今流行の新型コロナウィルス( Novel Corona-Virus )による呼吸器疾患は、以前大流行した SARS によく似ており、当時も、今と同じく、"新型コロナウィルス"
と呼ばれる病原によって発症するものと言われていた。 SARS、即ち重症急性呼吸器症候群( severe acute respiratory syndrome
)は、2002年11月に広東省に於ける発症に端を発し、2004年4月の北京、及び安徽省に於ける発症例を最後に以後認められていないが、その凡そ1年半の間に全世界で8000人余りが発症、800人足らずが死亡しており、致死率は9%以上と考えられる。
前の SARS は、潜伏期間が2~10日、平均5日であったものが、今回は、それより更に遅く、恐らく平均10日、乃至2週間ぐらいではないかと言われているが、潜伏期間中にも伝染力があり、急性であるSARSよりも、遅発性の今回の疾患の方が、世界的流行(
pandemic )となりやすいということである。
武漢で12月8日に最初の症例が確認されてから、1月30日までの約2ヶ月間に、中国全土に伝播して7711人が感染し、170人が死亡したということであるが、死亡率こそ
SARS に及ばないものの、その感染力は SARS をはるかに凌駕して、まさに恐るべきものがあると思わざるをえない。
そのような中、この国の政府は、専用機を武漢に飛ばし、帰りそびれた邦人を連れ戻したのであるが、いづれも隔離されたわけではなく、野放し状態にあるようである。 勿論、野放しなどというような、まるで猛獣でも指すかのような不穏な言葉は、使いたくて使うわけでない。 しかしながら、万が一にも虎が野に放たれたとしたところで、撃ち殺してしまえばそれで済むことであり、その危険性などはたかが知れている。 どちらがより危険かは言わずとも知れようものではないか。 それなのに、この国の人は、虎が野に放たれれば大騒ぎするにきまっているのに、パンデミックを恐れないのであるが、『その無知は、まさに宜しく笑うべけんや』、である。
外国を例にとれば、不確実な情報ながら米国はカリフォルニアの空軍基地内に、武漢より政府チャーター機で救出した全員を隔離し、オーストラリアはクリスマス島に、韓国は政府施設内に、それぞれ症状がでていなくても、2週間程度隔離して、経過を観察するそうであるが、それが世界の認識であろう。
パンデミックよりは風評被害だか、何だかを恐れるとは、まさにこの国らしいといえば、これほどこの国らしいこともあるまい。 インターネット等で得た情報を受け売りする以上のことは、老人の力の及ぶところではないにもかかわらず、あえて恥を晒すのは、ただパンデミックを恐れるからである。
老人は不要の外出を避け、マスクなしでは一歩たりとも外に出ないつもりですが、皆様方にも、是非、老人のようになさっていただきたいものと、切に願っております。
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