【經】釋提桓因白佛言。世尊。若善男子善女人書寫般若波羅蜜。華香瓔珞乃至伎樂供養。若有人佛般涅槃後。若供養舍利。若起塔供養恭敬尊重讚歎華香瓔珞乃至伎樂供養。是二何者得福多。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、若しは善男子、善女人の般若波羅蜜を書写して、華香、瓔珞、乃至伎楽の供養せん、若しは有る人、仏の般涅槃の後に、若しは舎利を供養し、若しは塔を起てて供養、恭敬、尊重、讃歎し、華香、瓔珞、乃至伎楽の供養せん、是の二の何れの者か、福を得ること多き。』と。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
若し、
有る、
『善男子、善女人』は、
『般若波羅蜜を書写して!』、
『華香、瓔珞、乃至伎楽』を、
『供養し!』、
有る、
『人』は、
『仏の般涅槃された!』後、
若しは、
『舎利( the remains of the Buddha )』を、
『供養したり!』、
若しは、
『塔を起てて!』、
『供養したりして!』、
『仏の舎利や、塔を!』、
『恭敬、尊重、讃歎して!』、
『華香、瓔珞、乃至伎楽』を、
『供養したとすれば!』、
是の、
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舎利(しゃり):梵語 zarii, zariira の音訳、又設利羅、室利羅、実利に作る、「身( body )」の義、死体( a dead body
)、仏の遺骨/荼毘 (火葬) に附した後の仏の遺骨であり、塔に安置して崇拜される( the relics of the Buddha; the
remains or ashes after cremation of the Buddha; placed in stuupas and worshiped
)の意。又法界身、或は法身と称されることもある( also called dhaatu- zariira or dharma- zariira
)。
舎利(しゃり):梵語zariira、又設利羅、室利羅、実利に作る。巴梨語sariira、体、身、身骨、或いは遺身と訳す。即ち死屍又は遺骨を云う。「玄応音義巻6」に、「舎利は正しく設利羅と言い、訳して身骨と云う。舎利には全身なるものあり、砕身なるものあり」と云い、「慧苑音義巻下」に、「舎利は正しく設利羅と云い、或いは実利と云う。此に翻じて身と為す」と云い、「慧琳音義巻27」に、「舎利は設利羅なり、此に体と云う」と云い、又「四分律行事鈔資持記巻下4之1釈瞻病篇」に、「舎利は此に遺身と翻ず、即ち死屍なり」と云えり。蓋し梵語zariiraは「依らしむ」の義なる動詞zriより転じたる名詞にして、即ち所依の身体を意味す。又「破壊す」の義なる動詞zRRより来たりしものとも解せらる。此の場合には即ち破壊し易きものの義なり。又一に駄都dhaatuとも称す。駄都は要素の義なり。「巴梨文長部経註sumanGgala-
vilaasinii」に、連結せられて存ぜし身体sariiraは、荼毘せられて、磨ける真珠、黄金の粉末の如き駄都dhaatuyoとなれりとあり。之に依るに死屍は巴梨語にsariiraと称し、荼毘せられたる遺骨はdhaatuyo(dhaatuの複数)と名づくるを知るべし。此の中、前者を全身舎利と云い、後者を砕身舎利と称す。「長阿含巻4遊行経」に、「速かに双樹に詣りて舎利を供養すべしと。一日を竟り已りて、仏舎利を以って牀上に置き、末羅の童子をして牀の四角を挙げ、幡蓋を擎持し、焼香散華伎楽供養せしむ」と云い、「法華経巻4提婆達多品」に、天王仏般涅槃の後、其の全身舎利を以って七宝塔を起すと云えるは即ち全身の遺形を指し、又「長阿含経」の連文に、「衆の名香を積み、厚く其の上に衣せ、之を闍維して舎利を収撿す」と云えるは、即ち砕身の遺骨を指して舎利と称したるなり。蓋し舎利に全身砕身の二種あることは、「菩薩処胎経巻3常無常品」等に説く所なり。是れ恐らく「利倶吠陀」時代より印度に行われたる埋葬火葬の二法に起原するものなるべく、即ち埋葬せる遺体を全身舎利と名づけ、火葬せる遺体を砕身舎利と称したるものなるべし。又「浴仏功徳経」には、舎利に身骨舎利、法頌舎利の二種ありとし、仏の遺法を以って法頌舎利と名づけ、其の遺骨を身骨舎利となせり。是れ肉身の遺形に対して不滅の法身を法頌舎利と称したるなり。又「法苑珠林巻40」には舎利に三種ありとし、一は骨舎利にして其の色白なり、二は髪舎利にして其の色黒なり、三は肉舎利にして其の色赤なりと云えり。又舎利は骨片なるが故に其の大小形状同じからざるものあるべしと雖も、支那等にては多く球状のものを称し、又其の質堅緻にして槌を以って打つも破砕すべからざるものとなすに至れり。「大般涅槃経後分巻下」に、「爾の時世尊の大悲力の故に、金剛体を砕して末舎利と成る。唯四牙を留めて沮壊すべからず」と云い、又「法苑珠林巻40」に、「若し是れ仏舎利ならば椎打するも砕けず、若し是れ弟子の舎利ならば椎撃せば便ち破る」と云えり。是れ恐らく後世支那等に於いて起りし説なるべし。釈尊入涅槃の後、遺形を荼毘に附し、其の砕身舎利を八国に分配せしことは著名なる事実にして、「長阿含巻4遊行経」、「巴梨文大般涅槃経mahaaparinibbaana-
sutta」を始め、諸経に多く伝うる所なり。「長阿含経」に依るに、諸の末羅malla等は七日仏の遺形を供養し、後城の北門を出でて熙連禅河を渡り、天冠寺に至りて之を闍維し、有らゆる香華を採りて仏舎利を供養す。時に波婆paavaa国の末羅民衆は舎利分を得て、本土に於いて塔を起さんことを欲し、四種の兵を厳にして拘尸kusinaara城に到り、使者を遣して骨分を請う。然るに拘尸王は世尊は茲の国に於いて滅度したまいしにより、国内の士民当に自ら供養すべしと言い、拒んで舎利を分たず。時に又遮羅頗allakappa国の諸の跋離buli民衆、羅摩伽raamagaama国の拘利koli民衆、毘留提veThadiipa国の婆羅門衆、迦維羅衛kapila国の釈種sakya民衆、毘舎離vesaalii国の離車licchavi民衆、及び摩竭magadha国王阿闍世ajaata-
