【經】慧命須菩提白佛言。世尊。摩訶衍摩訶衍者。勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
慧命須菩提の仏に白して言さく、『世尊、摩訶衍、摩訶衍とは、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出すればなり。 |
『慧命須菩提』は、
『仏に白して!』、こう言った、――
世尊!
『摩訶衍、摩訶衍』とは、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのです!』。
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者(しゃ):<代名詞>[這( this )に相当]例:者回(這回)、者般(這般)、者個(這個)等の如し。[形容詞、動詞、動詞句、意味有る句の後に用い、"者"字を付して名詞を作り、以って人、事、物に代えて用う]例:知人者智、自知者明(老子)、射者中(醉翁亭記)、読書者有幾(黃生借書說)。[数詞の後に用いて、上の文に説く所の幾種の人、或は幾件の事に代えて指す]例:二者不可得兼(孟子)。<助詞>[時間の示す名詞の後に用いて停頓を表す]例:昔者,吾舅死於虎,吾夫又死焉,今吾子又死焉(礼記)。[名詞の後に用いて語音上の停頓を示し、並びに下の文を引出して、常に判断を表す]例:仁者天下之表也(礼記)。[句末に用いて断定の語気を表す]例:大人者不失其赤子之心者也(孟子)。[諸に通じる]衆多(
many )。 |
参考:『大般若経巻56』:『爾時具壽善現白佛言。世尊。言大乘大乘者。超勝一切世間天人阿素洛等最尊最妙。如是大乘與虛空等。譬如虛空普能含受無數無量無邊有情。大乘亦爾。普能含受無數無量無邊有情。又如虛空無來無去無住可見。大乘亦爾。無來無去無住可見。又如虛空前後中際皆不可得。大乘亦爾。前後中際皆不可得三世平等。故名大乘。佛告善現。如是如是。如汝所說。菩薩大乘具如是等無邊功德。善現。如是大乘。當知即是布施淨戒安忍精進靜慮般若波羅蜜多。復次善現。如是大乘。當知即是內空。外空。內外空。空空。大空。勝義空。有為空。無為空。畢竟空。無際空。散空。無變異空。本性空。自相空。共相空。一切法空。不可得空。無性空。自性空。無性自性空等。復次善現。如是大乘。當知即是健行三摩地。乃至無染著如虛空三摩地等無量百千三摩地門。復次善現。如是大乘。當知即是四念住四正斷四神足五根五力七等覺支八聖道支。復次善現。如是大乘。當知即是三三摩地乃至十八佛不共法。復次善現。如是大乘。當知即是文字陀羅尼等一切陀羅尼門。善現。如是等無量無邊殊勝功德。當知皆是菩薩摩訶薩大乘』
参考:『放光般若経巻5』:『須菩提白佛言。唯世尊摩訶衍。摩訶衍者。出諸天世間人阿須倫之上。衍與空等如虛空。與無量無央數眾生而作救護。以此世尊為摩訶衍。菩薩摩訶薩亦不見來時亦不見去時亦不見住處。摩訶衍如是。亦不見前後亦不見中央。世尊。是故摩訶衍名為無有與等者。而無有雙。是故名曰摩訶衍。佛告須菩提。如是如是。須菩提。摩訶衍者六波羅蜜是。復有摩訶衍。所謂諸陀羅尼門。諸三昧門首楞嚴三昧。乃至虛空際解脫無所著三昧。是為菩薩摩訶薩摩訶衍。須菩提。復有摩訶衍。內外空乃至無有空。是為摩訶衍復有摩訶衍。三十七品佛十八法。是為菩薩摩訶薩摩訶衍。如須菩提所言。摩訶衍者出諸天阿須倫世間人民之上。須菩提。假令欲界其中所有實有。不異諦不顛倒有常堅強。亦不變易非為空法。若當爾者。摩訶衍亦不能出過諸天龍阿須倫世間人民上。須菩提。當知欲界劫盡燒時所有皆盡。無常無強亦無堅固用。