続々、最後のオタカラ


今年もはや残り三ヶ月と相成ります。分数で言えば3/4が過ぎ去って1/4が残ったということですので、老人にとっては、「無常迅速、時人を待たず」を地で行くようなもので、まさに心細さもいっそう増そうかというところですが、生憎老人は大智度論の訳業という大事を抱えており、日日繁忙を極めて余念がありませんので、気が滅入るとか、先のことが心配で夜も眠られないというような贅沢な悩みを味わっている余裕がございません。



老人の日常はおよそ上記のとおりですので、万年Bクラスのくずチームを優勝に導いてくれた大恩人の監督を追い出すような偏向新聞のへっぽこ記事などは、およそ目に入れているような暇はございませんが、それがドナルド・トランプで盤石のはずだったアメリカ大統領選が、コロナ騒ぎのせいで結果が怪しくなりまして、ただそればかりが気になって朝刊を眺めておりますと、なにやら彼のシャルリ・エブド( Charlie Hebdo )がまた襲われて、フランスのマクロン( Emmanuel Jean- Michel Frédéric Macron )大統領が「フランスには、他人の宗教に悪口を言って嘲る自由も、またあるのだ( il y a aussi en france une liberté de blasphémer ≒ there is also in France a freedom to blaspheme )」と言ったという記事が出ております。俗に「人の口に戸は立てられぬ」と言われているように、立てがたく、立てる必要もない戸を立てようとするから、風通しが悪くなって息苦しくなるのであり、生きがたくなって犯罪が陰湿化するのであり、世の中がヘイトだヘイトだと騒ぎ立てるが故に、ろくろく言いたいことも言えないような社会ができあがるのであって、こうなれば、宣伝に乗せられやすい庶民など、政府の思うがままに操られることになるのだ、という老人の思いを、はるばるフランスの大統領に応援していただいたようで、老人は思わず欣快を叫んだのでありますが、‥‥

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箱が入れ替わっていてはっきりとは分かりませんが、小ぶりの茶碗の作風から二代久世久宝の作と見ましたがいかがでしょうか?窯疵が金で繕われており、銀が真っ黒に変色しておりますので、使用するにはやや難ありといったところですが、抑えた色気が匂い出るようで、気に入っています。



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銘:萩の露(川村屋賀峯)

では、今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう。
  (続々、最後のオタカラ  おわり)

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