巻第五十七(下)
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大智度論釋寶塔校量品第三十二
 龍樹菩薩造
 後秦龜茲國三藏法師鳩摩羅什奉 詔譯


【經】般若の供養と、七宝の塔の供養

【經】憍尸迦。若有善男子善女人。佛般涅槃後。為供養佛故。作七寶塔高一由旬。天香天華天瓔珞天擣香天澤香天衣天幢蓋天伎樂。供養恭敬尊重讚歎。憍尸迦。於汝意云何。是善男子善女人。從是因緣得福多不。釋提桓因言。世尊。甚多甚多。 憍尸迦、若し、有る善男子、善女人、仏の般涅槃の後、仏を供養せんが為の故に、七宝の塔の高さ一由旬なるを作り、天香、天華、天の瓔珞、天の擣香、天の沢香、天衣、天の幢蓋、天の伎楽もて供養し、恭敬、尊重、讃歎すれば、憍尸迦、汝が意に於いて云何、是の善男子、善女人は、是の因縁により、福を得ること多しや、不や。』と。釈提桓因の言わく、『世尊、甚だ多し、甚だ多し。』と。
憍尸迦!
若し、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏の般涅槃した!』後、
『仏を供養する!』為の故に、
『高さ一由旬』の、
『七宝の塔』を、
『作り!』、
『天の香、華、瓔珞、擣香、沢香、衣、幢蓋、伎楽を用いて!』、
是の、
『塔』を、
『供養し、恭敬、尊重、讃歎すれば!』、
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
是の、
『善男子、善女人』は、
是の、
『因緣より、得られる!』、
『福』は、
『多いだろうか?』。
『釈提桓因』は、こう言った、――
世尊!
『甚だ多い!』、
『甚だ多い!』、と。
  参考:『大般若経巻第428』:『復次憍尸迦。有善男子善女人等。於諸如來般涅槃後。為供養佛設利羅故。以妙七寶起窣堵波。種種珍奇間雜嚴飾。其量高大一踰繕那。廣減高半。復以種種天妙花鬘塗散等香衣服瓔珞寶幢幡蓋諸妙珍奇伎樂燈明。盡其形壽供養恭敬尊重讚歎。於意云何。是善男子善女人等。由此因緣得福多不。天帝釋言。甚多世尊。甚多善逝。佛告憍尸迦。若善男子善女人等。不離一切智智心。以無所得而為方便。於此般若波羅蜜多。至心聽聞受持讀誦。精勤修學如理思惟。廣為有情宣說流布。或有書寫種種莊嚴供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘塗散等香衣服瓔珞寶幢幡蓋諸妙珍奇伎樂燈明而為供養。是善男子善女人等。由此因緣所生福聚。甚多於彼無量無邊。復次憍尸迦。置此一事。有善男子善女人等。於諸如來般涅槃後。為供養佛設利羅故。以妙七寶起窣堵波。種種珍奇間雜嚴飾。其量高大一踰繕那。廣減高半。如是充滿一贍部洲。或四大洲。或小千界。或中千界。或復三千大千世界。皆以種種天妙花鬘乃至燈明。盡其形壽供養恭敬尊重讚歎。於意云何。是善男子善女人等。由此因緣得福多不。天帝釋言。甚多世尊。甚多善逝。佛告憍尸迦。若善男子善女人等不離一切智智心。以無所得而為方便。於此般若波羅蜜多。至心聽聞受持讀誦。精勤修學如理思惟。廣為有情宣說流布。或有書寫種種莊嚴供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘乃至燈明而為供養。是善男子善女人等。由此因緣所生福聚。甚多於彼無量無邊。』
佛言。不如是善男子善女人聞是般若波羅蜜書寫受持親近正憶念。不離薩婆若心。亦供養恭敬尊重讚歎。若花香瓔珞擣香澤香幢蓋伎樂供養。是善男子善女人福德多。 仏の言わく、『是の善男子、善女人の、是の般若波羅蜜を聞きて、書写し、受持、親近、正憶念して薩婆若の心を離れず、亦た供養、恭敬、尊重、讃歎し、若しは花香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽もて供養するには如かず。是の善男子、善女人の福徳は多し。
『仏』は、こう言われた、――
是の、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を聞いて!』、
『書写し、受持し、親近して!』、
『正しく憶念して!』、
『薩婆若の心』を、
『離れず!』、
亦た、
『般若波羅蜜の経巻』を、
『供養、恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華、香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽などを供養する!』には、
『及ばない!』。
是の、
『善男子、善女人』の、
『福徳』は、
『多いのである!』。
佛告釋提桓因。憍尸迦。置一七寶塔。若善男子善女人。供養佛故。佛般涅槃後。起七寶塔滿閻浮提。皆高一由旬。恭敬尊重讚歎華香瓔珞幢蓋伎樂供養。憍尸迦。於汝意云何。是善男子善女人得福多不。釋提桓因言。世尊。其福甚多。 仏の釈提桓因に告げたまわく、『憍尸迦、一の七宝の塔を置いて、若し、善男子、善女人は、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、七宝の塔を起てて、閻浮提を満て、皆高さ一由旬なるを、恭敬、尊重、讃歎し、華香、瓔珞、幢蓋、伎楽もて供養すれば、憍尸迦、汝が意に於いて云何、是の善男子、善女人の福を得ること多しや、不や。釈提桓因の言わく、『世尊、其の福は甚だ多し。』と。
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
憍尸迦!
