【經】復次憍尸迦。三千大千世界中。諸四天王天諸釋提桓因諸梵天王。乃至阿迦尼吒天。常守護是善男子善女人能受持供養讀誦為他說正憶念般若波羅蜜者。 |
復た次ぎに、憍尸迦、三千大千世界中の諸の四天王天、諸の釈提桓因、諸の梵天王、乃至阿迦尼吒天の、常守護するは、是の善男子、善女人は、能く般若波羅蜜を受持、供養、読誦し、他の為に説いて正憶念せしむる者なればなり。 |
復た次ぎに、
憍尸迦!
『三千大千世界』中の、
『諸の四天王天』、
『諸の釈提桓因』、
『諸の梵天王、乃至阿迦尼吒天』が、
常に、
『守護する!』のは、
是の、
『善男子、善女人』が、
『般若波羅蜜』を、
『受持して!』、
『供養し!』、
『読誦し!』、
『他人に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させる者だからである!』。
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参考:『大般若経巻101』:『復次憍尸迦。若善男子善女人等。於此般若波羅蜜多。至心聽聞受持讀誦。精勤修學如理思惟書寫解說廣令流布。是菩薩摩訶薩。常為三千大千世界四大天王。及天帝釋。堪忍界主大梵天王。極光淨天。遍淨天。廣果天。淨居天等。并諸善神。皆同擁護。不令一切災橫侵惱。如法所求無不滿足。十方世界現在諸佛亦常護念如是菩薩。令惡法滅善法增長。所謂增長布施波羅蜜多令無損減。增長淨戒安忍精進靜慮般若波羅蜜多令無損減。何以故。以無所得為方便故。增長內空令無損減。增長外空內外空空空大空勝義空有為空無為空畢竟空無際空散空無變異空本性空自相空共相空一切法空不可得空無性空自性空無性自性空令無損減。何以故。以無所得為方便故。‥‥』 |
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十方現在諸佛。亦共擁護是善男子善女人能聞受持供養讀誦為他說正憶念般若波羅蜜者。是善男子善女人。不善法滅善法轉增。 |
十方の現在の諸仏も、亦た共に擁護するは、是の善男子、善女人は能く、般若波羅蜜を聞きて、受持、供養、読誦し、他の為に説き、正憶念する者なれば、是の善男子、善女人の不善法を滅し、善法を転た増せしむればなり。 |
『十方、現在の諸仏』も、
『諸天と、共に擁護する!』のは、
是の、
『善男子、善女人』が、
『般若波羅蜜を聞いて!』、
『受持し!』、
『供養し!』、
『読誦し!』、
『他人に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させる者である!』が故に、
是の、
『善男子、善女人』の、
『不善法を滅して!』、
『善法』を、
転た( increasingly )、
『増させるからである!』。
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所謂檀波羅蜜轉增。以無所得故。乃至般若波羅蜜轉增。以無所得故。內空轉增乃至無法有法空轉增。以無所得故。四念處乃至十八不共法轉增。以無所得故。諸三昧門。諸陀羅尼門。一切智一切種智轉增。以無所得故。 |
謂わゆる檀波羅蜜の転た増すこと、所得無きを以っての故なり。乃至般若波羅蜜の転た増すこと、所得無きを以っての故なり。内空の転た増すこと、乃至無法有法空の転た増すこと、所得無きを以っての故なり。四念処、乃至十八不共法の転た増すこと、所得無きを以っての故なり。諸の三昧門、諸の陀羅尼門、一切智、一切種智の転た増すこと、所得無きを以っての故なり。 |
謂わゆる、
『檀波羅蜜、乃至般若波羅蜜』が、
『転た増す!』のは、
『所得』が、
『無いからであり!』、
『内空、乃至無法有法空』が、
『転た増す!』のは、
『所得』が、
『無いからであり!』、
『四念処、乃至十八不共法』が、
『転た増す!』のは、
『所得』が、
『無いからであり!』、
『諸の三昧門、諸の陀羅尼門、一切智、一切種智』が、
『転た増す!』のは、
『所得』が、
『無いからである!』。
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是善男子善女人所說人皆信受。親友堅固不說無益之語。不為瞋恚所覆。不為憍慢慳貪嫉妒所覆。 |
是の善男子、善女人は、説く所を、人は皆、信受し、親友堅固にして、無益の語を説かず、瞋恚の為に覆われず、憍慢、慳貪、嫉妬の為に覆われず。 |
是の、
『善男子、善女人の所説』は、
『人が、皆信受するので!』、
『親友( friendship )』が、
『堅固になり( to become firmer )!』、
『無益の語を説かず!』、
『瞋恚や、憍慢、慳貪、嫉妒に!』、
『覆われることがない!』。
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親友(しんぬ):◯梵語 mitra の訳、友人/友情( a friend, friendship )の義。◯梵語 kalyaaNa-mitra の訳、善知識とも訳す。有益な友情(
a benefical friendship )、美徳の友/好意ある友( a friend of virtuel, a well-wishing
friend )の義。◯梵語 saMstuta の訳、共に称讃/讃美される( praised or hymned together )、同類に数えられる(
counted together )の義。 |
参考:『大般若経巻101』:『是菩薩摩訶薩。發言威肅聞皆敬受。稱量談說詞無錯亂。深知恩義堅事善友。不為慳嫉忿恨覆惱諂誑矯等之所隱蔽。憍尸迦。是菩薩摩訶薩。自離斷生命。教他離斷生命。讚說離斷生命法。歡喜讚歎離斷生命者。自離不與取。教他離不與取。讚說離不與取法。歡喜讚歎離不與取者。自離欲邪行。教他離欲邪行。讚說離欲邪行法。歡喜讚歎離欲邪行者。自離虛誑語。教他離虛誑語。讚說離虛誑語法。歡喜讚歎離虛誑語者。自離離間語。教他離離間語。讚說離離間語法。歡喜讚歎離離間語者。自離麤惡語。教他離麤惡語。讚說離麤惡語法。歡喜讚歎離麤惡語者。自離雜穢語。教他離雜穢語。讚說離雜穢語法。歡喜讚歎離雜穢語者。自離貪欲。教他離貪欲。讚說離貪欲法。歡喜讚歎離貪欲者。自離瞋恚。教他離瞋恚。讚說離瞋恚法。歡喜讚歎離瞋恚者。自離邪見。教他離邪見。讚說離邪見法。歡喜讚歎離邪見者‥‥』 |
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是人自不殺生。教人不殺生。讚不殺生法。亦歡喜讚歎不殺生者。 |
是の人は、自ら殺生せず、人に教えて殺生せざらしめ、殺生せざる法を讃じ、亦た殺生せざる者を歓喜し、讃歎す。 |
