【論】復次佛住三事示現。說十二部經者。 |
復た次ぎに、仏は三事示現に住して、十二部経を説くとは。 |
復た次ぎに、
『仏』は、
『三事示現に住して!』、
『十二部の経』を、
『説かれる!』とは、――
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問曰。一切說法人中。無與佛等者。佛說十二部經。則無不備具。云何善男子但受持讀誦般若與佛等無異。 |
問うて曰く、一切の説法人中、仏に等しき者無く、仏、十二部経を説きたまえば、則ち備具せざる無し。云何が、善男子の但だ、般若を受持し、読誦すること、仏と等しくして、異無き。 |
問い、
『一切の説法人』中に、
『仏』が、
『十二部の経を説かれれば!』、
『備具しないこと!』が、
『無い!』のに、
何故、
『善男子』は、
但だ、
『般若波羅蜜を受持、読誦するだけ!』で、
『仏に等しく!』、
『異が無いのですか?』。
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答曰。此中佛欲稱歎般若為大故。於十二部經中般若為最勝。 |
答えて曰く、此の中に、仏は、般若を大と為すと称歎せんと欲したもうが故に、十二部経中に於いて、般若を最勝と為したまえり。 |
答え、
此の中に、
『仏』は、
『般若波羅蜜』は、
『大である!』と、
『称歎しようとされた!』が故に、
『十二部経』中には、
『般若波羅蜜』を、
『最勝であるとされた!』。
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所以者何說是般若波羅蜜。多有發菩薩心。說十二部經。雜發三乘意故。不以菩薩功德比佛無量身。此說法身菩薩但說般若勸導大乘。佛雜說勸導三乘故。等無異。 |
所以は何んとなれば、是の般若波羅蜜を説けば、多く菩提心を発す有り、十二部経を説けば、雑えて三乗の意を発すが故なり。菩薩の功徳を以って、仏の無量の身に比し、此れを法身なりと説くにあらず、菩薩は、但だ般若を説いて、大乗に勧導し、仏は雑えて説いて、三乗に勧導するが故に、等しくして異無きなり。 |
何故ならば、
是の、
『般若波羅蜜を説けば!』、
『菩提心を発す!』者が、
『多く有る!』が、
『十二部経を説けば!』、
『三乗の意を雑えて!』、
『菩提心を発すからである!』。
『菩薩の功徳』を、
『仏の無量の身に比べて!』、
此の、
『功徳が法身である!』と、
『説くのではない!』。
『菩薩』は、
但だ、
『般若波羅蜜を説いて!』、
『大乗』を、
『勧導するだけである!』が、
『仏』は、
『大乗に声聞乗を雑えて、説き!』、
『三乗に勧導される!』が故に、
『等しくして!』、
『異が無いのである!』。
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復次三事示現及十二部經根本者。所謂般若波羅蜜是。供養十方如恒河沙等諸佛。若復有供養般若經卷。亦等無異。 |
復た次ぎに、三事示現、及び十二部経の根本は、謂わゆる般若波羅蜜、是れなり。十方の恒河沙に等しきが如き諸仏を供養するに、若しは復た有るいは、般若波羅蜜の経巻を供養すれば、亦た等しくして、異無し。 |
復た次ぎに、
『三事示現と、十二部経の根本』は、
『十方』の、
『恒河沙に等しいほど!』の、
『諸仏』を、
『供養しても!』、
若し、
復た、
有るいは、
『般若波羅蜜』の、
『経巻』を、
『供養すれば!』、
亦た、
『等しくして!』、
『異が無い!』。
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此中佛說般若。所以福德勝因緣。所謂般若能破一切苦惱衰病怖畏等。 |
此の中に仏は、般若の福徳の勝れたる所以の因縁を説きたまえり。謂わゆる、『般若は、能く一切の苦悩、衰病、怖畏等を破す』、と。 |
此の中に、
『仏』は、
『般若波羅蜜』の、
『福徳が勝る!』、
『因縁』を、こう説かれた、――
謂わゆる、
『般若波羅蜜』は、
『一切の苦悩、衰病、怖畏等を!』、
『破るからである!』、と。
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如負債人依王。王喻般若。負債人喻舍利。舍利是先世業因緣所成。因緣中應償諸對。以般若波羅蜜薰修故。宿命因緣諸對。及飢渴寒熱所不能得。而得諸天世人所見供養。如負債人依王反為債主所敬。 |
負債人の王に依るが如きは、王を般若に喩え、負債人を舎利に喩うるなり。舎利は、是れ先世の業の因縁の所成なり。因縁中の、応に諸の対を償うべきに、般若波羅蜜の薫修するを以っての故に、宿命の因縁の諸の対は、飢渴、寒熱に及ぶまで、得る能わざる所となり、而も諸天、世人に供養せらるる所となること、負債人の王に依りて、反って債主の為めに敬わるるが如し。 |
譬えば、
『負債人が、王に依る!』とは、
『王』を、
『般若波羅蜜』に、
『喻え!』、
『負債人』を、
『舎利』に、
『喻えたものである!』が、
『舎利』は、
『先世の業という!』、
『因縁』の、
『所成であり( that which is performed )!』、
『因縁』中に、
『諸対( many opponents )に!』、
『償われねばならない( should be recompensed )!』者が、
『有ったとしても!』、
『般若波羅蜜に薫修される!』が故に、
『宿命の因縁の諸対や、飢渴、寒熱』が、
『負債』を、
『得ることはできないのである!』。
而も、
『諸天、世人に供養されることができる!』ので、
譬えば、
『負債人』が、
『王に依る!』が故に、
反って、
『債主』に、
『敬われるようなものである!』。