『一七宝の塔を置いて!』、
若し、
『善男子、善女人』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
『皆、高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てて!』、
『閻浮提』を、
『満たし!』、
是の、
『塔を恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華、香、瓔珞、幢蓋、伎楽』を、
『供養すれば!』、
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
是の、
『善男子、善女人の得る!』、
『福』は、
『多いだろうか?』。
『釈提桓因』は、こう言った、――
世尊!
其の、
『福』は、
『甚だ多い( very much )!』、と。
  (じん):<疑問代名詞>何と( what )、何故( why )。<形容詞>[本義]~に溺れる/耽溺する( abandon oneself to, indulge in )。やり過ぎる/度が過ぎる( go too far, overdo )、恐るべき/手に負えない/ゆゆしき( terrible, formidable, serious )、盛んな/大きな( prevailing, great )、深厚な/深い( deep, profound )、重要な( important )。<副詞>極端/非常/異常に( very, extremely )、誠に/真に( certainly )。<動詞>超過/勝過する( more than )、責める( blame )。
佛言。不如是善男子善女人如前供養般若波羅蜜其福甚多。 仏の言わく、『是の善男子、善女人の、前の如く般若波羅蜜を供養するには如かず。其の福の甚だ多し。
『仏』は、こう言われた、――
是の、
『善男子、善女人』が、
前のように、
『般若波羅蜜を供養する!』には、
『及ばない!』。
其の、
『福』は、
『甚だ多い( be more )!』。
憍尸迦。復置一閻浮提滿中七寶塔。有善男子善女人。供養佛故。佛般涅槃後。起七寶塔滿四天下。皆高一由旬。供養如前。憍尸迦。於汝意云何。是善男子善女人其福多不。釋提桓因言。甚多甚多。 憍尸迦、復た一閻浮提の中を満てる七宝の塔を置いて、有る善男子、善女人は、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、七宝の塔を起てて、四天下を満て、皆高さ一由旬なるを、供養すること前の如くなれば、憍尸迦、汝が意に於いて云何、是の善男子、善女人の、其の福は多しや、不や。釈提桓因の言わく、『甚だ多し、甚だ多し。』と。
憍尸迦!
復た、
『一閻浮提中を満たす!』、
『七宝の塔』を、
『置いて!』、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
『皆、高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てて!』、
『四天下』を、
『満たし!』、
前のように、
是の、
『塔』を、
『供養すれば!』、
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
是の、
『善男子、善女人』の、
『福』は、
『多いだろうか?』。
『釈提桓因』は、こう言った、――
『甚だ多い!』、
『甚だ多い!』、と。
佛言。不如是善男子善女人書持般若波羅蜜恭敬尊重。讚歎華香乃至伎樂供養其福甚多。 仏の言わく、『是の善男子、善女人の、般若波羅蜜を書持し、恭敬、尊重、讃歎し華香、乃至伎楽を供養するには如かず。其の福は甚だ多し。
『仏』は、こう言われた、――
是の、
『善男子、善女人』が、
『般若波羅蜜を書写して、受持し!』、
『恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽を供養する!』には、
『及ばない!』。
其の、
『福』は、
『甚だ多いからである!』。
憍尸迦。復置四天下滿中七寶塔。若有善男子善女人。供養佛故。佛般涅槃後。起七寶塔滿小千世界。皆高一由旬。供養如前。憍尸迦。於汝意云何。是善男子善女人。其福多不。釋提桓因言甚多甚多。 憍尸迦、復た四天下の中を満たす七宝の塔を置け。若しは、有る善男子、善女人は、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、七宝の塔を起てて、小千世界を満て、皆高さ一由旬なるを、供養すること、前の如くなれば、憍尸迦、汝が意に於いて云何、是の善男子、善女人の、其の福は多しや、不や。釈提桓因の言わく、『甚だ多し、甚だ多し。』と。
憍尸迦!
復た、
『四天下中を満たす!』、
『七宝の塔』を、
『置いて!』、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
『皆、高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てて!』、
『小千世界』を、
『満たし!』、
前のように、
是の、
『塔』を、
『供養すれば!』、
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
是の、
『善男子、善女人』の、
『福』は、
『多いだろうか?』。
『釈提桓因』は、こう言った、――
『甚だ多い!』、
『甚だ多い!』、と。
佛言。不如是善男子善女人書是般若波羅蜜受持恭敬尊重讚歎華香乃至伎樂供養其福甚多。 仏の言わく、『是の善男子、善女人の、是の般若波羅蜜を書きて受持し、恭敬、尊重、讃歎して華香、乃至伎楽もて供養するに如かず。其の福は甚だ多し。
『仏』は、こう言われた、――
是の、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書写して、受持し!』、
『恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽を供養する!』には、
『及ばない!』。
其の、
『福』は、
『甚だ多いからである!』。
憍尸迦。復置小千世界滿中七寶塔。若有善男子善女人。供養佛故。佛般涅槃後。起七寶塔滿二千中世界。皆高一由旬。供養如前。不如供養般若波羅蜜其福甚多。 憍尸迦、復た小千世界の中を満たす七宝の塔を置け。若しは、有る善男子、善女人は、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、七宝の塔を起てて、二千中世界を満て、皆高さ一由旬なるを供養すること前の如くならんに、般若波羅蜜を供養する、其の福の甚だ多きには如かず。
憍尸迦!