sattuは亦各四種の兵を厳にし、進んで恒水を渡り、即ち婆羅門香姓doNaをして舎利分を請わしむ。然るに拘尸王は亦同一理由を述べて之を与えず。是に於いて諸王は力を以って取るべしとなし、将に干戈を執らんとせしが、香姓婆羅門は其の不可を諭し、仍りて舎利を八分して八国に分つ。時に拘尸国人、波婆国人、遮羅国、羅摩伽国、毘留提国、迦維羅衛国、毘舎離国、摩竭国阿闍世王等各皆舎利分を得て国に帰り、塔を起して供養すと云えり。以って当時の状景を察するを得べし。後八塔の位置等に関し多く伝えられざりしが、西紀1898年に至り、仏人ペッペW.C.Peppeは尼波羅国の南境ピプラーヴァーpipraavaaに於いて古墳を発掘し、一大石櫃を得、中に蝋石壷二個、蝋石器一個、蝋石篋一個及び水瓶の破片多数を蔵し、而して二個の蝋石壷は、一は小にして高さ六寸径四寸、一は稍大にして高さ七寸径四寸五分あり、共に骨片を収む。就中、小なるものは球状をなして上下二部に分たれ、其の上半は即ち蓋の用をなし、其の上に瓶形の把手を附し、蓋の上に阿育王時代、若しくは其れ以前に使用せられたるブラフミーbarahmii文字を以って二行に左の銘文iyaaM
saliila- nidhaane budhaasa bhagavate saakiiyaana(M) sukiiti- bhaatiina(M)
sabhagiinikaana (M)sapuutadaalaana(M) (これは仏陀世尊の舎利龕にして、名誉ある釈迦族の人人とその妹等と妻子等との共に奉祀する所)を刻せり。此の刻銘は、其の骨片が八国分舎利中、迦維羅衛国に分与せられたる釈尊の遺骨なることを顕すものにして、「長阿含」等の伝説が事実として確かめらるると同時に、洵に仏徒として尊重措く能わざる記念なりというべし。後阿育王時代に至り、王は羅摩伽国を除き、他の王舎城等の七の塔を開きて其の舎利を取り、之を八万四千の宝篋に盛り、以って八万四千の宝塔を建立せりと伝えらる。又阿育王の子摩呬陀mahindaが錫崙に伝教するや、其の王天愛帝須devaanaMpiya-
tissaは摩呬陀に勧めて、扈従せし沙弥修摩那sumanaをして阿育王に舎利駄都を求めしめ、荘厳なる儀式を以って之を迎えたることは「巴梨文大史mahaavaMsa,
ch. xvii」の記する所、又「高僧法顕伝師子国の條」に王城中に仏歯精舎ありと云い、「大唐西域記巻11僧伽婆羅国の條」に、王宮の側に仏牙精舎ありと云える即ち是れなり。又西域地方にも仏頂骨等を奉安せし精舎ありしが如く、「高僧法顕伝」に依るに、那竭国界醯羅城中に仏頂骨精舎あり、尽く金薄七宝を以って校飾せり。骨は黄白色にして、方円四寸、其の上は隆起せり。国王之を敬重し、毎朝華香を以って供養し、而して後国政を聴き、居士長者も亦先づ供養して乃ち家事を修むと云い、又「大唐西域記巻1迦畢試国の條」に、龍王所建の窣堵波あり、中に如来の骨肉舎利あり、一升余なるべし。又王城の西北大河の南岸に旧王伽藍あり、中に如来の頂骨一片あり。面の広さ寸余、其の色黄白にして髪孔分明なり。六斎に至る毎に王及び大臣は散花供養す。又其の西南に旧王妃伽藍あり、中に金銅窣堵波あり、仏舎利升余を安ず。毎月十五日の夜円光を放つ。又城の西南、比羅娑洛山に象堅窣堵波あり、中に如来の舎利を蔵す、一升余なるべしと云い、「大唐西域求法高僧伝巻上玄照の條」にも、照は迦畢試国に至りて如来の頂骨を礼せしことを記せり。又「大唐西域記巻12」には、玄奘帰朝の時、如来の肉舎利百五十粒を請得せしことを記し、「宋高僧伝巻1」には義浄帰朝の時、舎利三百粒を齎せしことを伝え、又「法苑珠林巻38」には、唐顕慶五年西域より仏の頂骨を献じ京師に至る、高さ五寸、闊さ四寸許にして黄紫色なりと云えり。之に依るに西域地方にも亦舎利崇拜の行われたるを見るべし。又「雑阿含経巻23」、「大般涅槃経巻下」、「仏般泥洹経巻下」、「仏本行集経巻7八王分舎利品」、「仏所行讃巻5分舎利品」、「大般若波羅蜜多経巻430設利羅品」、「同巻503仏設利羅品」、「大品般若経巻10法称品」、「金光明最勝王経巻10」、「大悲経巻2」、「菩薩従兜術天降神母胎説広普経巻7起塔品」、「蓮華面経巻上」、「宝篋印陀羅尼経」、「無垢浄光大陀羅尼経」、「如意宝珠天倫秘密現身成仏金輪呪王経」、「十誦律巻60五百比丘結集三蔵法品」、「有部毘奈耶雑事巻39」、「阿育王経巻1」、「阿育王伝巻1」、「高僧伝巻1、13」、「洛陽伽藍記巻5」、「法華経玄賛巻2」、「倶舎論光記巻8」、「宋高僧伝巻19」、「釈氏要覧巻下」等に出づ。<(望)舎利弗因縁の舎利に関しては『大智度論巻1上注:舎利』参照。 |
参考:『大般若経巻103』:『佛涅槃後起窣堵波。七寶嚴飾。寶函盛貯佛設利羅安置其中。供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘塗散等香衣服纓絡寶幢幡蓋眾妙珍奇伎樂燈明而為供養。是二福聚何者為多。佛言。憍尸迦。我還問汝。當隨意答。於意云何。如來所得一切智智及相好身。於何等法修學而得。天帝釋言。世尊。如來所得一切智智及相好身。於此般若波羅蜜多修學而得。佛告憍尸迦。如是如是。如汝所說。我於般若波羅蜜多修學故。得一切智智及相好身。何以故。憍尸迦。不學般若波羅蜜多證得無上正等菩提。無有是處故。憍尸迦。不以獲得相好身故。說名如來應正等覺。但以證得一切智智。說名如來應正等覺。憍尸迦。如來所得一切智智。甚深般若波羅蜜多為因故起。佛相好身但為依處。若不依止佛相好身。一切智智無由而轉。是故般若波羅蜜多正為因生一切智智。為令此智現前相續故。復修集佛相好身。此相好身若非遍智所依處者。一切天龍阿素洛等不應竭誠供養恭敬尊重讚歎。以相好身與佛遍智為所依止故。諸天龍阿素洛等恭敬供養。由此緣故我涅槃後。