是の、
『人』は、
『自ら、殺生せずして!』、
『他人にも!』、
『不殺生( not killing )』を、
『教え!』、
『不殺生の法を讃歎して!』、
『不殺生の者を!』、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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不殺生(ふせっしょう):梵語 ahiMsaa の訳、何物をも傷つけないこと/害を与えないこと( not injuring anything, harmlessness
)の義。 |
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自遠離不與取。亦教人遠離不與取。讚遠離不與取法。亦歡喜讚歎遠離不與取者。 |
自ら不与取を遠離し、亦た人に教えて不与取を遠離せしめ、不与取を遠離する法を讃歎し、亦た不与取を遠離する者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『不与取を遠離して!』、
『他人にも!』、
『不与取( not stealing )』を、
『遠離させ!』、
『不与取を遠離する法を讃歎して!』、
『不与取を遠離する者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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不与取(ふよしゅ):梵語 adattaadaana, adattaadaayin の訳、与えられない物を自発的に取ること( taking what
is not given voluntarily, taking what has not been given )の義。盗み( stealing
)の意。 |
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自不邪婬教人不邪婬。讚不邪婬法。亦歡喜讚歎不邪婬者。 |
自ら邪婬せず、人に教えて邪婬せざらしめ、邪婬せざる法を讃じ、亦た邪婬せざる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『邪婬せずして!』、
『他人にも!』、
『不邪婬( not committing adultery )』を、
『教え!』、
『不邪婬の法を讃歎して!』、
『不邪婬の者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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不邪婬(ふじゃいん):梵語 kaama-mithyaacaara-virati の訳、愛に於ける不適切な行為の停止( the stopping of
improper conduct of love/pleasure )の義。 |
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自不妄語教人不妄語。讚不妄語法。亦歡喜讚歎不妄語者。兩舌惡口無利益語亦如是。 |
自ら妄語せず、人に教えて妄語せざらしめ、妄語せざる法を讃じ、亦た妄語せざる者を歓喜し、讃歎す。両舌、悪口、無利益語も、亦た是の如し。 |
自ら、
『妄語せずして!』、
『他人にも!』、
『不妄語( not lying )』を、
『教え!』、
『不妄語の法を讃歎して!』、
『不妄語の者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『両舌( speaking divisively )や!』、
『悪口( speaking harshly )や!』、
『無利益語( speaking idly )も!』、
亦た、
『是の通りである!』。
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不妄語(ふもうご):梵語 mRSaa-vaada-virati の訳、嘘言の停止( the stopping of lying )の義。
不両舌(ふりょうぜつ):梵語 paizunyaat-prati-virati の訳、中傷的な談話の停止( the stopping of slanderous
speaking )の義、 不和を起させる談話の停止( the stopping of speaking divesevely )の意。
不悪口(ふあっく):梵語 paruSa-vacana-virati の訳、乱暴な会話の停止( the stopping of rough speaking
)の義。
無利益語(むりやくご):綺語の異訳。
不綺語(ふきご):梵語 saMbhinna-pralaapa-prati-virati の訳、無駄な談話の停止( the stopping of idle
talking )の義。 |
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自不貪教人不貪。讚不貪法。亦歡喜讚歎不貪者。不瞋惱不邪見亦如是。 |
自ら貪らず、人に教えて貪らざらしめ、貪らざる法を讃じ、亦た貪らざる者を歓喜し、讃歎す。瞋悩せず、邪見せざるも、亦た是の如し。 |
自ら、
『貪らずして!』、
『他人にも!』、
『不貪( not being greedy )』を、
『教え!』、
『不貪の法を讃歎して!』、
『不貪の者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『不瞋悩( not being angly )や!』、
『不邪見( not having wrong views )も!、
亦た、
『是の通りである!』。
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不貪(ふとん):梵語 abhidhyaayaaH prativirati の訳、( the stopping of desiring )の義。
不瞋悩(ふしんのう):梵語 vyaapaadaat prativirati の訳、不瞋恚の異訳、悪意の停止( the stopping of evil
intent )の義。
不邪見(ふじゃけん):梵語 mithyaa- dRSteH prativirati の訳、不正確な見解の停止( the stopping of incorrect view )の義。 |