復た、
『小千世界中を満たす!』、
『七宝の塔』を、
『置いて!』、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
『皆、高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てて!』、
『二千中世界』を、
『満たし!』、
前のように、
是の、
『塔を供養しても!』、
『般若波羅蜜を供養する!』には、
『及ばない!』、
其の、
『福』は、
『甚だ多いからである!』。
復置二千中世界七寶塔。若有善男子善女人。供養佛故。佛般涅槃後。起七寶塔滿三千大千世界。皆高一由旬。盡形壽供養天華天香天瓔珞乃至天伎樂。於汝意云何。是善男子善女人得福多不。釋提桓因言。世尊。甚多甚多。 復た、二千中世界の七宝の塔を置け。若し、有る善男子、善女人は仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、七宝の塔を起てて、三千大千世界を満て、皆高さ一由旬なるを、形寿を尽くして、天華、天香、天の瓔珞、乃至天の伎楽を供養すれば、汝が意に於いて云何、是の善男子、善女人の福を得ること多しや、不や。釈提桓因の言わく、『世尊、甚だ多し、甚だ多し。』と。
復た、
『二千中世界』の、
『七宝の塔』を、
『置いて!』、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
『皆、高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てて!』、
『三千大千世界』を、
『満たし!』、
『形寿を尽くすまで!』、
是の、
『塔』を、
『天の華、香、瓔珞、乃至伎楽で!』、
『供養すれば!』、
お前の、
『意』には、何うなのか?――
是の、
『善男子、善女人の得る!』、
『福』は、
『多いだろうか?』。
『釈提桓因』は、こう言った、――
世尊!
『甚だ多い!』、
『甚だ多い!』、と。
佛言。不如是善男子善女人書持是般若波羅蜜恭敬尊重讚歎華香乃至伎樂供養其福甚多。 仏の言わく、是の善男子、善女人の是の般若波羅蜜を書持し、恭敬、尊重、讃歎して、華香、乃至伎楽を供養するには如かず。其の福の甚だ多し。
『仏』は、こう言われた、――
是の、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書写して、受持し!』、
『恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽を供養する!』には、
『及ばない!』。
其の、
『福』は、
『甚だ多いのである!』。
復置三千大千世界中七寶塔。若三千大千世界中眾生。一一眾生供養佛故。佛般涅槃後。各起七寶塔。恭敬尊重讚歎花香乃至伎樂供養。若有善男子善女人。書持般若波羅蜜乃至正憶念。不離薩婆若心。亦恭敬尊重讚歎華香瓔珞乃至伎樂供養。是人得福甚多。 復た三千大千世界中の七宝の塔を置け。若しは、三千大千世界中の衆生の一一の衆生は、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、各七宝の塔を起てて、恭敬し、尊重、讃歎し、花香、乃至伎楽もて供養せん。若しは有る善男子、善女人は、般若波羅蜜を書持し、乃至正憶念して、薩婆若の心を離れず、亦た恭敬、尊重、讃歎し、華香、瓔珞、乃至伎楽もて供養せんに、是の人の福を得ること、甚だ多し。
復た、
『三千大千世界』中の、
『七宝の塔』を、
『置いて!』、
若し、
『三千大千世界中の衆生』の、
『一一の衆生』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の般涅槃した!』後に、
各各、
『七宝の塔』を、
『起てて!』、
是の、
『塔を恭敬し、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽』を、
『供養したとしても!』、
有る、
『善男子、善女人』が、
『般若波羅蜜を書写、受持し!』、
乃至、
『正しく!』、
『憶念して!』、
『薩婆若の心を離れず!』、
是の、
『経巻を恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、瓔珞、乃至伎楽』を、
『供養すれば!』、
是の、
『人の得る!』、
『福』は、
『甚だ多い( be more )!』。
釋提桓因白佛言。如是如是。世尊。是人供養恭敬尊重讚歎是般若波羅蜜。則為供養過去未來現在佛。 釈提桓因の仏に白して言さく、『是の如し、是の如し。世尊、是の人の、是の般若波羅蜜を供養し、恭敬、尊重、讃歎するは、則ち過去、未来、現在の仏を供養すと為す。
『釈提桓因』は、
『仏』に白して、こう言った、――
その通りです!、
その通りです!。
世尊!
是の、
『人』が、
是の、
『般若波羅蜜』を、
『供養、恭敬、尊重、讃歎すれば!』、
則ち、
『過去、未来、現在の仏』を、
『供養することになる!』。
  参考:『大般若経巻第428』:『時天帝釋即白佛言。如是世尊。如是善逝。若善男子善女人等。供養恭敬尊重讚歎如是般若波羅蜜多。當知即為供養恭敬尊重讚歎過去未來現在諸佛世尊。假使十方各如殑伽沙等世界一切有情。各於如來般涅槃後為供養佛設利羅故。以妙七寶起窣堵波。種種珍奇間雜嚴飾。其量高大一踰繕那。廣減高半。各滿三千大千世界中無空隙。復以種種天妙花鬘乃至燈明。若經一劫或一劫餘。供養恭敬尊重讚歎。世尊。是諸有情由此因緣得福多不。佛言。彼福無量無邊。天帝釋言。若善男子善女人等。不離一切智智心。以無所得而為方便。於此般若波羅蜜多。至心聽聞受持讀誦。精勤修學如理思惟。廣為有情宣說流布。或有書寫種種莊嚴。供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘乃至燈明而為供養。是善男子善女人等。由此因緣所生福聚甚多於彼。無量無邊不可思議不可稱計。何以故。世尊。由此般若波羅蜜多。能總攝藏一切善法。所謂十善業道。若四靜慮四無量四無色定。若四聖諦觀。若三十七菩提分法。若三解脫門。若六神通。若八解脫九次第定。若布施波羅蜜多乃至般若波羅蜜多。若內空乃至無性自性空。若一切三摩地門陀羅尼門。若佛十力四無所畏四無礙解大慈大悲大喜大捨十八佛不共法。若一切智道相智一切相智。若餘無量無邊佛法。皆攝入此甚深般若波羅蜜多。』
世尊。若十方如恒河沙等世界眾生。一一眾生供養佛故。佛般涅槃後。各起七寶塔高一由旬。是人若一劫若減一劫。恭敬尊重讚歎華香乃至伎樂供養。世尊。是善男子善女人得福多不。佛言。甚多。 世尊、若しは、十方の恒河沙に等しきが如き、世界の衆生の一一の衆生、仏を供養せるが故に、仏の般涅槃の後、各七宝の塔の高さ一由旬なるを起て、是の人、若しは一劫、若しは減一劫、恭敬し、尊重、讃歎して、華香、乃至伎楽もて供養せん。世尊、是の善男子、善女人の福を得ること、多しや不や。仏の言わく、『甚だ多し。』と。
世尊!
