無関心、無観客、総じていえば四面楚歌中に強行されたオリンピック、‥‥

老人はすっかり忘れておりました、この国の持つ底力を。

世界の受けるインパクトも相当なものがあるのではないでしょうか、‥‥

新聞紙上では悪評噴出し、底意地の悪い記事が盈満しておりますが、

老人は快哉を叫んでおります、世界中の国々よ、瞠目して視よ、我が大和魂を！

翻って目を世界に転ずれば、最初はニューヨークの水害でしたか、豪雨で地下鉄が水没したとか、雹が降ったとか、カナダで山火事があったとか、ドイツやオランダで洪水が発生したとか、あまつさえ彼のアラビアでも、巡礼の中心地メッカが洪水に見舞われて、カーバ神殿には雹が降ったとか、ギリシャやトルコにも山火事や洪水が発生したとか、ロシアの黒海沿岸の一大保養地ソチが洪水にやられて商売あがったりだとか、まるで世界中がシッチャカメッチャカになってしまったかのようで、はては地軸が傾いたのだというような噂まで、まことしやかに流れて来るまでになっておりますが、‥‥

さて、我等が中国はいかにと、彼の国を注視すれば去年は桂林・成都市・重慶市・桂林市・広州市・宜昌市・武漢市等を含む、四川・広西・広東・湖南・湖北・広西の各省に於いて、国を傾けるほどの甚大な洪水被害を出しましたが、さすがは広大な版図を誇る中国のこと、今年は先の各省に於いてはたいしたことはないものの内モンゴル・山西・陝西・黒竜江および河北・河南の各省に於いてやはり甚大な被害を出しており、中でも河南省の受ける被害は重大な人災も加わって、とても口で言い表すことができないほどであり、中でも特筆すべきは鄭州市の受けた水災でしょう。

YouTube から老人の目に飛び込んできたのは、停車した地下鉄の車輌の中に大勢の人が閉じ込められ、胸まで水に浸かりながらスマホで外部と連絡を取ろうとしている動画でしたが、その後、目にすることになったのは、トンネルの入口付近の傾斜路で車の前後を接しながら水に浮く数十台の自動車、トラック、バス、マイクロバスであり、人々が車を捨てて水中から逃れようとしている動画です。　多くのYouTuber の説明によると、鄭州市の中心を走る京広隧道という片側3車線のトンネルで、その総延長は4kmもあり、常に激しく渋滞する道路であることから、2000台ぐらいがトンネルの中で停車を余儀なくされているのではないか、トンネル內に水が出始めてから、車が水没してしまうまで５分も掛からなかったそうなので、恐らくそれ等の車に乗っていた人はほぼ全員が死亡したものと思われ、その数は実に4000人～6000人に上るのではないか、ということでした。

当局は”千歳一遇の豪雨による洪水でであり、死者は凡そ20数名”と発表したそうですが、少し計算すればそれが真っ赤な嘘であることは誰でも分かることですし、後に、”近くのダムが決壊する恐れがあるので、当局が安全のため、適切な場所でダムの堤防を切り、水を農地に流した”という発表がありましたが、その堤防を切った時間が、トンネルや地下鉄が水没した時間の後になっているという、著しく合理性を欠く説明となっているため、誰も信じる者がないという状態だそうです。

多くのYouTuber の推測によれば、少しでも多く発電するため、ギリギリまで水を貯め込み、いよいよダム本体が危なくなってから、やっと発電所とダム本体を守るために堤防を切ったのであり、水が何処へ流れようとまったく気にしてはいなかったのではないか、ということです。

揪心！河南鄭州4公里長京廣路隧道大量車輛被淹沒，現場傷亡不明，有多少人能及時跑出來呢（心配でたまらない！　河南鄭州の4km長の京広路隧道には大量の車輌が没んでいるが、現場では傷ついた人も、亡くなった人も明らかでない。逃げおおせた人も、少しぐらいは有るのだろうか）？

