清朝滅亡後、日本は国民政府より満州の地を租借して、彼の地の興隆に尽力したのでしたが、魔が差したとでも言えばよいのでしょうか、関東軍の指導の下、旧清朝皇帝の溥儀を立てて独立を宣言し、満州国を竪立してしまったのです。当然の事ながら国民政府も黙ってはいません、国際連盟に提訴することになり、ついに国際連盟はリットン調査団を派遣することになったのですな。そこで事情を調査したところ、リットン氏は次のような結論を導くに至ります、「満州国建国は不法であり、政権は国民政府に帰属すべきであるが、日本の莫大な投資に基づく、南満州鉄道、及びその他の権益は日本に属するものとするのが、適切である」という、まことに酸いも甘いも噛みわけた落し所で、これで満足しなければ、いったい何が目的なのかといった所でした。ところが、この国は、それ以上を望むのは無理であり、無謀であったにもかかわらず、全部を手に入れられなければ、連盟を脱退するまでだと、子供がだだをこねるようにして飛び出してしまったのですな。
それ以後は皆様ご存知の通り、太平洋に於いて艦隊を潰滅させられ、島嶼部、及び沖縄までも取られますと、なんとか本土決戦だけは避けたいと、各国にアメリカとの仲介を模索するも、誰がお前なんかのために苦労したいものか、と一顧だに与えられず、ついには日本全土を焼け焦がす焼夷弾の雨を霰のように受けて、更に広島、長崎に原爆を喰らうにまでに至ったというのが結末なのです。はてさて、いったいこの国は、懲りるということを知らないのでしょうか、‥‥。
この国の人は、人に意見されるのを好みません、「人のする事に、他人がいらぬ口出しをするな」とばかりに、親切な忠告すら受け容れようとしません、この国の病弊ですな。お互いに注意したいものです。過去の悲惨事を繰り返さないために。歴史は、己れを省みるためにあるのです、歴史に学びましょう。
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