若し、
『十方』の、
『恒河沙に等しい世界の衆生』の、
『一一の衆生』が、
『仏を供養する!』為の故に、
『仏の涅槃した!』後、
各各、
『高さ一由旬』の、
『七宝の塔』を、
『起て!』、
是の、
『人』が、
『一劫か、減一劫』、
是の、
『塔を恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽』を、
『供養すれば!』、
世尊!
是の、
『善男子、善女人の得る!』、
『福』は、
『多いですか?』。
『仏』は、こう言われた、――
『甚だ!』、
『多い!』、と。
釋提桓因言。若有善男子善女人。書持是般若波羅蜜。乃至正憶念。亦恭敬尊重讚歎華香乃至伎樂供養其福大多。 釈提桓因の言わく、『若しは、有る善男子、善女人、是の般若波羅蜜を書持して、乃至正憶念し、亦た恭敬、尊重、讃歎し、華香、乃至伎楽もて供養せん。其の福は大いに多し。
『釈提桓因』は、こう言った、――
若し、
有る、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書写、受持して!』、
乃至、
『正しく!』、
『憶念し!』、
是の、
『経巻を恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、乃至伎楽』を、
『供養すれば!』、
其の、
『福』は、
『大いに多い( extremely much )!』。
何以故。世尊。一切善法皆入般若波羅蜜中。所謂十善道。四禪四無量心四無色定。三十七品。三解脫門空無相無作。四諦苦諦集諦滅諦道諦。六神通八解脫九次第定。檀波羅蜜。尸羅波羅蜜。羼提波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。禪波羅蜜。般若波羅蜜。內空乃至無法有法空。諸三昧門。諸陀羅尼門。佛十力四無所畏。四無礙智。大慈大悲十八不共法。一切智道種智一切種智。 何を以っての故に、世尊、一切の善法は、皆、般若波羅蜜中に入ればなり。謂わゆる十善道、四禅、四無量心、四無色定、三十七品、三解脱門の空、無相、無作、四諦の苦諦、集諦、滅諦、道諦、六神通、八解脱、九次第定、檀波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜、内空、乃至無法有法空、諸の三昧門、諸の陀羅尼門、仏の十力、四無所畏、四無礙智、大慈大悲、十八不共法、一切智、道種智、一切種智なり。
何故ならば、
世尊!
『一切の善法』は、
皆、
『般若波羅蜜』中に、
『入るからです!』。
謂わゆる、
『十善道、四禅、四無量心、四無色定、三十七品や!』、
『三解脱門の空、無相、無作、四諦の苦諦、集諦、滅諦、道諦や!』、
『六神通、八解脱、九次第定や!』、
『檀、尸羅、羼提、毘梨耶、禅、般若波羅蜜や!』、
『内空、乃至無法有法空や!』、
『諸の三昧門、諸の陀羅尼門や!』、
『仏の!』、
『十力、四無所畏、四無礙智、大慈大悲や!』、
『十八不共法、一切智、道種智、一切種智は!』、
皆、
『般若波羅蜜』中に、
『入るのです!』。
世尊。是名一切諸佛法印。是法中一切聲聞及辟支佛。過去未來現在諸佛。學是法印得度彼岸 世尊、是れを一切の諸仏の法印と名づけ、是の法中に、一切の声聞、乃至辟支仏、過去、未来、現在の諸仏は、是の法印を学びて、彼岸に度ることを得たまえばなり。
世尊!