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償(しょう):つぐなう。むくいる。酬報。
対(たい):敵対者/相手( opponent )。
見(けん):らる、せらる。受け身を表す辞。所見も同じ。 |
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先說無諸衰病及怖畏。以明內。今說摩尼寶人非人不得其便。以明外。 |
先に、諸の衰病、及び怖畏無しと説くは、以って内を明かし、今、摩尼宝は、人、非人も、其の便を得ずと説くは、以って外を明かす。 |
先には、
『諸の衰病や、怖畏が無い!』と、
『説いて!』、
『内の患』を、
『明らかにし!』、
今、
『摩尼宝は、人や非人も其の便を得られない!』と、
『説いて!』、
『外の患』を、
『明らかにした!』。
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是人供養般若波羅蜜故。若今世若後世。若身衰心病盡皆能除。諸善願事隨意能與。得是般若波羅蜜大寶故。無諸怖畏無所乏短。譬如無價寶珠所願皆得。 |
是の人は、般若波羅蜜を供養するが故に、若しは今世、若しは後世に、若しは身の衰、心の病も尽く、皆能く除き、諸の善の願う事は、意に随うて、能く与(あずか)る。是の般若波羅蜜の大宝を得るが故に、諸の怖畏無く、乏短する所無し。譬えば、無価の宝珠の如く、願う所を、皆得。 |
是の、
『人』は、
『般若波羅蜜を供養する!』が故に、
『今世や、後世に!』、
若し、
『身が衰え、心が病んだとしても!』、
『尽く、皆が!』、
『除かれるのであり!』、
諸の、
『善い願事』は、
『意のままに!』、
『与えられ!』、
是の、
『般若波羅蜜という!』、
『大宝を得る!』が故に、
『諸の怖畏も、乏短する所も!』、
『無くなるのであり!』、
譬えば、
『無価の宝珠のように!』、
『願う!』所が、
『皆、得られるのである!』。
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問曰。摩尼寶珠。於頗梨金銀車磲馬瑙琉璃珊瑚琥珀金剛等中。是何等寶。 |
問うて曰く、摩尼宝珠は、頗梨、金銀、車磲、馬瑙、琉璃、珊瑚、琥珀、金剛等中に於いて、是れ何等の宝なる。 |
問い、
『摩尼宝珠』は、
『頗梨、金銀、車磲、馬瑙、琉璃、珊瑚、琥珀、金剛等の中では!』、
何のような、
『宝ですか?』。
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答曰。有人言。此寶珠從龍王腦中出。人得此珠毒不能害入火不能燒。有如是等功德。 |
答えて曰く、有る人の言わく、『此の宝珠は、龍王の脳中より出で、人、此の珠を得れば、毒も、害する能わず、火に入りても、焼く能わず。是の如き等の功徳なり』と。 |
答え、
有る人は、こう言っている、――
此の、
此の、
『珠』を、
『人が得る!』と、
『毒に害されず!』、
『火に入っても!』、
『焼かれない!』。
是れ等が、
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有人言。是帝釋所執金鋼用。與阿修羅鬥時。碎落閻浮提。 |
有る人の言わく、『是れ帝釈の執る所の金鋼にして、阿修羅と闘う時に用い、閻浮提に砕け落つ』、と。 |
有る人は、こう言っている、――
是の、
『珠』は、
『帝釈』の、
『執る所の( to be held )!』、
『金鋼(金剛)である!』、
『阿修羅と闘う時に、用いられ!』、
『閻浮提』に、
『砕け落ちたのである!』、と。
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有人言。諸過去久遠佛舍利。法既滅盡舍利變成此珠以益眾生。 |
有る人の言わく、『諸の過去の久遠の仏の舎利なり。法既に滅し尽くすに、舎利変じて、此の珠と成り、以って衆生を益するなり』、と。 |
有る人は、こう言っている、――
諸の、
『過去、久遠より!』の、
『仏』の、
『舎利である!』。
既に、
『法は滅尽した!』が、
『舎利が変じて!』、
此の、
『珠に成り!』、
『衆生を益するのである!』、と。
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有人言。眾生福德因緣故。自然有此珠。譬如罪因緣故地獄中自然有治罪之器。 |
有る人の言わく、『衆生の福徳の因縁の故に、自然に此の珠有り。譬えば罪の因縁の故に、地獄中に自然に、治罪の器有るが如し』、と。 |
有る人は、こう言っている、――
『衆生の福徳という!』、
譬えば、
『罪の因縁』の故に、
『地獄』中に、
『治罪の器( the tools for punishment )』が、
『自然に有るようなものである!』。
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此寶珠名如意。無有定色清徹輕妙。四天下物皆悉照現。如意珠義如先說。 |
此の宝珠を、如意と名づけ、定まりたる色有ること無く、清徹、軽妙にして、四天下の物を皆、悉く照らし現わす。如意珠の義は、先に説けるが如し。 |
此の、
『宝珠』を、
『如意と称し!』、
『定まった色が無く!』、
『清徹、軽妙であり!』、
『四天下の物』を、
皆、悉く、
『照して、現わす!』。
『如意珠の義』は、
『先に!』、
『説いた通りである!』。
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清徹(しょうてつ):清くすきとおること。 |
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是寶常能出一切寶物。衣服飲食隨意所欲盡能與之。亦能除諸衰惱病苦等。 |
