最も奇抜でありながら、最も美しい万年筆!、掌中にこれを愛玩すれば、その感触の心地よさに文字を書くことを忘れて、豪華列車に思いをはせることになります。社交界で名をはせたであろう紳士淑女はどのように着飾り、列車内のサルーンでは、どのような会話が交わされていたのだろうか。 食堂車では銀の食器をカチャカチャ鳴らしながらどのような料理が給侍されていたのだろう、‥‥
これほど美しい万年筆でありながら、その少からざる数がその地金が金であるが故に皮を剥がれて壊されたというのも、虎がその美しい毛皮故に絶滅しそうであったりするのと類を同じうするものでしょう。人間というものは、欲に目がくらめば後先を考えることがありませんので、その結果は無惨としか言いようがありません。
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