是の、
『般若波羅蜜』は、
一切の、
『諸仏』の、
『法印であり!』、
是の、
『法』中に、
一切の、
『声聞、辟支仏も!』、
『過去、未来、現在の諸仏』も、
是の、
『法印を学んで!』、
『彼岸に度られるのです!』、と。



【論】般若の供養と、七宝の塔の供養

【論】釋曰。般若波羅蜜。若聞受持誦讀等。有無量功德。更欲說故。以現事譬喻證之。人見土塔高大。即時生心謂是塔主福德極大。何況七寶起塔高一由旬。是故佛以塔為喻。 釈して曰く、般若波羅蜜を、若しは聞きて受持し、読誦等すれば、無量の功徳有り。更に説かんと欲したまえるが故に、現事の譬喩を以って、之を証したまえり。人は、土の塔の高大なるを見るにすら、即時に心を生じて、謂わく、『是の塔主の福徳は極めて大ならん。』と。何に況んや、七宝もて、塔を起て、高さ一由旬なるをや。是の故に、仏は、塔を以って、喩と為したまえり。
釈す、
『般若波羅蜜』を、
若し、
『聞いて、受持し、読誦等すれば!』、
『無量の功徳』が、
『有る!』ので、
更に、
『説こうとされた!』が故に、
『現事の譬喩を用いて!』、こう証された、――
『人』が、
『高大な!』、
『土の塔』を、
『見る!』と、
即時に、
『心を生じて( perceivingly )!』、
こう謂うだろう、――
是の、
『塔の主』の、
『福徳』は、
『極めて大きいだろう!』、と。
況して、
『高さ一由旬の!』、
『七宝の塔を起てれば!』、
『尚更である!』。
是の故に、
『仏』は、
『塔を用いて!』、
『譬喩されたのである!』。
  心生(しんしょう):梵語 saM√(jJaa) の訳、同意/認識/意識/明瞭な理解( agreement, perception, consciousness, clear understanding )の義。
問曰。是塔為實為假。 問うて曰く、是の塔は、実と為すや、仮と為すや。
問い、
是れは、
『実の塔ですか?』、
『仮の塔ですか?』。
答曰。佛欲使人解知分別福德多小故。作是譬喻。不應問其虛實。 答えて曰く、仏は、人をして、福徳の多少を解知し、分別せしめんと欲したもうが故に、是の譬喩を作したもう。応に其の虚実を問うべからず。
答え、
『仏』は、
『人』に、
『福徳の多、少』を、
『解知させ!』、
『分別させる!』為の故に、
是の、
『譬喩』を、
『作されたのであるから!』、
其の、
『虚、実』を、
『問うべきではない!』。
有人言。有實有假。如迦葉佛般涅槃後有國王名吉梨姞。爾時人壽二萬歲。是王為供養舍利故。起七寶塔高五十里。 有る人の言わく、『有るいは実なり、有るいは仮なり。迦葉仏の般涅槃の後の如きに、有る国王を吉梨姞と名づく。爾の時の人寿は二万歳なり。是の王は、舎利を供養せんが為の故に、七宝の塔を起て、高さ五十里なり。
有る人は、こう言っている、――
有るいは、
『実であり!』、
有るいは、
『仮である!』、と。
例えば、――
『迦葉仏が般涅槃された!』後、
『吉梨姞と呼ばれる!』、
『国王』が、
『有った!』が、
爾の時、
『人の寿』は、
『二万歳であった!』。
是の、
『王』は、
『仏の舎利弗を供養する!』為の故に、
『高さ五十里の!』、
『七宝の塔』を、
『起てたのであり!』、
  吉梨姞(きりきち):不明。
又過去世有轉輪王名德主。一日起五百塔高五百由旬。此言滿三千大千世界。是事假喻。 又過去世の有る転輪王を徳主と名づく、一日に五百の塔の高さ五百由旬なるを起つるを、此には三千大千世界を満てりと言えり。是の事は仮喩なり。』と。
又、
『過去世』には、
『徳主と呼ばれる!』、
『転輪王が有り!』、
『一日』に、
『高さ、五百由旬の塔を!』、
『五百、起てたのでるが!』、
此の、
『品』中に、
『三千大千世界を満たす!』と、
『言う!』のは、
是の、
『事』は、
『仮の譬喩である!』。
有人言。皆是實有。如小國王隨力起七寶塔。大王能起一由旬七寶塔。或過一由旬。小轉輪王能起七寶塔。滿四天下。大轉輪王能起七寶塔。過四天下。梵天王主三千大千世界。是佛弟子能心生變化起塔。高至梵天。滿三千大千世界。 有る人の言わく、『皆、是れ実に有り。小国の王の力に随うて、七宝の塔を起つるが如く、大王は、能く一由旬の七宝の塔、或いは一由旬を過ぐるを起て、小転輪王は、能く七宝の塔を起て、四天下を満て、大転輪王は、能く七宝の塔を起て、四天下を過ぎ、梵天王は、三千大千世界の主にして、是れ仏の弟子なれば、能く心に変化を生じて、塔を起て、高さは梵天に至り、三千大千世界を満つればなり。』と。
有る人は、こう言っている、――
皆、
是の、
『事』は、
『実に有る! 』。
譬えば、
『小国の王』が、
『力に随って!』、
『七宝の塔』を、
『起てるように!』、
『大国の王』は、
『一由旬の、或は一由旬を過ぎる!』、
『七宝の塔』を、
『起てることができ!』、
『小転輪王』は、
『四天下に満ちる!』、
『七宝の塔』を、
『起てることができ!』、
『大転輪王』は、
『四天下を過ぎる!』、
『七宝の塔』を、
『起てることができ!』、
『梵天王』は、
『三千大千世界』の、
『主である!』が、
是れは、
『仏の弟子である!』が故に、
『心に変化を生じて!』、
『塔』を、
『起てることができ!』、
『高さ!』は、
『梵天にまで!』、
『至り!』、
『大きさ!』は、
『三千大千世界』を、
『満たすのである!』、と。
或有菩薩得陀羅尼門諸三昧門。深行六波羅蜜故。佛滅度後。能起七寶塔。滿三千大千世界。 或いは有る菩薩は、陀羅尼門、諸の三昧門を得て、深く六波羅蜜を行ずるが故に、仏の滅度の後、能く七宝の塔を起て、三千大千世界を満つ。
或いは、
有る、
『菩薩』は、
『陀羅尼門や、諸の三昧門を得て!』、
深く、
『六波羅蜜』を、
『行う!』が故に、
『仏の滅度された!』後、
『七宝の塔を起てて!』、
『三千大千世界』を、
『満たすのである!』。
滿者舉其多故。不言間不容間。 『満つ』とは、其の多きを挙げんが故にして、間に、間を容れざるを言わず。
『満たす!』とは、――
其の、
『塔』の、
『多さを挙げて!』を、
『言うのであり!』、
故に、
『塔と、塔の間に!』、
『隙間を容れない!』と、
『言うのではない!』。
後言一一眾生者。施主多故福德多。 後に、『一一の衆生』と言うは、施主の多きが故に、福徳も多ければなり。
後に言う、
『一一の衆生』、とは、――
『施主が多い!』が故に、
『福徳も!』、
『多いからである!』。
