エッグ・ベネディクト
うれしいひなまつり
             サトウハチロー作詞
             河村光陽作曲

 
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り

お内裏様と お雛様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顔
 
金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣

着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも 晴れ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り

三月ともなりますと、やはり気分が浮き立つともうしますか、‥‥
女の子のお祭りなのに、老人は昔から雛人形が好きでしてね、
有職雛とまではいかなくても、手の平に載るぐらいのでしたら、許されるのでは‥‥
ということで、今年もやっぱりお雛さまを飾ってみました。

アラン( Alain )の幸福論( Propos sur le bonheur )によれば、人間の不幸とは、どうやら「手足を動かさないことに起因する」、のだそうですが、この頃の世界中に満ちている、不寛容や不安の引き起こす怒りの原因も、その本をたどれば、案外そんな所にあるのかも知れませんね、‥‥。

少しアラン張りに推考してみましょう、――世の中が便利になればなるほど、あらゆる事が自分の手を離れて遠くで行われることになりますが、それは見えない所で行われているが故に信頼が失われやすく、人の心に不安を引き起こさざるをえません、‥‥そしてその不安ゆえに被害意識が増強されて不寛容が引き起こされますと、それは「怒り」として心中に蓄積されることになりますが、‥‥それが、やがて不幸を招くことになる、‥‥と。
極めて幼稚にして粗雑な推論に過ぎませんが、自然というものは本来卑近であるはずです、案外正解に近づいたのではないでしょうか、‥‥。

そんな訳で、今月は少しでも幸福になるために、パンを作ってみることにしました。
スーパーなどで、市販の食パンを手にし、至細に成分表を眺めてみますと、薬品の名ばかりで、それこそ不安に駆られそうになりますが、自分の手で作れば、そのような不安からは解放され、少しだけ幸福になるのは間違いありません。

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イングリッシュ・マッフィン( English Muffin )を作るのは、とても簡単です。
味、食感等はベーグル( Bagel )に似ていますが、もっと簡単に作れ、しかも中央に穴が開いていないので、何か載せて食べる時には、大変重宝します。

併せてイングリッシュ・マッフィンの有名な食べ方のエッグベネディクトも、お知らせします。
≪作り方:5個分≫
≪材料≫
  1. 強力粉:200g
  2. ドライイースト:3g
  3. グラニュー糖:4g
  4. 塩:4g
  5. バター:4g
  6. 牛乳:20g
  7. 水:130g
  8. コーンミール(とうもろこし粉):大さじ2杯
  9. セルクル(Φ9㎝×3㎝):5個、又は牛乳パックを3㎝幅に輪切りしたもの5個
≪作り方≫
  1. 上記1.強力粉~7.水をボールに入れ、ざっと混ぜる。
  2. 作業台に中味を移し、摘んだり、引っ張ったり、叩いたりして、約15~20分間働きかける。
  3. 材料が手にくっつかなくなり、艶が出てきたら、玉状にしてボールに入れ、濡れ布巾を掛けるか、ビニール袋に入れるかして、外気を遮断し、20℃~40℃の範囲に温度を保ちながら、約60分、2倍になるまで発酵させる。
  4. ボールの中味を、作業台に載せ泡をつぶして、ガス抜きをする。
  5. 全体の重さを量り、1~2gの誤差で5等分し、それぞれ球状に丸めて、作業台の中央に隣同士が着かない程度の間隔を置いて濡れ布巾を被せ、15分間休ませる。
  6. 天板にオーブンシートを敷いたら、セルクルを並べ、大さじ1杯分のコーンミールを茶漉しを使って、セルクルの中に振る。
  7. 休ませてあった生地を再度球状に成形し、セルクルの中央に置いて、上から押え、やや平らにする。
  8. セルクルの上にオーブンシートを被せて、その上に天板を載せて重しにする。
  9. 2枚の天板ごと、上記の温度の中に置き、セルクルに7~8分目になるまで、約40分間発酵させる。
  10. 9.の発酵の間を利用して、オーブンを200℃で余熱する。
  11. 重しの天板とオーブンシートを除いて、大さじ1杯分のコーンミールを振りかけ、再度オーブンシートと天板を載せ、200℃の温度で、12~15分ぐらい焼く。
  12. 焼き上がったら、セルクルを取り除いて出来上がり。
  13. 食べる時、魚をおろすように、上下二枚に割り、必ずトーストしてから食べる。