是故摩訶衍出過世間人民諸天阿須倫之上。若使色界亦當有常常堅固者。摩訶衍亦不能出其上。用色界空無常堅固亦當壞盡亦不久住。是故摩訶衍出過其上。至于無色界皆當滅盡亦如是。須菩提。若色湛然堅固。有常諦不顛倒為是堅固法者。摩訶衍亦復不能過諸天阿須倫世固人民上用色無常無強堅固不諦顛倒故。摩訶衍出過其上。痛想行識皆悉無常亦如是。若眼耳鼻舌身意。色聲香味細滑法及十二因緣。湛然有常堅強牢固諦不顛倒常久安者。摩訶衍亦復不能出過其上。用諸法及十二因緣。無常無堅無強無牢無固不諦顛倒。皆如劫燒非安法故。摩訶衍德出過諸天龍鬼神世間人民上。須菩提。若法性中有所有者不為摩訶衍。以法性無所有故為摩訶衍。假令如真際不可思議。體有所有者亦不為摩訶衍。以如真際不可思議體無所有故為摩訶衍。須菩提。若六波羅蜜有所有者不為摩訶衍。以六波羅蜜無所有故為摩訶衍。出過諸天龍阿須倫世間人民上。若內外空及有無空有所有者不為摩訶衍。以內外空及有無空無所有故為摩訶衍。出過諸天阿須倫世間人民上。若三十七品及十八法有所有者不為摩訶衍。用三十七品及佛十八法無所有故為摩訶衍。出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若八輩地法須陀洹法斯陀含法阿那含法阿羅漢法辟支佛法阿惟三佛法佛法有所有者。不為摩訶衍。用八輩法從須陀洹至佛法無所有故為摩訶衍。出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若八輩從須陀洹斯陀含阿那含阿羅漢辟支佛阿惟三佛佛有所有者不為摩訶衍。用種性從須陀洹上至佛無所有故為摩訶衍。出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若諸天阿須倫世間人民有所有者不為摩訶衍。用諸天阿須倫世間人民無所有故為摩訶衍。出過其上。須菩提。若有菩薩摩訶薩。從初發意乃至佛坐。中間諸可所作。發意以來有所有者不為摩訶衍。用菩薩摩訶薩初發意以來乃至佛坐無所有故為摩訶衍。出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若菩薩摩訶薩金剛慧有所有者。菩薩不覺諸習緒不成薩云若。用金剛慧無所有故菩薩覺諸習緒者成薩云若。以是故出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若如來無所著等正覺三十二大士之相有所有者。如來無所著等正覺。不能出諸天阿須倫世間人民上。無此威德神耀光明巍巍之事。用三十二相無所有故。如來無所著等正覺。威德神耀光明巍巍。出過諸天阿須倫世間人民上。須菩提。若如來無所著等正覺光明有所有者。如來光明不能遍至十方恒邊沙國土。須菩提。用光明無所有故。能遍照恒沙國土。須菩提。若八種聲有所有者。如來音聲不能周遍十方恒邊沙無量國土。若佛法輪有所有者。如來不能轉法輪。諸沙門婆羅門世間人民。諸天鬼神龍諸魔諸梵所不能轉者。須菩提。若眾生有所有者。如來所能為眾生轉法輪。令諸眾生於無餘泥洹界而般泥洹。以眾生非物無所有故。是以如來為轉法輪令得泥洹。當來者亦當復般泥洹』 |
註:勝出を大般若は超勝と訳し、一切天、人、阿修羅を超えて、最尊、最上であるとし、放光般若は諸天、世人、阿修羅の上に出ると訳す。 |
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世尊。是摩訶衍與虛空等。如虛空受無量無邊阿僧祇眾生。摩訶衍亦如是。受無量無邊阿僧祇眾生。 |
世尊、是の摩訶衍は、虚空と等し。虚空の無量無辺阿僧祇の衆生を受くるが如く、摩訶衍も亦た是の如く、無量無辺阿僧祇の衆生を受く。 |
世尊!