佛是中自說得福因緣。十善道乃至一切種智。皆攝在般若波羅蜜中。和合是法名為般若波羅蜜。 仏は、是の中に自ら福を得る因緣を説きたまわく、『十善道、乃至一切種智は、皆、般若波羅蜜中に摂在し、是の法を和合するを名づけて、般若波羅蜜と為す。
『仏』は、
是の中に、
自ら、
『福を得る!』、
『因緣』を、こう説かれた、――
『十善道、乃至一切種智』は、
皆、
『般若波羅蜜』中に、
『摂在するのであり( to be contained )!』、
是れ等の、
『法の和合』を、
『般若波羅蜜』と、
『称するのである!』。
是般若中但出生佛。尚應當供養。何況出生三乘及人天中樂。皆因般若波羅蜜有而不供養。 是の般若中には、但だ仏を出生するすら、尚お応当に供養すべし。何に況んや、三乗、及び人天中の楽を出生し、皆、般若波羅蜜に因りて有るに、供養せざるをや。』と。
是の、
『般若』中に、
但だ、
『仏』を、
『出生するだけ!』でも
尚お、
『般若波羅蜜』を、
『供養すべきである!』。
況して、
『三乗や、人、天中の楽を出生し!』、
皆、
『般若波羅蜜に因って!』、
『有る( to be existent )のであるから!』、
是の、
『般若波羅蜜』を、
『供養しないはずがない!』。
舍利是無記法。是諸善法所依止處故。後乃能與人果報。行般若波羅蜜。即時得果後亦得報 舎利は、是れ無記の法にして、是れ諸の善法の依止する所の処なるが故に、後に乃ち能く、人に果報を与う。般若波羅蜜を行ずれば、即時に果を得、後にも亦た報を得。
『舎利(the remains of Buddha)』は、
『無記(be undivided)の法でありながら!』、
諸の、
『善法』の、
『依止する!』為の、
『処(the place)である!』が故に
後には、
乃ち( at last )、
『人に!』、
『果報を与えることができる!』が、
『般若波羅蜜を行えば!』、
即時に、
『果を得るばかりか!』、
後にも、
『報』を、
『得るのである!』。



大智度論釋述誠品第三十三
 龍樹菩薩造
 後秦龜茲國三藏法師鳩摩羅什奉 詔譯


【經】般若が世に在れば、三宝及び一切の善法は滅しない

【經】爾時佛告釋提桓因。如是如是。憍尸迦。是諸善男子善女人。書是般若波羅蜜。持經卷受學親近讀誦說正憶念。加復供養華香瓔珞擣香澤香幢蓋伎樂。當得無量無數不可思議不可稱量無邊福德。 爾の時、仏の釈提桓因に告げたまわく、『是の如し、是の如し。憍尸迦、是の諸の善男子、善女人は、是の般若波羅蜜を書きて、経巻を持し、受けて学び、親近、読誦し、説きて正憶念し、加うるに復た華香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽を供養せば、当に無量、無数、不可思議、不可称量、無辺の福徳を得べし。
爾の時、
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
その通りだ!
その通りだ!
憍尸迦!
是の、
諸の、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書写して!』、
『経巻を受持して、学び!』、
『親近、読誦しながら!』、
『説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させ!』、
加えて、
復た、
是の、
『経巻を!』、
『華、香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽を用いて!』、
『供養すれば!』、
『無量、無数、不可思議、不可称量、無辺の!』、
『福徳』を、
『得ることになるだろう!』。
何以故。諸佛一切智一切種智。皆從般若波羅蜜中生。 何を以っての故に、諸の仏の一切智、一切種智は、皆、般若波羅蜜中より、生ずればなり。
何故ならば、
『諸の仏の!』、
『一切智や、一切種智は!』、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じるからである!』。
諸菩薩摩訶薩。禪波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。羼提波羅蜜。尸羅波羅蜜。檀波羅蜜。皆從般若波羅蜜中生。內空乃至無法有法空。四念處乃至十八不共法。皆從般若波羅蜜中生。諸佛五眼皆從般若波羅蜜中生。 諸の菩薩摩訶薩の、禅波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、羼提波羅蜜、尸羅波羅蜜、檀波羅蜜は、皆、般若波羅蜜中より生じ、内空、乃至無法有法空、四念処、乃至十八不共法は、皆、般若波羅蜜中より生じ、諸の仏の五眼は、皆、般若波羅蜜中より生ずればなり。
諸の、
『菩薩摩訶薩』の、
『禅、毘梨耶、羼提、尸羅、檀波羅蜜』は、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じ!』、
『内空、乃至無法有法空や、四念処、乃至十八不共法』は、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じ!』、
諸の、
『仏の五眼』は、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じるからである!』。
成就眾生淨佛世界。道種智一切種智諸佛法。皆從般若波羅蜜中生。聲聞乘辟支佛乘佛乘。皆從般若波羅蜜中生 衆生を成就して、仏の世界を浄むる、道種智、一切種智、諸仏の法は、皆、般若波羅蜜中より生じ、声聞乗、辟支仏乗、仏乗は、皆、般若波羅蜜中より生ずればなり。
諸の、
『菩薩』が、
『衆生を成就して!』、
『仏世界』を、
『浄めることも!』、
『道種智や、一切種智や、諸仏の法』も、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じ!』、
『声聞乗、辟支仏乗や、仏乗も!』、
皆、
『般若波羅蜜』中より、
『生じるからである!』。
以是故。憍尸迦。善男子善女人。書是般若波羅蜜。受持經卷親近讀誦說正憶念。加復供養華香乃至伎樂。過出前供養七寶塔。百分千分千億萬分。乃至算數譬喻所不能及。 是を以っての故に、憍尸迦、善男子、善女人の、是の般若波羅蜜を書きて、経巻を受持し、親近し読誦し、説きて正憶念し、加うるに復た、華香、乃至伎楽を供養せば、前の供養を過ぎ出でて、七宝の塔は百分、千分、千億万分すら、乃至算数、譬喩の及ぶ能わざる所なり。
是の故に、
憍尸迦!
