【經】慧命須菩提白佛言。世尊。菩薩摩訶薩前際不可得。後際不可得。中際不可得。色無邊故。當知菩薩摩訶薩亦無邊。受想行識無邊故。當知菩薩摩訶薩亦無邊。色是菩薩摩訶薩。是亦不可得。受想行識。是菩薩摩訶薩。是亦不可得。 |
慧命須菩提の仏に白して言さく、『世尊、菩薩摩訶薩の前際は得べからず、後際も得べからず、中際も得べからず。色の無辺なるが故に、当に知るべし、菩薩摩訶薩も、亦た無辺なり。受想行識の無辺なるが故に、当に知るべし、菩薩も、亦た無辺なり。色は、是れ菩薩摩訶薩なるも、是れも亦た得べからず。受想行識は、是れ菩薩摩訶薩なるも、是れも亦た得べからず。 |
『慧命須菩提』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『菩薩摩訶薩』には、
『前際( 過去世)も!』、
『後際( 未来世)も!』、
『中際( 現在世)も!』、
『認められない!』のは、
『色や!』、
『受想行識が!』、
『無辺だからです!』。
是の故に、
当然、こう知らねばなりません、――
亦た、
『菩薩摩訶薩』も、
『無辺であり!』、
『色や!』、
『受想行識は!』、
『菩薩摩訶薩であるが!』、
是れも、
亦た、
『認められない!』、と。
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十無(じゅうむ):菩薩に関し、前際、後際、中際、色、受、想、行、識、一切処、一切種の十種に求めて得べからざるが故に、即ち菩薩の無しと云うに因る名。 |
参考:『大般若経巻61』:『爾時具壽善現。白佛言。世尊。前際菩薩摩訶薩不可得。後際菩薩摩訶薩不可得。中際菩薩摩訶薩不可得。世尊。色無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。受想行識無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。世尊。眼處無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。耳鼻舌身意處無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。世尊。色處無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。聲香味觸法處無邊故當知菩薩摩訶薩亦無邊。‥‥世尊。聲聞乘無邊故。當知菩薩摩訶薩亦無邊。獨覺乘無邊故。當知菩薩摩訶薩亦無邊。大乘無邊故。當知菩薩摩訶薩亦無邊 世尊。即色菩薩摩訶薩無所有不可得。離色菩薩摩訶薩無所有不可得。即受想行識菩薩摩訶薩無所有不可得。離受想行識菩薩摩訶薩無所有不可得。世尊。即眼處菩薩摩訶薩無所有不可得。離眼處菩薩摩訶薩無所有不可得。即耳鼻舌身意處菩薩摩訶薩無所有不可得。離耳鼻舌身意處菩薩摩訶薩無所有不可得。世尊。即色處菩薩摩訶薩無所有不可得。離色處菩薩摩訶薩無所有不可得。即聲香味觸法處菩薩摩訶薩無所有不可得。離聲香味觸法處菩薩摩訶薩無所有不可得。世尊。即眼界菩薩摩訶薩無所有不可得。離眼界菩薩摩訶薩無所有不可得。即色界眼識界及眼觸眼觸為緣所生諸受菩薩摩訶薩無所有不可得。離色界眼識界及眼觸眼觸為緣所生諸受菩薩摩訶薩無所有不可得。世尊。即耳界菩薩摩訶薩無所有不可得。離耳界菩薩摩訶薩無所有不可得。‥‥世尊。我於一切法以一切種一切處一切時求菩薩摩訶薩都無所見竟不可得。云何令我以般若波羅蜜多教誡教授諸菩薩摩訶薩。世尊。菩薩摩訶薩但有假名。如說我等畢竟不生。諸法亦爾。都無自性。世尊。色等諸法畢竟不生。若畢竟不生則不名色等。世尊。我豈能以畢竟不生般若波羅蜜多。教誡教授畢竟不生諸菩薩摩訶薩。世尊。離畢竟不生亦無菩薩摩訶薩能行無上正等菩提。世尊。若菩薩摩訶薩聞作是說。其心不驚不恐不怖不沈不沒亦不憂悔。當知是菩薩摩訶薩能行般若波羅蜜多』 |
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如是世尊。於一切種一切處。求菩薩不可得。世尊。我當教何等菩薩摩訶薩般若波羅蜜。 |
是の如く、世尊、一切の種、一切の処に於いて、菩薩を求むるも得べからず。世尊、我れは、当に、何等の菩薩摩訶薩にか、般若波羅蜜を教うべき。 |
是のように、
世尊!
