【論】釋曰。爾時須菩提白佛言。是般若波羅蜜甚深故。懈怠隨惡知識。種不善根故難信。與上相違。名為信般若波羅蜜。佛可其言。 |
釈して曰く、爾の時、須菩提の仏に白して言わく、『是の般若波羅蜜は、甚深なるが故に、懈怠して悪知識に随えば、不善根を種うるが故に信じ難し。上と相違すれば、名づけて般若波羅蜜を信ずと為す』、と。仏は、其の言を可としたまえり。 |
釈す、
爾の時、
『須菩提』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
是の、
『般若波羅蜜は甚だ深い!』が故に、
『懈怠すれば!』、
『悪知識に随って、不善根を種える!』が故に、
『信じること!』が、
『難しい!』が、
『上に相違して、懈怠しなければ!』、
『般若波羅蜜』を、
『信じることになる!』、と。
『仏』は、
『須菩提の言』を、
『可とされた!』。
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須菩提更問是般若波羅蜜。云何甚深故難信。 |
須菩提の更に問わく、『是の般若波羅蜜は、云何が甚深なるが故に信じ難き』、と。 |
『須菩提』は、
更に、こう問うた、――
是の、
『般若波羅蜜』は、
何故、
『甚だ深い!』が故に、
『信じ難いのですか?』、と。
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佛答。色等諸法無縛無解。三毒是縛。三解脫門是解。是三毒等諸煩惱虛誑不實。從和合因緣生。無自性故無縛。無縛故無解。破是三毒故。三解脫門亦空。 |
仏の答えたまわく、『色等の諸法は、無縛、無解なり』、と。三毒は是れ縛なり、三解脱門は、是れ解なり。是の三毒等の諸煩悩は虚誑、不実にして、和合の因縁より生じ、自性無きが故に縛無く、縛無きが故に解無し。是の三毒を破るが故に、三解脱門も亦た空なり。 |
『仏』は、 こう答えられた、――
『色等の諸法』には、
『縛も、解も!』、
『無いからである!』、と。
『三毒は、縛であり!』、
『三解脱門は、解である!』が、
是の、
『三毒等の諸煩悩』は、
『虚誑であり、不実であり!』、
『和合した因縁より、生じて!』、
『自性が無い!』が故に、
『縛』は、
『無く!』、
『縛が無い!』が故に、
『解』も、
『無く!』、
是の、
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復次取相著法顛倒。一切煩惱等是縛縛法。若實定有自性者則不可解。若實定有誰能破者。若破即墮斷滅中。若取相顛倒等諸煩惱。虛誑不實亦無所斷。 |
復た次ぎに、取相、著法、顛倒、一切の煩悩は等しく是れ縛なり。縛法に、若し実に定んで自性有れば、則ち解すべからず。若し実に定んで有らば、誰か能く破する者ならんや。若し破すれば、即ち断滅中に堕す。若し取相、顛倒等の諸の煩悩、虚誑にして不実なれば、亦た断ずる所無し。 |
復た次ぎに、
『相を取って、法に著し!』、
『顛倒するような!』、
『一切の煩悩』等が、
『縛である!』が、
『縛の法』に、
若し、
『実に、定んで!』、
『自性』が、
『有れば!』、
則ち、
若し、
『実に、定んで!』、
『自性』が、
『有れば!』、
誰に、
『自性』を、
『破ることができるのか?』。
若し、
『自性を破れば!』、
則ち、
『断滅』中に、
『堕ちることになり!』、
若し、
『取相、顛倒等の諸煩悩』が、
『虚誑であり!』、
『不実ならば!』、
亦た、
『断じる!』所も、
『無いはずである!』。
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復次一切心心數法。憶想分別取相皆縛在緣中。若入諸法實相中。知皆是虛誑。 |
復た次ぎに、一切の心心数法の憶想、分別、取相は、皆縁中に在りて縛す。若し諸法の実相中に入れば、皆是れ虚誑なるを知る。 |
復た次ぎに、
『一切の心、心数法』を、
『憶想し、分別して!』、
『相』を、
『取れば!』、
皆、
『縁( assumptions )』中に、
『縛されることになる!』が、
若し、
『諸法の実相中に、入れば!』、
『皆、是れは虚誑である!』と、
『知る!』。