要するに、新聞ではまったく分からないことですが、全世界はいよいよ本気になって温暖化対策に取り組まなくてはならなくなった、ということなのです。

老人宅に投じられる新聞は、普段から為めになるような記事は少なく、その上、オリンピックで満たされておりますので、余り期待もしていませんでしたが、次のような大見出しが目に飛び込んできました、――

ＶＷ（フォルクスワーゲン）グループは、7月13日に”2030年までに、新車販売の50％をEV（電気自動車）化する”と発表しました。

メルセデスベンツ（ Mercedes-Benz ）は、7月22日に”2022年までにEVを全セグメントに投入し、2025年以降の新型車は次世代車台ベースのEVのみにする”と発表しました。

トヨタは5月12日に”2030年の電動車は800万台であり、内200万台がBEV（Battery Electric Vehicle 真の電気自動車）+FCV（燃料電池車）である”と発表し、生産台数1300万台中の電動車の比率は63％であるとしたが、電動車の内600万台はHEV（ハイブリッド車）ということになり、ガソリンを用いて発電するだけの電動車なので、実質的な環境に負荷をかけない電動車率は１５％にすぎません。

それにしても気になるのは、2030年になってもまだICE（内燃機関車）やHEVを売り続けたとして、今でさえ現代の自動車の燃費性能がどんどん向上しているおかげで、ガソリンスタンドがどんどん廃業に追い込まれているのに、それ等の車を買った人は、いったいどのようにして燃料を手に入れることになるのだろうか、ということです。

この国の自動車業界は、過去の成功体験に縛られて、まだまだガソリン車を売り続け、環境改善については、HEV程度でお茶を濁すつもりのようですが、彼等ははたして、『進むを知って、退くを知らない』この国の為政者がかつて一億玉砕の道を択ばざるを得なかったのを知らないのでしょうか。　それとも『進むを知って、退くを知らない』のは、この国の国民性なのでしょうか？

『進むを知って、退くを知らない』、原典を見ながら考えてみましょう、――

要するに、『高みに登りつめるのは容易であるが、登りつめた高みより降りるのは非常に難しく、聖人のみがよくなし得る』、ということです。　メルセデスやVWはそのことをよく知っているので、天に祈りながらEV化を推し進めているのですが、はたしてメルセデスやVWの指導者に匹敵する指導者が、この国には存在するのかどうか、非常に気になるところではないでしょうか。

テスラのCEOイーロン・マスクは、テスラは2030年より手前で２千万台を生産するつもりだ、と語った（ CEO Elon Musk said Tesla expected to produce 20 million electric vehicles per year before 2030. ）そうですが、――

時価総額72兆円のテスラに対して時価総額32兆円のトヨタ。

トヨタの社長豊田章男は、これに関してインタビューを受けこう語った、――

――『わたし達にあり、テスラにないものは、世界中に販売された１億台を超える稼働中の車輌です。（ "What we have and what Tesla doesn't have is the units in operation — more than 100 million vehicles out in the world," he said, before launching into the food-service simile. ）』

――『テスラのビジネスは、わたしに言わせれば、ビジネスのようなものです。キッチンとシェフから類推することができるでしょう。わたしが思うに、キッチンとシェフというのは、彼等はまだ実質的なビジネスとか、実際の世界を創りだしていないからです。ただ彼等はレシピを売りだそうとしているに過ぎません。しかしながら、シェフはこう言っているのです、’さあ、これで我々のレシピが未来には、世界の基準となるぞ’と。わたしが思うに、それが彼等のいうビジネスなのです。（ "Tesla's business, if I can say, is a business is like a -- you can use analogy of kitchen and a chef, I think," he continued. "The kitchen and the chef, they have not created a real business yet or a real world yet, but they're trying to trade the recipes. And the chef is saying that, 'Well, our recipe is going to become the standard of the world in the future.' I think that is the kind of business they have."）』

テスラは何でもいいから自動車を売って利益を稼ぐような会社ではありません。

テスラの社是を見てみましょう、――

両者の意識の差が時価総額に現れているのです、お分かりいただけましたか？

トヨタにはなんとか頑張って欲しいところですが、‥‥勝てる訳がないじゃないか!!!