一切の、
『種、処』に於いて、
『菩薩』を、
『求めましたが!』、
『得ることができません!』。
世尊、
わたしは、
何のような、
『菩薩摩訶薩』に、
『般若波羅蜜』を、
『教えねばならないのですか?』。
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世尊。菩薩摩訶薩但有名字。如說我名字。我畢竟不生。如我諸法亦如是無自性。何等色畢竟不生。何等受想行識畢竟不生。 |
世尊、菩薩摩訶薩は、但だ名字のみ有り。我の名字を説くも、我は、畢竟じて生ぜざるが如し。我の如く、諸法も亦た、是の如く、自性無し。何等の色か、畢竟じて生ぜざる、何等の受想行識か、畢竟じて生ぜざる。 |
世尊!
『菩薩摩訶薩』は、
但だ、
『名字』が、
『有るだけです!』。
例えば、
『わたし!』という、
『名字』を、
『説いたとしても!』、
畢竟ずれば、
『わたし!』が、
『生じたのではないのです!』。
例えば、
『わたし!』に、
『自性』が、
『無いように!』、
是のように、
亦た、
『諸の法』にも、
『自性』が、
『無いのです!』。
何のような、
『色』が、
『畢竟じて!』、
『生じないのでしょうか?』。
何のような、
『受想行識』が、
『畢竟じて!』、
『生じないのでしょうか?』。
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世尊。是畢竟不生。不名為色。是畢竟不生。不名為受想行識。 |
世尊、是れ畢竟じて生ぜざれば、名づけて色と為さず。是れ畢竟じて生ぜざれば、名づけて受想行識と為さず。 |
世尊!
是れが、
『畢竟じて生じなければ!』、
『色』と、
『呼ばれることはありません!』。
是れが、
『畢竟じて生じなければ!』、
『受想行識』と、
『呼ばれることはありません!』。
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世尊。若畢竟不生法。當教誰是般若波羅蜜耶。離畢竟不生。亦無菩薩行阿耨多羅三藐三菩提。若菩薩聞作是說。心不沒不悔不驚不怖不畏。當知是菩薩摩訶薩。能行般若波羅蜜。 |
世尊、若し畢竟じて生ぜざる法なれば、当に、誰にか、是の般若波羅蜜を教うべきや。畢竟じて生ぜざることを離るれば、菩薩の行も、阿耨多羅三藐三菩提も無し。若し、菩薩が、是の説を作すを聞きて、心没せず、悔いず、驚かず、怖れず、畏れざれば、当に知るべし、是の菩薩摩訶薩は、能く般若波羅蜜を行ず。』と。 |
世尊!