是の宝は、常に能く、一切の宝物、衣服、飲食を出し、意の欲する所に随うて、悉く、能く之に与え、亦た能く、諸の衰悩、病苦等を除く。 |
是の、
『宝』は、
常に、
『一切の宝物を出すことができる!』ので、
『衣服、飲食』を、
『意に欲するがままに!』、
『尽く、与えることができ!』、
亦た、
『諸の衰悩、病苦等を!』、
『除くことができる!』。
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是寶珠有二種。有天上如意寶。有人間如意寶。諸天福德厚故珠德具足。人福德薄故珠德不具足。 |
是の宝珠には、二種有り。有るは天上の如意宝、有るは人間の如意宝なり。諸天の福徳の厚きが故に、珠の徳具足し、人の福徳の薄きが故に珠の徳具足せず。 |
是の、
『宝珠』には、
『二種』有り、
有るいは、
『天上』の、
『如意宝であり!』、
有るいは、
『人間』の、
『如意宝である!』。
『諸天の福徳』は、
『人の福徳』は、
『薄い!』が故に、
『人の珠』は、
『功徳』が、
『具足していない!』。
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是珠所著房舍函篋之中。其處亦有威德。 |
是の珠を著くる所の房舎、函篋の中は、其の処も、亦た威徳有り。 |
是の、
『珠』を、
『房舎や、函篋中に著ける!』と、
其の、
『処』にも、
『威徳が有る!』。
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般若波羅蜜亦如是者。如如意寶珠。能與在家人今世富樂隨意所欲。般若波羅蜜能與出家求道人三乘解脫樂。隨意所願。 |
般若波羅蜜も亦た是の如しとは、如意宝珠の、能く在家の人に、今世の富楽を与えて、意の欲する所に随うが如く、般若波羅蜜は、出家、求道の人に、三乗の解脱の楽を与えて、意の願う所に随う。 |
『般若波羅蜜』も、
亦た、
『是の通りである!』とは、――
『如意宝珠』が、
『在家の人』に、
『今世の富楽』を、
『意の欲するがままに!』、
『与えることができるように!』、
『般若波羅蜜』は、
『出家して、道を求める人』に、
『三乗の解脱の楽』を、
『意に願うがままに!』、
『与えることができる!』。
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如意寶珠在所著處。非人不得其便。般若波羅蜜亦如是。行者心與相應。惡邪羅剎不能入其心中沮壞道意奪智慧命。復次般若波羅蜜所在處。魔若魔民地神夜叉諸惡鬼等不能得便。 |
如意宝珠は、著くる所の処に在りて、非人も、其の便を得ざるが如く、般若波羅蜜も亦た是の如く、行者の心と相応して、悪邪、羅刹も、其の心中に入りて、道意を沮壊し、智慧の命を奪う能わず。復た次ぎに、般若波羅蜜の所在の処は、魔、若しくは魔民、地神、夜叉、諸の悪鬼等も、便を得る能わず。 |
『如意宝珠を著けた!』、
『処』に於いては、
『非人』が、
其の、
『便』を、
『得られないように!』、
『般若波羅蜜』も、
是のように、
『行者』の、
『心』に、
『相応すれば!』、
『悪邪、羅刹』が、
其の、
『心中に入って!』、
『道意を沮壊し( to obstruct and break )!』、
『智慧の命( the principle of wisdom )を!』、
『奪うことができない!』。
復た次ぎに、
『般若波羅蜜の在る!』、
『処』は、
『魔や、魔民や、地神や、夜叉や、諸悪鬼等が!』、
『便』を、
『得ることができない!』。
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如寶珠能除四百四病。根本四病風熱冷雜。般若波羅蜜亦能除八萬四千病。根本四病貪瞋癡等分。婬欲病分二萬一千。瞋恚病分二萬一千。愚癡病分二萬一千。等分病分二萬一千。以不淨觀除貪欲。以慈悲心除瞋恚。以觀因緣除愚癡。總上三藥或不淨或慈悲或觀因緣除等分病。 |
宝珠の能く四百四病の根本の四病の風、熱、冷、雑を除くが如く、般若波羅蜜も亦た、能く八万四千の病の根本の四病の貪、瞋、癡、等分を除く。婬欲病の分は二万一千、瞋恚病の分は二万一千、愚癡病の分は二万一千、等分病の分は二万一千なり。不浄観を以って、貪欲を除き、慈悲心を持って、瞋恚を除き、観因縁を以って、愚癡を除き、上の三薬の或いは不浄、或いは慈悲、或いは観因縁を総じて、等分病を除く。 |
『宝珠』が、
『四百四の病の根本である!』、
『風、熱、冷、雑の四病』を、
『除くことができる!』ように、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
『八万四千の病の根本である!』、
『貪、瞋、癡、等分』を、
『除くことができる!』。
謂わゆる、
『婬欲病の分は、二万一千であり!』、
『瞋恚病の分は、二万一千であり!』、
『愚癡病の分は、二万一千であり!』、
『等分病の分は、二万一千である!』が、
即ち、
『不浄観を用いて!』、
『貪欲』を、
『除き!』、
『慈悲心を用いて!』、
『瞋恚』を、
『除き!』、
『観因縁を用いて!』、
『愚癡』を、
『除き!』、
上の、
『不浄観、慈悲心、観因縁の三薬を総じて!』、
『等分病』を、
『除くのである!』。
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等分(とうぶん):梵語 sama-bhaaga の訳、等しい分け前( an equal share )の義。 |
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如寶珠能除黑闇。般若亦如是能除三界黑闇。 |
