山水香炉


耳から先に入った外国語なんどは、漠然とした意味が分かれば、それで大抵は事が済みますので、敢て辞書を引くというような手間を掛けることは余りございません。それで、何気なく使ったりいたしますと、説明の仕様に困ることにもなりかねませんので、一度ぐらいは辞書を引くよう心掛けてはおりますが、なかなか思い通りに行かないのが凡人の常でございまして、パラダイムシフト( paradigm shift )という英語の意味も、解っているつもりで、正確には知りませんでしたので、辞書を引いてみますと、――
パラダイム‐シフト【paradigm shift】:ある時代・集団を支配する考え方が、非連続的・劇的に変化すること。社会の規範や価値観が変わること。例えば、経済成長の継続を前提とする経営政策を、不景気を考慮したものに変えるなど。パラダイムチェンジ。パラダイム変換。パラダイム転換。発想の転換。(デジタル大辞泉)

paradigm shift:a time when the usual and accepted way of doing or thinking about something changes completely.(通常受け容れられてきた行為、或いは何物かに関する思考の方法が、完全に転換する時。) (Cambridge English Dictionary )

paradigm shift:A fundamental change in approach or underlying assumptions. (状況や問題を処理する方法、或いは基底的仮説の根本的転換。)(Oxford English Dictionary )
このように、言っていることが皆、違うところが、困ったところでございますが、英語が一番解りやすいところから、しばらくケンブリッジに依ってみますと、何か思いあたることがございます、――
音楽と言えば:LP――>CD――>スマホ
映画と言えば:磁気テープ――>DVD
テレビと言えば:ブラウン管――>液晶
カメラと言えば:フィルム――デジタル・メモリー

なるほど、こう言うことだったのか!――老人がいつのまにやらパラダイム・シフトの波に押し遣られて、時流に取り残されていたのは、この言葉を正確に把握していなかったためなのか!――この言葉を知っていれば、時代を先取りして、無駄なお金を使うこともなかったのに、‥‥


米GM:1万4000人余り削減、7工場閉鎖の方針-19年末までに
  11/27(火) 1:45配信 Bloomberg

  米ゼネラル・モーターズ(GM)は2019年末までに月給制スタッフや工場労働者1万4000人余りを削減し、米国内外の工場7カ所を閉鎖すると発表した。電気自動車や自動運転車の分野に経営資源を集中する。

  GMは26日の発表資料で、同社と労働組合が米国の4工場とカナダの1工場での業務増加で合意できない場合、これら5工場は19年末までに閉鎖される可能性があると説明した。さらに北米以外でも2工場を閉鎖する。工場閉鎖のほか、売れ行きが低調な一部セダンの生産も打ち切る方針。この計画発表を受け、米市場でGM株は急伸した。

  今回の人員削減計画は、7-9月(第3四半期)決算が予想外に力強い内容となる中で発表された。自動車需要の減少や中国での販売低迷を受け、GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は事業のスリム化を進めている。今後は電気自動車や自動運転車に経営資源を集中させたい考えだ。

  バーラCEOはデトロイトで記者団に対し、「経済が力強いうちにこうした措置を講じる」と説明。「この業界は極めて急速に変化している。確実に好位置に付けるようにしたい。会社に力があり、経済も力強い状況でこうした措置を実施するのは適切なことだと考えている」と述べた。

  GM株は一時7.9%高の38.75ドルと、7月以来の高値を付けた。


大企業の経営者は、常に時流の先読みをしなければ生き残れないことを肝に銘じていなければならないのは、当然のことですが、まして景気の良い時には、先の不景気を読み取るのは、甚だ難儀でありますので、この時代、大企業の経営者には、生中な者にはなかなか務まり難く、定めし針のむしろに坐しているがごとき心持でおられるのだろう、常々思っておりますが、シャープ、東芝の例を引くまでもなく、中には案外そうでない方達もいらっしゃるようにも見受けられます。


電気自動車(EV)の波は、規模において他の者とは格段に違っていると思わねばなりませんが、それを乗り越えるだけの力量をもつ方々が、GMの現経営陣中には、どうやらいらっしゃるようで、甚だ結構なことだと存じますが、はたして国難とも言うべき、この困難を迎えるにあたり、わが国ではどうでしょうか、老人にとっては、ただの高みの見物だでは済まされないような影響を受けるのではないかと、密かに危惧する次第でございます。




今年の紅葉は、どうだったのか、――老人はつい忙しさにかまけて、一度は行かねばと思いながら、図らずも見逃してしまいました。 そこで秘蔵の「紅葉香炉」を取り出だし、人跡疎な祕境に、しみじみと心を馳せて、もみじ狩りなどした積りになっておりますが、‥‥単純ながら趣のある山水が、いつの間に老人を夢と現のはざまに誘い入れたものか、念中には時の経過が、すっぽりと欠け落ちております。







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(自家製 あんパン)  

Merry Christmas
&
Happy New Year
では、今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう。
  (山水香炉  おわり)

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