諸天龍神人非人等恭敬供養我設利羅。憍尸迦。若善男子善女人等但於般若波羅蜜多供養恭敬尊重讚歎。是善男子善女人等則為供養一切智智。及所依止佛相好身。并涅槃後佛設利羅。何以故。憍尸迦。一切智智及相好身并設利羅。皆以般若波羅蜜多為根本故。憍尸迦。若善男子善女人等但於佛身及設利羅。供養恭敬尊重讚歎。是善男子善女人等非為供養一切智智及此般若波羅蜜多。何以故。憍尸迦。佛身遺體非此般若波羅蜜多一切智智之根本故。憍尸迦。由此緣故。諸善男子善女人等欲供養佛。若心若身先當聽聞受持讀誦。精勤修學如理思惟。書寫解說甚深般若波羅蜜多。復以種種上妙花鬘塗散等香衣服瓔珞寶幢幡蓋眾妙珍奇伎樂燈明而為供養。以是故。憍尸迦。若善男子善女人等書此般若波羅蜜多甚深經典。種種莊嚴供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘塗散等香衣服瓔珞寶幢幡蓋眾妙珍奇伎樂燈明而為供養。或善男子善女人等佛涅槃後起窣堵波七寶嚴飾。寶函盛貯佛設利羅安置其中。供養恭敬尊重讚歎。復以種種上妙花鬘塗散等香衣服瓔珞寶幢幡蓋眾妙珍奇伎樂燈明而為供養。是二福聚前者為多。何以故。憍尸迦。布施淨戒安忍精進靜慮般若波羅蜜多。皆從如是甚深般若波羅蜜多而出生故。憍尸迦。內空外空內外空空空大空勝義空有為空無為空畢竟空無際空散空無變異空本性空自相空共相空一切法空不可得空無性空自性空無性自性空。皆從如是甚深般若波羅蜜多而出現故。』 |
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佛告釋提桓因。我還問汝。隨汝意答我。於汝意云何。如佛得一切種智及得是身。從何道學得是一切種智得是身。 |
仏の釈提桓因に告げたまわく、『我れ、還って汝に問わん、汝が随意に我れに答えよ。汝が意に於いて云何、仏の如きは、一切種智を得て、及び是の身を得るに、何なる道より学びてか、是の一切種智を得、是の身を得たる。』と。 |
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
わたしは、
お前に、
『問い!』を、
『還そう!』、――
お前は、
『意のままに!』、
『答えよ!』。
お前の、
『意』には、何うなのか?――
『仏というもの!』は、
『一切種智』を、
『得ながら!』、
是の、
『身を得る( getting the body )!』に、
『及ぶのである( to suffer from )!』が、
何のような、
『道を学んで!』、
是の、
『一切種智』を、
『得!』、
是の、
『身』を、
『得るのだろうか?』、と。
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及(ぎゅう):<動詞>[本義]追いつく( overtake, catch up with )。至る/獲得/達成/到達する( attain, reach
)、待つ( wait )、悩まされる( suffer from )、比較する( compare with )、関連する( implicate
)、提供する( provide )。<介詞>[ある期間/時間的間隔を示す]その間( while, be in time for )。<接続詞>~と(
and )。<副詞>[反問を示す]どうして/豈( how )、[頻繁であることを示す]またもや/又( also )、非常に/極めて( very
)。 |
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釋提桓因白佛言。佛從般若波羅蜜中學。得一切種智及相好身。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『仏は、般若波羅蜜中より学びて、一切種智、及び相好の身を得たまえり。』と。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
『仏』は、
『般若波羅蜜中に学んで!』、
『一切種智と、相好の身とを!』、
『得られるのです!』、と。
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佛告釋提桓因。如是如是。憍尸迦。佛從般若波羅蜜中學。得一切種智。 |
仏の釈提桓因に告げたまわく、『是の如し、是の如し、憍尸迦。仏は、般若波羅蜜中より学びて、一切種智を得たり。 |
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
その通りだ!
その通りだ!
憍尸迦!
『仏』は、
『般若波羅蜜中に学んで!』、
『一切種智』を、
『得るのである!』。
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憍尸迦。不以是身名為佛。得一切種智故名為佛。憍尸迦。是佛一切種智。從般若波羅蜜中生。 |
憍尸迦、是の身を以って、名づけて仏と為さず、一切種智を得たるが故に、名づけて仏と為す。憍尸迦、是の仏の一切種智は、般若波羅蜜中より生ぜり。 |
憍尸迦!
是の、
『身』の故に、
『仏』と、
『呼ばれるのではなく!』、
『一切種智を得る!』が故に、
『仏』と、
『呼ばれるのである!』が、
憍尸迦!
是の、
『仏の一切種智』は、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのである!』。
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以是故。憍尸迦是佛身一切種智所依處。佛因是身得一切種智。善男子當作是思惟。是身一切種智所依處。是故我涅槃後。舍利當得供養。 |
是を以っての故に、憍尸迦、是の仏の身は、一切種智の所依の処なり。仏は是の身に因りて、一切種智を得たり。善男子、当に是の思惟を作すべし、是の身は、一切種智の所依の処なり。是の故に我が涅槃の後の舎利は、当に供養を得べしと。 |
是の故に、
憍尸迦!
