【經】舍利弗。有菩薩摩訶薩。常為眾生以法照明亦以自照。乃至阿耨多羅三藐三菩提終不離照明。舍利弗。是菩薩摩訶薩於佛法中已得尊重。舍利弗。以是故菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。身口意不淨不令妄起 |
舎利弗、有る菩薩摩訶薩は、常に衆生の為めに法を以って、照明し、亦た以って自ら照らし、乃ち阿耨多羅三藐三菩提に至るまで、終に照明を離れず。舎利弗、是の菩薩摩訶薩は、仏法中に於いて、已に尊重を得れば、舎利弗、是を以っての故に、菩薩摩訶薩は般若波羅蜜を行ずる時、身、口、意の不浄をして、妄(みだり)に起こらざらしむ。 |
舎利弗!
有る、
『菩薩摩訶薩』は、
常に、
『衆生の為めに!』、
『法を用いて!』、
『照明し!』、
亦た、
『自らの為め!』にも、
『照らして!』、
乃ち、
『阿耨多羅三藐三菩提に至るまで!』、
終に、
『照明より!』、
『離れることがない!』。
舎利弗!
是の、
『菩薩摩訶薩』は、
『仏法』中に於いて、
已に、
『尊重( the respect )』を、
『得ているのである!』。
舎利弗!
是の故に、
『菩薩摩訶薩は般若波羅蜜を行じる!』時、
『身、口、意』中に、
『不浄』を、
『妄起させないのである( does not let it arise )!』。
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妄起(もうき):梵語 abhiniviSTa の訳、突き進んだ状態( entered or plunged into )の義、没頭したさま( intent
on )の意。
尊重(そんじゅう):◯梵語 guru-kRta の訳( highly prized or praised, worshipped )の義、◯梵語
aadara の訳、尊敬/厚遇( respect, regard, notice )の義、◯梵語 guru の訳、尊敬される人/精神上の師(
a venerated one, a spiritual teacher )の義。 |
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【論】釋曰。上菩薩行檀尸波羅蜜作轉輪聖王。是菩薩但分別諸經。讀誦憶念思惟分別諸法以求佛道。以是智慧光明自利益。亦能利益眾生。 |
釈して曰く、上の菩薩は、檀、尸羅波羅蜜を行じて、転輪聖王と作る。是の菩薩は、但だ諸経を分別して、読誦、憶念、思惟し、諸法を分別して、以って仏道を求め、是の智慧の光明を以って、自ら利益し、亦た能く衆生を利益す。 |
釈す、
上の、
『菩薩』は、
『檀、尸羅波羅蜜を行じて!』、
『転輪聖王と作って!』、
『衆生』を、
『利益したのである!』が、
是の、
『菩薩』は、
但だ、
『諸経を分別して!』、
『読誦し、憶念し!』、
『思惟し!』、
『諸法を分別して!』、
『仏道』を、
『求めるだけで!』、
是の、
『智慧の光明を用いて!』、
『自ら!』を、
『利益し!』、
亦た、
『衆生』を、
『利益することができるのである!』。
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如人闇道中然燈。亦能自益亦能益人。終不離者。是因緣故終不離智慧光明乃至阿耨多羅三藐三菩提。 |
人の闇道中に灯を然(もや)せば、亦た能く自ら益し、亦た能く人を益するが如し。終に離れずとは、是の因縁の故に終に、智慧の光明を離れずして、乃ち阿耨多羅三藐三菩提に至るなり。 |
譬えば、
『人』が、
『闇道中に灯を然せば!』、
『自ら!』、
『益することもでき!』、
亦た、
『人をも!』、
『益することができるようなものである!』。
『終に、離れない!』とは、
是の、
『因縁( 闇中の灯の譬喻)』の故に、
終に、
『智慧の光明を離れなければ!』、
乃ち、
『阿耨多羅三藐三菩提』に、
『至るからである!』。
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復次是菩薩清淨法施不求名利供養恭敬。不貪弟子不恃智慧。亦不自高輕於餘人。亦不譏刺。但念十方諸佛慈心念眾生。我亦如是。學佛道說法。無所依止適無所著。但為眾生令知諸法實相。如是清淨說法。世世不失智慧光明。乃至阿耨多羅三藐三菩提。 |