宝珠の能く、黒闇を除くが如く、般若も亦た是の如く、能く三界の黒闇を除く。 |
譬えば、
『宝珠』が、
『黒闇』を、
『除くことができるように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『三界の黒闇』を、
『除くことができる!』。
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如寶珠能除熱。般若亦如是能。除婬欲瞋恚熱。 |
宝珠の能く熱を除くが如く、般若も亦た是の如く、能く婬欲、瞋恚の熱を除く。 |
譬えば、
『宝珠』が、
『熱』を、
『除くことができるように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『婬欲、瞋恚の熱』を、
『除くことができる!』。
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如寶珠能除冷。般若亦如是能除無明不信不恭敬懈怠等冷心。 |
宝珠の能く冷を除くが如く、般若も亦た是の如く、能く無明、不信、不恭敬、懈怠等の冷心を除く。 |
譬えば、
『宝珠』が、
『冷』を、
『除くことができるように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『無明、不信、不恭敬、懈怠等の冷心』を、
『除くことができる!』。
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日月皆諸寶所成。日能作熱月能作冷。雖俱利益眾生。以不能兼故。不名為如意。 |
日月は、皆、諸宝の成ずる所にして、日は能く熱を作し、月は能く冷を作して、倶に衆生を利益すと雖も、兼ぬること能わざるを以っての故に、名づけて、如意と為さず。 |
『日、月』は、
『諸宝の所成であり( that which is made by the jewels )!』、
『日』は、
『熱』を、
『作ることができ!』、
『月』は、
『冷』を、
『作ることができる!』、
倶に( either )、
『衆生を利益する!』が、
『熱、冷を兼ねることができない!』が故に、
『如意』と、
『称されることはない!』。
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寶珠所在處。毒蛇等諸惡蟲所不能害。般若亦如是。貪欲等毒所不能病。 |
宝珠の所在の処は、毒蛇等の諸の悪虫の、害する能わざる所なり。般若も亦た是の如く、貪欲等の病ましむ能わざる所なり。 |
『宝珠が在る!』、
『処』は、
『毒蛇』等の、
『諸の悪虫』に、
『害されないように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『貪欲』等の、
『毒』に、
『病ませることがない!』。
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若有人毒蛇所螫。持寶珠示之即時除愈。有人為貪欲等毒蛇所螫。得般若波羅蜜。貪恚毒即除。如難陀鴦群梨摩羅等。 |
若し有る人、毒蛇に螫さるるに、宝珠を持して、之に示せば、即時に除愈す。有る人、貪欲等の毒蛇の為めに螫さるるに、般若波羅蜜を得れば、貪恚の毒は、即ち除こる。難陀、鴦群梨摩羅等の如し。 |
若し、
有る、
『人』が、
『毒蛇に螫されても!』、
『宝珠を持って!』、
是の、
『人に示せば!』、
即時に、
『毒』が、
『除愈する!』が、
有る、
『人』は、
『貪欲等の毒蛇に螫されても!』、
『般若波羅蜜を得れば!』、
『貪、恚の毒』が、
即時に、
『除かれる!』。
例えば、
『難陀や、鴦群梨摩羅等と!』、
『同じである!』。
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難陀(なんだ):梵名nanda、仏弟子の名。『大智度論巻24下注:難陀』参照。
鴦群梨摩羅(おうぐんりまら):梵名aGguli-maalya、仏弟子の名。『大智度論巻24下注:央掘摩羅』参照。 |
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有人眼痛盲瞽以寶珠示之即時除愈。般若波羅蜜亦如是。有人以無明疑悔顛倒邪見等破慧眼。得般若即時明了。 |
有る人は、眼痛、盲瞽なるに、宝珠を以って、之に示せば、即時に除愈す。般若波羅蜜も亦た是の如く、有る人、無明、疑悔、顛倒、邪見等を以って、慧眼を破るに、般若を得れば、即時に明了なり。 |
有る、
『人』は、
『眼』が、
『痛んで!』、
『盲瞽( be blind )である!』が、
是の、
『人に、宝珠を示せば!』、
『即時に、除愈するように!』、
亦た、
『般若波羅蜜』も、
是のように、
有る、
『人』が、
『無明、疑、悔、顛倒、邪見等に!』、
『慧眼』を、
『破られても!』、
『般若波羅蜜を得れば!』、
即時に、
『明了となる!』。
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如人癩瘡癰腫。以寶珠示之即時除愈。般若亦如是。五逆癩罪等得般若即時消滅。 |
人の癩瘡、癰腫に、宝珠を以って之に示せば、即時に除愈するが如く、般若も亦た是の如く、五逆の癩罪等も、般若を得れば、即時に消滅す。 |
譬えば、
『人の癩、瘡、癰腫』に、
『宝珠を示せば!』、
即時に、
『除愈するように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『五逆の癩罪』等も、
『般若波羅蜜を得れば!』、
『即時に、消滅する!』。