若し、
誰に、
是の、
『般若波羅蜜』を、
『教えることになるのでしょうか?』。
若し、
畢竟じて、
亦た、
『阿耨多羅三藐三菩提を行う!』、
『菩薩』も、
『無いことになるのです!』。
若し、
『菩薩』が、
是の、
『説』を、
『聞いて!』、
『心』が、
『没することもなく!』、
『悔ゆることもなく!』、
『驚くこともなく!』、
『怖れることもなく!』、
『畏れることもなければ!』、
当然、こう知らねばなりません、――
是の、
『菩薩摩訶薩』は、
『般若波羅蜜』を、
『行うことができるのだ!』、と。
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舍利弗問須菩提。何因緣故。言菩薩摩訶薩前際不可得後際不可得中際不可得。 |
舎利弗の問わく、『須菩提、何の因縁の故にか、菩薩摩訶薩の前際は得べからず、後際も得べからず、中際も得べからずと言う。 |
『舍利弗』が、こう問うた、――
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
『菩薩摩訶薩』には、
『前際も、後際も、中際も!』、
『認められない!』、と。
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参考:『大般若経巻61』:『時舍利子問善現言。何緣故說前際菩薩摩訶薩不可得。後際菩薩摩訶薩不可得。中際菩薩摩訶薩不可得。何緣故說色等無邊故菩薩摩訶薩亦無邊。何緣故說即色等菩薩摩訶薩無所有不可得。離色等菩薩摩訶薩無所有不可得。何緣故說我於一切法以一切種一切處一切時求菩薩摩訶薩。都無所見竟不可得。云何令我以般若波羅蜜多教誡教授諸菩薩摩訶薩。何緣故說菩薩摩訶薩但有假名。何緣故說如說我等畢竟不生。何緣故說諸法亦爾都無自性。何緣故說色等諸法畢竟不生。何緣故說若畢竟不生則不名色等。何緣故說我豈能以畢竟不生般若波羅蜜多教誡教授諸菩薩摩訶薩。何緣故說離畢竟不生亦無菩薩摩訶薩能行無上正等菩提。何緣故說若菩薩摩訶薩聞作是說其心不驚不恐不怖不沈不沒亦不憂悔。當知是菩薩摩訶薩能行般若波羅蜜多』 |
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須菩提。何因緣故。言色無邊故當知菩薩亦無邊。受想行識無邊故當知菩薩亦無邊。 |
須菩提、何の因縁の故にか、色の無辺なるが故に、当に知るべし、菩薩も亦た、無辺なり。受想行識の無辺なるが故に、当に知るべし、菩薩も亦た、無辺なりと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
『色が無辺である!』が故に、
亦た、
『菩薩も無辺である!』と、
『知らねばならない!』。
『受想行識が無辺である!』が故に、
亦た、
『菩薩も無辺である!』と、
『知らねばならない!』、と。
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須菩提。何因緣故。言色是菩薩是亦不可得。受想行識是菩薩是亦不可得。 |
須菩提、何の因縁の故にか、色は、是れ菩薩なるも、是れ亦た得べからず。受想行識は、是れ菩薩なるも、是れ亦た得べからずと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
『色が菩薩である!』が、
『受想行識が菩薩である!』が、
亦た、
是の、
『菩薩』も、
『認められない!』、と。
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須菩提。何因緣故。言於一切種一切處菩薩不可得。當教何等菩薩般若波羅蜜。 |
須菩提、何の因縁の故にか、一切の種、一切の処に於いて、菩薩は得べからず。当に何等の菩薩にか、般若波羅蜜を教うべきと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
一切の、
『種、処』に、
『菩薩』は、
『認められない!』のに、
何のような、
『菩薩』に、
『般若波羅蜜』を、
『教えねばならないのか?』、と。
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須菩提。何因緣故。言菩薩摩訶薩但有名字。 |
須菩提、何の因縁の故にか、菩薩摩訶薩は、但だ名字のみ有りと言う。 |
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須菩提。何因緣故。言如說我名字我畢竟不生。如我諸法亦如是無自性。何等色畢竟不生。何等受想行識畢竟不生。 |
須菩提、何の因縁の故にか、我の名字を説くも、我は畢竟じて生ぜざるが如し。我の如く諸法も亦た是の如く、自性無し。何等の色か、畢竟じて生ぜざる。何等の受想行識か、畢竟じて生ぜざると言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
例えば、
『わたし!』という、
『名字』を、
『説いたとしても!』、
畢竟じて、
『わたし!』が、
『生じることはないのだ!』。
例えば、
『わたし!』に、
『自性』が、
『無いように!』、
亦た、
是のように、
諸の
何のような、
何のような、
『受想行識』が、
