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チューリップ


  今月は大智度論が早めに片が付きましたので、長らく壁にぶら下がったままのカメラを外に連れ出すことにしました。犬でもカメラでも、忘れたままってえのはあまり宜しくありませんからナ、‥‥。

  公園へ行けば、今頃はちょうどチューリップが満開だろうということで、やって来ましたのが、ここ木曽三川公園、時間は午後の2時20分頃、中天よりさす日の光が、ちょうどチューリップの中に入って、まるで提灯に蝋燭を灯したように、内側から照り輝いております。

  こんな場合、前のカメラは色がみんな飽和してしまいますので、べた一面の赤、赤、赤で、非常にこまりましたが、今回はカメラの設定をビビッドにしても、何とか飽和寸前で踏み止まっているように見えます、‥‥。

  世間の進歩がこう疾いんじゃあ、最新式もあっと言うまに時代遅れ、昔みたく一台のカメラを大切に使い切るという文化は十分価値があると思うのですが、やはり最新式の機能は使いたいので、例えばメーカーに出すと最新式の機能を入れて返してくれるようになれば宜しいんですがね、‥‥。


  ビビッドは前の一枚だけで、この写真以後は設定をニュートラルにして撮ったものですが、影を見ると、前方左上の辺から、光がさしているようですナ、‥‥。


  いや、これは一幅の芸術ではないでしょうか?フランスの点描派といった感じですナ、‥‥。
  しかし、何々のようというんじゃあ、それあ真似でございますからね、‥‥、
  やはり、威張れる筋合いのものじゃあ、ございませんわね、‥‥。


  話は変わりますが、4月24日のAFP BBNews(国際ニュース)に依りますと、次のような気になる記事を伝えています、――
【4月24日 AFP】公には、すしに興味津々の様子を見せた来日中のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領だが、24日のメディア報道によると、実際にはコースを半分まで食べたところで箸を置いたという。

 オバマ大統領は23日夜、東京・銀座の三つ星すし店「すきやばし次郎(Sukiyabashi Jiro)」に安倍晋三(Shinzo Abe)首相と共にノーネクタイで訪れ、カウンター席に座った。両首脳の関係を深める機会とされていた会食だったが、TBSの報道によると、大統領は世間話をしたり、すしに舌鼓を打ったりする間もなく、すぐに日米交渉の話を始めたという。

 同店のすし職人、小野二郎(Jiro Ono)さん(88)は、20貫ほどのすしを客の食べるペースに合わせて一つずつにぎる。だが「すきやばし次郎」と同じ雑居ビルの地下にある焼き鳥店の店主が「次郎」の店員から聞いた話としてTBSに語ったところによると、オバマ大統領はコースを半分ほど終えたところで箸を置いた。一方の安倍首相は完食したという。2人の会話はかなりフォーマルなものだったとされる。

 食事を終えて店から出てきた両首脳は、夕食会は成功だったとコメント。オバマ大統領は報道陣や集まった人たちに対し、「おいしいすしだった」と述べていた。

 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は24日の記者会見で、「大統領はかなりの量を食べた」と述べた一方、実際に何貫食べたのかという質問には回答を避けた。ただ、「大統領の表情から、非常に満足してもらえたと思っている」と話した。(c)AFP

  更に、4月26日の日本経済新聞 電子版には次の記事を伝えています、――
オバマ氏「仕事の話ばかり」 首相こぼす
2014/4/26 0:49
 安倍晋三首相は25日夜、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官らと東京・銀座のステーキ店で国産牛を食べながら懇談し、同日まで来日していたオバマ米大統領とは「仕事の話ばかりだった」とこぼした。オバマ氏は「ビジネスライク」と言われ、実務的な話を好むことで知られる。首相はオバマ氏を銀座のすし店に招待、親密な関係を強調していた。

  まあ政治家としては、ほとんど論外と言っても過言ではないでしょう。
  外交というものは、いかに外国の方々と親密なる人脈を形成するかのただ一点に、成果を上げられるか、どうかの鍵がかかっていますので、まず親密な関係を作ろうというところまでは宜しいんでしょうが、寿司屋で一杯やりながらというのは、会社員の接待じゃあるまいし、ほとんど最低の部類で、成果を期待できるどころか、親密な関係を築くことさえ、到底望めず、以後まったく相手にされなくなるのが関の山というぐらいに拙い方法なんですナ、これが‥‥。

  そもそも親密な関係というものは、その人個人の人間的魅力の有る無しに酷くかかわってくるもので、その中でも、常識を持ち合わせているかどうかは、不快を感じない為の最低条件なわけで、最低でも常識というものは必要なのです。

  では人間関係に於ける常識とは何かといいますと、相手に対する思いやり、これに尽きるのですな、‥‥。上の記事の中でも、オバマ大統領は、重要なサインをしばしば出しています。二泊三日の予定で、夜の到着、羽田に7時30分ごろ着いて、いったんホテルに入り、銀座で会食、この時間割は、誰が見ても、いっしょに飯など食いたくないのサインではないでしょうか?