是の、
『仏の身と、一切種智とは!』、
『仏』の、
『依る( to rely on )!』所の、
『処であり( the place )!』、
是の、
『身に因って( being caused by the body )!』、
『仏』は、
『一切種智』を、
『得るのであり!』、
是の故に、
わたしが、
『涅槃した!』後には、
当然、
『舎利( the remains of the Buddha )』が、
『供養を得るのである!』。
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復次憍尸迦。善男子善女人若聞是般若波羅蜜。書寫受持親近讀誦正憶念。華香瓔珞擣香澤香幢蓋伎樂恭敬供養尊重讚歎。是善男子善女人。則為供養一切種智。 |
復た次ぎに、憍尸迦。善男子、善女人の、若し是の般若波羅蜜を聞きて書写し、受持、真言、読誦、正憶念し、華香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽もて恭敬、供養し、尊重、讃歎すれば、是の善男子、善女人は、則ち一切種智を供養すと為す。 |
復た次ぎに、
憍尸迦!
若し、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を聞き!』、
『書写した!』、
『経巻を受持、親近、読誦して!』、
『正しく!』、
『憶念させ!』、
『華香、瓔珞、擣香、沢香、幢蓋、伎楽』を、
『供養して!』、
『尊重、讃歎すれば!』、
是の、
『善男子、善女人』は、
則ち、
『一切種智』を、
『供養することになるのである!』。
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以是故。憍尸迦。若有善男子善女人。書是般若波羅蜜。若受持親近讀誦說正憶念。供養恭敬尊重讚歎華香瓔珞乃至伎樂。 |
是を以っての故に、憍尸迦。若しは有る善男子、善女人は、是の般若波羅蜜を書き、若しは受持し、真言、読誦し、説いて正憶念し、華香、瓔珞、乃至伎楽もて、供養、恭敬、尊重、讃歎せん。 |
是の故に、
憍尸迦!
有る、
『善男子、善女人』が、
若し、
是の、
『般若波羅蜜を書いて!』、
『受持、親近、読誦し!』、
『他人に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させたり!』、
『華香、瓔珞、乃至伎楽』を、
『供養して!』、
『恭敬、尊重、讃歎したり!』、
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若復有善男子善女人。佛般涅槃後。供養舍利起塔。恭敬尊重讚歎華香乃至伎樂。 |
若しは復た有る善男子、善女人は、仏の般涅槃の後に、舎利を供養して、塔を起て、華香、乃至伎楽もて恭敬、尊重、讃歎せん。 |
若しは、
復た、
有る、
『善男子、善女人』が、
『仏の般涅槃した!』後、
『塔を起てて!』、
『舎利』を、
『供養し!』、
『華香、乃至伎楽を供養して!』、
『恭敬したり!』、
『尊重、讃歎したりすれば!』、
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若有善男子善女人。是般若波羅蜜書持供養恭敬尊重讚歎華香瓔珞乃至伎樂。是人得福多。 |
若し有る善男子、善女人は、是の般若波羅蜜を書いて持し、華香、瓔珞、乃至伎楽もて供養、恭敬、尊重、讃歎すれば、是の人の福を得ること多し。 |
若しは、
有る、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜を書いて!』、
『経巻を保持し!』、
『華香、瓔珞、乃至伎楽を供養して!』、
『恭敬、尊重、讃歎すれば!』、
是の、
『人の得る!』、
『福』は、
『多いのである!』。
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何以故。是般若波羅蜜中。生五波羅蜜。生內空乃至無法有法空。 |
何を以っての故に、是の般若波羅蜜中に、五波羅蜜を生じ、内空、乃至無法有法空を生ずればなり。 |
何故ならば、
是の、
『般若波羅蜜』中に、
『五波羅蜜や、内空、乃至無法有法空』を、
『生じるからである!』。
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四念處乃至十八不共法一切三昧一切禪定一切陀羅尼。皆從般若波羅蜜中生。 |
四念処、乃至十八不共法、一切の三昧、一切の禅定、一切の陀羅尼は、皆、般若波羅蜜中より生ぜり。 |
『四念処、乃至十八不共法も!』、
『一切の三昧も、一切の禅定も、一切の陀羅尼も!』、
皆、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのであり!』、
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成就眾生淨佛世界。皆從般若波羅蜜中生。 |
衆生を成就して、仏世界を浄むることも、皆、般若波羅蜜中より生ぜり。 |
『衆生を成就して!』、
『仏世界』を、
『浄めることも!』、
皆、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのであり!』、
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菩薩家成就。色成就。資生之物成就。眷屬成就。大慈大悲成就。皆從般若波羅蜜中生。 |
菩薩の家を成就し、色を成就し、資生の物を成就し、眷属を成就し、大慈大悲を成就することも、皆、般若波羅蜜中より生ぜり。 |
『菩薩』の、
『家や、色や、資生の物や、眷属や、大慈大悲を!』、
『成就すること!』も、
皆、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのであり!』、
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剎利大姓婆羅門大姓居士大家。皆從是般若波羅蜜中生。 |
刹利の大姓、婆羅門の大姓、居士の大家も、皆、是の般若波羅蜜中より生ず。 |
『刹利の大姓、婆羅門の大姓、居士の大家も!』、
皆、
是の、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのであり!』、
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四天王天乃至阿迦尼吒天。須陀洹乃至阿羅漢辟支佛。諸菩薩摩訶薩諸佛。諸佛一切種智。皆從是般若波羅蜜中生。 |
四天王天、乃至阿迦尼吒天、須陀洹、乃至阿羅漢、辟支仏、諸の菩薩摩訶薩、諸の仏、諸の仏の一切種智も、皆、是の般若波羅蜜より生ず。 |
『四天王天、乃至阿迦尼吒天も!』、
『須陀洹、乃至阿羅漢、辟支仏も!』、
『諸の菩薩摩訶薩も、諸の仏も諸の仏の一切種智も!』、
皆、
是の、
『般若波羅蜜中より!』、
『生じるのである!』。
