ロックダウン（ lock-down ）という言葉を耳や目にする機会が、最近増えてきたように思いますが、英語辞典（ Oxford Advanced Learner's Dictionary ）によれば、危険な状態にある国民や、乗り物の移動を制限する政府の命令（ an official order to control the movement of people or vehicles of a dangerous situation ）とあります。

この国でも遅まきながら緊急事態宣言が発令されたようですが、なぜかロックダウンされたわけではなさそうです。この国は、コロナ禍をロックダウンなしで乗り越えようとしているように見えますが、はたして、それは可能でしょうか？　緊急事態宣言とは、危険な状態にある国民を護るため、その被るところの損害を最小限たらしめるために、国民に、その災禍の多寡、種類は何か、その払うべき犠牲とは何か、今、なぜそれを払わなければならないのか、それはいつまで払い続けなければならないのか等を諄々と諭し教えて、その取るべき道を自覚せしめるために発令されるものであるはずですが、今の政府はその責務を果たさず、ただ無意味な宣言を発令したようにしか見えません。

諸外国では軍隊や、警察を総動員して、衆人の移動を最小限たらしむべく努力しているというのに、ほんとうにこれでコロナを抑えられるのでしょうか？

老人の心は、ざわざわと騒ぎたて揺れ動いて、落ち着くようすは、さっぱり見えません。心配ですね、‥‥

閑話休題、さて、ここに取り出だしましたるビロードの篋‥‥、相変わらずのまずい口上で申し訳ございませんが、なにしろ舞い上がっておりますものですから、どうぞご勘弁を、‥‥

ということで、まずはとくと御覧になってくださいませ、と申したいところでございますがね、‥‥なにせ、ビロードというものは、写真に撮ると、なぜこうも黒くなってしまうのでしょうかね、ほんとうの色は美しい江戸紫なのですが、まあなにはともあれ、中身の方を御覧に入れましょうかね。

御覧ください、金無垢ですよ！金無垢！‥‥もう何年も夢に見てきたエバーシャープの金無垢万年筆！‥‥漆黒のエボナイトと金無垢のキャップ、実に美しい万年筆だとお思いになりませんか？‥‥金無垢の万年筆に、金無垢のシャープペンシルがビロードのケースに包まれて、新品同様、傷一つない無垢の輝きを放っているのを、もう何年夢に見てきたことか、‥‥

政府のお蔭ですねぇ‥‥棚ぼたの十萬金がなければ、貧乏な老人にはとうてい買えるものじゃあございませんのでね‥‥何でも安倍首相が、公明党の進言を採用したのだとか、どうだとか‥‥いづれにしても案外悪い人じゃないのかも知れませんねぇ‥‥。

Eversharp社の"Skyline"という、このモデルは1941 ~ 1948年製造で、やや短命でしたが、同ブランド中の白眉であり、最もデザインの優れたものだと言っても過言ではありますまい。　その優美なデザインは大戦前後のアメリカがいかに裕福な国であったかを彷彿させて余りあり、老人の深く欲して止まぬところだったのです。

写真で分かりますかな、黒い軸の頚の部分がペン先の方から徐々に太くなりながらスクリュー部分を通りすぎますと、腰の辺りで一段急に太くなっていますね、そこから尻に向かって緩いカーブを描きながら、また徐々に細くなっていますが、このデザインはですね、尻にキャップをかぶせないで使うときは、スクリューより前に指先をおき、キャップをはめたときは、腰の膨らみの辺りに指先をおくと、ちょうどバランスが取れて、意識することなく理想的筆圧が保たれ、必然的に美しい文字を書くことができるということなのですな、‥‥美しいものは、その用途においても優れている、とは普遍的真理なのかも知れませんな‥‥。

シャープペンシルはノック式で、古い芯が数本入っていますが、非常に色の薄い文字しか書けませんので、ただいま適合する芯を調達中です。消しゴムは赤色のゴムですが、まだ硬化せず使用可能です。

万年筆に注入するインクの色をどうするかは、一番の悩みどころですが、ケースと同じく江戸紫を入れてみました。ペンとはうまくマッチしましたが、はたして実用になるかどうかは暫時使い続けて見なくては分かりません。もしダメだったら、手持ちのロイヤルブルーを入れるつもりです。