是の、
『摩訶衍』は、
『虚空』と、
『等しいのです!』。
『虚空』が、
『無量、無辺、阿僧祇の衆生』を、
『受けるように!』、
『摩訶衍』も、
『無量、無辺、阿僧祇の衆生』を、
『受けるのです!』。
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世尊。是摩訶衍不見來處不見去處不見住處。是摩訶衍前際不可得後際不可得中際不可得。三世等是摩訶衍。世尊。以是故是乘名摩訶衍。 |
世尊、是の摩訶衍は、来処を見ず、去処を見ず、住処を見ず。是の摩訶衍は、前際を得べからず、後際を得べからず、中際を得べからず、三世の等しき、是れ摩訶衍なり。世尊、是を以っての故に、是の乗を摩訶衍と名づく。』と。 |
世尊!
是の、
『摩訶衍』は、
『来る処』も、
『去る処』も、
『住まる処』も、
『見えません!』。
是の、
『摩訶衍』は、
『前際』も、
『後際』も、
『中際』も、
『認められません!』。
『三世』が、
『等しい!』のが、
『摩訶衍なのです!』。
世尊!
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佛告須菩提。如是如是。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂六波羅蜜。檀波羅蜜尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪波羅蜜般若波羅蜜。是名菩薩摩訶薩摩訶衍。 |
仏の須菩提に告げたまわく、『是の如し、是の如し。菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、謂わゆる六波羅蜜、檀波羅蜜、尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜にして、是れを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づく。 |
『仏』は、
『須菩提』に、こう告げられた、――
その通りだ!
その通りだ!
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』とは、
謂わゆる、
『六波羅蜜であり!』、
即ち、
『檀波羅蜜』、
『尸羅波羅蜜』、
『羼提波羅蜜』、
『毘梨耶波羅蜜』、
『禅波羅蜜』、
『般若波羅蜜』を、
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』と、
『称するのである!』。
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復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍所謂一切陀羅尼門一切三昧門所謂首楞嚴三昧。乃至離著虛空不染三昧。是名菩薩摩訶薩摩訶衍。 |
復た次ぎに、須菩提、菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、謂わゆる一切の陀羅尼門、一切の三昧門、謂わゆる首楞厳三昧、乃至離著虚空不染三昧にして、是れを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づく。 |
復た次ぎに、
須菩提!
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』は、
謂わゆる、
『一切の陀羅尼門』、
『一切の三昧門であり!』、
謂わゆる、
『首楞厳三昧』、
『乃至離著虚空不染三昧』を、
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』と、
『称するのである!』。
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復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂內空乃至無法有法空。是名菩薩摩訶薩摩訶衍。 |
復た次ぎに、須菩提、菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、謂わゆる内空、乃至無法有法空にして、是れを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づく。 |
復た次ぎに、
須菩提!
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』は、
謂わゆる、
『内空』、
『乃至無法有法空であり!』、
是れを、
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』と、
『称するのである!』。
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復次須菩提。菩薩摩訶薩摩訶衍。所謂四念處乃至十八不共法。是名菩薩摩訶薩摩訶衍。 |
復た次ぎに、須菩提、菩薩摩訶薩の摩訶衍とは、謂わゆる四念処、乃至十八不共法にして、是れを菩薩摩訶薩の摩訶衍と名づく。 |
復た次ぎに、
須菩提!