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自行檀波羅蜜。教人行檀波羅蜜。讚行檀波羅蜜法。亦歡喜讚歎行檀波羅蜜者。 |
自ら檀波羅蜜を行じ、人に教えて檀波羅蜜を行ぜしめ、檀波羅蜜を行ずる法を讃じ、亦た檀波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『檀波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『檀波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『檀波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『檀波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自行尸羅波羅蜜。教人行尸羅波羅蜜。讚尸羅波羅蜜。亦歡喜讚歎行尸羅波羅蜜者。 |
自ら尸羅波羅蜜を行じ、人に教えて尸羅波羅蜜を行ぜしめ、尸羅波羅蜜を讃じ、亦た尸羅波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『尸羅波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『尸羅波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『尸羅波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『尸羅波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自行羼提波羅蜜。教人行羼提波羅蜜。讚羼提波羅蜜。亦歡喜讚歎行羼提波羅蜜者。 |
自ら羼提波羅蜜を行じ、人に教えて羼提波羅蜜を行ぜしめ、羼提波羅蜜を讃じ、亦た羼提波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『羼提波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『羼提波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『羼提波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『羼提波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自行毘梨耶波羅蜜。教人行毘梨耶波羅蜜。讚毘梨耶波羅蜜。亦歡喜讚歎行毘梨耶波羅蜜者。 |
自ら毘梨耶波羅蜜を行じ、人に教えて毘梨耶波羅蜜を行ぜしめ、毘梨耶波羅蜜を讃じ、亦た毘梨耶波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『毘梨耶波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『毘梨耶波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『毘梨耶波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『毘梨耶波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自行禪波羅蜜。教人行禪波羅蜜。讚禪波羅蜜。亦歡喜讚歎行禪波羅蜜者。 |
自ら禅波羅蜜を行じ、人に教えて禅波羅蜜を行ぜしめ、禅波羅蜜を讃じ、亦た禅波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『禅波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『禅波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『禅波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『禅波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自行般若波羅蜜。教人行般若波羅蜜。讚般若波羅蜜。亦歡喜讚歎行般若波羅蜜者。 |
自ら般若波羅蜜を行じ、人に教えて般若波羅蜜を行ぜしめ、般若波羅蜜を讃じ、亦た般若波羅蜜を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『般若波羅蜜を行いながら!』、
『他人にも!』、
『般若波羅蜜を行うこと!』を、
『教え!』、
『般若波羅蜜を行う法を讃歎して!』、
『般若波羅蜜を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自修內空教人修內空。讚內空亦歡喜讚歎修內空者。乃至自修無法有法空。教人修無法有法空。讚無法有法空。亦歡喜讚歎修無法有法空者。 |
自ら内空を修し、人に教えて内空を修せしめ、内空を讃じ、亦た内空を修する者を歓喜し、讃歎す。乃至自ら無法有法空を修し、人に教えて無法有法空を修せしめ、無法有法空を讃じ、亦た無法有法空を修する者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『内空、乃至無法有法空を修めながら!』、
『他人にも!』、
『内空、乃至無法有法空を修めること!』を、
『教え!』、
『内空、乃至無法有法空を讃歎して!』、
『内空、乃至無法有法空を修める者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自入一切三昧中。教人入一切三昧中。讚一切三昧。亦歡喜讚歎入一切三昧者。 |
自ら一切の三昧中に入り、人に教えて一切の三昧中に入らしめ、一切の三昧を讃じ、亦た一切の三昧に入る者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『一切の三昧中に入りながら!』、
『他人にも!』、
『一切の三昧中に入ること!』を、
『教え!』、
『一切の三昧を讃歎して!』、
『一切の三昧中に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自得陀羅尼。教人得陀羅尼讚陀羅尼。亦歡喜讚歎得陀羅尼者。 |