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縁(えん):状況( condition )、◯梵語 kaaraNa の訳、原因/理由/有らゆる事物の原因( cause, reason, the cause of anything )、手段( instrument, means )、動機/原理( motive origin, principle )、有る所生(生産物)に常に先立つ原因( a cause which is invariably antecedent to some product )、要素/構成要素( an element, elementary matter )、劇や詩の構想( the origin or plot of a play or poem )、その上に意見や判断が構築される目印、証拠、法的手段、文書( that on which an opinion or judgement is founded (a sign, mark; a proof; a legal instrument, document) )、感覚器官( an organ of sense )、行為( an action )、作因/手段となるもの/状況/条件( an agency, instrumentality, condition )、[存在の原因]父( "the cause of being", a father )、[創造の原因]神( "cause of creation", a deity )、肉体( the body )等の義。◯梵語 pratiitya の訳、認められた( acknowledged, recognized )、 確証/実験/安楽/慰藉( confirmation, experiment, comfort, consolation )の義、◯梵語 pratyaya の訳、説明/根拠/宗教上の瞑想/着想/信念/確信/協同原因/理解/分析/解決/知性/信頼/習慣/根本的観念或は着想/概念/知恵/信頼/証拠/意識/観念/定義/欲望/仮説/根拠( explanation, basis, religious meditation, idea, conviction, co-operating cause, understanding, analysis, solution, intellect, faith, custom, usagel, fundamental notion or idea, conception, intelligence, trust, proof, consciousness, notion, definition, want, assumption, ground )の義。間接的原因/二次的原因/関連した条件/表面的条件( Indirect cause, secondary cause, associated conditions, causal situation, causal condition )の意。 |
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如上品中說。心清淨相者。即是非心相是縛。空故解亦空。如是等種種因緣故。色等諸法不縛不解。 |
上の品中に説かく、『心が清浄の相なれば、即ち是れ心相に非ず』、と。是の縛は空なるが故に、解も亦た空なり。是れ等の如き種種の因縁の故に、色等の諸法は縛にあらず、解にあらず。 |
上の、
『往生品』中に、こう説かれているように、――
『心が、清浄相ならば!』、
是の、
『相』は、
『心相でない!』、と。
是の、
『縛は、空である!』が故に、
『解』も、
『空である!』。
是れ等のような、
『種種の因縁』の故に、
『色等の諸法』は、
『縛でもなく!』、
『解でもない!』。
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参考:『大品巻2往生品、大論巻40往生品』:『如是舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。得天耳神通智證。是菩薩。如實知他眾生心若欲心。如實知欲心。離欲心。如實知離欲心。瞋心。如實知瞋心。離瞋心。如實知離瞋心。癡心。如實知癡心。離癡心。如實知離癡心。渴愛心。如實知渴愛心。無渴愛心。如實知無渴愛心。有受心。如實知有受心。無受心。如實知無受心。攝心。如實知攝心。散心。如實知散心。小心。如實知小心。大心。如實知大心。定心。如實知定心。亂心。如實知亂心。解脫心。如實知解脫心。不解脫心。如實知不解脫心。有上心。如實知有上心。無上心。如實知無上心。亦不著是心。何以故。是心非心相不可思議故。自性空故。自性離故。自性無生故。不作是念。我得他心智證。除為薩婆若心。』 |
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此中佛自說因緣。色等諸法有為作法。從因緣和合生故。無有定性故。說無所有性。是色等諸法。 |
此の中に、仏は自ら因縁を説きたまえり。色等の諸法は有為の作法にして、因縁の和合より生ずるが故に、定性有ること無く、故に説きたまわく、『無所有の性は、是れ色等の諸法なり』、と。 |