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』は、
謂わゆる、
『四念処』、
『乃至十八不共法であり!』、
是れを、
『菩薩摩訶薩の摩訶衍』と、
『称するのである!』。
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如須菩提所言。是摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提の言う所の如く、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。 |
『須菩提の言うように!』、――
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』の、
『上に!』、
『出るのだ!』。
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参考:『大般若経巻56』:『復次善現。汝言大乘超勝一切世間天人阿素洛等最尊最妙者。如是如是。如汝所說。所以者何。善現。若欲界是真如。非虛妄。非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以欲界非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。善現。若色無色界是真如。非虛妄。非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以色無色界非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。善現。若色是真如。非虛妄。非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以色非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。善現。若受想行識是真如。非虛妄。非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以受想行識非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。善現。若眼處是真如。非虛妄。非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以眼處非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。善現。若耳鼻舌身意處是真如。非虛妄非顛倒。非假設。是諦是實。有常有恒。無變無易。有實性者。則此大乘非尊非妙。不超一切世間天人阿素洛等。以耳鼻舌身意處非真如。是虛妄。是顛倒。是假設。非諦非實。無常無恒。有變有易。都無實性故。此大乘是尊是妙。超勝一切世間天人阿素洛等。』 |
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須菩提。若欲界當有實不虛妄不異諦不顛倒。有常不壞相非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し欲界に、当に実にして虚妄ならず、諦に異ならず、顛倒ならざる有り、常、不壊の相にして、法無きに非ざる者有るべくんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
若し、
『欲界』に、
『実であり!』、
『虚妄でなく!』、
『諦( 真理)に異ならず!』、
『顛倒でない!』者が、
『有り!』、
『常、不壊相であり!』、
『法が無いことがない!』者が、
『有るはずだとすれば!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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諦(たい):梵語satyaの訳。巴梨語sacca、審実不虚の疑。即ち真実にして謬らず、万世に亘りて易らざる不磨の事実を云う。「増一阿含経巻17」に、「実有にして虚ならず、世尊の説く所なるが故に名づけて諦と為す」と云い、「大毘婆沙論巻77」に、「実の義は是れ諦の義なり、真の義、如の義、不顛倒の義、無虚誑の義は是れ諦の義なり」と云い、又「四諦論巻1」に、「諦の義に七あり。一に不到は是れ諦の義なり、譬えば火相の如し。二に実有は是れ諦の義なり、経中に説くが如し。三に無変異は是れ諦の義なり。四に無二行は是れ諦の義なり、譬えば樹提伽蛇達多の行の如し。五に不更起は是れ諦の義なり、此の智に従わば更に起らず、火輪智に同じからず。六に不相違は是れ諦の義なり、譬えば業及び聖域の如し。七に文義相称は是れ諦の義なり、何を以っての故に、苦と言わば必ず苦を義となす。此の七義に由るが故に名づけて諦となす」と云える是れなり。是れ皆如来所説の理法の真実不虚なるを諦と名づけたるなり。蓋し諸経論等に諦の種別を説けるもの少なからず、謂わゆる四諦、二諦、三諦、十諦、十六諦等なり。就中、四諦と即ち苦諦集諦滅諦道諦にして、「中阿含巻8衆集経」を始め広く諸経論に宣説せられたる所なり。二諦は謂わゆる真諦俗諦にして、又勝義諦世俗諦とも名づく。即ち勝義に於いて審実なるを真諦とし、世俗に於いて審実なるを俗諦とす。「大般涅槃経巻13」、「中論巻4」、「大毘婆沙論巻77」等に明す所なり。又前の四諦に各真諦俗諦の別ありとし、或いは俗諦に世間世俗、道理世俗、証得世俗、勝義世俗の四種、勝義諦に世間勝義、道理勝義、証得勝義、勝義勝義の四種を立て、又七種の二諦、十種の二諦等の語あり。三諦は謂わゆる空諦仮諦中道第一義諦にして、「菩薩瓔珞本業経巻上」等に之を説き、之に亦た隔歷の三諦、円融の三諦あり。其の他又「仁王般若波羅蜜経巻上」には空諦色諦心諦の三諦を説き、「旧華厳経巻25」には世諦、第一義諦、相諦、差別諦、説成諦、本諦、生諦、尽無生智諦、令入道智諦、一切菩薩次第成就諸地起如来智諦の十諦を説き、「菩薩瓔珞本業経巻上賢聖学観品」には有諦無諦等の十六諦を説き、又「金七十論」には自性等の二十五諦を説けり。又「成実論巻11」、「二諦義巻上」、「摩訶止観巻3上」、「法華経玄義巻2下」、「中観論疏巻10本」、「大乗義章巻1、3本」、「倶舎論光記巻22」、「大乗法苑義林章巻2本」等に出づ。<(望) |
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須菩提。以欲界虛妄憶想分別和合名字等有一切無常相無法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、欲界の虚妄、憶想、分別の名字等と和合して有り、一切は常相無く、法無きを以って、是を以っての故に、摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。 |
須菩提!
