万年筆 ーNo. 2ー
老人は食に関して言えば、家の中だけでじゅうぶん間に合っておりますので、外食という事はほとんど致しませんが、ただ「にぎり寿司」と「うなぎ」だけは、家の中で間に合わすというわけにもまいりませんので、年に数回はやむなく外食をいたさねばならぬのでございますが、それがどちらも”お酒というお供”を引き連れなければ、美味しくないときております。

というようなところに、なんとそれが「緊急事態宣言」でございますからね、今年に入ってからは、「誘惑に負けて、お酒なしで寿司/うなぎを食べる」か、それとも「緊急事態宣言が解除されるまで我慢する」か、という葛藤がつねに心中に渦巻き、お寿司/うなぎの味わいならぬ、タンタロスの苦しみを味わってまいったというところですが、それがどうやら来月には解禁されるようで、まことにご同慶の至りですが、それがなにしろ懐具合の方との兼ね合いでもございますので、まあはたしてこの先どうなりますことやら、ということでして、まことにたわいもない老人の近況でございました。

お酒がなければ味わいが半減する食べ物:
  1. うなぎ:どんぶり、白焼き、蒲焼き
  2. 寿司:にぎり、巻き、ちらし、押し、いなり
  3. そば:天麩羅付きのざるそば
  4. 以上

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さて、お待ちかね、万年筆シリーズの第二弾は、彼の泣く子も黙るドイツの銘品モンブランでございます、――

”Montblanc No. 149” でございますな。特徴は、――
  1. 大きなペン先:手の小さい人には少し不向きかも。ただ大きなペン先はフィードバックが軟らかくなりますので、ざらついた紙に書くときも、そんな事は気にせずどんどん書き進んでゆくことができます。
  2. 太いグリップ:手の小さい人には少し不向きですが、ノートびっしりに10ページ書いても指先は余り疲れません。作家に好まれる所以です。
  3. ボディー:大きさの割りに軽い。
  4. デザイン:古くさく、大仰なデザインはメルセデス・ベンツの車にも通じるものがあり、北ドイツ的に陰鬱な雰囲気を感じさせ、軽快感や優美さを好む人には向きません。またキャップより一段大きなサイズのリングはケースに裸で入れると、他の万年筆を傷つけかねず、主観的には美しさに無縁の過剰な装飾だと思います。
  5. プラスチックの材質はよく吟味されており、指が滑るようなことはありません


ペン先の太さは”Fine”サイズ、同じFineでも、ペリカンなどよりはやや太めであり、輪郭もはっきりせず、文字の美しさよりはむしろスピードとか疲れにくさとかに眼目を置いているように思えます。

グリップ部分はやや直線的であり、ペン先に近い部分がわずかにカーブしているだけですが、太さの故か持ちにくいと感じることはありません。

ちなみに、万年筆の持ち方としては、拇指と人差し指の指紋のところと、中指の第一関節とでペン先直下の内側にカーブした部分をグリップしたら、人差し指の付け根の関節/第三関節を軸の尾端近くに当てて、軸がぶれないように支え、毛筆のようにややペンを立てぎみに、小指側の掌側面を紙に軽く当てて書くのが良いと思います。こうすればペンポイントの筆圧等の微細なコントロールが可能になり、漢字、平仮名、英字を問わず、ハネ、ハライ、トメが容易になりますので、字の下手な老人の言うことですから、信憑性を疑われるとは思いますが、どうぞ一度お試しください。


万年筆:Montblanc No. 149 Nib=Fine
インク:Montblanc Royal Blue
原稿用紙:
テーマ:冬
モットー:維民所止( This is where the people rest )
色:茶色

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菓子:山づと(川村屋賀峯総本店)
では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう
  (万年筆 ーNo. 2ー  おわり)

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