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爾時釋提桓因白佛言。世尊。閻浮提人不供養般若波羅蜜。不恭敬不尊重不讚歎。為不知供養多所利益耶。 |
爾の時、釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、閻浮提の人の般若波羅蜜を供養せず、恭敬せず、尊重せず、讃歎せざるは、供養に多くの利益する所あるを知らざるが為なりや。』と。 |
爾の時、
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『閻浮提』の、
『人』が、
『般若波羅蜜』を、
『供養しなかったり!』、
『恭敬、尊重、讃歎しない!』のは、
『供養』には、
『利益する!』所が、
『多いこと!』を、
『知らないからですか?』、と。
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佛告釋提桓因。憍尸迦。於汝意云何。閻浮提中幾所人。信佛不壞信法信僧不壞。幾所人於佛無疑。於法於僧無疑。幾所人於佛決了。於法於僧決了。 |
仏の釈提桓因に告げたまわく、『憍尸迦、汝の意に於いて云何、閻浮提中の幾所(いくばく)の人か、仏を信じて壊らず、法を信じ、僧を信じて壊らざるや。幾所の人か、仏に於いて疑無く、法に於いて、僧に於いて疑無きや。幾所の人か、仏に於いて決了し、法に於いて、僧に於いて決了せるや。』と。 |
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
『閻浮提』中の、
幾所の( How many )、
『人』が、
『仏を信じて!』、
『信』を、
『壊らず!』、
『法や、僧を信じて!』、
『信』を、
『壊らないのか?』。
幾所の、
『人』が、
『仏』を、
『疑わず!』、
『法や、僧を!』、
『疑わないのか?』。
幾所の、
『人』が、
『仏』を、
『決了し( to apprehend perfectly )!』、
『法や、僧を!』、
『決了するのか?』、と。
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決了(けつりょう):決断する( decide resolutely )、梵語 cizcaya, avdhaaraNa の訳、完全に把握/理解する(
to apprehend perfectly )、最終的な決断を下す( to decide conclutively )の意。 |
参考:『大般若経巻103』:『爾時佛語天帝釋言。我今問汝。隨汝意答。憍尸迦。於意云何。置贍部洲所有人類。於此三千大千世界幾所眾生。供養恭敬父母師長。幾所眾生供養恭敬沙門婆羅門。幾所眾生行施受齋持戒。幾所眾生修十善業道。幾所眾生於諸欲中住厭患想。無常想。苦想。無我想。不淨想。厭食想。一切世間不可樂想。幾所眾生修四靜慮。幾所眾生修四無量。幾所眾生修四無色定。幾所眾生信佛信法信僧。幾所眾生於佛無疑於法無疑於僧無疑。幾所眾生於佛究竟於法究竟於僧究竟。幾所眾生修三十七菩提分法。幾所眾生修三解脫門。幾所眾生修八解脫。幾所眾生修九次第定。幾所眾生修四無礙解。幾所眾生修六神通。幾所眾生永斷三結得預流果。幾所眾生薄貪瞋癡得一來果。幾所眾生斷五順下分結得不還果。幾所眾生斷五順上分結得阿羅漢果。幾所眾生發心定趣獨覺菩提。幾所眾生發心定趣阿耨多羅三藐三菩提。幾所眾生既發心已精勤修習趣菩提行。幾所眾生鍊磨長養趣菩提心。幾所眾生方便善巧修行般若波羅蜜多。幾所眾生得住菩薩不退轉地。幾所眾生速證無上正等菩提。天帝釋言。世尊。於此三千大千世界。有少眾生供養恭敬父母師長。有少眾生供養恭敬沙門婆羅門。有少眾生行施受齋持戒。有少眾生修十善業道。有少眾生於諸欲中住厭患想。無常想。苦想。無我想。不淨想。厭食想。一切世間不可樂想。有少眾生修四靜慮。有少眾生修四無量。有少眾生修四無色定。有少眾生信佛信法信僧。有少眾生於佛無疑於法無疑於僧無疑。有少眾生於佛究竟於法究竟於僧究竟。有少眾生修三十七菩提分法。有少眾生修三解脫門。有少眾生修八解脫。有少眾生修九次第定。有少眾生修四無礙解。有少眾生修六神通。有少眾生永斷三結得預流果。有少眾生薄貪瞋癡得一來果。有少眾生斷五順下分結得不還果。有少眾生斷五順上分結得阿羅漢果。有少眾生發心定趣獨覺菩提。有少眾生發心定趣阿耨多羅三藐三菩提。有少眾生既發心已精勤修習趣菩提行。有少眾生練磨長養趣菩提心。有少眾生方便善巧修行般若波羅蜜多。有少眾生得住菩薩不退轉地。有少眾生速證無上正等菩提。爾時佛告天帝釋言。如是如是。如汝所說。憍尸迦。於此三千大千世界。極少眾生供養恭敬父母師長。轉少眾生供養恭敬沙門婆羅門。轉少眾生行施受齋持戒。轉少眾生修十善業道。轉少眾生於諸欲中住厭患想。無常想。苦想。無我想。不淨想。厭食想。一切世間不可樂想。轉少眾生修四靜慮。轉少眾生修四無量。轉少眾生修四無色定。轉少眾生信佛信法信僧。轉少眾生於佛無疑於法無疑於僧無疑。轉少眾生於佛究竟於法究竟。於僧究竟。轉少眾生修三十七菩提分法。轉少眾生修三解脫門。轉少眾生修八解脫。轉少眾生修九次第定。轉少眾生修四無礙解。轉少眾生修六神通。憍尸迦。於此三千大千世界。極少眾生永斷三結得預流果。轉少眾生薄貪瞋癡得一來果。轉少眾生斷五順下分結得不還果。轉少眾生斷五順上分結得阿羅漢果。轉少眾生發心定趣獨覺菩提。轉少眾生發心定趣阿耨多羅三藐三菩提。轉少眾生既發心已精勤修習趣菩提行。轉少眾生練磨長養趣菩提心。轉少眾生方便善巧修行般若波羅蜜多。轉少眾生得住菩薩不退轉地。轉少眾生速證無上正等菩提』 |
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釋提桓因白佛言。世尊閻浮提人於佛法僧不壞信少。於佛法僧無疑決了亦少。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、閻浮提の人は、仏、法、僧に於いて、信を壊らざるもの少く、仏、法、僧に於いて疑無く、決了せるものも、亦た少なし。』と。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『閻浮提の人』には、
『仏、法、僧を信じて!』、
『信を壊らない!』者は、
『少なく!』、
『仏、法、僧を疑わずに!』、
『決了する!』者も、
『少ないのです!』、と。
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憍尸迦。於汝意云何。閻浮提幾所人。得三十七品三解脫門八解脫九次第定四無礙智六神通。閻浮提幾所人。斷三結故得須陀洹道。幾所人斷三結。亦婬瞋癡薄故。得斯陀含道。幾所人斷五下分結得阿那含道。幾所人斷五上分結得阿羅漢。閻浮提幾所人求辟支佛。幾所人發阿耨多羅三藐三菩提心。 |
『憍尸迦、汝が意に於いて云何、閻浮提の幾所の人か、三十七品、三解脱門、八解脱、九次第定、四無礙智、六神通を得たるや。閻浮提の幾所の人か、三結を断ずるが故に、須陀洹道を得たるや。幾所の人か、三結を断じて、亦た婬瞋癡薄きが故に、斯陀含道を得たるや。幾所の人か、五下分結を断じて、阿那含道を得たるや。幾所の人か、五上分結を断じて、阿羅漢を得たるや。閻浮提の幾所の人か、辟支仏を求むるや。幾所の人か、阿耨多羅三藐三菩提心を発せるや。』。 |
憍尸迦!