自ら陀羅尼を得、人に教えて陀羅尼を得しめ、陀羅尼を讃じ、亦た陀羅尼を得る者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『陀羅尼を得て!』、
『他人にも!』、
『陀羅尼を得ること!』を、
『教え!』、
『陀羅尼を讃歎して!』、
『陀羅尼を得る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自入初禪。教人入初禪。讚初禪。亦歡喜讚歎入初禪者。二禪三禪四禪亦如是。 |
自ら初禅に入り、人に教えて初禅に入らしめ、初禅を讃じ、亦た初禅に入る者を歓喜し、讃歎す。二禅、三禅、四禅も亦た是の如し。 |
自ら、
『初禅に入り!』、
『他人にも!』、
『初禅に入ること!』を、
『教え!』、
『初禅を讃歎して!』、
『初禅に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『二禅、三禅、四禅』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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自入慈心中。教人入慈心中。讚慈心亦歡喜讚歎入慈心者。悲喜捨心亦如是。 |
自ら慈心中に入り、人に教えて慈心中に入らしめ、慈心を讃じ、亦た慈心に入る者を歓喜し、讃歎す。悲、喜、捨心も亦た是の如し。 |
自ら、
『慈心中に入り!』、
『他人にも!』、
『慈心中に入ること!』を、
『教え!』、
『慈心を讃歎して!』、
『慈心に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『悲、喜、捨心』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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自入無邊空處。教人入無邊空處。讚無邊空處。亦歡喜讚歎入無邊空處者。無邊識處無所有處非有想非無想處亦如是。 |
自ら無辺空処に入り、人に教えて無辺空処に入らしめ、無辺空処を讃じ、亦た無辺空処に入る者を歓喜し、讃歎す。無辺識処、無所有処、非有想非無想処も亦た是の如し。 |
自ら、
『無辺空処に入り!』、
『他人にも!』、
『無辺空処に入ること!』を、
『教え!』、
『無辺空処を讃歎して!』、
『無辺空処に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『無辺識処、無所有処、非有想非無想処』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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自修四念處。教人修四念處。讚四念處亦歡喜讚歎修四念處者。四正勤四如意足五根五力七覺分八聖道分亦如是。 |
自ら四念処を修し、人に教えて四念処を修せしめ、四念処を讃じ、亦た四念処を修する者を歓喜し、讃歎す。四正勤、四如意足、五根、五力、七覚分、八聖道分も、亦た是の如し。 |
自ら、
『四念処を修め!』、
『他人にも!』、
『四念処を修めること!』を、
『教え!』、
『四念処を讃歎して!』、
『四念処を修める者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
『四正勤、四如意足、五根五力、七覚分、八聖道分』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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自修空無相無作三昧。教人修空無相無作三昧。讚空無相無作三昧。亦歡喜讚歎修空無相無作三昧者。 |
自ら空、無相、無作三昧を修し、人に教えて空、無相、無作三昧を修せしめ、空、無相、無作三昧を讃じ、亦た空、無相、無作三昧を修する者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『空、無相、無作三昧を修め!』、
『他人にも!』、
『空、無相、無作三昧を修めること!』を、
『教え!』、
『空、無相、無作三昧を讃歎して!』、
『空、無相、無作三昧を修める者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自入八解脫中。教人入八解脫。讚八解脫。亦歡喜讚歎入八解脫者。 |
自ら八解脱中に入り、人に教えて八解脱に入らしめ、八解脱を讃じ、亦た八解脱に入る者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『八解脱中に入り!』、
『他人にも!』、
『八解脱に入ること!』を、
『教え!』、
『八解脱を讃歎して!』、
『八解脱に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自入九次第定中。教人入九次第定。讚九次第定。亦歡喜讚歎入九次第定者。 |
自ら九次第定中に入り、人に教えて九次第定に入らしめ、九次第定を讃じ、亦た九次第定に入る者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『九次第定中に入り!』、
『他人にも!』、
『九次第定に入ること!』を、
『教え!』、
『九次第定を讃歎して!』、
『九次第定に入る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自修佛十力四無所畏四無礙智大慈大悲十八不共法亦如是。 |
自ら仏の十力、四無所畏、四無礙智、大慈、大悲、十八不共法を修するも、亦た是の如し。 |
自ら、
『仏』の、
『十力』を、
『修め!』、
亦た、
『四無所畏、四無礙智、大慈大悲、十八不共法』も、
『是の通りである!』。
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自行不謬錯法。自行常捨法。教人行不謬錯法常捨法。讚不謬錯法常捨法。亦歡喜讚歎行不謬錯法常捨法者。 |
自ら錯謬せざる法を行じて、自ら常に捨つる法を行じ、人に教えて錯謬せざる法と、常に捨つる法を行ぜしめ、錯謬せざる法と、常に捨つる法を讃じ、亦た錯謬せざる法と、常に捨つる法を行ずる者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『不謬錯の法、常捨の法を行い!』、