『畢竟じて!』、
『生じないのか?』、と。
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須菩提。何因緣故。言畢竟不生不名為色。畢竟不生不名為受想行識。 |
須菩提、何の因縁の故にか、畢竟じて生ぜざれば、名づけて色と為さず。畢竟じて生ぜざれば、名づけて受想行識と為さずと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
『畢竟じて生じなければ!』、
『色』とは、
『呼ばれず!』、
『畢竟じて生じなければ!』、
『受想行識』とは、
『呼ばれない!』、と。
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須菩提。何因緣故。言若畢竟不生法當教誰是般若波羅蜜耶。 |
須菩提、何の因縁の故にか、若し、畢竟じて生ぜざる法なれば、当に、誰にか、是の般若波羅蜜を教うべきやと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
若し、
誰に、
是の、
『般若波羅蜜』を、
『教えねばならないのか?』、と。
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須菩提。何因緣故。言離畢竟不生亦無菩薩行阿耨多羅三藐三菩提。 |
須菩提、何の因縁の故にか、畢竟じて生ぜざるを離るれば、亦た菩薩の行も、阿耨多羅三藐三菩提も無しと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
畢竟じて、
『生じない!』、
『法』を、
『離れてしまえば!』、
亦た、
『阿耨多羅三藐三菩提を行う!』、
『菩薩』も、
『無いことになる!』、と。
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須菩提。何因緣故。言若菩薩聞作是說。心不沒不悔不驚不怖不畏。若能如是行。是名菩薩摩訶薩行般若波羅蜜。 |
須菩提、何の因縁の故にか、若し菩薩、是の説を作すを聞きて、心没せず、悔いず、驚かず、怖れず、畏れざれば、若し、能く是の如く行ずれば、是れを菩薩摩訶薩は、般若波羅蜜を行ずと名づくと言う。 |
須菩提!
何のような、
『因縁』の故に、こう言ったのか?――
若し、
『菩薩』が、
是の、
『説』を、
『聞いて!』、
『心』が、
『没することもなく!』、
『悔ゆることもなく!』、
『驚くこともなく!』、
『怖れることもなく!』、
『畏れることもなく!』
若し、
是のように、
是れを、
『菩薩摩訶薩』が、
『般若波羅蜜を行う!』と、
『称する!』、と。
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爾時須菩提報舍利弗言。眾生無所有故。菩薩前際不可得。眾生空故。菩薩前際不可得。眾生離故。菩薩前際不可得。 |
爾の時、須菩提の舎利弗に報えて言わく、『衆生に有する所無きが故に、菩薩の前際は得べからず。衆生の空なるが故に、菩薩の前際は得べからず。衆生離るるが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
爾の時、
『須菩提』は、
『舍利弗』に、こう言った、――
『衆生』には、
『所有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『衆生』が、
『空である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『衆生』が、
『離である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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参考:『大般若経巻61』:『爾時具壽善現答舍利子言。如尊者所云。何緣故說前際菩薩摩訶薩不可得。後際菩薩摩訶薩不可得。中際菩薩摩訶薩不可得者。舍利子。有情無所有故前後中際菩薩摩訶薩不可得。有情空故前後中際菩薩摩訶薩不可得。有情遠離故前後中際菩薩摩訶薩不可得。有情無自性故前後中際菩薩摩訶薩不可得。何以故。舍利子。有情無所有空遠離無自性中。前後中際菩薩摩訶薩皆不可得故。舍利子。非有情無所有有異。非有情空有異。非有情遠離有異。非有情無自性有異。非前際菩薩摩訶薩有異。非後際菩薩摩訶薩有異。非中際菩薩摩訶薩有異。舍利子。若有情無所有。若有情空。若有情遠離。若有情無自性。若前際菩薩摩訶薩。若後際菩薩摩訶薩。若中際菩薩摩訶薩。如是一切法無二無二分。舍利子。由此緣故我作是說。前際菩薩摩訶薩不可得。後際菩薩摩訶薩不可得。中際菩薩摩訶薩不可得。舍利子。色無所有故前後中際菩薩摩訶薩不可得。受想行識無所有故前後中際菩薩摩訶薩不可得。色空故前後中際菩薩摩訶薩不可得。受想行識空故前後中際菩薩摩訶薩不可得。色遠離故前後中際菩薩摩訶薩不可得。受想行識遠離故前後中際菩薩摩訶薩不可得。色無自性故前後中際菩薩摩訶薩不可得。受想行識無自性故前後中際菩薩摩訶薩不可得。何以故。舍利子。色受想行識無所有空遠離無自性中。前後中際菩薩摩訶薩皆不可得故。舍利子。非色受想行識無所有有異。非色受想行識空有異。非色受想行識遠離有異。非色受想行識無自性有異。非前際菩薩摩訶薩有異。非後際菩薩摩訶薩有異。非中際菩薩摩訶薩有異。舍利子。若色受想行識無所有。若色受想行識空。若色受想行識遠離。若色受想行識無自性。若前際菩薩摩訶薩。若後際菩薩摩訶薩。若中際菩薩摩訶薩。如是一切法無二無二分。舍利子。由此緣故我作是說。前際菩薩摩訶薩不可得。後際菩薩摩訶薩不可得。中際菩薩摩訶薩不可得』 |