  恐らく、事前の打ち合わせでは、会食お断り、それを日本の首相がどうしてもと言うので、仕方なく、じゃあ寿司屋でなら、ごいっしょしてもよいでしょう、――本来ならここで、いやお疲れでしょうから、次の機会にでも、と言って引き下がる、これが常識というものなんですな、‥‥。

  何しろ欧米では、誰か確かな人に紹介されないうちは、決して言葉を交わさないというのが、彼等の文化の基底をなしていますので、先づは一国の首相として、相手に合せた各界の名士を招いて、大統領を主賓とする晩餐会を開き、そこで相手の好む話題を持出したり、これが我が国の相撲界を支える横綱の白鵬です、モンゴルから来ているのですよと紹介したりして、多くの手間暇をかけて、自分の魅力を演出し、気持の良い奴だと、相手に好かれて初めて人間関係が築かれるのですな。

  相手の好意を引き出すのに、寿司屋で会食?たとえ3万円の寿司屋だろうと、カウンターのあるような所はフォーマルとはいえませんので、一国の大統領が軽く見られたと感じたとしても仕方のない場所であり、余り親しくない相手を招待するには、最も避けるべき所なのです。

  大統領は恐らく、その不快感を表すために、箸を途中で置いて、仕事の話ばかりをしたのでしょう。無礼には無礼を以って報いるのは、最も礼に適った法です。これを「仕事の話ばかりだった」と愚痴るなんざ、常識を知らないから言えることで、それが外に漏れて、世界中にニュースとして飛び交うなんてえのは、どれほど国益を損なうことであることか!、まったく呆れて物も言えません。



  少しばかり見当外れかも知れませんが、「イギリスは愉快だ」(林望著、平凡社)という大変優れたエッセイ集がありますので、その中の非常に面白い一節を見てみましょう、――
  イギリスの社会学者スティーヴン・メネルは、その著書『All Manners of Food』(Oxford, Blackwell, 1985)の中で、いみじくも次のように述べている(以下、林訳)。
  「メアリー・ダグラスの門下の大学院生がロンドンの労働者階級の数家族について実地調査した結果によれば、tea and biscuitが『食べ物の体系』の一番下位のものであることが明らかになっている。‥‥イギリスの中流階級上層の家庭では‥‥drinksは、親しくもない人、ちょっとした知り合い、もしくは出入りの職人衆というような、つまりは大して親密ではない人々と共にすることがあるが、しかしmealsはそうではない。mealsとなると、それを共にできるのは、家族、親しい友人、それでもなければ名誉ある客人に限られる」
  ここで述べられていることを、もう少し噛み砕いて分り易く言うと、こういうことである。つまり、イギリスの飲食習慣は、大きくDRINKSとMEALSとに分けられる、というのである。で、MEALSすなわち「食事」となると、これはイギリス人の家庭では親しい人としか一緒にはしない。いっぽう、DRINKSというのは具体的には、勤め先やパブ、または自宅で催すこともあるけれど、要するにそれは簡単にワインやせいぜいビールなんぞを飲みながら一、二時間ほど、雑談をする会合のことで、一切食事めいたものは出ない。この種の会合にはちょっとした顔見知り程度の大したことのない知人でも呼ばれるのであって、こういうものに呼ばれたとて、それは彼等の社会に受け入れられたとは言えないのだ。食べ物としてはまぁピーナッツかクラッカー程度のものが用意されるに過ぎず、その社会的意味はいわゆる食事(MEALS)とは全然違うものだということである。つまりDRINKSは「食べ物」という概念には含まれないのである。そうして、ではその「食べ物」という概念の一番下の線はどこに引いたら良いかというと、それがTEA AND BISCUITSだということなのである。この故に、「お茶とお菓子」は、「食事」というカテゴリーの一番下の位に位置するものと看做しうるのである。そうするとすなわち、われわれの習慣では、「お茶」→「ちょっと一杯(酒)」→「食事」という順で親密の度合いが進んで行くのに対して、イギリスでは、「酒」→「お茶」→「食事」の順ということになる。かくて、イギリス人の考える「お茶」というものの位置がはっきるする。それはたとえば労働者階級のような貧しい家庭では、せいぜいビスケットが出される程度だが(中流以上の家庭ではそうではない)、それでも、親しい友人や家族を対象とする親密な「食事」の入口として位置付けられているということである。
  中流上層のインテリ家庭のお茶に呼ばれるとする。これは我々がちょっと考えるよりも随分とものものしいことで、まずは「お茶に御招きします」という文面のちゃんとした招待状が届くであろう。そこで、指定された時間に、その家を訪ねると、しばらくラウンジで雑談ののち、ではこちらへ、というので、ダイニングテーブルに案内される。そこにはアイロンのかかったテーブルクロスにきれいに整えられた食器類を揃えた「お茶の食卓」が用意されているのである。食べ物はもちろん色々で一定しないが、サンドイッチやスコンといったところがいわば定番というもので、そのほかに、パウンドケーキのような乾いたケーキ、シュークリームやチョコレートケーキのような水分の多いケーキ、ショートブレッドやジンジャービスケットのようなクッキーのたぐい、それにチョコレート、砂糖菓子、ゼリーの類と驚くほどたくさんの種類のお菓子が賑やかに食卓を飾るのである。こう多くの種類の菓子を用意するのは、招く方の特に主婦にとっては、それはもう一大事である。これらをあれこれとつまみながら、大量の紅茶(ミルクティー)を飲む、とこれがいわゆる「ティー」であって、その催される時間帯は、概ね午後四時位から二時間ほどである。となると、これはもうまったく満腹し、甘いものに食傷するというもので、それから晩飯を食べようなどという無謀な考えはついに起らない仕掛けである。なるほど、これは食事だ。こういう塩梅ゆえ、イギリス人の家庭では「ちょっとお茶でもいかが」というような、気楽な具合には参らないのである。
と、まあこんな具合ですから、寿司屋で一杯は、エッセイにいう「DRINKS」と、「TEA AND SANDWICHES」との中間ぐらいですので、実に「少し親しい」と、「余り親しくない」との中間ぐらいでという、微妙な立場を端的に表すものであると、それぐらいの常識を心得て国事は為されるべきなのであります。