『他人にも!』、
『不謬錯の法、常捨の法を行うこと!』を、
『教え!』、
『不謬錯の法、常捨の法を讃歎して!』、
『不謬錯の法、常捨の法を行う者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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自得一切種智。教人得一切種智。讚一切種智。亦歡喜讚歎得一切種智者。 |
自ら一切種智を得て、人に教えて一切種智を得せしめ、一切種智を讃じて、亦た一切種智を得る者を歓喜し、讃歎す。 |
自ら、
『一切種智を得!』、
『他人にも!』、
『一切種智を得ること!』を、
『教え!』、
『一切種智を讃歎して!』、
『一切種智を得る者』を、
『歓喜し!』、
『讃歎する!』。
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是菩薩摩訶薩。行六波羅蜜時。所有布施與眾生共已迴向阿耨多羅三藐三菩提。以無所得故。所有持戒忍辱精進禪定智慧與眾生共已迴向阿耨多羅三藐三菩提。是亦無所得故。 |
是の菩薩摩訶薩は、六波羅蜜を行ずる時の有らゆる布施を、衆生と共にし已りて、阿耨多羅三藐三菩提に迴向す、所得無きを以っての故なり。有らゆる持戒、忍辱、精進、禅定、智慧を衆生と共にし已りて、阿耨多羅三藐三菩提に迴向す、是れも亦た、所得無きが故なり。 |
是の、
『菩薩摩訶薩』が、
『六波羅蜜を行う!』時の、
有らゆる、
『布施を、衆生と共にして!』、
『阿耨多羅三藐三菩提』に、
『廻向する!』のは、
是の、
『布施』が、
『無所得だからであり!』、
有らゆる、
『持戒、忍辱、精進、禅定、智慧を、衆生と共にして!』、
『阿耨多羅三藐三菩提』に、
『廻向する!』のも、
亦た、
『無所得だからである!』。
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参考:『大般若経巻102』:『憍尸迦。是菩薩摩訶薩行六波羅蜜多時。所行布施波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提。所護淨戒波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提。所修安忍波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提。所起精進波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提。所入靜慮波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提。所學般若波羅蜜多。以無所得為方便。與一切有情同共迴向阿耨多羅三藐三菩提』 |
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是善男子善女人。如是行六波羅蜜時作是念。我若不布施。當生貧窮家。不能成就眾生淨佛世界。亦不能得一切種智。 |
是の善男子、善女人は、是の如く六波羅蜜を行ずる時、是の念を作さく、『我れ若し布施せずんば、当に貧窮の家に生まれて、衆生を成就し、仏世界を浄むること能わず、亦た一切種智を得ることも能わざるべし。 |
是の、
『善男子、善女人』が、
是のように、
『六波羅蜜を行う!』時、こう念じる、――
わたしが、
若し、
『布施しなければ!』、
『貧窮の家に生まれることになり!』、
『衆生を成就して!』、
『仏世界』を、
『浄めることができず!』、
亦た、
『一切種智』を、
『得ることもできないだろう!』、と。
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参考:『大般若経巻102』:『憍尸迦。是菩薩摩訶薩行六波羅蜜多時。常作是念。我若不行布施波羅蜜多。當生貧賤家尚無勢力。何由成熟有情嚴淨佛土。況當能得一切智智。我若不護淨戒波羅蜜多。當生諸惡趣尚不能得下賤人身。何由成熟有情嚴淨佛土。況當能得一切智智。我若不修安忍波羅蜜多。當諸根殘缺容貌醜陋。不具菩薩圓滿色身。若得菩薩圓滿色身。行菩薩行有情見者必獲無上正等菩提。若不得此圓滿色身。則不能成熟一切有情嚴淨佛土。況當能得一切智智。我若懈怠不起精進波羅蜜多。尚不能獲菩薩勝道。何由成熟一切有情嚴淨佛土。況當能得一切智智。我若心亂不入靜慮波羅蜜多。尚不能起菩薩勝定。何由成熟有情嚴淨佛土。況當能得一切智智。我若無智不學般若波羅蜜多。尚不能得諸巧便慧超二乘地。何由成熟有情嚴淨佛土。況當能得一切智智』 |
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我若不持戒。當生三惡道中。尚不得人身。何況能成就眾生淨佛世界。得一切種智。 |
我れ若し持戒せずんば、当に三悪道中に生じて、尚お人身すら得ざるべし。何に況んや、能く衆生を成就して、仏世界を浄め、一切種智を得んをや。 |
わたしが、
若し、
『持戒しなければ!』、
『三悪道中に生まれることになり!』、
尚お、
『人身すら!』、
『得られないだろう!』。
況して、
『衆生を成就し!』、
『仏世界を浄めて!』、
『一切種智を得られるだろうか?』。
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我若不修忍辱。則當諸根毀壞色不具足。不能得菩薩具足色身。眾生見者必至阿耨多羅三藐三菩提。亦不能得以具足色身成就眾生淨佛世界得一切種智。 |
我れ若し忍辱を修せずんば、則ち当に諸根毀壊して、色を具足せず、菩薩の色身を具足して、衆生の見る者をして、必ず、阿耨多羅三藐三菩提に至らしむること得る能わず、亦た色身を具足するを以って、衆生を成就して、仏世界を浄むるを得て、一切種智を得ること能わざるべし。 |
わたしが、
若し、
『忍辱を修めなければ!』、
『諸根が毀壊して( to be annihilated )!』、
『色』が、
『具足しないことになり!』、
『衆生が見れば!』、
必ず、
『阿耨多羅三藐三菩提に至るような!』、
『菩薩の具足した色身』を、
『得ることができず!』、
亦た、
『具足した色身を用いて!』、
『衆生を成就し、仏世界を浄めて!』、
『一切種智』を、
『得ることもできないだろう!』。
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我若懈怠不能得菩薩道。亦不能得成就眾生淨佛世界得一切種智。 |