『欲界』が、
『虚妄であり!』、
『憶想、分別』が、
『名字等と和合して!』、
『有り!』、
『一切の世間』は、
『無常相であり!』、
『法』が、
『無い!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。色界無色界若當實有不虛妄不異諦不顛倒。有常不壞相非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、色界、無色界は、若し当に実に有りて、虚妄ならず、諦に異ならず、顛倒せず、常に不壊の相、無法に非ざる者有るべくんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
『色界、無色界』が、
若し、
『実に有り!』、
『虚妄でもなく!』、
『諦に異なることもなく!』、
『顛倒することもなく!』、
『常に!』、
『不壊相であり!』
『無法でない!』者が、
『有るはずならば!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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須菩提。以色界無色界虛妄憶想分別和合名字等有一切無常破壞相無法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、色界、無色界の、虚妄にして憶想分別の名字等に和合して有り、一切の無常、破壊の相にして、法無きを以って、是を以っての故に、摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
『色界、無色界』が、
『虚妄であり!』、
『憶想、分別』が、
『名字等に和合して!』、
『有り!』、
『一切は!』、
『無常、破壊の相であり!』、
『法』が、
『無い!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若色當實有不虛妄不異諦不顛倒有常不壞相非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し色は、当に実に有り、虚妄ならず、諦に異ならず、顛倒ならず、常、不壊の相にして無法に非ざる者有るべくんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
『色』が、
若し、
『実に有り!』、
『虚妄でもなく!』、
『諦に異なることもなく!』、
『顛倒することもなく!』、
『常に!』、
『不壊相であり!』
『無法でない!』者が、
『有るはずならば!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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須菩提。以色虛妄憶想分別和合名字等有一切無常破壞相無法。以是故是摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。受想行識亦如是。 |
須菩提、色の虚妄にして、憶想分別の名字等に和合して有り、一切は無常、破壊の相にして法無きを以って、是を以っての故に、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。受想行識も亦た是の如し。 |
須菩提!
『色』が、
『虚妄であり!』、
『憶想、分別』が、
『名字等に和合して!』、
『有り!』、
『一切は!』、
『無常、破壊の相であり!』、
『法』が、
『無い!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
『受想行識』も、
亦た、
『是の通りである!』。
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須菩提。若眼乃至意。色乃至法。眼識乃至意識。眼觸乃至意觸。眼觸因緣生受乃至意觸因緣生受。若當實有不虛妄不異諦不顛倒有常不壞相非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し眼乃至意、色乃至法、眼識乃至意識、眼触乃至意触、眼触因縁生の受乃至意触因縁生の受は、若し当に実に虚妄ならず、諦に異ならず、顛倒せざる有り、常、不壊の相にして法無きに非ざる者有るべくんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わざるなり。 |
須菩提!
若し、
『眼、乃至意』、
『色、乃至法』、
『眼識、乃至意識』、
『眼触、乃至意触』、
『眼触因縁生の受、乃至意触因縁生の受』が、
若し、
『実に有り!』、
『虚妄でもなく!』、
『諦に異なることもなく!』、
『顛倒することもなく!』、
『常に!』、
『不壊相であり!』
『無法でない!』者が、
『有るはずならば!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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須菩提。以眼乃至意觸因緣生受虛妄憶想分別和合名字等有一切無常破壞相無法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、眼乃至意触因縁生の受の虚妄にして、憶想、分別の名字等に和合して有り、一切は無常、破壊の相にして、法無きを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。 |
須菩提!