  しかし代議士を呼ぶのに、「選良」と昔はよく言ったものですが、辞典を引くと、選ばれたる賢人という意味だそうですな、‥‥要するにそんな賢人を選ぶ方も選ぶ方で、この辺で、われわれも少しは勉強というものをした方が良いのかも知れませんね、‥‥。

  そこで、「詩経」などを紐解き、なんとなくぱらぱらと眺めておりますと、いや勉強はするものですな、これは今年一番の白眉にぶち当たりましたかな、彼の孔先生なんぞは、詩経中の鄭風(ていふう)を評して、「鄭声を放て、鄭声は淫なり」とさんざん悪口を言っておりますが、しかし「詩経」の中には、「鄭風」が、今だにちゃんと在るというわけで、先生なかなかやるなとでもいった所でしょうか、やはり真の教育者とは、こうあるべきですな、‥‥。

  「詩経 国風 鄭風」より、「将仲子」です、――

 將仲子兮 無踰我里 
 無折我樹杞 豈敢愛之 
 畏我父母 仲可懷也 
 父母之言 亦可畏也 
仲子に将(こ)う
我が里を踰ゆる無かれ
我が樹杞を折る無かれ
豈に敢て之を愛(おし)まん
我が父母を畏る
仲は懐(した)うべきなり
父母の言は亦た畏るべきなり

  (しょう):なお、猶。のぞむ、欲。こう、請。
  仲子(ちゅうし):兄弟の順を伯、仲、叔、季に別つ。女子も同じ。
  (けい):助辞。韻文の語句の中間又は末尾にそえ、一時語勢をとどめて、更に発揚するに用いる。
  (む):なかれ。禁止の辞。
  (ゆ):こゆ。こえる、越。
  (り):むらざと。居る所の地域。
  樹杞(じゅき):杞樹。かわやなぎ、こぶやなぎ。
  (き):あに。どうして、反語の助辞。
  (かん):あえて。しいて、すすんで。
  (あい):おしむ。惜。
  (い):おそる。目上をおそれる。はばかる、難。
  (かい):したう。
  (げん):ことば。おこごと。
次郎さん、(ホイ)
忍んで、
来るのは、
良いけれど、
柳を、
折るのは、
止しとくれ!
柳を、
惜むじゃ、
ないけれど、
親に、
知られりゃ、
恥ずかしい!
お前を、
懐(しと)うて、
居るけれど、
親の、
小言は、
なお嫌だ!
 將仲子兮 無踰我牆 
 無折我樹桑 豈敢愛之 
 畏我諸兄 仲可懷也 
 諸兄之言 亦可畏也 
仲子に将う
我が牆(かき)を踰ゆる無かれ
我が樹桑を折る無かれ
豈に敢て之を愛まん
我が諸兄を畏る
仲は懐うべきなり
諸兄の言は亦た畏るべきなり