我れ若し懈怠せば、菩薩道を得る能わず、亦た衆生を成就して、仏世界を浄むることを得て、一切種智を得る能わざらん。 |
わたしが、
若し、
『懈怠すれば!』、
『菩薩』の、
『道』を、
『得ることができず!』、
亦た、
『衆生を成就して、仏世界を浄め!』、
『一切種智』を、
『得ることもできないだろう!』。
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我若亂心不能得生諸禪定。不能以此禪定成就眾生淨佛世界得一切種智。 |
我れ若し乱心せば、諸の禅定を生ずるを得ること能わず、此の禅定を以って、衆生を成就し、仏世界を浄めて、一切種智を得ること能わざらん。 |
わたしが、
若し、
『乱心すれば!』、
諸の、
『禅定』を、
『生じることができず!』、 此の、
『禅定を用いて!』、
『衆生を成就し、仏世界を浄めて!』、
『一切種智』を、
『得ることもできないだろう!』。
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我若無智不能得方便智以方便智過聲聞辟支佛地成就眾生淨佛世界得一切種智。 |
我れに若し智無くんば、方便の智を得て、方便の智を以って、声聞、辟支仏の地を過ぎ、衆生を成就して、仏世界を浄め、一切種智を得ること能わざらん。 |
わたしが、
若し、
『無智ならば!』、
『方便の智』を、
『得て!』、
『方便の智を用いて!』、
『声聞、辟支仏の地を過ぎ!』、
『衆生を成就して、仏世界を浄め!』、
『一切種智』を、
『得ることもできないだろう!』。
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是菩薩復作是思惟。我不應隨慳貪故不具足檀波羅蜜。不應隨犯戒故不具足尸羅波羅蜜。不應隨瞋恚故不具足羼提波羅蜜。不應隨懈怠故不具足毘梨耶波羅蜜。不應隨亂意故不具足禪波羅蜜。不應隨癡心故不具足般若波羅蜜。若不具足檀波羅蜜尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪波羅蜜般若波羅蜜。我終不能出到一切種智。 |
是の菩薩の復た是の思惟を作さく、『我れは応に慳貪に随うが故に、檀波羅蜜を具足せざるべからず。我れは応に犯戒に随うが故に、尸羅波羅蜜を具足せざるべからず。我れは応に瞋恚に随うが故に、羼提波羅蜜を具足せざるべからず。我れは応に懈怠に随うが故に、毘梨耶波羅蜜を具足せざるべからず。我れは応に乱意に随うが故に、禅波羅蜜を具足せざるべからず。我れは応に癡心に随うが故に、般若波羅蜜を具足せざるべからず。若し檀波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜を具足せずんば、我れは終に、出でて一切種智に到ること能わざらん。』と。 |
是の、
『菩薩』は、
復た、こう思惟する、――
わたしは、
『慳貪に随う!』が故に、
『檀波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならず!』、
『犯戒に随う!』が故に、
『尸羅波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならず!』、
『瞋恚に随う!』が故に、
『羼提波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならず!』、
『懈怠に随う!』が故に、
『毘梨耶波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならず!』、
『乱意に随う!』が故に、
『禅波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならず!』、
『癡心に随う!』が故に、
『般若波羅蜜』を、
『具足せずにいてはならない!』。
若し、
『檀波羅蜜や!』、
『尸羅波羅蜜や!』、
『羼提波羅蜜や!』、
『毘梨耶波羅蜜や!』、
『禅波羅蜜や!』、
『般若波羅蜜を!』、
『具足しなければ!』、
わたしは、
終に、
『世間を出て!』、
『一切種智』に、
『到ることができないだろう!』、と。
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参考:『大般若経巻102』:『憍尸迦。是菩薩摩訶薩學六波羅蜜。多常作是念。我不應隨慳貪勢力。若隨彼力則我布施波羅蜜多不得圓滿。若我布施波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。我不應隨破戒勢力。若隨彼力則我淨戒波羅蜜多不得圓滿。若我淨戒波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。我不應隨忿恚勢力。若隨彼力則我安忍波羅蜜多不得圓滿。若我安忍波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。我不應隨懈怠勢力。若隨彼力則我精進波羅蜜多不得圓滿。若我精進波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。我不應隨心亂勢力。若隨彼力則我靜慮波羅蜜多不得圓滿。若我靜慮波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。我不應隨無智勢力。若隨彼力則我般若波羅蜜多不得圓滿。若我般若波羅蜜多不圓滿者。終不能成一切智智。憍尸迦。是菩薩摩訶薩不離一切智智心。以無所得為方便。於此般若波羅蜜多受持讀誦。精勤修學如理思惟。書寫解說廣令流布。獲得如是現法後法功德勝利』 |
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如是善男子善女人。是般若波羅蜜。受持親近讀誦為他說正憶念。亦不離薩婆若心。得是今世後世功德。 |
是の如き善男子、善女人は、是の般若波羅蜜を受持して、親近、読誦し、他の為に説いて、正憶念せしめ、亦た薩婆若の心を離れずんば、是の今世、後世の功徳を得ん。 |
是のような、
『善男子、善女人』が、
是の、
『般若波羅蜜』を、
『他人に説いて!』、
『正しく!』、
『憶念させ!』、
亦た、
是の、
『今世、後世』の、
『福徳』を、
『得るだろう!』。