此の中に、
『仏』は、
自ら、
『因縁』を、
『説かれた!』。
『色等の諸法』は、
『有為の作法であり!』、
『因縁の和合より、生じる!』が故に、
『定性』が、
『無い!』。
是の故に、こう説かれたのである、――
『無所有の性』とは、
是れが、
『色等の諸法である!』、と。
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復次色等諸法三世中不縛不解。如破三世中說。是時須菩提。知般若波羅蜜非甚深非不甚深。 |
復た次ぎに、『色等の諸法は、三世中に縛ならず、解ならず』と、三世を破す中に説くが如く、是の時、須菩提は、般若波羅蜜の甚深に非ず、不甚深に非ざるを知る。 |
復た次ぎに、
『色等の諸法』は、
『三世』中に、
『縛でもなく!』、
『解でもない!』。
『破三世』中に、こう説かれた通りである、――
是の時、
『須菩提』は、こう知った、――
『般若波羅蜜』は、
『甚だ深くもなく!』、
『甚だ深くないでもない!』、と。
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如後品中說。若謂般若波羅蜜甚深。則遠離般若波羅蜜。以是故白佛言。世尊惡人以般若波羅蜜甚深難解非謂善人。 |
後の品中に説くが如し、『若し般若波羅蜜は甚だ深しと謂わば、則ち般若波羅蜜を遠離す』、と。是を以っての故に仏に白して言さく、『世尊、悪人の、般若波羅蜜を以って、甚だ深く、解し難きこと、善人を謂うに非ず』、と。 |
『後の品』中には、こう説かれている、――
若し、
『般若波羅蜜』は、
『甚だ深い!』と、
『謂えば!』、
則ち、
『般若波羅蜜』を、
『遠離することになる!』、と。
是の故に、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『悪人』には、
『般若波羅蜜』は、
『甚だ深く!』、
『解し難いです!』が、
是れは、
『善人』を、
『謂うのではありません!』、と。
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参考:『大品巻21方便品』:『須菩提。若菩薩摩訶薩作是念。若能如是行如是修。是行般若波羅蜜。我今行般若波羅蜜修般若波羅蜜。若如是取相。則遠離般若波羅蜜。若遠離般若波羅蜜。則遠離檀那波羅蜜。乃至遠離一切種智。何以故。般若波羅蜜無有著處亦無著者。自性無故。』 |
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惡人者不與般若相應。不一心勤精進。不種解般若波羅蜜善根。隨破壞般若。惡師 |
悪人は、般若と相応せず、一心に精進に勤めず、般若波羅蜜を解く善根を種えず、般若を破壊する悪師に随うなり。 |
『悪人は、般若に相応せず!』、
『一心に精進に勤めることもなく!』、
『般若波羅蜜を解する為め!』の、
『善根』を、
『種えることもなく!』、
『般若波羅蜜を破壊しようとする!』、
『悪師』に、
『随う!』。
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懈怠者。著世間樂不願出世間。如此人若有精進少不足言。諸煩惱亂心故。喜忘善不善法相不破憍慢。不除邪見戲論故。求諸法實相。不知分別諸法相好醜。是名無巧便慧。有如是等惡法故。是人難解甚深般若。佛可其意言如是如是。 |
懈怠とは、世間の楽に著して、出世間を願わざればなり。此の如き人は、若し精進有りても、少なくして言うに足らず。諸の煩悩に心を嬈(みだ)さるるが故に、喜んで、善不善の法相を忘れ、憍慢を破らず、邪見の戯論を除かざるが故に、諸法に実相を求めて、諸の法相の好醜を分別するを知らず、是れを巧便の慧無しと名づく。是れ等の如き悪法有るが故に、是の人は、甚深の般若を解し難し。仏は、其の意を可として、言わく、『是の如し、是の如し』、と。 |
『懈怠する!』者は、
『世間の楽に著して!』、
『出世間』を、
『願わない!』ので、
此のような、
『人』は、
若し、
『精進が有っても、少しなので!』、
『言う!』に、
『足らず!』、
『諸煩悩が、心を乱す!』が故に、
『善、不善の法相を喜んで忘れ!』、
『憍慢の心』を、
『破ることなく!』、
『邪見、戯論を除かない!』が故に、
『諸法の実相』を、
『求めながら!』、
『諸法の相の好、醜』を、
『分別すること!』を、
「知らない!』ので、
是れを、
『巧便の慧が無い!』と、
『称する!』。
是の、
『人』は、
是れ等のような、
『悪法を有する!』が故に、
『甚だ深い般若』を、
『解し難いのである!』。
『仏』は、
『須菩提の意を可として!』、こう言われた、――
その通りだ!