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如以種種色裹寶珠著水中隨作一色。般若亦如是。行者得般若力故。心則柔軟無所著。隨信手五根等。亦隨順四禪四無量心背捨勝處及一切入。復次於須陀洹斯陀含阿那含阿羅漢辟支佛地。隨順遍學無所違逆。 |
種種の色を以って、宝珠を裹みて、水中に著くれば、随って一色に作るが如く、般若も亦た是の如く、行者は、般若の力を得るが故に、心則ち柔軟となり、著する所無く、信手五根等に随い、亦た四禅、四無量心、背捨、勝処、及び一切入に随順す。復た次ぎに、須陀洹、斯陀含、阿那含、阿羅漢、辟支仏の地に於いて、随順して、遍く学び、違逆する所無し。 |
例えば、
『宝珠』を、
『種種の色』の、
『布に裹んで!』、
『水中』に、
『著ければ!』、
『布の色に随って!』、
『水』が、
『一色と作るように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『行者』は、
『般若波羅蜜の力を得る!』が故に、
『心が柔軟になって!』、
『著する!』所が、
『無くなり!』、
『信手等の五根( 信、精進、念、定、慧)に随い!』、
亦た、
『四禅、四無量心、背捨、勝処、一切入』に、
『随順することになる!』。
復た次ぎに、
『須陀洹、斯陀含、阿那含、阿羅漢、辟支仏の地』に於いて、
『般若波羅蜜に随順し!』、
『三乗を遍く学びながら!』、
『違逆する!』所が、
『無い!』。
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信手(しんしゅ):信を手に譬う。仏の宝山に入りて、信心を以って手と為し、宝を採るが故に、信手と云う。「大智度論巻1」に、「経中に説かく、信を手と為す。人に手有らば、宝山中に入りて、自在に能く取るも、若し手無くんば、取る所の有る能わざるが如し」と云える是れなり。 |
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第六縹色者。是虛空色。行者得般若觀諸法空。心亦隨順不著。如是等種種者。入一切諸法。皆隨順無礙。 |
第六の縹色とは、是れ虚空の色なり。行者は、般若を得て、諸法の空なるを観るに、心も亦た随順して、著せず。是の如き等の種種の者が、一切の諸法に入りて、皆随順して、無礙なり。 |
『第六の縹色』とは、
『虚空』の、
『色である!』。
『行者』は、
『般若を得て!』、
諸の、
亦た、
『心』は、
『随順して!』、
『著することがない!』。
是れ等のような、
『種種の行者』は、
『一切の諸法に入り( to understand all the dharma deeply )!』、
『皆、随順して!』、
『無礙である!』。
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如水渾濁雜色不淨。以珠著中皆清淨一色。般若亦如是。人有種種煩惱邪見戲論擾心渾濁。得般若則清淨一色。 |
水、渾濁して、雑色、不浄なるに、珠を以って中に著くれば、清浄、一色となる。般若も亦た是の如く、人に、種種の煩悩、邪見、戯論有り、心を擾(みだ)して渾濁するに、般若を得れば、則ち清浄の一色となる。 |
例えば、
『水が渾濁して( to become muddy )!』、
『色を雑えて、不浄であっても!』、
『珠を、水中に著ければ!』、
『皆、清浄となり!』、
『一色となるように!』、
『般若波羅蜜』も、
亦た、
是のように、
『人』に、
『種種の煩悩、邪見、戯論が有って!』、
『心を擾し( to disturb the mind )!』、
『渾濁させても!』、
『般若波羅蜜を得れば!』、
『清浄となって!』、
『一色である!』。
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如如意珠有無量功德。般若功德亦如是。今當別相說般若功德。 |
如意珠に、無量の功徳有るが如く、般若の功徳も、亦た是の如し。今、当に別相もて、般若の功徳を説くべし。 |
『如意珠』には、
『無量の功徳』が、
『有るように!』、
『般若波羅蜜の功徳』も、
是のように、
『無量である!』が、
今は、
『般若波羅蜜の功徳』の、
『別相』を、
『説かねばならない!』。
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是如意珠但能除惡鬼。不能壞魔天。般若則能除二事。 |
是の如意珠は、但だ能く悪鬼を除きて、魔天を壊る能わず。般若は、則ち能く二事を除く。 |
是の、
『如意珠』は、
但だ、
『悪鬼を除くのみ!』で、
『魔天』を、
『壊ることはできない!』が、
『般若波羅蜜』は、
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珠能治身病。般若能治身心病。 |
珠は能く身病を治し、般若は能く身心の病を治す。 |
『珠』は、
『般若波羅蜜』は、
『身、心』の、
『病』を、
『治すことができる!』。
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珠能治人神所治病。般若能治一切天龍鬼神所不能治病。 |
珠は能く人、神の治する所の病を治し、般若は能く、一切の天、龍、鬼神の治する能わざる所の病を治す。 |
『珠』は、
『人、鬼神が治す!』所の、
『病』を、
『治すだけである!』が、
『般若』は、
『一切の天、龍、鬼神が治すことのできない!』所の、
『病』を、
『治すことができる!』。
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珠能治世世曾所治病。般若能治無始世界來未曾所治病。如是等種種差別。 |