  (しょう):かき。垣根。
  樹桑(じゅそう):桑樹。桑の木。
  諸兄(しょけ):あにたち。
次郎さん、(ホイ)
垣根を、
破るは、
良いけれど、
桑を、
折るのは、
止しとくれ!
桑を、
惜むじゃ、
ないけれど、
兄に、
知られりゃ、
恥ずかしい!
お前を、
懐うて、
居るけれど、
兄の、
小言は、
小うるさい!
 將仲子兮 無踰我園 
 無折我樹檀 豈敢愛之 
 畏人之多言 仲可懷也 
 人之多言 亦可畏也
仲子に将う
我が園を踰ゆる無かれ
我が樹檀を折る無かれ
豈に敢て之を愛まん
人の多言を畏る
仲は懐うべきなり
人の多言も、亦た畏るべきなり

  樹檀(じゅだん):檀樹。まゆみ。
  多言(たげん):口数が多い。おしゃべり。
次郎さん、(ホイ)
庭を、
荒らすは
良いけれど、
檀を、
折るのは、
止しとくれ!
檀が、
惜しいじゃ、
ないけれど、
人に、
知られりゃ、
恥ずかしい!
お前を、
懐うて、
居るけれど、
噂の、
種は、
願い下げ!




  花の写真をアップで撮るときには、要するにうまく蕊に、フォーカスが合っているかどうかなんですが、‥‥この時は、オートフォーカスのままでは、どうしても花びらの縁に合焦してしまいましたので、手動に切り替えて合せました。苦労しましたが、どうやらうまくいったようですネ。


  家の牡丹は、今年も二輪の花を咲かせてくれました、チューリップは幼稚園以来のお気に入りで、いつもチューリップの絵ばかり描いていたものですが、牡丹に関して言えば、花の位というものが解るようになったのは、つい最近のことのような気がしますな、‥‥。実に王者とは、こうあらねばならぬというようなものなんですが、それを語るべき言葉を知りません、もっと勉強しとくんでしたナ、‥‥。


《鯉のぼりの菓子の作り方》
≪求肥餅の作り方≫
  材料:白玉粉50g、砂糖40g、水80cc
  打ち粉:片栗粉50g
1. 白玉粉を水に溶く:最初白玉粉に水を少量入れ、ダマをよくつぶして滑らかになったら、殘りの水を入れてかき混ぜる。
2. 水溶き白玉粉を鍋に入れて火にかけ、弱火で糊状になるまでよく練る。
3. 糊状の白玉粉に砂糖を入れて練る。1度に全部入れると混ざりにくいので、1/3づつ3回に分けて練り込む。
4. 片栗粉1/2をバットに広げ、よく練られた白玉粉を流し入れ、平らになったら、片栗粉をまんべんなく振りかける。
5. 冷えて固まったら、2×5cmに切り分ける。

≪皮(調布)の作り方≫
  材料:小麦粉50g、卵黄1個、砂糖15g、牛乳100cc、
       ベーキングパウダー小さじ1杯。
1. 材料を全てボールに入れて泡立て器で混ぜる。
2. フライパンでサラダオイルを熱する。
3. 油をキッチンペーパーで拭き取る。
4. 濡れ布巾の上にフライパンを1秒間載せ、余分の熱をとる。
5. 杓子1杯分の種をフライパンの上に楕円形に敷き、キツネ色になるまで弱火で焼く。
6. 表面にフツフツと穴が開いたら、裏返して数秒間焼く。
7. 金串、釘の頭、スプーン等を熱して、鯉のぼりの模様を付ける。
8. 求肥を皮で巻く。
追記:
  その後、知ったのですが、――
1. オバマ大統領は明治神宮に参拝した。この時、日本側が安倍首相の同行を打診したところ、米側は日程上の都合をもって難色を示したので、結局首相は同行できなかった。
2. オバマ大統領は寿司屋の非公式夕食会に出席したのみで、首相官邸に於ける公式歓迎昼食会は開かれず、皇居に於ける公式晩餐会のみが開かれた。国賓には首相官邸と皇室のセットでの公式のもてなしが慣例であり、これはかなり異常と言わざるをえない。

  これで、明らかになったこと、――
1. オバマ大統領は、天皇陛下には親しみを感じ、皇室をも尊敬しているので、明治神宮にも参拝し、晩餐会にも出席したが、‥‥
2. 安倍首相には親しみを感じず、尊敬することもできないので、寿司屋では仕事の話のみをして、個人的交際いを拒否し、首相官邸で歓迎されることも肯んじなかった。

  いやあ、これ程はっきりしたメッセージは、かつて聞いたことがありません。これはいよいよ、大国と小国との関係とか、そういう問題ではないことが、はっきりしてきましたナ、‥‥。
では今月はここまで、また来月お会いしましょう、それまでご機嫌よう。
(チューリップ  おわり)