春花初笑


今月も、題材不足に悩んでいると、新聞紙上の鮮やかな色彩と、「わたしは、あまり気にしていない。なぜ、皆がこの問題で騒いでいるのか解らない」、というような文面とが、老人の眼を引いた。

その鮮やかな色彩で描かれた漫画中の人物が、全豪オープンで優勝した”大阪なおみ”であることは、ひとめで確実であるように思われたが、ただ白人のように描かれているので、よく見ると違う人のようでもあり、あまり気持のいいものではなかった。

老人には、これだけで記事を読まなくても、どのような問題が起きているのか理解できたが、それでもなお、「なぜ、皆が、この問題で騒いでいるのか解らない」、という言葉には判然としないものがあり、老人の読み間違いかなと思って、記事を読んだところ、どうも老人の思い違いではなさそうである。

しかし、「肌の色」の問題は、欧米に於いては、甚だデリケートな問題であり、「なぜ、この問題で騒いでいるのか解らない」、というような事柄ではないはずである。 その事は老人の念頭を、暫の間ではあるが、去らずにいた。

ところが、今日になって、まあ、こんな事ってのもあるものなのか、それがまったくの誤訳だったんだそうで、「But I think for me...I don't...like, I get why people would be upset about it.(しかしわたしは思うのだが、‥‥わたしは‥‥、おそらく、わたしには、なぜ、人々がその事について騒いでいるのかは、解っているとおもう)」という言葉の中から、「I don't」と、「get why」以下とが、ひとつに繋がって、「I don't get why...」と聞き違えたそうであるが、「時事通信社」の、その聞き違えた記者も記者だが、その記事を受けた各新聞社も新聞社である。彼等は、そこに何等疑うことなく、そのまゝその記事を採用してしまったというのだが、そのような事があってよいものだろうか???、‥‥

老人すら、何か変だと思わずにいられないほどのデリケートな問題も、大新聞に於いては、「さすがは、大人の対応だな」、とでもなるのだろうか???、‥‥ 外国事情に通じた者が誰もいないほど、ひどい人材不足におちいっているのだろうか???、‥‥黒/褐色の肌を脱色( whitewashing )しても不都合はないとした、「日清食品広報部」も、また同罪である、はたしてそこまで人材が払底しているのか???、‥‥まさに「此の国の先行きは、お先真っ暗」ではないだろうか、‥‥。

まさか、「白いのを黒くしたんじゃあるめえし、黒を白くしてどこが悪いんでぇ」、とでも思ったのか、‥‥。冗談じゃない! 彼女であろうが、誰であろうが肌の色は、彼女、或いは彼れ自身の所有であり、彼女、或いは彼れ自身の個人的問題でしかない。それを好くか、好かないかは誰にも自由であるが、それを口に出して言う権利、或いはその気持を人に知らせるような権利は、彼れ、或いは彼女以外の誰にも属していない。それが常識っていうものなのである。

彼女は、「For me, it's obvious, I'm tan. It's pretty obvious.(わたしにとって疑もなく、わたしは褐色です。かなり明白に!」と言っているが、その言葉の中に於いて明白にされた、上の意味が解らなければ、いくらグローバル時代だからといったって、国際社会で通用するはずがないではないかと、このように老人は思うのですが、‥‥。



可愛らしい「梅の茶碗」、‥‥この茶碗で、お茶を飲みながら、鴬の初音を待つことにしましょう‥‥。ホーホケキョ、ケキョケキョ、‥‥




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(ロールケーキ・モカクリーム:自家製)



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では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう
  (春花初笑  おわり)

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