珠は、能く世世に曽て治する所の病を治し、般若は、能く無始の世界より来、未だ曽て治する所ならざる病を治す。是の如き等に種種に差別あり。 |
『珠』は、
『世世に!』、
『曽て治した!』所の、
『病』を、
『治すだけである!』が、
『般若波羅蜜』は、
『無始の世界以来の!』、
『未だ、曽て治したことのない!』所の、
『病』を、
『治すことができる!』。
是れ等のように、
『如意珠と、般若波羅蜜』を、
『種種に差別する!』。
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珠能照所住處夜闇。般若能照一切煩惱相應無明黑闇及不共無明一切法中不了癡黑闇。 |
珠は、能く所住の処の夜闇を照らし、般若は、能く一切の煩悩相応の無明の黒闇、及び無明と共にせざる、一切法中の了せざる癡の黒闇を照らす。 |
『珠』は、
『所住の処』の、
『夜の闇』を、
『照すだけである!』が、
『般若波羅蜜』は、
『一切の煩悩に相応する!』、
『無明の黒闇』を、
『照し!』、
『無明以外の、一切法中に明了でない!』、
『愚癡の黒闇』を、
『照すことができる!』。
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珠但能破所住處熱。不能破餘處熱。般若力乃至無量世界劫盡大火一吹能滅。何況一處熱。 |
珠は、但だ能く所住の処の熱を破り、余処の熱を破る能わず。般若の力は、乃至無量の世界の劫尽の大火を、一吹して能く滅す。何に況んや、一処の熱をや。 |
『珠』は、
但だ、
『所住の処』の、
『熱』を、
『破ることができるだけで!』、
『余の処』の、
『熱』を、
『破ることができない!』が、
『般若波羅蜜の力』は、
乃至、
『無量の世界』の、
『劫尽の大火』を、
『一吹で、滅することができる!』。
況して、
『一処の熱』は、
『言うまでもない!』。
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珠但能除形質火日之熱。般若能除三毒心熱。 |
珠は、但だ能く、形質と、火と、日の熱を除き、般若は、能く三毒の心熱を除く。 |
『珠』は、
但だ、
『形質( an image of any figure )の火や、日の熱』を、
『除くだけである!』が、
『般若波羅蜜』は、
『三毒( 貪、瞋、癡)という!』、
『心の熱』を、
『除くことができる!』。
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珠能除風雨寒雪。般若能除十方無量世界眾生不信不恭敬懈怠心等寒。 |
珠は、能く風雨、寒雪を除き、般若は、能く十方の無量の世界の衆生の、不信、不恭敬、懈怠心等の寒を除く。 |
『珠』は、
但だ、
『風、雨、寒、雪』を、
『除くだけである!』が、
『般若波羅蜜』は、
『十方の無量の世界』中の、
『衆生の不信、不恭敬、懈怠心等の寒』を、
『除くことができる!』。
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珠能卻外毒螫。不能除四大毒蛇。般若能畢竟除此二種毒。 |
珠は、能く外の毒の螫すを却(しりぞ)け、四大の毒蛇を除く能わず。般若は、能く畢竟じて、此の二種の毒を除く。 |
『珠』は、
『外』の、
『毒虫が螫す!』のを、
『却ける( to avoid )だけで!』、
『身』の、
『四大の毒蛇』を、
『除くことはできない!』が、
『般若』は、
畢竟じて!、
此の、
『二種の毒』を、
『除くことができる!』。
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参考:『大智度論巻12』:『如佛說毒蛇喻經中。有人得罪於王。王令掌護一篋。篋中有四毒蛇。王敕罪人令看視養育。此人思惟。四蛇難近。近則害人。一猶叵養。而況於四。便棄篋而走。王令五人拔刀追之。復有一人口言附順。心欲中傷而語之言。養之以理此亦無苦。其人覺之馳走逃命。至一空聚有一善人方便語之。此聚雖空是賊所止處。汝今住此必為賊害慎勿住也。於是復去至一大河。河之彼岸即是異國。其國安樂坦然清淨無諸患難。於是集眾草木縛以為筏進。以手足竭力求渡。既到彼岸安樂無患。王者魔王。篋者人身。四毒蛇者四大。五拔刀賊者五眾。一人口善心惡者。是染著空聚是六情。賊是六塵。一人愍而語之是為善師。大河是愛。筏是八正道。手足懃渡是精進。此岸是世間。彼岸是涅槃。度者漏盡阿羅漢。菩薩法中亦如是。若施有三礙。我與彼受所施者財。是為墮魔境界未離眾難。如菩薩布施三種清淨無此三礙得到彼岸。為諸佛所讚。是名檀波羅蜜。以是故名到彼岸。此六波羅蜜能令人渡慳貪等煩惱染著大海到於彼岸。以是故名波羅蜜。』 |
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珠不能治邪見毒。般若能除。珠能治肉眼。般若能治慧眼。珠能治近見眼。般若能治遠見眼。珠能治肉眼。肉眼不作珠。般若能治慧眼。慧眼即作般若。珠能治肉眼後病復發。般若治慧眼畢竟清淨。 |
珠は、邪見の毒を治する能わざるも、般若は能く除く。珠は、能く肉眼を治し、般若は能く慧眼を治す。珠は、能く近見の眼を治し、般若は、能く遠見の眼を治す。珠は、能く肉眼を治するも、肉眼は珠と作らず。般若は、能く慧眼を治し、慧眼は即ち般若と作る。珠は、能く肉眼を治すも、後には病、復た発る。般若、慧眼を治せば、畢竟じて清浄なり。 |
『珠』は、
『邪見の毒』を、
『除くことができない!』が、
『般若波羅蜜』は、
『除くことができる!』。
『珠』は、
『肉眼』を、
『治すことができる!』が、
『般若波羅蜜』は、
『慧眼』を、