お前の、
『意』には、何うなのか?――
『閻浮提』の、
『幾所の人』が、
『三十七品、三解脱門、八解脱、九次第定や!』、
『四無礙智や、六神通』を、
『得るのだろうか?』。
『閻浮提』の、
『幾所の人』が、
『三結( 見結、戒取結、疑結)を断じる!』が故に、
『須陀洹道』を、
『得るのだろうか?』。
『幾所の人』が、
『三結を断じ、婬、瞋、癡が薄れる!』が故に、
『斯陀含道』を、
『得るのだろうか?』。
『幾所の人』が、
『五下分結( 貪結、瞋結、身結、戒取結、疑結)を断じて!』、
『阿那含道』を、
『得るのだろうか?』。
『幾所の人』が、
『五上分結( 色貪、無色貪、掉挙、慢、無明)を断じて!』、
『阿羅漢』を、
『得るのだろうか?』。
『閻浮提』の、
『幾所の人』が、
『幾所の人』が、
『阿耨多羅三藐三菩提の心』を、
『発すのだろうか?』。
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釋提桓因白佛言。世尊。閻浮提中少所人。得三十七品。乃至少所人發阿耨多羅三藐三菩提心。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、閻浮提中の少所(すこしばかり)の人、三十七品を得、乃至少所の人、阿耨多羅三藐三菩提心を発せり。』と。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『閻浮提』中の、
『少所の( a few )人』が、
『三十七品』を、
『得て!』、
乃至、
『少所の人』が、
『阿耨多羅三藐三菩提の心』を、
『発すのです!』、と。
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佛告釋提桓因。如是如是。憍尸迦。少所人信佛不壞。信法不壞信僧不壞。少所人於佛無疑。於法無疑於僧無疑。少所人於佛決了於法決了於僧決了。 |
仏の釈提桓因に告げたまわく、『是の如し、是の如し、憍尸迦。少所の人、仏を信じて壊らず、法を信じて壊らず、僧を信じて壊らず、少所の人、仏に於いて疑無く、法に於いて疑無く、僧に於いて疑無く、少所の人、仏に於いて決了し、法に於いて決了し、僧に於いて決了す。 |
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
その通りだ!
その通りだ!
憍尸迦!
『少所の人』が、
『仏を信じて!』、
『信』を、
『壊らず!』、
『法や、僧を信じて!』、
『信』を、
『壊らないのであり!』、
『少所の人』が、
『仏』を、
『疑わず!』、
『法や、僧を!』、
『疑わないのであり!』、
『少所の人』が、
『仏』を、
『決了し!』、
『法や、僧を!』、
『決了するのである!』。
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憍尸迦亦少所人。得三十七品三解脫門八解脫九次第定四無礙智六神通。 |
憍尸迦、亦た少所の人、三十七品、三解脱門、八解脱、九次第定、四無礙智、六神通を得。 |
憍尸迦!
亦た、
『少所の人』が、
『三十七品、三解脱門、八解脱、九次第定、四無礙智、六神通』を、
『得るのである!』。
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憍尸迦。亦少所人。斷三結得須陀洹。斷三結亦婬瞋癡薄。得斯陀含。斷五下分結得阿那含。斷五上分結得阿羅漢。少所人求辟支佛。 |
憍尸迦、亦た少所の人、三結を断じて須陀洹を得、三結を断じて亦た婬瞋癡薄くして、斯陀含を得、五下分結を断じて阿那含を得、五上分結を断じて阿羅漢を得、少所の人、辟支仏を求む。 |
憍尸迦!