≪エッグ・ベネディクトの作り方≫
≪オランデーズ・ソースの作り方≫
  1. 卵黄1個とレモン汁大さじ1杯とをボールに入れ、泡立て器でよく混ぜる。
  2. 50~60℃の湯煎に掛け、泡立て器でかき混ぜながら、溶かしバター40gを滴々とたらして加える。
  3. 塩と、粒胡椒の挽いたものとを、それぞれ一つまみづつ入れて味を整える。
≪ポーチド・エッグの作り方≫
  1. 鍋に1リットルの水を沸かす。
  2. 卵1個を、茶碗に割り入れる。
  3. 湯が沸きあがったら、酢大さじ2杯、塩小さじ1杯を加えて火を弱め、お玉で渦巻きを作る。
  4. 渦巻きの中心に、茶碗の卵1個を静かに入れる。
  5. お玉で補助して浮かせながら、鍋底に卵がくっつかないようにする。
  6. 卵を湯に投入して、2~3分で白身が固まったら、周遍に散らばった分をお玉で除けながら、中心のまとまった部分をすくい取り、ペーパータオルの上で水気を切る。
≪盛りつけ≫
  1. マッフィンを二枚に割って、トーストする。
  2. ハム1枚を少量のバターで香ばしく焼く。
  3. マッフィンにハムとポーチドエッグを載せ、オランデーズ・ソースを掛ける。

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次は、イングリッシュ・マッフィンの生地で作る葡萄パンです。
普通の食パンよりも上質な食味ですが、固くなるのが早いので、焼き上がった日と、次の日は、そのままでも食べられますが、その次の日には、もうトーストして食べなくてはなりません。万物通有の性質、即ち一長一短ですかな、‥‥。

トーストしてゴルゴンゾーラや、ロックフォール等のブルーチーズを載せると、最高です、‥‥。


≪材料:1斤の食パン型1個分≫
  1. 強力粉:250g
  2. ドライイースト:4g
  3. グラニュー糖:5g
  4. 塩:5g
  5. バター:5g
  6. 牛乳:25g
  7. 水:160g
  8. 干し葡萄:100g
  9. シナモンパウダー:小さじ1杯
≪作り方≫
  1. 上記1.強力粉~7.水をボールに入れ、ざっと混ぜる。
  2. 作業台に中味を移し、摘んだり、引っ張ったり、叩いたりして、約15~20分間働きかける。
  3. 材料が手にくっつかなくなり、艶が出てきたら、玉状にしてボールに入れ、濡れ布巾を掛けるか、ビニール袋に入れるかして、外気を遮断し、20℃~40℃の範囲に温度を保ちながら、約60分、2倍になるまで発酵させる。
  4. 型にバター(分量外)を塗る。
  5. ボールの中味を、作業台に載せ泡をつぶして、ガス抜きをしながら、型の幅に合わせて長方形にする。
  6. 上下両端を除いてシナモンパウダーを振りかけ、干し葡萄を載せ、ロールケーキ状に巻いて、最後の部分を抓んで接着する。
  7. 合わせ目を下にして、型に入れる。
  8. 膨らみが型の上端よりやや下になるまで、約1時間発酵させる。この間にオーブンのスイッチを入れて、240℃に余熱する。
  9. 型に蓋をして、220℃で約30分間焼き、焼き上がりの色になったら、型から出して冷ます。



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土筆が出ると、もう春はすぐそこです、‥‥
今年のお花見は、どこにしようかな、‥‥。
では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう。
  (エッグ・ベネディクト  おわり)

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