パスタ・マシーン
いよいよ師走、年の瀬でございますな。
今年一年を振り返ってみますと謂わゆる激動の一年、隠されていた事が次々と暴き立てられて白日の下に照らし出された一年、表と裏とがひっくり返った一年、相対的概念であった善と悪とが分明して老人のような愚人にすらはっきりと理解された一年、総じて言えばまさに歴史年表に名を残す一年ではなかったかと思うのですが、これだけのものがたった一人の手によって明白になったのだと思うと、老人にとってはまさに胸躍る一年だったとも言わねばなりません。

老人自身の方はどうだったかともうしますと、三日間ほど尿路結石で痛い思いをしたのを除けば至って平穏無事、身心の衰退も順調に進んでおりますが、大智度論の翻訳も順調に進んでおりまして、残り僅か1巻と半ばを余すのみ。第1巻を訳す時からおよそ時間というものを忘れて取り組んでまいりましたが、第1巻をアップロードしたのが平成17年7月、今月の2021年12月までで16年と6ヶ月、即ち198ヶ月の間に99巻を訳し終えたわけですから、ただの一月も休まなかったことになります。 これは生来蒲柳の質である老人にとっては、ほとんど不可能事を成し遂げたことににも等しく、此に至って神仏の加護というものを確証せざるを得ないというのが詐らざる心境なのでございます。

神仏の加護とは、また老人の訳業のまさに正鵠を射たことを保証するものでありますが、その神仏の加護を受くべき本質とはまさに「般若波羅蜜」にほかなりませんので、ここに少しばかり説明しておきましょう。

般若波羅蜜とは、簡単に言えば六波羅蜜という、平和に近づく為めの六種の方法であり、その六種の方法とは、大略次の通りなのです、――
  1. 与える(Give anything wanted!)
  2. 取らない(Don't take what is not belonging to you!)
  3. 怒らない(Don't get angry when yours got stolen!)
  4. 精進する(Advance heroically!)
  5. 心を定める(Fix your mind!)
  6. 適切な方法を取る(Take appropriate measures!)

簡単な事でしょう?
孔子の「己れの欲せざる所を人に施すなかれ!」とは、裏返せば「己れの欲する所を人に施せ」と言うに等しく、併せれば六波羅蜜中の上の三事と同じであり、しかも六波羅蜜の根本に相違ありません。 更に孔子は「義を見てせざるは勇なきなり」とも言っていますが、六波羅蜜に当てはめれば、精進がそれに当てはまります。「道理を知りながら行わない奴は勇気がないだけだ」ということですね。 孔子もこのように「六波羅蜜」を保証していられますが、しかしながら、それ等は皆、人間の本性に違うが故に、人と人とはいがみ合わなくてはならず、世界は平和にならないのです。

人間の本性に違うものを如何にして本性に近づけるのか?経文中には国邑、王位、財産、妻子ばかりか己れの身さえ施せと言っておりますが、それは極端を説いてその差し迫ったさまを示すだけで、経の本意ではありません。誰もが上の6事を胸に懐き、自らの家族/一族を愛するが如く他人に接すれば、自ずと平和が達成されるのです。しかしこの「誰もが」ということが難事中の難事であり、ここに到達するまでには考えられないほどの永い年月が必要とされることも自明の理なのです。

そこで経に言う「自ら行い、また他人に教えて行わせる」という教育が必要なのです、それは一見迂遠な道に見えますが、これが一番の近道であり、しかもかつ正道であって、この道によるよりないのです。 おそらく気が遠くなるほどの長年月を必要とすることでしょう、しかし一人の人が心懸ければ、心懸けただけ1mm、また1mmと目的に近づくことができ、少しづつ平和が来るのです。

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今月の万年筆は、”Aurora 88”です。
ご覧の通りゴージャスにして過剰でなく、華美にして簡潔であり、かつ実用的なデザインはイタリアという美的伝統に培われなければ、決して一朝一夕にして成るものではございません。
美しさもさることながら、その実用的性能はインクの自然蒸発の少なさと、ペン先の乾きにくさにも現れていまして、モンブランがいくら高価であっても足下にも及ぶものではございません。

経験によればモンブランが4ヶ月でインクが乾き切るような環境に置かれたとするならば、これは同じ条件で20ヶ月はインクを保持することができるでしょう。

深く絞られた独特の形状をもつペン先は非常に硬く、力を入れても撓もうとしませんが、逆に紙当りは軟らかく、よく撓うが紙当りの硬いモンブランとは逆の書き味を呈し、モンブランの曖昧な線質に比して、こちらはペンの撓いが極めて硬いにもかかわらず、線質はより明瞭です。 しかしながら、モンブランも優れた万年筆であることは言うまでもありません。 極めて高価でありながら老人が2本所有しているのが、そう思っている証拠です。

万年筆:Aurora type="88"  nib-size="fine"
インク:Diamine color="quartz black"
原稿用紙:
テーマ :書斎
モットー:維民所止(This is where the people rest)
色   :深川鼠

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突然、生パスタというものが食べたくなり、アマゾンから7千円あまりで購入しました。
付随のリーフレットに書かれている通り、中力粉とデュラムセモリナ粉とを等分に混ぜ合わせたものと卵とを分量にしたがい、適当に混ぜ合わせて10分ほどこねていると、ひとかたまりになりますので、それを掌サイズに伸し広げたり、折りたたんだりしながら、パスタ・マシーンに掛けますと、いとも簡単に生パスタができあがります。まったく同じ事が麺棒と包丁とでできるので、或は贅沢品かもしれませんが、家事が楽になることは確実です。

≪パスタ・アッラッビアータ(怒のパスタ)≫
≪材料≫(2人前)
  1. 生パスタ:150g=粉100g+卵1個
  2. カット・トマト:1パック(400g)
  3. ニンニク:1片
  4. 鷹の爪:2本
  5. オリーブ・オイル:大さじ2杯
  6. 塩:小さじ1/2(ソース)+大さじ2杯(ゆで汁)
  7. トッピング:適宜(無くても可)
≪作り方≫
  1. 大きめの鍋に湯を2リットル沸かしておく
  2. フライパンにオリーブ・オイル、ニンニクのみじん切り、鷹の爪を入れて火に掛け、弱火でニンニクの香りが立つまで炒める
  3. 2にカット・トマトを加えて中火でトロミがつくまで煮詰めて塩を加えて火を止める
  4. 鍋の湯に塩を加えて火に掛け沸き上がったらパスタを加えて中火で数分茹で、好みの固さより少し固めを見計らい、パスタを湯から上げて火を付けたフライパンに移す。
  5. フライパンをかき混ぜながら、塩分の濃度を味見してもし不足していればゆで汁を加え、ソースの水分量を火力によって調節しながら、好みの固さまで煮る
  6. 皿に盛り、好みのトッピングをする:写真はソテしたほうれん草と、豚肉のピカタ、パルメジャーノレッジャーノチーズを添える

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Merry Christmas
&
Happy New Year
では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう
  (パスタ・マシーン  おわり)

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