亦た、
『少所の人』が、
『三結を断じて!』、
『須陀洹』を、
『得!』、
『三結を断じ、婬、瞋、癡が薄れて!』、
『斯陀含』を、
『得!』、
『五下分結を断じて!』、
『阿那含』を、
『得!』、
『五上分結を断じて!』、
『阿羅漢』を、
『得るのであり!』、
『少所の人』が、
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於是中亦少所人發阿耨多羅三藐三菩提心。於發心中亦少所人行菩薩道。 |
是の中に於いて、亦た少所の人、阿耨多羅三藐三菩提心を発し、発心中に於いて、亦た少所の人、菩薩道を行ず。 |
是れ等の、
『人』中の、
亦た、
『少所の人だけ!』が、
『阿耨多羅三藐三菩提の心』を、
『発し!』、
是の、
『発心した!』中の、
亦た、
『少所の人だけ!』が、
『菩薩の道』を、
『行うのである!』。
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何以故。是眾生前世不見佛不聞法不供養比丘僧。不布施不持戒不忍辱不精進不禪定無智慧。不聞內空外空乃至無法有法空。亦不聞不修四念處乃至十八不共法。亦不聞不修諸三昧門諸陀羅尼門。亦不聞不修一切智一切種智。 |
何を以っての故に、是の衆生は、前世に仏を見ず、法を聞かず、比丘僧を供養せず、布施せず、持戒せず、忍辱せず、精進せず、禅定せず、智慧無く、内空、外空、乃至無法有法空を聞かず、亦た四念処、乃至十八不共法を聞かず修めず、亦た諸の三昧門、諸の陀羅尼門を聞かず修めず、亦た一切智、一切種智を聞かず修めざればなり。 |
何故ならば、
是の、
『衆生』は、
前世に、
『仏や、法や、比丘僧を!』、
『見ることも、聞くことも、供養することもなく!』、
亦た、
『布施、持戒、忍辱、精進、禅定を行うような!』、
『智慧』も、
『無く!』、
亦た、
『内空、外宮、乃至無法有法空を!』、
『聞くこともなく!』、
亦た、
『四念処、乃至十八不共法を!』、
『聞くことも、修めることもなく!』、
亦た、
『諸の三昧門や、諸の陀羅尼門を!』、
『聞くことも、修めることもなく!』、
亦た、
『一切智や、一切種智を!』、
『聞くことも、修めることもないからである!』。
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憍尸迦。以是因緣故。當知少所眾生。信佛不壞信法不壞信僧不壞。乃至少所眾生求辟支佛道。於是中少所眾生。發阿耨多羅三藐三菩提心。於發心中少所眾生行菩薩道。於是中亦少所眾生。得阿耨多羅三藐三菩提。 |
憍尸迦、是の因縁を以っての故に、当に知るべし、少所の衆生が仏を信じて壊らず、法を信じて壊らず、僧を信じて壊らず、乃至少所の衆生が辟支仏道を求め、是の中に於いて少所の衆生が、阿耨多羅三藐三菩提心を発し、発心中に於いて少所の衆生が、菩薩道を行じ、是の中に於いて、亦た少所の衆生が、阿耨多羅三藐三菩提を得るなり。 |
憍尸迦!
是の、
『因縁』の故に、こう知らねばならぬ、――
『少所の衆生だけ!』が、
『仏や、法や、僧を信じて!』、
『信』を、
『壊らず!』、
乃至、
是の中の、
『少所の衆生だけ!』が、
『阿耨多羅三藐三菩提の心』を、
『発し!』、
是の、
『心を発した!』中の、
『少所の衆生だけ!』が、
『菩薩の道』を、
『行い!』、
是の中の、
亦た、
『少所の衆生だけ!』が、
『阿耨多羅三藐三菩提』を、
『得るのである!』。
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憍尸迦。我以佛眼見東方無量阿僧祇眾生。發心行阿耨多羅三藐三菩提心。行菩薩道。是眾生遠離般若波羅蜜方便力故。若一若二住阿鞞跋致地。多墮聲聞辟支佛地。南西北方四維上下亦如是。 |
憍尸迦、我れ、仏眼を以って見るに、東方の無量阿僧祇の衆生、発心して、阿耨多羅三藐三菩提心を行じ、菩薩道を行ずるも、是の衆生は、般若波羅蜜と、方便力を遠離せるが故に、若しは一、若しは二の、阿鞞跋致地に住するのみ、多くは声聞、辟支仏の地に堕せり。南西北方、四維上下も、亦た是の如し。 |
憍尸迦!
わたしが、
『仏眼を用いて!』、
『東方を見る!』と、
『無量、阿僧祇の衆生』が、
『阿耨多羅三藐三菩提の心を発して!』、
『菩薩の道』を、
『行っている!』が、
是の、
『衆生』は、
『般若波羅蜜』の、
『方便の力を遠離する!』が故に、
『一、二の衆生』が、
『阿鞞跋致の地』に、
『住するだけで!』、
『多くの衆生』は、
『声聞、辟支仏の地』に、
『堕ちるのであり!』、
亦た、
『南西、北方、四維、上下』も、
『是の通りである!』。
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以是故。憍尸迦。善男子善女人。發心求阿耨多羅三藐三菩提者。應聞般若波羅蜜。應受持親近讀誦說正憶念。受持親近讀誦說正憶念已。應書經卷恭敬供養尊重讚歎香華瓔珞乃至伎樂。 |
是を以っての故に、憍尸迦。善男子、善女人の心を発して、阿耨多羅三藐三菩提を求むる者は、応に般若波羅蜜を聞くべく、応に受持し、親近、読誦し、説いて正憶念すべく、受持、親近、読誦、説いて正憶念し已れば、応に経巻を書きて、恭敬し、華香、瓔珞、乃至伎楽もて供養、尊重、讃歎すべし。 |
是の故に、
憍尸迦!