『眼、乃至意触因縁生の受』が、
『虚妄であり!』、
『憶想、分別』が、
『名字等に和合して!』、
『有り!』、
『一切は!』、
『無常、破壊の相であり!』、
『法』が、
『無い!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若法性是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し法性は是れ有法にして無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
若し、
『法性』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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須菩提。以法性無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、法性の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。 |
須菩提!
『法性』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若如實際不可思議性是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し如、実際、不可思議性は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
若し、
『如、実際、不可思議性』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
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須菩提。以如實際不可思議性無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、如、実際、不可思議性の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
『如、実際、不可思議性』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若檀波羅蜜是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以檀波羅蜜。無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し檀波羅蜜は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。檀波羅蜜の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『檀波羅蜜』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『檀波羅蜜』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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若尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪波羅蜜般若波羅蜜。是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以尸羅波羅蜜乃至般若波羅蜜無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
若し尸羅波羅蜜、羼提波羅蜜、毘梨耶波羅蜜、禅波羅蜜、般若波羅蜜は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。尸羅波羅蜜、乃至般若波羅蜜の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
若し、
『尸羅、羼提、毘梨耶、禅、般若波羅蜜』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『尸羅、乃至般若波羅蜜』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若內空乃至無法有法空。是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以內空乃至無法有法空無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し内空、乃至無法有法空は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。内空、乃至無法有法空の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『内空、乃至無法有法空』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『内空、乃至無法有法空』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若四念處乃至十八不共法。是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以四念處乃至十八不共法無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し四念処、乃至十八不共法は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。四念処、乃至十八不共法の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『四念処、乃至十八不共法』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『四念処、乃至十八不共法』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若性人法是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以性人法無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し性人法は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。性人法の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『性人( 性地/種性地)法』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『性人法』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
|
性人(しょうにん):十地中第二性地の人。即ち声聞人は煖法より乃ち世間第一法に至るまで、菩薩に於いては順忍を得るも諸法の実相に愛著するもまた邪見を生ぜずして禅定の水を得る者をいう。乃ち「舎利弗阿毘曇論巻8」に、「云何が性人なる。若しは人の次第して凡夫の勝法に住し、若しは法即ち滅して、正決定に上る、是れを性人と名づく。云何が性人なる。若しは人の性法を成就せる。云何が性法なる。若しは無常、苦、空、無我、涅槃、寂滅を思惟するも、心定まらず、未だ如実を正決定するに上らざる人、若しは受想思触思惟覚観あり、見慧解脱にして、無癡、順信、悦喜、心進信、欲放逸ならず、意識界、意界を念ず、若しは如実の身戒、口戒、是れを性法と名づく。若し人、是の法を成就せば、是れを性人と名づく」と云える是れなり。 |
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須菩提。若八人法須陀洹法斯陀含法阿那含法阿羅漢法辟支佛法佛法。是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以八人法乃至佛法無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し八人法、須陀洹法、斯陀含法、阿那含法、阿羅漢法、辟支仏法、仏法は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。八人法、乃至仏法の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『八人法』や、
『須陀洹法、斯陀含法、阿那含法、阿羅漢法』や、
『辟支仏法、仏法』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『八人法、乃至仏法』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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八人(はちにん):十地中の第三八人地、即ち苦法忍より乃ち道比智忍に至るまで、この十五心。 |
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須菩提。若性人是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以性人無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し性人は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。性人の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『性人』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『性人』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若八人須陀洹乃至佛是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以八人乃至佛無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し八人、須陀洹、乃至仏は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。八人、乃至仏の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『八人、須陀洹、乃至仏』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『八人、乃至仏』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若一切世間及諸天人阿修羅。是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以一切世間及諸天人阿修羅無法非法。以是故。摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し一切の世間、及び諸天、人、阿修羅は、是れ有法にして、無法に非ずんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。一切の世間、及び諸天、人、阿修羅の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『一切の世間』や、
『諸の天、人、阿修羅』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『一切の世間』や、
『諸の天、人、阿修羅』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
|
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須菩提。若菩薩摩訶薩從初發心乃至道場。於其中間諸心。若當是有法非無法者。是摩訶衍不能勝出一切世間及諸天人阿修羅。以菩薩從初發心乃至道場諸心無法非法。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し菩薩摩訶薩の初発心より乃至道場までの、其の中間に於ける諸心は、若し当に是れ有法にして、無法に非ざるべくんば、是の摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。菩薩の初発心より乃至道場までの諸心の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、摩訶衍は一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提!