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釋提桓因白佛言世尊。希有。是菩薩摩訶薩。般若波羅蜜。為迴向薩婆若心故。亦為不高心故。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、希有なり、是の菩薩摩訶薩の般若波羅蜜は、薩婆若の心に廻向する為の故に、亦た心をして高ぶらせない為の故なり。』と。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
是の、
『般若波羅蜜が希有である!』のは、
『菩薩摩訶薩の般若波羅蜜』は、
『薩婆若という!』、
『心に廻向させる!』為の故の、
『法であり!』、
亦た、
『心を高ぶらせない!』為の故の、
『法なのです!』、と。
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廻向(えこう):梵語 pariNamana の訳、変化/変容/変質すること( change, transformation, changing into
)の義、有る者の功徳を他人に提供すること( to offer one's merit to others )、有る者の功徳を他の救済に献げる(
to devote one's merits to the salvation of others )の意。 |
参考:『大般若経巻102』:『爾時天帝釋白佛言。世尊。如是般若波羅蜜多甚為希有。調伏菩薩令不高心。而能迴向一切智智。佛言。憍尸迦。云何般若波羅蜜多調伏菩薩令不高心。而能迴向一切智智。天帝釋言。世尊。菩薩摩訶薩行世間布施波羅蜜多時。若於佛所而行布施。便作是念。我能施佛。若於菩薩獨覺聲聞孤窮老病道行乞者而行布施。便作是念。我能施菩薩獨覺聲聞孤窮老病道行乞者。是菩薩摩訶薩無方便善巧行布施故。遂起高心不能迴向一切智智。菩薩摩訶薩行世間淨戒波羅蜜多時。便作是念。我能行淨戒波羅蜜多。我能滿淨戒波羅蜜多。是菩薩摩訶薩無方便善巧行淨戒故。遂起高心不能迴向一切智智。菩薩摩訶薩行世間安忍波羅蜜多時。便作是念。我能行安忍波羅蜜多。我能滿安忍波羅蜜多。是菩薩摩訶薩無方便善巧行安忍故。遂起高心不能迴向一切智智。菩薩摩訶薩行世間精進波羅蜜多時。便作是念。我能行精進波羅蜜多。我能滿精進波羅蜜多。是菩薩摩訶薩無方便善巧行精進故。遂起高心不能迴向一切智智。菩薩摩訶薩行世間靜慮波羅蜜多時。便作是念。我能行靜慮波羅蜜多。我能滿靜慮波羅蜜多。是菩薩摩訶薩無方便善巧行靜慮故。遂起高心不能迴向一切智智。菩薩摩訶薩行世間般若波羅蜜多時。便作是念。我能行般若波羅蜜多。我能滿般若波羅蜜多。是菩薩摩訶薩無方便善巧行般若故。遂起高心不能迴向一切智智。』 |
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佛告釋提桓因。憍尸迦。云何菩薩摩訶薩般若波羅蜜。為迴向薩婆若心故。亦為不高心故。 |
仏の釈提桓因に告げたまわく、『憍尸迦、云何が、菩薩摩訶薩の般若波羅蜜は、薩婆若の心に廻向する為の故にして、亦た心を高ぶらせざる為の故なる。』と。 |
『仏』は、
『釈提桓因』に、こう告げられた、――
憍尸迦!
何故、
『菩薩摩訶薩の般若波羅蜜』が、
『薩婆若という!』、
『心に廻向させる!』為の故の、
『法であり!』、
亦た、
『心を高ぶらせない!』為の故の、
『法なのか?』、と。
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釋提桓因白佛言。世尊。菩薩摩訶薩若行世間檀波羅蜜。布施諸佛辟支佛聲聞及諸貧窮乞丐行路人。是菩薩無方便故生高心。 |
釈提桓因の仏に白して言さく、『世尊、菩薩摩訶薩は、若し世間の檀波羅蜜を行じて、諸の仏、辟支仏、声聞、及び諸の貧窮、乞丐、行路人に布施せば、是の菩薩は、方便無きが故に、高心を生ぜん。 |
『釈提桓因』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『菩薩摩訶薩』が、
若し、
『世間の檀波羅蜜を行って!』、
『諸の仏、辟支仏、声聞や、諸の貧窮、乞丐、行路人』に、
『布施すれば!』、
是の、
『菩薩』は、
『方便が無い!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるでしょう!』。
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乞丐(こつがい):丐は乞の意。物を乞うこと。 |
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若行世間尸羅波羅蜜。言我行尸羅波羅蜜我能具足尸羅波羅蜜。無方便故生高心。 |
若し世間の尸羅波羅蜜を行じて、『我れは尸羅波羅蜜を行ず、我れは能く尸羅波羅蜜を具足す』と言わば、方便無きが故に高心を生ぜん。 |
若し、
『世間の尸羅波羅蜜を行って!』、こう言えば、――
わたしは、
『尸羅波羅蜜』を、
『行っている!』とか、
わたしは、
『尸羅波羅蜜』を、
『具足することができた!』、と。
是の、
『菩薩』には、
『方便が無い!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるでしょう!』。
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言我行羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪波羅蜜。我行般若波羅蜜。我修般若波羅蜜。以是世間般若波羅蜜。無方便故生高心。 |
『我れは羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜を行ず。我れは般若波羅蜜を行ず。我れは般若波羅蜜を修す。』と言わば、是の世間の般若波羅蜜には方便無きを以っての故に、高心を生ぜん。 |
若し、こう言えば、――
わたしは、
『羼提波羅蜜を行っている!』とか、
『毘梨耶波羅蜜を行っている!』とか、
『禅波羅蜜を行っている!』とか、
『般若波羅蜜を行っている!』とか、
わたしは、
『般若波羅蜜を修めた!』、と。
是れは、
『世間の般若波羅蜜であり!』、
『方便が無い!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるでしょう!』。
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世尊。菩薩修世間四念處時。自念言。我修四念處。我具足四念處。無方便力故生高心。 |
世尊、菩薩は、世間の四念処を修する時、自ら念じて、『我れは四念処を修す。我れは四念処を具足す』と言わば、方便無きが故に、高心を生ぜん。 |
世尊!