その通りだ!、と。
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問曰。須菩提說中無有魔事。佛說中何以益魔事。 |
問うて曰く、須菩提の説中には、魔事有ること無し。仏の説中には、何を以ってか、魔事を益す。 |
問い、
『須菩提』の、
『仏』の、
『説』中には、
何故、
『魔事』が、
『益されたのですか?』。
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答曰。須菩提直說內外因緣不具足。佛今具足說故。言是人為魔所使。 |
答えて曰く、須菩提は、直だ内外の因縁を説くも、具足せず。仏は今説を具足せんが故に言わく、『是の人は、魔の使う所と為る』、と。 |
答え、
『須菩提』は、
直だ( only )、
『内、外の因縁』を、
『説くだけで!』、
『具足していない!』ので、
『仏』は、
今、
『説を、具足しようとして( to complete the explanation )!』、
こう言われた、――
是の、
『人』は、
『魔に、使われているのだ!』、と。
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佛更欲說甚深難解相告須菩提。色等諸法淨故果亦淨。四念處。是色等諸法果。何以故。觀色等諸法不淨無常等。即得身念處。餘念如上說。 |
仏は更に、甚深難解の相を説かんと欲して、須菩提に告げたまわく、『色等の諸法は、浄なるが故に、果も亦た浄なり』、と。四念処は、是れ色等の諸法の果なり。何を以っての故に、色等の諸法の不浄、無常等を観ずれば、即ち身念処を得ればなり。余の念は、上に説くが如し。 |
『仏』は、
更に、
『甚だ深く、解し難い相』を、
『説こうとして!』、
『須菩提』に、こう告げられた、――
『色等の諸法は、浄である!』が故に、
『四念処』は、
『色等の諸法』の、
『果である!』。
何故ならば、
『色等の諸法』に、
『不浄、無常』等を、
『観れば!』、
即ち、
『身念処』を、
『得るからである!』。
『餘の念』も、
上に、
『説いた通りである!』。
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是中四念處性無漏。斷煩惱為涅槃故清淨。見果淨故知因亦淨。 |
是の中の四念処の性は無漏にして、煩悩を断じ、涅槃と為すが故に清浄なり。果の浄なるを見るが故に、因も亦た浄なるを知る。 |
是の中、
『四念処の性』は、
『無漏であり!』、
『煩悩を断じて!』、
『涅槃と為す!』が故に、
『清浄なのである!』が、
『四念処という!』、
『果が浄である、と見る!』が故に、
『因である!』、
『色等も、浄である!』と、
『知るのである!』。
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問曰。先說觀色不淨無常等得身念處。云何言果淨故知因亦淨。 |
問うて曰く、先に説かく、『色の不浄、無常等を観て、身念処を得る』、と。云何が、『果の浄なるが故に、因も亦た浄なるを知る』と言う。 |
問い、
先には、こう説いた、――
『色の不浄、無常等を観て!』、
『身念処』を、
『得る!』と。
何故、こう言うのか?――
『果は浄である!』が故に、
『因も、亦た浄である!』と、
『知る!』、と。
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答曰。不淨觀是初入門非實觀。是故不入十六聖行。是十六行中。觀無常苦空無我。不觀不淨。淨顛倒故生婬欲。破淨故言不淨非是實。是故不淨不入十六聖行。但是得解觀。 |
答えて曰く、不浄観は、是れ初入の門にして、実の観に非ず。是の故に十六聖行に入らず。是の十六行中に、無常、苦、空、無我を観て、不浄を観ず。浄の顛倒の故に婬欲を生ずれば、浄を破るが故に不浄を言うも、是れ実に非ず。是の故に不浄は、十六聖行に入らず、但だ是れ得解の観なり。 |
答え、
『不浄観』は、
『初入の門であり!』、
『実の観法ではない!』。
是の故に、
『十六聖行』に、
『入ることがない!』。
是の、
『十六行』中には、
『無常、苦、空、無我を観る!』が、
『不浄』を、
『観ない!』。
是の故に、
若し、
『浄顛倒に堕ちれば!』、
『婬欲を生じるので!』、
『浄を破る為め!』の故に、
『不浄である!』と、
『言うのであり!』、
是の、
『色等の諸法』が、
『実に!』、
『不浄なのではない!』。
是の故に、
『不浄観』は、
