話は変わりますが、4月24日のAFP BBNews(国際ニュース)に依りますと、次のような気になる記事を伝えています、――
【4月24日 AFP】公には、すしに興味津々の様子を見せた来日中のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領だが、24日のメディア報道によると、実際にはコースを半分まで食べたところで箸を置いたという。
オバマ大統領は23日夜、東京・銀座の三つ星すし店「すきやばし次郎(Sukiyabashi Jiro)」に安倍晋三(Shinzo Abe)首相と共にノーネクタイで訪れ、カウンター席に座った。両首脳の関係を深める機会とされていた会食だったが、TBSの報道によると、大統領は世間話をしたり、すしに舌鼓を打ったりする間もなく、すぐに日米交渉の話を始めたという。
同店のすし職人、小野二郎(Jiro Ono)さん(88)は、20貫ほどのすしを客の食べるペースに合わせて一つずつにぎる。だが「すきやばし次郎」と同じ雑居ビルの地下にある焼き鳥店の店主が「次郎」の店員から聞いた話としてTBSに語ったところによると、オバマ大統領はコースを半分ほど終えたところで箸を置いた。一方の安倍首相は完食したという。2人の会話はかなりフォーマルなものだったとされる。
食事を終えて店から出てきた両首脳は、夕食会は成功だったとコメント。オバマ大統領は報道陣や集まった人たちに対し、「おいしいすしだった」と述べていた。
菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は24日の記者会見で、「大統領はかなりの量を食べた」と述べた一方、実際に何貫食べたのかという質問には回答を避けた。ただ、「大統領の表情から、非常に満足してもらえたと思っている」と話した。(c)AFP
更に、4月26日の日本経済新聞 電子版には次の記事を伝えています、――
オバマ氏「仕事の話ばかり」 首相こぼす
2014/4/26 0:49
安倍晋三首相は25日夜、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官らと東京・銀座のステーキ店で国産牛を食べながら懇談し、同日まで来日していたオバマ米大統領とは「仕事の話ばかりだった」とこぼした。オバマ氏は「ビジネスライク」と言われ、実務的な話を好むことで知られる。首相はオバマ氏を銀座のすし店に招待、親密な関係を強調していた。
まあ政治家としては、ほとんど論外と言っても過言ではないでしょう。
外交というものは、いかに外国の方々と親密なる人脈を形成するかのただ一点に、成果を上げられるか、どうかの鍵がかかっていますので、まず親密な関係を作ろうというところまでは宜しいんでしょうが、寿司屋で一杯やりながらというのは、会社員の接待じゃあるまいし、ほとんど最低の部類で、成果を期待できるどころか、親密な関係を築くことさえ、到底望めず、以後まったく相手にされなくなるのが関の山というぐらいに拙い方法なんですナ、これが‥‥。
そもそも親密な関係というものは、その人個人の人間的魅力の有る無しに酷くかかわってくるもので、その中でも、常識を持ち合わせているかどうかは、不快を感じない為の最低条件なわけで、最低でも常識というものは必要なのです。
では人間関係に於ける常識とは何かといいますと、相手に対する思いやり、これに尽きるのですな、‥‥。上の記事の中でも、オバマ大統領は、重要なサインをしばしば出しています。二泊三日の予定で、夜の到着、羽田に7時30分ごろ着いて、いったんホテルに入り、銀座で会食、この時間割は、誰が見ても、いっしょに飯など食いたくないのサインではないでしょうか?
恐らく、事前の打ち合わせでは、会食お断り、それを日本の首相がどうしてもと言うので、仕方なく、じゃあ寿司屋でなら、ごいっしょしてもよいでしょう、――本来ならここで、いやお疲れでしょうから、次の機会にでも、と言って引き下がる、これが常識というものなんですな、‥‥。
何しろ欧米では、誰か確かな人に紹介されないうちは、決して言葉を交わさないというのが、彼等の文化の基底をなしていますので、先づは一国の首相として、相手に合せた各界の名士を招いて、大統領を主賓とする晩餐会を開き、そこで相手の好む話題を持出したり、これが我が国の相撲界を支える横綱の白鵬です、モンゴルから来ているのですよと紹介したりして、多くの手間暇をかけて、自分の魅力を演出し、気持の良い奴だと、相手に好かれて初めて人間関係が築かれるのですな。
相手の好意を引き出すのに、寿司屋で会食?たとえ3万円の寿司屋だろうと、カウンターのあるような所はフォーマルとはいえませんので、一国の大統領が軽く見られたと感じたとしても仕方のない場所であり、余り親しくない相手を招待するには、最も避けるべき所なのです。
大統領は恐らく、その不快感を表すために、箸を途中で置いて、仕事の話ばかりをしたのでしょう。無礼には無礼を以って報いるのは、最も礼に適った法です。これを「仕事の話ばかりだった」と愚痴るなんざ、常識を知らないから言えることで、それが外に漏れて、世界中にニュースとして飛び交うなんてえのは、どれほど国益を損なうことであることか!、まったく呆れて物も言えません。
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