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舍利弗。色無有故。菩薩前際不可得。受想行識無有故。菩薩前際不可得。色空故。菩薩前際不可得。受想行識空故。菩薩前際不可得。色離故菩薩前際不可得。受想行識離故。菩薩前際不可得。 |
舎利弗、色に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず。受想行識に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず。色の空なるが故に、菩薩の前際は得べからず。受想行識の空なるが故に菩薩の前際は得べからず。色の離るるが故に、菩薩の前際は得べからず。受想行識の離るるが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
舍利弗!
『色』には、
『有( existence )が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『受想行識』には、
『有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『色』は、
『空である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『受想行識』は、
『空である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『色』は、
『離である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『受想行識』は、
『離である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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有(う):梵語bhavaの訳。存在の義。 |
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舍利弗。色性無故。菩薩前際不可得。受想行識性無故。菩薩前際不可得。 |
舎利弗、色の性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。受想行識の性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
舍利弗!
『色』には、
『性が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『受想行識』には、
『性が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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舍利弗。檀波羅蜜無有故。菩薩前際不可得。尸羅波羅蜜。羼提波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。禪波羅蜜。般若波羅蜜。無有故菩薩前際不可得。 |
舎利弗、檀波羅蜜に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず。尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
舍利弗!
『檀波羅蜜』には、
『有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『尸羅、羼提、毘梨耶、禅、般若波羅蜜』には、
『有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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何以故。舍利弗。空中前際不可得。後際不可得。中際不可得。空不異菩薩。菩薩不異前際。 |
何を以っての故に、舎利弗、空中に前際は得べからず、後際も得べからず、中際も得べからず、空は菩薩に異ならず、菩薩は前際に異ならざればなり。 |
何故ならば、
舍利弗!
『空』中には、
『前際も、後際も、中際も!』、
『認められず!』、
『空』は、
『菩薩』と、
『異ならず!』、
『菩薩』は、
『前際』と、
『異ならないからなのだ!』。
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舍利弗。空菩薩前際。是諸法無二無別。以是因緣故。舍利弗。菩薩前際不可得。 |
舎利弗、空、菩薩、前際、是の諸法は無二、無別なり。是の因縁を以っての故に、舎利弗、菩薩の前際は得べからざるなり。 |
舍利弗!