『治すことができる!』。
『珠』は、
『近くを見る!』、
『眼』を、
『治すことができる!』が、
『般若波羅蜜』は、
『遠くを見る!』、
『眼』を、
『治すことができる!』。
『珠』は、
『肉眼を治すことができる!』が、
『肉眼』が、
『珠に作ることはなく!』、
『般若波羅蜜』は、
『慧眼を治すことができ!』、
『慧眼』は、
『即ち、般若波羅蜜と作る!』。
『珠』は、
『肉眼を治すことができる!』が、
『後に、復た!』、
『病が発り!』、
『般若波羅蜜』が、
『慧眼を治せば!』、
『畢竟じて!』、
『清浄である!』。
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珠能治癩瘡惡腫。般若能治身癩心癩。 |
珠は、能く癩瘡、悪腫を治し、般若は、能く身の癩、心の癩を治す。 |
『珠』は、
『身の癩瘡や、悪腫を!』、
『治すことができる!』が、
『般若』は、
『身の癩も、心の癩も!』、
『治すことができる!』。
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問曰。四種病中攝一切病何以故別說眼痛癩病等。 |
問うて曰く、四種の病中に、一切の病を摂するに、何を以っての故にか、別して、眼痛、癩病等を説く。 |
問い、
『四種( 風、熱、冷、雑)病』中に、
『一切の病』を、
『摂する( be contained )!』のに、
何故、
『眼痛、癩病』等を、
『別に、説くのですか?』。
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答曰。眼是身中第一所用最貴。是故別說。諸病中癩病最重。宿命罪因緣故難治。是故更說。 |
答えて曰く、眼は、是れ身中の第一に用うる所にして、最も貴し。是の故に別に説けり。諸病中に癩病は最も重く、宿命の罪の因縁の故に治し難し。是の故に更に説けり。 |
答え、
『眼』は、
『身』中に、
『第一に用いられる!』ので、
『最も貴重である!』。
是の故に、
『別けて!』、
『説かれた!』。
『諸病』中に、
『癩病は最も重く!』、
『宿命の罪を因緣とする!』が故に、
『治し難く!』、
是の故に、
『更に( again )!』、
『説かれたのである!』。
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珠能令水隨所裹色。般若能隨順心數善法。 |
珠は、能く水をして、裹む所の色に随わしむ。般若は、能く心数をして善法に随順せしむ。 |
『珠』は、
『般若波羅蜜』は、
『心数法( mental workings )』を、
『善法』に、
『随わせる!』。
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珠不能轉人心。般若能轉一切眾生心性所樂所欲。 |
珠は、人心を転ずる能わず。般若は、能く一切の衆生の心性の楽う所、欲する所を転ず。 |
『珠』は、
『人』の、
『心』を、
『転じることができない!』が、
『般若』は、
『一切の衆生』の、
『心性の楽しみ、欲する!』所を、
『転じることができる!』。
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珠能令所著處濁水清非一切水。般若力能令六覺濁心即時清淨。又於諸龍王鬼神王人王等。貪恚濁心能令清淨。 |
珠は、能く、著する所の処の濁水をして、清からしむるも、一切の水に非ず。般若の力は、能く、六覚の濁心をして、即時に清浄ならしめ、又諸の龍王、鬼神王、人王等の貪恚の濁心をして、清浄ならしむ。 |
『珠』は、
『著けられた処』の、
『濁水』を、
『清めることができる!』が、
『一切の処』の、
『水』を、
『清めることはできない!』。
『般若波羅蜜の力』は、
『六覚で濁った!』、
『心を!』、
『即時に、清浄にするだけでなく!』、
『諸の龍王、鬼神王、人王等の貪、恚で濁った!』、
『心をも!』、
『清浄にすることができる!』。
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六覚(ろっかく):六識、謂わゆる眼識、乃至意識を云う。「大智度論巻36」に、「識衆とは、内外の六入和合するが故に生ずる六覚を、名づけて識と為す。内に縁ずる力の大なるを以っての故に、名づけて眼識と為し、乃至名づけて意識と為す」と云える是れなり。 |
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珠能使所著函篋房舍有威德。般若力能度十方無量世界阿僧祇眾生。令有威德。 |
珠は、能く著くる所の函篋、房舎をして、威徳有らしめ、般若の力は、能く十方の無量の世界の阿僧祇の衆生を度して、威徳有らしむ。 |
『珠』は、
『著けた!』所の、
『函篋、房舎』に、
『威徳を有らせる!』が、
『般若波羅蜜の力』は、
『十方、無量の世界』の、
『阿僧祇の衆生を度して!』、
『威徳を有らせることができる!』。
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珠功德力入函篋。函篋不能與人隨意功德。舍利得般若薰修故。有人供養。必還得般若而得成佛。 |
珠の功徳の力は、函篋に入るるに、函篋は、人に随意の功徳を与うる能わず。舎利は、般若の熏修を得るが故に、有る人供養すれば、必ず還って、般若を得、而も成仏するを得。 |
『珠を、函篋に入れる!』と、
『珠の功徳力』は、
『人』に、
『随意の功徳』を、
『与えることができなくなる!』が、
『舎利』が、
『般若波羅蜜を得る!』と、
『舎利』が、
『般若波羅蜜』に、
『薫修される!』が故に、
『有る人』が、
『舎利を供養すれば!』、