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書写して!』、
『経巻を受持し、親近、読誦し!』、
『説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させ!』、
加えて、
復た、
是の、
『経巻を!』、
『華、香、乃至伎楽を用いて!』、
『供養すれば!』、
前の、
『功徳を過出して!』、
『七宝の塔を供養すること!』は、
『百分、千分、千億万分』の、
『一にも!』、
『及ばず!』、
乃至、
『算数や、譬喩の!』、
『及ぶことのできる所ではないのである!』。
 
何以故。憍尸迦。若般若波羅蜜在於世者。佛寶法寶比丘僧寶終不滅。 何を以っての故に、憍尸迦、若し般若波羅蜜、世に在れば仏宝、法宝、比丘僧宝の、終に滅せざればなり。
何故ならば、
憍尸迦!
若し、
『般若波羅蜜が、世に在れば!』、
『仏、法、比丘僧の三宝』は、
終に( finally )、
『滅しないからである!』。
若般若波羅蜜在於世者。十善道四禪四無量心四無色定。檀波羅蜜乃至般若波羅蜜。四念處乃至十八不共法。一切智一切種智。皆現於世。 若し、般若波羅蜜、世に在れば十善道、四禅、四無量心、四無色定、檀波羅蜜、乃至般若波羅蜜、四念処、乃至十八不共法、一切智、一切種智も、皆、世に現われん。
若し、
『般若波羅蜜が、世に在れば!』、
『十善道、四禅、四無量心、四無色定や!』、
『檀波羅蜜、乃至般若波羅蜜や!』、
『四念処、乃至十八不共法や!』、
『一切智、一切種智が!』、
皆、
『世に現れるからである!』。
若般若波羅蜜在於世者。世間便有剎利大姓婆羅門大姓居士大家四天王天乃至阿迦尼吒諸天。須陀洹果乃至阿羅漢果辟支佛道菩薩摩訶薩無上佛道。轉法輪成就眾生淨佛世界 若し、般若波羅蜜、世に在れば、世間に、便ち刹利の大姓、婆羅門の大姓、居士の大家、四天王天、乃至阿迦尼吒の諸天、須陀洹果、乃至阿羅漢果、辟支仏道、菩薩摩訶薩、無上の仏道有りて、法輪を転じ、衆生を成就して、仏世界を浄めん。
若し、
『般若波羅蜜が、世に在れば!』、
『世間』には、
便ち( promptly )、
『刹利の大姓、婆羅門の大姓、居士の大家や!』、
『四天王天、乃至阿迦尼吒の諸天や!』、
『須陀洹果、乃至阿羅漢果や、辟支仏道や!』、
『菩薩摩訶薩、無上の仏道が有って!』、
『法輪を転じながら!』、
『衆生を成就して!』、
『仏世界』を、
『浄めるからである!』。



【論】般若が世に在れば、三宝及び一切の善法は滅しない

【論】釋曰。上帝釋答佛言。供養般若福德甚多。更有大天以帝釋非一切智人故。所說或錯。是以佛印可所說。言如是如是。 釈して曰く、上に帝釈の仏に答えて言わく、『般若波羅蜜を供養する福徳は、甚だ多し。』と。更に有る大天の以(おも)うらく、『帝釈は、一切智の人に非ざるが故に、説く所、或いは錯(あやま)たん。』と。是を以って、仏は所説を印可して、『是の如し、是の如し。』と言えり。
釈す、
上に、
『帝釈』は、
『仏に答えて!』、こう言った、――
『般若を供養する!』、
『福徳』は、
『甚だ多い!』、と。
更に、
有る、
『大天』は、こう思った、――
『帝釈』は、
『一切智の人ではない!』、
或は、
『説く!』所が、
『錯っているのではないか?』、と。
是の故に、
『仏』は、
『帝釈の所説』を、
『印可(to authorize)して!』、こう言われた、――
その通りだ!