『空も、菩薩も、前際も!』、
是の、
『諸の法』には、
『二も無く!』、
『別も無い!』。
是の、
『因縁』の故に、
舍利弗!
『菩薩の前際』は、
『認められないのである!』。
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舍利弗。檀波羅蜜空故。檀波羅蜜離故。檀波羅蜜性無故。菩薩前際不可得。尸羅波羅蜜。羼提波羅蜜。毘梨耶波羅蜜。禪波羅蜜。般若波羅蜜空故。般若波羅蜜離故。般若波羅蜜性無故。菩薩前際不可得。 |
舎利弗、檀波羅蜜の空なるが故に、檀波羅蜜の離るるが故に、檀波羅蜜の性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜の空なるが故に、般若羅蜜の離るるが故に、般若羅蜜の性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
舍利弗!
『檀波羅蜜』が、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『尸羅、羼提、毘梨耶、禅、般若波羅蜜』が、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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何以故。舍利弗。空中前際不可得。後際不可得。中際不可得。空不異菩薩。菩薩亦不異前際。 |
何を以っての故に、舎利弗、空中に前際は得べからず、後際も得べからず、中際も得べからず、空は菩薩に異ならず、菩薩も、亦た前際に異ならざればなり。 |
何故ならば、
舍利弗!
『空』中には、
『前際も、後際も、中際も!』、
『認められず!』、
『空』は、
『菩薩』と、
『異ならず!』、
『菩薩』も、
『前際』と、
『異ならないからである!』。
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舍利弗。空菩薩前際是諸法無二無別。以是因緣故。舍利弗。菩薩前際不可得。 |
舎利弗、空、菩薩、前際、是の諸法は無二、無別なり。是の因縁を以っての故に、舎利弗、菩薩の前際は得べからざるなり。 |
舍利弗!
『空と、菩薩と、前際』とは、
是の、
『諸の法』には、
『二が無く!』、
『別が無い!』ので、
是の、
『因縁』の故に、
舍利弗!
『菩薩の前際』は、
『認められないのである!』。
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復次舍利弗。內空無所有故。菩薩前際不可得。乃至無法有法空無所有故。菩薩前際不可得。內空空故。內空離故。內空性無故。乃至無法有法空空故。離故性無故。菩薩前際不可得。餘如上說。 |
復た次ぎに、舎利弗、内空に有する所無きが故に、菩薩の前際は得べからず、乃至無法有法空に有する所無きが故に、菩薩の前際は得べからず。内空の空なるが故に、内空の離るるが故に、内空の性無きが故に、乃至無法有法空の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。余も、上に説くが如し。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
『内空』に、
『所有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
乃至、
『無法有法空』に、
『所有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『内空』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
乃至、
『無法有法空』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』が、
『認められない!』。
『余の法』も、
上に、
『説いた通りである!』。
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復次舍利弗。四念處無所有故。菩薩前際不可得。四念處空故離故性無故。菩薩前際不可得。乃至十八不共法無所有故。菩薩前際不可得。十八不共法空故。離故性無故。菩薩前際不可得。餘如上說。以是因緣故。舍利弗。菩薩前際不可得。 |
復た次ぎに、舎利弗、四念処に有する所無きが故に、菩薩の前際は得べからず、四念処の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず、乃至十八不共法に有する所無きが故に、菩薩の前際は得べからず、十八不共法の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。余は上に説くが如し。是の因縁を以っての故に、舎利弗、菩薩の前際は得べからざるなり。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
『四念処』に、
『所有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『四念処』とは、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
乃至、
『十八不共法』に、
『所有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『十八不共法』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『余の法』も、
上に、
『説いた通りである!』。
是の、
『因縁』の故に、
舍利弗!
