚愚癡。亦無三毒之名。一切眾生成就如是智慧善施善戒善定善梵行善不嬈眾生。當學般若波羅蜜。 |
我れ阿耨多羅三藐三菩提を成ぜん時、世界中に婬欲、瞋恚、愚癡無く、亦た三毒の名すら無く、一切の衆生は、是の如き智慧、善施、善戒、善定、善梵行を成就して、善く衆生を嬈せざらんとせば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしが、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『成就した!』時には、
『世界』中に、
『婬欲』も、
『瞋恚』も、
『愚癡』も、
『無く!』、
亦た、
『三毒の名』すら、
『無いだろう!』、
『一切の衆生』は、
是のような、
『智慧』と、
『善い施し!』、
『善い持戒』、
『善い禅定』、
『善い梵行』、
『善く衆生を悩ませない!』こととを、
『成就するだろう!』と、
是のような、
『願』を、
『作せば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
|
婬欲(いんよく):肉体的快楽を求める欲。貪欲、貪愛、慳貪等に同じ。
三毒(さんどく):三種の根本的煩悩。他の一切の煩悩を派生し、それに由って受ける苦痛の激甚なること、有毒の美味[河豚]の如くなるを以って、故に毒と称する、即ち、
- 貪欲:欲望/渇愛/慳貪/婬欲の類。
- 瞋恚:忿怒/嫌悪/怨恨/嫉妒の類。
- 愚癡:無知/無智/愚劣/曚昧の類。
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使我般涅槃後法無滅盡。亦無滅盡之名。當學般若波羅蜜。 |
我が般涅槃の後の法をして、滅尽無からしめ、亦た滅尽の名すら無からしめんとせば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしの、
『涅槃の後』にも、
『法』が、
『滅尽する!』ことは、
『無いだろう!』、
亦た、
『滅尽の名』すら、
『無いだろう!』と、
是のような、
『願』を、
『作すならば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ぶべきである!』。
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我得阿耨多羅三藐三菩提時。十方如恒河沙等世界中眾生聞我名者。必得阿耨多羅三藐三菩提。欲得如是等功德者。當學般若波羅蜜 |
我れ阿耨多羅三藐三菩提を得ん時、十方の恒河沙に等しきが如き世界中の衆生は、我が名を聞かば、必ず阿耨多羅三藐三菩提を得んとして、是の如き等の功徳を得んと欲せば、当に般若波羅蜜を学ぶべし。 |
わたしが、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得た!』時には、
『十方』の、
『恒河の沙』に、
『等しい!』ほどの、
『世界』中の、
『衆生』が、
わたしの、
『名』を、
『聞けば!』、
必ず、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得るだろう!』と、
是のような、
『願』を、
『作して!』、
是れ等のような、
『功徳』を、
『得たい!』と、
『思えば!』、
当然、
『般若波羅蜜』を、
『学ばねばならない!』。
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