『十六聖行』に、
『入らず!』、
但だ、
『解を得る為め!』の、
『観なのである!』。
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是般若中不觀常不觀無常。不觀淨不觀不淨等。常無常淨不淨空實等諸觀滅。戲論滅是色實相。色實相淨故果亦淨。 |
是の般若中には、常を観ず、無常を観ず、浄を観ず、不浄等を観ず、常無常、浄不浄、空実等の諸観滅し、戯論滅すれば、是れ色の実相なり。色の実相は浄なるが故に、果も亦た浄なり。 |
是の、
『般若』中には、
『常無常、浄不浄等を観ない!』ので、
『常無常、浄不浄、空実』等の、
『諸観』が、
『滅するのである!』が、
『戯論が滅すれば!』、
『色の実相』は、
『浄である!』が故に、
『果』も、
『亦た、浄なのである!』。
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復次佛此中自說因緣。般若波羅蜜如虛空。畢竟淨無所染污。是般若波羅蜜 |
復た次ぎに、仏は、此の中に自ら因縁を説きたまわく、『般若波羅蜜は、虚空の如く、畢竟じて浄にして、染汚する所無き、是れ般若波羅蜜なり』、と。 |
復た次ぎに、
『仏』は、
此の中に、
自ら、
『因縁』を、こう説かれている、――
『般若波羅蜜は、虚空のように!』、
『畢竟じて、浄であり!』、
『染汚する所( that to be polluted )』が、
『無い!』が、
是れが、
『般若波羅蜜なのである!』。
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觀色等。諸法實相不生不滅。行六波羅蜜。修四念處等。如是可得般若波羅蜜。是般若波羅蜜三種因緣。正觀正行正修。是故言般若波羅蜜淨故。色等諸法淨。色等諸法淨故。般若波羅蜜淨。 |
色等の諸法の実相の不生、不滅なるを観て、六波羅蜜を行じ、四念処等を修す。是の如くすれば、般若波羅蜜を得べし。是の般若波羅蜜の三種の因縁は、正観、正行、正修なれば、是の故に言わく、『般若波羅蜜浄なるが故に、色等の諸法浄なり。色等の諸法浄なるが故に、般若波羅蜜浄なり』、と。 |
『色等の諸法』の、
『実相』は、
『不生、不滅である!』と、
『観て!』、
『六波羅蜜を行じて!』、
『四念処』等を、
『修めれば!』、
是のようにすれば、
『般若波羅蜜』を、
『得ることもできる!』。
是の、
『般若波羅蜜の因縁』は、
『三種であり!』、
『正観、正行、正修である!』。
是の故に、こう言う、――
『般若波羅蜜が浄である!』が故に、
『色等の諸法』は、
『浄であり!』、
『色等の諸法が浄である!』が故に、
『般若波羅蜜』は、
『浄である!』、と。
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所以者何。色等諸法般若波羅蜜。實相中無二無別。不異不別不離不散故不斷不壞。 |
所以は何んとなれば、色等の諸法と、般若波羅蜜とは、実相中には無二、無別にして、不異、不別、不離、不散なるが故に、不断、不壊なればなり。 |
何故ならば、
『色等の諸法と、般若波羅蜜』とは、
『実相』中には、
『無二、無別であり!』、
『不異、不別であり!』、
『不離、不散である!』が故に、
『不断、不壊だからである!』。
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復次如我法乃至十方三世中求不可得。於五眾中。但有假名眾生乃至知者見者亦如是。如我空無所有清淨故。一切法亦如是 |
復た次ぎに、我法の、乃至十方の三世中に求めて、得べからずして、五衆中に於いて、但だ仮名のみ有るが如く、衆生、乃至知者、見者も亦た是の如し。我の如く空にして、無所有なれば、清浄なるが故に、一切法も亦た是の如し。 |
復た次ぎに、
『我法』が、
乃至、
『十方、三世』中に、
『求めても!』、
『不可得であり( being not recognized )!』、
『五衆』中に、
『求めても!』、
『但だ、仮名しか無いように!』、
『衆生、乃至知者、見者』も、
亦た、
『是の通りである!』。
『我が、空であり!』、
『無所有である( nothing existing )!』が故に、
『清浄であるように!』、
『一切の法』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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