必ず、還って、
『般若波羅蜜』を、
『得ることになり!』、
而も、
『仏』と、
『成ることになる!』。
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是函篋凡夫之人所貴。舍利凡夫聖人所貴。函篋世間受樂人所貴。舍利出世間世間受樂人所貴。 |
是の函篋は、凡夫の人の貴ぶ所、舎利は凡夫、聖人の貴ぶ所なり。函篋は世間の楽を受くる人に貴ばれ、舎利は出世間と世間の楽を受くる人に貴ばる。 |
是の、
『珠の入った!』、
『函篋』は、
『凡夫だけに!』、
『貴ばれる!』が、
『般若波羅蜜に薫修された!』、
『舎利』は、
『凡夫にも、聖人にも!』、
『貴ばれる!』。
『函篋』は、
『世間の楽を受ける!』、
『人』に、
『貴ばれ!』、
『舎利』は、
『出世間と、世間の楽を受ける!』、
『人』に、
『貴ばれる!』。
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般若是如意寶珠。函篋是舍利。舍利中雖無般若。般若所薰故得供養。 |
般若は是れ如意宝珠なり、函篋は是れ舎利なり。舎利中に、般若無しと雖も、般若に薫じられたるが故に、供養を得。 |
『般若波羅蜜』は、
『如意宝珠であり!』、
『函篋』は、
『舎利である!』。
『舎利』中に、
『般若波羅蜜は無い!』が、
『般若波羅蜜に熏じられる!』が故に、
『供養を得るのである!』。
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復次諸聖法中般若第一。無可譬喻。以世間人貴是寶珠故。以珠為喻。 |
復た次ぎに、諸の聖法中、般若の第一なること、譬喩すべき無きも、世間の人の是の宝珠を貴ぶを以っての故に、珠を以って喩と為す。 |
復た次ぎに、
『諸の聖法』中、
『般若波羅蜜』は、
『第一であり!』、
『世間の人』が、
是の、
『宝珠を貴ぶ!』が故に、
『珠を用いて!』、
『喻えるのである!』。
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人見如意寶珠所願皆得。若見珠所住處。亦得少願。行者亦如是。得是般若波羅蜜義即入佛道。若見般若所住舍利供養故。得今世後世無量福樂久必得道。如是總相別相應當知。 |
人は如意宝珠を見れば、願う所を皆得、若し珠の所住の処を見れば、亦た少しの願を得。行者も亦た是の如く、是の般若波羅蜜の義を得れば、即ち仏道に入り、若し般若の所住の舎利を見れば、供養するが故に、今世、後世の無量の福楽を得、久しくして必ず、道を得。是の如く総相、別相を応当に知るべし。 |
『人』が、
『如意宝珠を見れば!』、
『願う!』所を、
『皆、得ることになり!』、
若し、
『珠の住する!』、
『処』を、
『見るだけでも!』、
亦た、
『願』を、
『少しは、得ることになる!』。
『行者』も、
是のように、
是の、
『般若波羅蜜の義を得れば!』、
即ち( promptly )、
『仏の道』に、
『入ることになる!』。
若し、
『般若波羅蜜の住する!』、
『舎利を見て!』、
『供養すれば!』、
是の故に、
『今世、後世に!』、
『無量の福楽』を、
『得て!』、
『久しくすれば、必ず!』、
『道』を、
『得ることになる!』。
是のように、
『舎利と、宝珠』の、
『総相、別相』を、
『知らねばならない!』。
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問曰。般若若有如是功德者。何以故。說舍利是五波羅蜜乃至一切種智所住處故得供養。 |
問うて曰く、般若に、若し是の如き功徳有らば、何を以っての故にか、『舎利は、是れ五波羅蜜、乃至一切種智の所住の処なるが故に、供養を得』と説く。 |
問い、
『般若波羅蜜』に、
若し、
是のような、
『功徳が有れば!』、
何故、こう説くのですか?――
『舎利』は、
『五波羅蜜蜜、乃至一切種智が住する!』、
『処である!』が故に、
『供養を得る!』、と。
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参考:『大智度論巻59、大品巻10法称品』:『世尊。佛般泥洹後。舍利得供養。皆般若波羅蜜力。禪波羅蜜乃至檀波羅蜜。內空乃至無法有法空。四念處乃至十八不共法。一切智法相法住法位法性實際不可思議性一切種智。是諸功德力。善男子善女人作是念。是佛舍利一切智。一切種智。大慈大悲。斷一切結使及習。常捨行不錯謬法。等諸佛功德住處。以是故。舍利得供養。』 |
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答曰。先已說。一切諸法般若波羅蜜為首為明導。譬如王來必有將從。但舉其主名。餘者已盡得。讚般若波羅蜜。是義先已說 |
答えて曰く、先に、已に説かく、『一切の諸法に、般若波羅蜜を首と為し、明導と為す。例えば、王来たらば、必ず将従有るが如く、但だ其の主の名を挙ぐれば、余の者は、已に尽く得たり』、と。般若波羅蜜を讃ずる、是の義は、先に已に説けり。 |
答え、
先に、
已に、こう説いた、――
『一切の諸法』は、
『般若波羅蜜』を、
『首領とし!』、
『明導( a clever leader )とする!』。
譬えば、
『王が来れば!』、
『将従( the generals and attendants )』が、
『必ず、有るように!』、
其の、
『主の名を挙げるだけでも!』、
已に、
尽く、
『餘の者を挙げたことになる!』、と。
『般若波羅蜜を讃じる!』、
『義』は、
『先に!』、
『已に説かれている!』。
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