『菩薩の前際』は、
『認められないのである!』。
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復次舍利弗。一切三昧門一切陀羅尼門無有故。菩薩前際不可得。三昧門陀羅尼門。空故離故性無故。菩薩前際不可得。餘如上說。 |
復た次ぎに、舎利弗、一切の三昧門、一切の陀羅尼門に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず、三昧門、陀羅尼門の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。余は上に説くが如し。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
一切の、
『三昧門、陀羅尼門』には、
『有が無い!』が故に、
『三昧門、陀羅尼門』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『余の法』も、
上に、
『説いた通りである!』。
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復次舍利弗。法性無有故。菩薩前際不可得。法性空故離故性無故。菩薩前際不可得。餘如上說。 |
復た次ぎに、舎利弗、法性に有無きが故に、菩薩の前際は得べからず、法性の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。余は上に説くが如し。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
『法性』には、
『有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『法性』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『余の法』も、
上に、
『説いた通りである!』。
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復次舍利弗。如無有故。空故離故性無故。實際無有故。空故離故性無故。不可思議性無有故。空故離故性無故。菩薩前際不可得。餘如上說。 |
復た次ぎに、舎利弗、如の有無きが故に、空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、実際の有無きが故に、空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、不可思議性の有無きが故に、空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。余は上に説くが如し。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
『如』は、
『有が無い!』が故に、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『実際』は、
『有が無い!』が故に、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『不可思議』は、
『有が無い!』が故に、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『余の法』も、
上に、
『説いた通りである!』。
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復次舍利弗。聲聞無有故。菩薩前際不可得。聲聞空故離故性無故。菩薩前際不可得。辟支佛無有故。空故離故性無故。菩薩前際不可得。佛無有故。空故離故性無故。菩薩前際不可得。阿耨多羅三藐三菩提無有故。乃至性無故。菩薩前際不可得。 |
復た次ぎに、舎利弗、声聞の有無きが故に、菩薩の前際は得べからず。声聞の空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。辟支仏の有無きが故に、空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。仏の有無きが故に、空なるが故に、離るるが故に、性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。阿耨多羅三藐三菩提の有無きが故に、乃至性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。 |
復た次ぎに、
舍利弗!
『声聞』には、
『有が無い!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められず!』、
『声聞』は、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『辟支仏』は、
『有が無い!』が故に、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『仏』は、
『有が無い!』が故に、
『空である!』が故に、
『離である!』が故に、
『無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
『阿耨多羅三藐三菩提』は、
『有が無い!』が故に、
『乃至無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
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復次一切種智無有故。乃至性無故。菩薩前際不可得。何以故。舍利弗。空前際不可得。後際不可得。中際不可得。菩薩不可得。 |
復た次ぎに、一切種智の有ること無きが故に、乃至性無きが故に、菩薩の前際は得べからず。何を以っての故に、舎利弗、空の前際は得べからず、後際も得べからず、中際も得べからざれば、菩薩も得べからざるなり。 |
復た次ぎに、
『一切種智』は、
『有が無い!』が故に、
『乃至無性である!』が故に、
『菩薩の前際』は、
『認められない!』。
何故ならば、
舍利弗!
『空』は、
『前際も!』、
『後際も!』、
『中際も!』、
『認められず!』、
『菩薩も!』、
『認められないからである!』。
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舍利弗。空不異菩薩。亦不異前際。空菩薩前際。是諸法無二無別。以是因緣故。舍利弗。菩薩前際不可得。後際中際亦如是 |
舎利弗、空は菩薩に異ならず、亦た前際に異ならず、空、菩薩、前際の、是の諸法は、無二、無別なり。是の因縁を以っての故に、舎利弗、菩薩の前際は得べからず。後際、中際も、亦た是の如し。 |
舍利弗!
『空』は、
『菩薩とも!』、
『前際とも!』、
『異ならず!』、
『空、菩薩、前際という!』、
是の、
『諸の法』には、
『二も無く!』、
『別も無い!』。
是の、
『因縁』の故に、
舍利弗!
『菩薩』の、
『前際』は、
『認められず!』、
亦た、
『後際、中際』も、
『是の通りなのである!』。
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