如上、見てきたように、 電気自動車 EV はガソリン等の内燃機関自動車を圧倒している。プリウスを代表とする電気モーターとガソリン・エンジンを併せ持つようなハイブリッドや、プラグイン・ハイブリッドの出る幕は、もはや存在しない。ましてガソリン、ディーゼル等の内燃機関が一世代前の遺物になりさがったのは、言うまでもない。性能もテスラのモデルS
は、停止から100㎞に達するまで、2.7秒しか必要としない。ベンツもBMWも顔色なしである。運動性能も、操縦性も、どのようなスポーツカーよりも優れている。値段は、テスラのモデルS
は新車で1200万円~1700万円、展示車で850万円であるが、維持費/メンテナンス費用+故障時費用が非常に少ないことを鑑みれば、ベンツの Sクラスや、BMWの7シリーズよりむしろ安いぐらいである。
今トヨタは、水素を燃料電池として電気を発生させ、電気モーターで車輪を駆動する自動車を開発中であり、政府も購入補助金を出したりして必死であるが、水素スタンドを新設するには費用が掛りすぎるし、既存のガソリンスタンドではガソリンと水素を兼ねられるだけの余地がない。もし奇特な人がいて、燃料電池車を購入したとしても、性能は貧弱であり、数少ない水素スタンドまで出むいて水素を充填しなくてはならないので、たとえ燃料電池自動車のCO2
排出量が 0 だとしても、ユーザーとしての直接的利点とはなり得ない。要するに、もし水素が有り余っていれば、発電所で電気に変換すればよいのである。水素ローリーがうろうろ走り回る必要もない。水素は水を電気分解すれば、容易に製造できるが、現在は石油/石炭より抽出する方法が主であり、電気分解法ではコストが掛りすぎるようである。燃料電池というものが、世の中にどのように役立つかは未知数であるが、少なくとも自動車に載せる必要があるとは思えない。発電しながら走るようでは、エネルギーの供給がスムーズに行くはずがないからである。
世界的に自動車業界は、現在の体勢を維持せんとして、電気自動車の欠点をあげつらっているように見えるが、変革の時期は目前に迫っている。この国の自動車業界も、相当の覚悟をもって変革に臨まなければならない。決断が遅れて、無駄な開発に無用の資本を投ずれば、必然的に坐して死するを待つだけである。自動車会社だけでなく、それに連なる多くの下請けも同様である。我が国の会社運営は、合議制であり、未曽有の改革に適するものではない。はたして、自己をして改革することができるのだろうか?わが胸中には、黒い不安が蟠まっている。
以上はネット上に垂れ流される記事の受売りと、記憶という貧弱な媒体上の情報とをない交ぜにしたパッチワークに過ぎない。かるが故に読者には直ちに鵜呑みされないよう切に願うが、また読者が何かを考える端緒となればよいとも願っている。
|