ナイフ、フォークのマナー |
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ナイフは右手、フォークは左手に持ってください。
ナイフは肘を動かして使いますから、もし左手で持てば、左隣の人と、肘がぶつかり合って、非常に不愉快な目に遭います。隣との間に余裕がないことは、よくあることです。決して破ってはならないマナーの一つです。注意しましょう。
ナイフで切り終えて、左右の手のなかの、ナイフとフォークを持ち替えても良いという、国もありますが、基本は最初から最後まで持ち替えないことですから、それに慣れましょう。慣れない者が、持ち替える時に、皿の上に落して、大きな音をさせて、恥をかくことを防いでくれます。
左手でフォークを持つことは、箸を左手で扱うことに比べれば、何でもありません。すぐ慣れることでしょう。基本中の基本と心得て、他の意見に惑わされないように、して下さい。
また、最初に肉の全体を、一口大に切り分けてしまってから、ナイフを置いて、右手にフォークを持って、食べることは、一見、気楽そうですが、食べることのみに熱中しているように、見えますし、味も劣ります。その他にも、いろいろな理由から、お勧めできません。何事も慣れと考えて、是非、基本的なマナーを身に着けてください。 |
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ナイフは刃の中ほどを使います。先のほうには、刃が付いていないのが、普通です。肉を切るとき手首を動かすだけでは無理で、肘を動かすことになりますので、隣とぶつかり合わないよう気を付けましょう。 |
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フォークの基本は、ナイフで一口分を切り取って、それを刺して食べることです。掬って食べることではありません。
そして刺した物を食べる方法ですが、口の下のほうに柄がくるように、フォークを順手で持って下さい。これを逆手に持って、柄が上にくるようにしますと、上にした柄で、顔の真ん中を、二つに割るようで、具合が悪いものです。それに肘も上にあがって、総体的に美しくありません。 |
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フォークで切ってはなりません。オムレツのように柔らかい物も、ナイフで切ってください。もちろん、最初からフォークだけしか出ていない場合は、この限りではありませんが、このマナー集の目的からは、はずれています。
オムレツが、フォークに刺さらないほど柔らかいときは、ナイフを皿の向こう側に置いて、右手の邪魔にならないようにし、フォークを空いた右手に持って、食べます。一口分づつ掻き寄せるようにして食べてください。ナイフとフォークを持ち替えないことが、ポイントです。 |
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フォークに刺した肉を、直接歯をむき出して、取ってはいけません。一旦、口の中に入れて、唇と歯を同時に使って取ってください。 |
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フォークに刺した肉の一部を、咬み取っては、いけません。フォークに刺したものに限らず、咬み取ることはありません。そのためにナイフがあるのです。ただし、骨付きの鳥の足を手に持って、食べるときは、この限りではありませんが、このマナー集の目的からは、はずれています。 |
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フォークに刺した肉に、息を吹きかけて冷ましては、なりません。もし、何にでも、息を吹きかけて冷まして食べる癖があれば、非常に無作法なことであると心得て、意識して、その癖を取ってください。熱いときは、暫く待ってから食べてください。はやく冷めるようにと、その他のいかなることも、しないようにして下さい。 |
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フォークに刺さらないものを、掬って食べる方法ですが、イギリス式は背に乗せて、フランス式は腹に乗せて食べます。ここでも、食べるときに、柄が下になる、イギリス式を薦めます。この方が圧倒的に美しいからです。
しかし、この方法は大きな弱点を持っています。何しろ、フォークの背に物を載せるのは、大変に難しいのです。慣れだけではなく、知恵を使って、クリアしましょう。それは、背に載せた物が、滑り落ちないように、フォークの先に、小さい肉片を刺してから、それを頼りに細々した物を、載せるのです。こうすれば、大抵の物は載せることが出来ると思いますが、もし、それでも滑り落ちるようでしたら、あきらめて、フランス式に切り替えて、何度も失敗することを防いでください。
思い出しましたが、豆などはフォークの背で、潰してからのせるようにすれば、転げ落ちないで済ますことが出来ます。憶えて置いてください。 |
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フォークで掬った物を食べるときは、フォークの横から食べないようにしましょう。
横からしか、食べることが出来ないような物があるとは思えませんが、もし、そのようでしたら、もう食べるのはあきらめて、ください。
フォークとナイフについては、マナーは緩やかです。スプーンの扱いに比べれば、美しさも表現しにくいものです。郷に入れば郷に従えで、人のすることを、よく観察して、美しいと思える人の真似をしてください。ただ、西洋人がして、さほど気にならないことも、吾が同胞がすると、非常に見にくく見えることが、有るということは、よく憶えて置いてください。ソーセージを丸ごと、フォークに刺して、食べるようなことは、例え人がしていても、真似しないでください。 |