復た次ぎに、是の菩薩の清浄の法施は、名利、供養、恭敬を求めず、弟子を貪らず、智慧を恃(たの)まず、亦た自ら高くして、餘人を軽んぜず、亦た譏刺せず、但だ十方の諸仏の慈心を念じて、衆生を念ずらく、『我れも亦た是の如く、仏道を学びて法を説き、依止する所無く、適(かな)いて著する所無く、但だ衆生の為めに、諸法の実相を知らしめん』、と。是の如く清浄に法を説き、世世に智慧の光明を失わず、乃ち阿耨多羅三藐三菩提に至る。 |
復た次ぎに、
是の、
『菩薩の清浄の法施』は、
『名利、供養、恭敬を求めるものでもなく!』、
『弟子を貪るのでもなく!』、
『智慧を恃むものでもなく!』、
『自ら高ぶり!』、
『餘人を軽んじるものでもなく!』、
『譏刺するものでもなく!』、
但だ、
『十方の諸仏の慈心を念じ、衆生を念じて!』、こう言うのである、――
わたしも、
亦た、
是のように、
『仏道を学んで、法を説きながら!』、
『依止する所も、著する所も!』、
『無い!』。
但だ、
『衆生の為め!』に、
『諸法の実相』を、
『知らしめるだけである!』、と。
是のように、
『清浄に説法すれば!』、
世世に、
『智慧の光明』を、
『失うこともなく!』、
乃ち、
『阿耨多羅三藐三菩提』に、
『至るのである!』。
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譏刺(きし):人を嘲笑で突き刺す( thrust with a ridicule )、あてこする( satirize )。 |
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已得尊重者。上諸菩薩能如是者。於諸眾生皆為尊重。 |
已に、尊重を得とは、上の諸菩薩は是の如きを能くする者なれば、諸の衆生に於いて、皆尊重せらるればなり。 |
『已に、尊重を得た!』とは、
上の、
『諸菩薩が、是のようにすれば!』、
『諸の衆生』に、
『皆、尊重されるからである!』。
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身口意不淨不令妄起者。能以清淨法施者。不應雜起身口意惡業。所以者何。若起身口意惡者。聞者或不信受。若意業不淨智慧不明。智慧不明不能善行菩薩道。 |
身口意の不浄を妄起せしめずとは、能く清浄の法を以って施せば、応に身口意の悪業を起すを雑うべからざればなり。所以は何んとなれば、若し身口意の悪を起せば、聞く者も或は信受せず。若し意業不浄なれば、智慧明ならずして、智慧明ならざれば、善く、菩薩道を行ずる能わざればなり。 |
『身口意の不浄を妄起させない!』とは、
『清浄の法を施せば!』、
『身口意の悪業を起すのを!』、
『雑えるはずがないからである!』。
何故ならば、
若し、
『身口意の悪を起せば!』、
『聞く!』者も、
『或は、信受しないからであり!』、
若し、
『意業が不浄ならば!』、
『智慧』が、
『明らかでなく!』、
『智慧が明らかでなければ!』、
『菩薩道』を、
『善く、行じることができないからである!』。
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復次不但此一菩薩。上來菩薩能行此法者。皆名尊重佛教。若菩薩欲行菩薩道。皆不應雜罪行。一切惡罪業不令妄起。雜行者於行道則難。不能疾成佛道。罪業因緣壞諸福德故 |
復た次ぎに、但だ此の一菩薩のみならず、上来の菩薩は、能く此の法を行ずれば、皆仏教を尊重すと名づく。若し菩薩、菩薩道を行ぜんと欲すれば、皆応に罪行を雑うべからず。一切の悪罪業をして、妄起せしめず。行を雑うれば、道を行ずるに於いて、則ち難く、疾かに仏道を成ずる能わず。罪業の因縁は、諸の福徳を壊るが故なり。 |
復た次ぎに、
但だ、
『此の一菩薩だけではなく!』、
上来の、
『菩薩』は、
此の、
『法』を、
『行じることができるので!』、
皆、
『仏教を尊重する!』と、
『称される!』。
若し、
『菩薩が、菩薩道を行じようとすれば!』、
皆、
『悪罪の行を雑えず!』、
『一切の悪罪の業』を、
『妄起させないはずである!』。
『悪罪の行を雑えれば!』、
則ち、
『道を行うこと!』が、
『難しくなり!』、
疾かに、
『仏道』を、
『成じることができない!』。
何故ならば、
『罪業の因縁』が、
『諸の福徳を壊るからである!』。
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