『菩薩』が、
『世間の四念処を修める!』時、
自ら、こう念じれば、――
わたしは、
『四念処を修めた!』とか、
『四念処を具足した!』、と。
是れには、
『方便の力が無い!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるでしょう!』。
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我修四正懃四如意足五根五力七覺分八聖道分。自念言。我修空無相無作三昧。我修一切三昧門。當得一切陀羅尼門。我修佛十力四無所畏十八不共法。我當成就眾生。我當淨佛世界。我當得一切種智。著吾我無方便力故生高心。 |
『我れは四正勤、四如意足、五根、五力、七覚分、八聖道分を修す』、自ら念じて、『我れは空、無相、無作三昧を修す。我れは一切の三昧門を修すれば、当に一切の陀羅尼門を得べし。我れは仏の十力、四無所畏、十八仏不共法を修す。我れは当に衆生を成就すべし。我れは当に仏世界を浄むべし。我れは当に一切種智を得べし』と言わば、吾我に著して、方便無きを以っての故に、高心を生ぜん。 |
若し、こう言うか、――
わたしは、
『四正勤を修めた!』とか、
『四如意足を修めた!』とか、
『五根、五力を修めた!』とか、
『七覚分を修めた!』とか、
『八聖道分を修めた!』とか、
自ら、こう念じれば、――
わたしは、
『空、無相、無作三昧を修めた!』とか、
『一切の三昧門を修めた!』とか、
わたしは、
『一切の陀羅尼門を得るだろう!』とか、
『仏の十力、四無所畏、十八不共法を修めた!』とか、
わたしは、
『衆生を成就するだろう!』とか、
『仏世界を浄めるだろう!』とか、
『一切種智を得るだろう!』、と。
是れは、
『吾我に著して!』、
『方便の力が無い!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるでしょう!』。
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世尊。如是菩薩摩訶薩行世間善法。著吾我故生高心。 |
世尊、是の如く菩薩摩訶薩が、世間の善法を行ぜば、吾我に著するが故に、高心を生ぜん。 |
世尊!
是のような、
『菩薩摩訶薩』は、
『世間の善法を行いながら!』、
『吾我に著する!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じるのです!』。
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世尊。若菩薩摩訶薩行出世間檀波羅蜜。不得施者不得受者不得施物。如是菩薩摩訶薩行出世間檀波羅蜜。為迴向薩婆若故。亦不生高心。 |
世尊、若し菩薩摩訶薩が、出世間の檀波羅蜜を行じて、施者を得ず、受者を得ず、施物を得ざれば、是の如き菩薩摩訶薩は、出世間の檀波羅蜜を行じて、薩婆若に廻向するが為の故に、亦た高心を生ぜず。 |
世尊、
若し、
『菩薩摩訶薩』が、
『出世間の檀波羅蜜を行えば!』、
『施者も、受者も、施物も!』、
『不可得である( be unrecognizable )!』が故に、
是のような、
『菩薩摩訶薩』が、
『出世間の檀波羅蜜を行う!』のは、
『薩婆若に廻向させる為である!』が故に、
『高ぶる心』を、
『生じないのです!』。
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行尸羅波羅蜜。尸羅不可得。行羼提波羅蜜。羼提不可得。行毘梨耶波羅蜜。毘梨耶不可得。行禪波羅蜜。禪不可得。行般若波羅蜜。般若不可得。修四念處。四念處不可得。乃至修十八不共法。十八不共法不可得。修大慈大悲。大慈大悲不可得。乃至修一切種智。一切種智不可得。 |
尸羅波羅蜜を行ずれば、尸羅は得べからず。羼提波羅蜜を行ずれば、羼提は得べからず。毘梨耶波羅蜜を行ずれば、毘梨耶は得べからず。禅波羅蜜を行ずれば、禅は得べからず。般若波羅蜜を行ずれば、般若は得べからず。四念処を修すれば、四念処は得べからず。乃至十八不共法を修すれば、十八不共法は得べからず。大慈大悲を修すれば、大慈大悲は得べからず。乃至一切種智を修すれば、一切種智は得べからず。 |
『尸羅波羅蜜を行いながら!』、
『尸羅』は、
『不可得であり!』、
『羼提波羅蜜を行いながら!』、
『羼提』は、
『不可得であり!』、
『毘梨耶波羅蜜を行いながら!』、
『毘梨耶』は、
『不可得であり!』、
『禅波羅蜜を行いながら!』、
『禅』は、
『不可得であり!』、
『般若波羅蜜を行いながら!』、
『般若』は、
『不可得であり!』、
『四念処を修めながら!』、
『四念処』は、
『不可得であり!』、
『乃至十八不共法を修めながら!』、
『十八不共法』は、
『不可得であり!』、
『大慈、大悲を修めながら!』、
『大慈、大悲』は、
『不可得であり!』、
『乃至一切種智ながら!』、
『一切種智』は、
『不可得なのです!』。
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世尊。如是菩薩摩訶薩般若波羅蜜。為迴向薩婆若故。亦為不生高心故 |
世尊、是の如き菩薩摩訶薩の般若波羅蜜は、薩婆若に廻向せんが為の故にして、亦た高心を生ぜざらんが為の故なり。 |
世尊!
是のように、
『菩薩摩訶薩』の、
『般若波羅蜜』は、
『薩婆若』に、
『廻向させる!』為の故の、
『法であり!』、
亦た、
『高ぶる心』を、
『生じさせない!』為の故の、
『法なのです!』。
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