New Sony α9 ii + Sonylens 20-70mm/f4
老人の使用しておりますカメラは10年間使用し続けた Sony α77 ですが、なかなか良くできたカメラでございまして、これという不満もないのでございますが、ただ常時取り付けております Tamron 17-50mm/f2.8 というレンズは画面サイズの小さい APS-C 用ですので、35mm フォーマットに換算しますと広角側が 27mm となりまして、部屋の中では少し狭く感じられますので、この際、レンズと共にカメラも新しくすることにいたしました。

新規購入いたしました Sony α9 ii および同じく Sony の 20-70mm/f4 レンズは使用法が前のカメラと同じですので移行するに別段の支障もなく、ちょうど満開を迎えた近くのスーパーの桜を撮りに、カメラバッグを肩にして片道 1km の道のりをてくてく歩いて行ったのでございます。

雲一つない晴天にめぐまれ、青空を背景に広角いっぱいで満開の桜を撮ったのですが、後に自宅のモニターで見てみますと、期待以上に撮れており非常に満足いたしました。

レンズは期待よりはるかに優秀であり、肉眼で見たところに比して、モニターの映像は違和感がなく、いまだかつて経験したことのないクリアーな世界が広がっています。 前のカメラで感じていた、あの色はこんな風ではなかったとか、思ったほど奇麗な景色に撮れていないなあ、というような不満は不思議なほど出てきません。

カメラの使い勝手もほぼ違和感なく、露出を変えながら3枚連写するブラケット撮影も一瞬で終り、被写体が動かないまま露出だけが変化することにも技術の進歩を目の当たりにしたような気がしました。

ただ前のカメラは画面が小さいので被写界深度(焦点が合う範囲)が広く絞りを f5.6 に設定しておけば、ピントを外す恐れはほぼなかったのですが、今度のは同じ f5.6 では狙ったところにしかピントが来ないので、特に近接して撮る時は、どれぐらいの範囲で合焦するのかよく分からず、しばらく苦労しそうです。

また中央の狭いフレームで対象物を捉えると、それが動いてもピントを合わせ続ける機能も長足の進歩を遂げました。 この日は風があり、桜の小枝が激しく動いていましたが、ピントはしっかりと合っています。

また 5.5段分と言われる手ぶれ防止も老人には有り難い機能で、1/3秒ぐらいの遅いシャッター速度が、1/125秒のシャッターと同等ということなりますので、優れた高感度特性と相併せて、あらゆるシチュエーションにおいて手ぶれする恐れがほぼ無くなり、シャッターチャンスが大幅に増えました。

ということで、まあ良い買い物をしたのではないかと思っております。


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モンテグラッパ( Montegrappa )は 1912年創業、イタリア最初の万年筆工場であり、手工業的高級万年筆で知られています。 

老人の所有はその1915年製のモデルを創業80周年の記念事業として復元したもので伝統的デザインと最新式技術とのフュージョンということですが、そのデザインは創業家の所有するヴィラ( villa )に付属する礼拝堂の塔よりインスピレーションを受けたものだと言われています。

豪華な木箱を開けると軟らかいクッションに包まれて、礼拝堂の塔にインスピレーションを受けた八角柱の万年筆が銀色に輝いています。

クッションの下には艶やかにコーティングされたハードカバーの冊子が入っており、誇らかに一族の歴史を語っておりますが、生憎イタリア語で書かれているので老人には読むことができません。

この万年筆は総体が純銀製であり、ボディも、キャップもネジの部分まで一枚板の加工品で極めて精緻な模様が彫り出されています。 もちろんグリップセクションも全て純銀製ですので、指が脂ぎっていたとしても、決してヌラつくようなことはありません。

ネジは締め込んでゆくと最後の所でコトンと嵌合するタイプで、その精緻な手触りから、極めて高い技術力が感じられます。 またキャップを尾部に嵌めるのも同様にネジが切られており、手抜きのない所は素晴らしいと思います。ホテルだとか、レストランだとか欧米人にはサインする機会が多々ありますが、尾部にキャップを嵌めれば、外したキャップの置き所に困ることもなく、非常にスマートにサインすることができたのではないでしょうか。

キャップを尾部に嵌めても嵌めなくてもバランスがよく、総銀製で重量も相当なものになりますが、決して書きにくいということはありません。 ただ慣性質量の関係で速い転接を要求してもそれに対応しきれませんので、その分ある程度の経験は必要でしょう。

万年筆:MonteGrappa "Reminiscence" Large size. Nib size = Broad.
インク:寺西化学 ハイカラインキ "Lady Emerald"
原稿用紙:
テーマ:書斎
色:金茶
モットー:「以不動而動世界」
"Being not moved, we can move the world."


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今月の百人一首は「坂上是則」、「春道列樹」です。

坂上是則:
  朝ぼらけ有明の月と見るまでに
  吉野の里に降れる白雪
坂上是則:~903年(延長8年)。従五位下、加賀介。三十六歌仙の一。

句釈:「朝ぼらけ」は「朝朗」。「朝開き」の転。空が明るみ開けること。
「有明の月」は「入り残りたる月」。十六夜以後の明くるもなお残る月。
「吉野の里」は「古里」。かつて朝庭が在り、今は無き都。

意釈:夜が白々と明け、雨戸が引き明けられた。
天空の明るさは尋常でなく、有明の月に照らされたようだ。
夜間に降った白雪が吉野の里をかくも明るくしていたのか。

評釈:凡河内躬恒は「初霜のおきまどはせる白菊の花」と詠み、今ここに、
「吉野の里に降れる白雪」と返す。共に平安時代の人々の、
白色に関する感情を赤裸々に映す名歌と見てよいだろう。

春道列樹:
  山川に風の掛けたるしからみは
  流れも敢へぬ紅葉なりけり
春道列樹:~920年(延喜20年)。従六位下壱岐守。文章博士。

句釈:「山川」は「山より流れきたる川」。
「しがらみ(柵)」は、川の堤防に沿うて杭を打ち、流木による破堤を防ぐ仕掛け。
「あへぬ(敢へぬ)」は、「できない(不能)」。

意釈:山より流れ落ちる谷川に沿って歩いていると、とある川面に錦が掛かっている。
恐らくは風に吹き寄せられた紅葉が、柵に掛かったものだろう。
今日は良いものを見たような気がする。

評釈:在原業平は「紅葉の錦水くゝるとは」と驚いてみせたが、今春道列樹は、
「流れも敢へぬ紅葉なりけり」と、心中に深い満足を表わす。
何処を優とし何れを秀とすべきか敢て決める能わず。共に名歌である。

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≪茄子とソーセージのピッツア≫ 
作り方は≪ピッツア マルゲリータ≫を参照してください。
では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう。
  (New Sony α9 ii + Sonylens 20-70mm/f4  おわり)

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