若し、
『菩薩摩訶薩』の、
『初発心乃至道場まで!』の、
其の、
『中間』に於ける、
『諸の心』が、
若し、、
『有法であり!』、
『無法ではないはずだ!』とすれば、
是の、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないだろう!』。
『菩薩摩訶薩の初発心乃至道場まで』の、
『諸の心』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
|
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須菩提。若菩薩摩訶薩如金剛慧。若是有法非無法者。是菩薩摩訶薩。不能知一切結使及習無法非法得一切種智。 |
須菩提、若し菩薩摩訶薩の金剛の如き慧にして、若し是れ有法にして、無法に非ずんば、是の菩薩摩訶薩は、一切の結使及び習の無法にして、非法なるを知り、一切種智を得る能わず。 |
須菩提、
若し、
『菩薩摩訶薩』の、
『金剛のような慧』が、
若し、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『菩薩摩訶薩』は、
『一切の結使と習』は、
『無法であり!』、
『法ではない!』と、
『知ることができず!』、
『一切種智』を、
『得られないのである!』。
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須菩提。以菩薩摩訶薩如金剛慧無法非法。是故菩薩知一切結使及習無法非法。得一切種智。以是故摩訶衍勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、菩薩摩訶薩の金剛の如き慧の無法にして、法に非ざるを以って、是の故に菩薩は、一切の結使及び習の無法にして、法に非ざるを知りて、一切種智を得。是を以っての故に摩訶衍は、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出するなり。 |
須菩提、
『菩薩摩訶薩』の、
『金剛のような慧』は、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『菩薩』は、
『一切の結使と習とが!』、
『無法であり、法でない!』と、
『知り!』、
『一切種智』を、
『得るのであり!』、
是の故に、
『摩訶衍』は、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
|
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須菩提。若諸佛三十二相。是有法非無法者。諸佛威德不能照然勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、若し諸仏の三十二相は、是れ有法にして、無法に非ざれば、諸仏の威徳は、照然として、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出する能わず。 |
須菩提!
若し、
『諸仏の三十二相』が、
『有法であって!』、
『無法でなければ!』、
『諸仏の威徳は照らすことができず!』、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出られないであろう!』。
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須菩提。以諸佛三十二相無法非法。以是故諸佛威德照然勝出一切世間及諸天人阿修羅。 |
須菩提、諸仏の三十二相の無法にして、法に非ざるを以って、是の故に、諸仏の威徳は照然として、一切の世間、及び諸の天、人、阿修羅を勝出す。 |
須菩提!
『諸仏の三十二相』は、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『諸仏の威徳が明るく照らして!』、
『一切の世間』と、
『諸の天、人、阿修羅』との、
『上に!』、
『出るのである!』。
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須菩提。若諸佛光明是有法非無法者。諸佛光明不能普照恒河沙等世界。 |
須菩提、若し諸仏の光明は、是れ有法にして、無法に非ずんば、諸仏の光明は、普く恒河沙に等しき世界を照らす能わず。 |
須菩提!
若し、
『諸仏の光明』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
『諸仏の光明』は、
『恒河沙に等しい世界』を、
『普く!』、
『照らすことができないだろう!』。
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須菩提。以諸佛光明無法非法。以是故諸佛能以光明普照恒河沙等世界。 |
須菩提、諸仏の光明の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、諸仏は、能く光明を以って、普く恒河沙に等しき世界を照らすなり。 |
須菩提!