その通りだ!、と。
  印可(いんか):梵語 abhyanu√(jJaa) の訳、同意/承認/許可/認可する( to assent to, approve, allow, permit, concede, authorize )の義。
問曰。若般若波羅蜜相。一切諸觀滅。語言道斷不生不滅如虛空相。今何以說般若在世者三寶不滅。 問うて曰く、若し、般若波羅蜜の相の、一切の諸観滅し、語言の道断え、不生不滅なること、虚空の相の如くんば、今は、何を以ってか、『般若が世に在らば、三宝も滅せざらん。』と説ける。
問い、
若し、
『般若波羅蜜の相』が、
『一切の諸観』が、
『滅した!』、
『相であり!』、
『語言の道』が、
『断じた!』、
『相であり!』、
『虚空のように!』、
『不生、不滅』の、
『相ならば!』、
今、
何故、こう説くのですか?――
『般若波羅蜜が世に在れば!』、
『三宝』が、
『滅することはない!』、と。
答曰。般若波羅蜜體性。有佛無佛常住不滅。此言在世者。所謂般若經卷。可修習讀誦者。是因中說果。 答えて曰く、般若波羅蜜の体性は、有仏にも、無仏にも常住不滅なれば、此に『世に在る』と言うは、謂わゆる般若の経巻の、修習し、読誦すべき者にして、是れ因中に果を説くなり。
答え、
『般若波羅蜜』の、
『体性( the nature )』は、
『有仏でも、無仏でも!』、
『常住であり!』、
『不滅である!』。
此に言う、――
『世に在る!』とは、
謂わゆる、
『般若波羅蜜』の、
『経巻であり!』、
『修習、読誦することのできる者であり!』、
是の、
『経巻を書写し、読誦するという!』、
『因』を、
『示す!』中に、
『般若波羅蜜を知り、存続するという!』、
『果』を、
『説いたのである!』。
  体性(たいしょう):◯梵語 zariirataa の訳、身体の様相/状態( the state or condition of a body )の義。◯梵語 svabhaava の訳、存在自体の様相/状態( own condition or state of being )、自然な状態/様相( natural state or condition )、生来/本来の性質( innate or inherent disposition )、本姓/自性( nature )、自発性( spontaneity )の義。
譬如井深綆短不及便言失井。井實不失。般若波羅蜜實相如深井。經卷名為綆。行者不能書寫修習故言滅。 譬えば、井の深きに、綆(つるべなわ)の短きは、及ばずして、便ち『井を失う』と言うも、井は実に失われざるが如し。般若波羅蜜の実相は深き井の如く、経巻を名づけて、綆と為すに、行者の書写し、修習する能わざるが故に、『滅す』と言う。
譬えば、
『井が深く!』、
『釣瓶縄が短くて!』、
『水にまで、及ばない!』のを、
便ち( that is )、
『井を失う!』と、
『言う!』が、
実は、
『井』が、
『失われていないように!』、
『般若波羅蜜』の、
『実相』を、
『深い井』に、
『喻えれば!』、
『経巻という!』、
『釣瓶縄』を、
『行者』が、
『書写、修習できない!』が故に、
『般若波羅蜜』が、
『滅する!』と、
『言うのである!』。
問曰。若說三寶。盡攝一切善人善法。何以復言般若在世者。世間有十善道乃至一切種智。 問うて曰く、若し、『三宝に、尽く一切の善人、善法を摂す。』と説かば、何を以ってか、復た、『般若、世に在らば、世間にも、十善道、乃至一切種智有らん。』と言う。
問い、
若し、
『三宝』は、
『一切の善人、善法』を、
『尽く、摂する( to be accepting )!』と、
『説くならば!』、
何故、復た、
『般若波羅蜜が世に在れば!』、
『世間』には、
『十善道、乃至一切種智が有る!』と、
『言うのですか?』。
  (しょう):含む/包含する( contain )、梵語 saMgraha, samavasaraNa, anugraha, parigraha の訳、保持する/持つ/含める/[或るグループ/組に]属する/集める/寄せ集める/結びつける( To hold, have, include; to be included (within a certain group or set, etc.); collect, gather together, combine )、受け取る/受け容れる( taking, accepting, receiving )の義。取締る/指図する/専心する/包含する( To control, direct, attend to, emblace )、所属する/属する/一部となる/傘下に入る( To relate to, belong to, be part of, fall under, be affiliated with )の意。
答曰。此諸法及諸道。皆廣解三寶中義。 答えて曰く、此の諸法、及び諸道は、皆広く、三宝中に義を解せり。
答え、
此の、
『諸の法や、道』は、
皆、
『三宝』中の、
『義( the meanings )』を、
『広く、解説するものである!』。
  参考:『大智度論巻54天主品』:『須菩提深心信三寶故說。我知今世尊及法過去諸佛及弟子恩。法即是法寶。今佛過佛即是佛寶。諸菩薩及弟子即是僧寶。』
佛寶者。佛法所攝無學五眾。 仏宝とは、仏法を摂する所の、無学の五衆なり。
『仏宝』とは、
『仏』の、
『法』に、
『摂される( to be contained )!』、
謂わゆる、
『無学(無漏)』の、
『五衆(戒、定、慧、解脱、解脱知見)である!』。
  無学五衆(むがくごしゅ):無学位に属する戒、定、慧、解脱、解脱知見をいう。『大智度論巻8下注:五分法身』参照。
法寶者。第三諦所謂涅槃。除四沙門所攝學無學功德。餘殘辟支佛功德菩薩功德。 法宝とは、第三諦にして、謂わゆる涅槃にして、四沙門に摂する所の、学、無学の功徳を除き、余残の辟支仏の功徳、菩薩の功徳なり。
『法宝』とは、
『第三諦(滅諦)』、
謂わゆる、
『涅槃である!』が、
『四沙門(須陀洹、乃至阿羅漢)に摂される!』、
『学・無学の功徳を除く!』、
『余残の!』、
『辟支仏や、菩薩の功徳である!』。
僧寶者。四向四果。學無學五眾。 僧宝とは、四向四果、学無学の五衆なり。
『僧宝』とは、
『四向、四果であり!』、
『学、無学の五衆(比丘、沙弥、比丘尼、式叉摩那、沙弥尼)である!』。
餘十善道四禪四無量等皆是道方便門。是故別說
大智度論卷第五十七
余の十善道、四禅、四無量等は、皆、是れ道にして、方便の門なれば、是の故に別に説けり。
大智度論巻第五十七
余の、
『十善道や、四禅、四無量心』等は、
皆、
『道の為の!』、
『方便の門である!』ので、
是の故に、
『別に説くのである!』。

大智度論巻第五十七


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