『善男子、善女人が心を発して!』、
『阿耨多羅三藐三菩提を求めれば!』、
当然、
『般若波羅蜜を聞かねばならず!』、
当然、
『受持、親近、読誦し!』、
『衆生に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させねばならず!』、
『受持、親近、読誦し!』、
『衆生に説いて!』、
『正しく!』、
『正憶念させたならば!』、
当然、
『経巻を書いて! 」、
『恭敬、尊重、讃歎し!』、
『香華、瓔珞、乃至伎楽』を、
『供養せねばならない!』。
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諸餘善法入般若波羅蜜中者。亦應聞受持乃至正憶念。 |
諸余の善法は、般若波羅蜜中に入りたれば、亦た応に聞きて、受持、乃至正憶念すべし。 |
『諸余の善法』は、
『般若波羅蜜中に入る( to be contained )ので!』、
当然、
『聞いて!』、
『受持せねばならず!』、
乃至、
『正しく!』、
『憶念させねばならない!』。
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何等是諸餘善法。所謂檀波羅蜜。尸羅波羅蜜。羼提波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。禪波羅蜜。內空外空乃至無法有法空。諸三昧門諸陀羅尼門。四念處乃至十八不共法大慈大悲。如是等無量諸善法。皆入般若波羅蜜中。是亦應聞受持乃至正憶念。 |
何等か、是れ諸余の善法なる。謂わゆる檀波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、内空、外空、乃至無法有法空、諸の三昧門、諸の陀羅尼門、四念処、乃至十八不共法、大慈大悲、是の如き等の無量の諸の善法は、皆、般若波羅蜜中に入れば、是れも、亦た応に聞きて受持し、乃至正憶念すべし。 |
『諸余の善法』とは、何か?――
謂わゆる、
『檀、尸羅、羼提、毘梨耶、禅波羅蜜であり!』、
『内空、外空、乃至無法有法空であり!』、
『諸の三昧門や、諸の陀羅尼門であり!』、
『四念処、乃至十八不共法や、大慈大悲は!』、
是れ等のような、
『無量の善法』は、
皆、
『般若波羅蜜』中に、
『入るのである!』から、
是れも、
当然、
乃至、
『衆生に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させねばならない!』。
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何以故。是善男子善女人當如是念。佛本為菩薩時。如是行如是學。所謂般若波羅蜜。禪波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。羼提波羅蜜。尸羅波羅蜜。檀波羅蜜。內空乃至無法有法空。諸三昧門。諸陀羅尼門。四念處乃至十八不共法。大慈大悲。如是等無量佛法。我等亦應隨學。 |
何を以っての故に、是の善男子、善女人は、当に是の如く念ずべし、『仏は、本、菩薩と為りし時、是の如き行じ、是の如く学べり。謂わゆる般若波羅蜜、禅波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、羼提波羅蜜、尸羅波羅蜜、檀波羅蜜、内空、乃至無法有法空、諸の三昧門、諸の陀羅尼門、四念処、乃至十八不共法、大慈大悲、是の如き等の無量の仏法を、我等は、亦た応に随って学ぶべし。 |
何故ならば、
是の、
『善男子、善女人』は、こう念じねばならないからである、――
『仏』は、
『本、菩薩であった!』時、
謂わゆる、
『般若、禅、毘梨耶、羼提、尸羅、檀波羅蜜や!』、
『内空、乃至無法有法空や!』、
『諸の三昧門や、諸の陀羅尼門や!』、
『四念処、乃至十八不共法や!』、
『大慈大悲のような!』、
是れ等の、
『無量の仏法』を、
是のように、
『行いながら!』、
『学ばれたのである!』から、
わたし達も、
亦た、
当然、
『仏』に、
『随って( be following )!』、
『学ばねばならぬ!』、と。
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何以故。般若波羅蜜是我等所尊。禪波羅蜜乃至無量諸餘善法。亦是我等所尊。此是諸佛法印。諸辟支佛阿羅漢阿那含斯陀含須陀洹法印。諸佛學是般若波羅蜜乃至一切種智。得度彼岸。諸辟支佛阿羅漢阿那含斯陀含。須陀洹。亦學是般若波羅蜜乃至一切智得度彼岸。 |
何を以っての故に、般若波羅蜜は、是れ我等が尊ぶ所なり。禅波羅蜜、乃至無量の諸余の善法も、亦た是れ我等が尊ぶ所なり。此れは是れ諸の仏法の印なり。諸の辟支仏、阿羅漢、阿那含、斯陀含、須陀洹の法の印なり。諸の仏は、是の般若波羅蜜、乃至一切種智を学びて、彼岸に度るを得、諸の辟支仏、阿羅漢、阿那含、斯陀含、須陀洹も、亦た是の般若波羅蜜、乃至一切智を学びて、彼岸に度るを得ればなり。 |
何故ならば、
『般若波羅蜜』は、
『禅波羅蜜、乃至無量の諸余の善法』も、
此の、
『般若波羅蜜』は、
諸の、、
『仏の法』の、
『印( a permit of entry )であり!』、
諸の、
『辟支仏、阿羅漢、阿那含、斯陀含、須陀洹の法』の、
『印だからである!』。
諸の、
『仏』は、
是の、
『般若波羅蜜、乃至一切種智を学んで!』、
『彼岸』に、
『度る( to reach )ことができ!』、
諸の、
『辟支仏、阿羅漢、阿那含、斯陀含、須陀洹』も、
是の、
『般若波羅蜜、乃至一切智を学んで!』、
『彼岸』に、
『度ることができるからである!』。
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以是故。憍尸迦。若善男子善女人。若佛在世若般涅槃後。應依止般若波羅蜜。禪波羅蜜毘梨耶波羅蜜羼提波羅蜜尸羅波羅蜜檀波羅蜜。乃至一切種智亦應依止。 |
是を以っての故に、憍尸迦、若し善男子、善女人、若しは仏の在世に、若しは般涅槃の後に、応に般若波羅蜜に依止すべく、禅波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、羼提波羅蜜、尸羅波羅蜜、檀波羅蜜、乃至一切種智にも、亦た応に依止すべし。 |
是の故に、
憍尸迦!
若し、
『善男子、善女人』が、
『仏』の、
『在世の時にも!』、
『般涅槃の後にも!』、
当然、
『般若波羅蜜に!』、
『依止すべきであり( ought to rely on )!』、
『禅、毘梨耶、羼提、尸羅、檀波羅蜜、乃至一切種智にも!』、
亦た、
当然、
『依止せねばならない!』。
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何以故。是般若波羅蜜乃至一切種智。是諸聲聞辟支佛菩薩摩訶薩及一切世間天人阿修羅所可依止 |
何を以っての故に、是の般若波羅蜜、乃至一切種智は、此れ諸の声聞、辟支仏、菩薩摩訶薩、及び一切の世間の天、人、阿修羅の依止すべき所なればなり。 |
何故ならば、
是の、
『般若波羅蜜、乃至一切種智』は、
諸の、
『声聞、辟支仏、菩薩摩訶薩』の、
『依止すべき所であり( that on witch somebody rely )!』、
一切の、
『世間の天、人、阿修羅』の、
『依止すべき所だからである!』。
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