『諸仏の光明』は、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『諸仏』は、
『光明を用いて!』、
普く、
『恒河沙に等しい世界』を、
『照らすことができるのである!』。
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須菩提。若諸佛六十種莊嚴音聲。是有法非無法者。諸佛不能以六十種莊嚴音聲遍至十方無量阿僧祇世界。 |
須菩提、若し諸仏の六十種に荘厳せる音声は、是れ有法にして、無法に非ずんば、諸仏は、六十種に荘厳せる音声を以って、遍く十方の無量阿僧祇の世界に至ること能わざらん。 |
須菩提!
若し、
『諸仏』の、
『六十種に荘厳された音声』が、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
『諸仏』は、
『六十種に荘厳された音声を用いて!』、
遍く、
『十方の無量、阿僧祇の世界』に、
『至ることができないだろう!』。
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須菩提。以諸佛六十種莊嚴音聲無法非法。以是故諸佛能以六十種莊嚴音聲。遍至十方無量阿僧祇世界。 |
須菩提、諸仏の六十種に荘厳せる音声の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、諸仏は、能く六十種に荘厳せる音声を以って、遍く十方の無量、阿僧祇の世界に至るなり。 |
須菩提!
『諸仏』の、
『六十種に荘厳された音声』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『諸仏』は、
『六十種に荘厳された音声を用いて!』、
遍く、
『十方の無量、阿僧祇の世界』に、
『至ることができるのである!』。
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須菩提。諸佛法輪若是有法非無法者。諸佛不能轉法輪。諸沙門婆羅門若天若魔若梵及世間。餘眾所不能如法轉者。 |
須菩提、諸仏の法輪は、若し是れ有法にして、無法に非ずんば、諸仏は、法輪の諸の沙門、婆羅門、若しは天、若しは魔、若しは梵、及び世間の余衆の如法に転ずる能わざる所の者を転ずる能わず。 |
須菩提!
『諸仏の法輪』が、
若し、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
『諸仏』は、
『諸の沙門、婆羅門、天、魔、梵、及び世間の余の衆』の、
『如法に転じられない!』所の、
『法輪』を、
『転じられないであろう!』。
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須菩提。以諸佛法輪無法非法。以是故諸佛轉法輪。諸沙門婆羅門若天若魔若梵及世間。餘眾所不能如法轉者。 |
須菩提、諸仏の法輪の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、諸仏は、法輪の諸の沙門、婆羅門、若しは天、若しは魔、若しは梵、及び世間の余の衆の如法に転ずる能わざる所の者を転ずるなり。 |
須菩提!
『諸仏の法輪』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『諸仏』は、
『諸の沙門、婆羅門、天、魔、梵、及び世間の余の衆』が、
『如法に転じられない!』所の、
『法輪』を、
『転じるのである!』。
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須菩提。諸佛為眾生轉法輪。是眾生若實有法非無法者。不能令是眾生於無餘涅槃而般涅槃。 |
須菩提、諸仏は、衆生の為に法輪を転ずるに、是の衆生にして、若し実に有法にして、無法に非ざれば、是の衆生をして、無余涅槃に於いて、而も般涅槃せしむる能わず。 |
須菩提!
『諸仏』は、
『衆生』の為に、
『法輪』を、
『転じている!』が、
是の、
『衆生』が、
実に、
『有法であり!』、
『無法でなければ!』、
是の、
『衆生』を、
『無余涅槃( 小乗涅槃:灰身涅槃)より!』、
『転じて!』、
『般涅槃(大乗涅槃:平等境界)させられない!』。
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須菩提。以諸佛為眾生轉法輪是眾生無法非法。以是故。眾生於無餘涅槃中已滅今滅當滅 |
須菩提、諸仏は、衆生の為の、法輪を転ずるに、是の衆生の無法にして、法に非ざるを以って、是を以っての故に、衆生は、無余涅槃中に於いて、已に滅し、今滅し、当に滅すべし。 |
須菩提!
『諸仏』は、
『衆生』の為に、
『法輪』を、
『転じている!』が、
是の、
『衆生』が、
『無法であり!』、
『法でない!』が故に、
是の故に、
『衆生』は、
『無余涅槃』中に於いて、
『過去、現在、未来の三世』に、
『滅するのである!』。
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